バターが入ったすき焼き風の味付けが絶品!李朝園の「和牛ホイル焼き」がうますぎたので紹介させてほしい

吉祥寺の老舗焼肉屋さん李朝園(りちょうえん)で提供されている「和牛ホイル焼き」の作り方を取材しました。すき焼き風のタレにバターを加えた味付けやホイル焼きのコツなど、自宅でまねできる要素も盛りだくさんです。

エリア吉祥寺(東京)

突然ですが、吉祥寺の老舗焼肉屋「李朝園」をご存じでしょうか?

ある日、メシ通担当編集U氏より、「李朝園という老舗焼肉屋で出されている和牛ホイル焼きがおいしかったので、取材に行ってみませんか?」というメールが届きました。

李朝園といえば、吉祥寺の焼肉屋の名店。「焼肉屋なのにホイル焼きってどういうことですか?」と尋ねてみたところ……

「焼肉屋のメニューなのに、ホイルに包まれていて。バターが入ったすき焼き風の味付けで、今まで食べたことがない味で、とにかくうまいんですよ!」と、写真とともにナチュラルに食欲をあおってくるような回答が返ってきました。

この絵面とバターが入ったすき焼き風の味付けって気になる!! 

ということで、和牛ホイル焼きを体験するべく早速、李朝園に向かいました。

そして本日は、李朝園料理長の吉田良美さんに、和牛ホイル焼きの作り方を教えていただけることに。吉田さんは李朝園で働き始めて20年という大ベテランなんだとか。

「ホイル焼きでバターが入ったすき焼き風の味付け」という謎の前情報でしたが、一体どんなお料理なのでしょう。

李朝園の和牛ホイル焼きの作り方

JUNERAY:本日はよろしくお願いします。焼肉屋の厨房に入るのは人生で初なので、すごくテンションがあがっています!!

吉田良美さん(以下、吉田):今日はホイル焼きの作り方を教えてほしいと伺っています。お答えできる範囲でお教えしますので、何でも聞いてください。

JUNERAY:ありがとうございます! 早速ですが、和牛ホイル焼きとは、一体どういうお料理なのでしょうか?

吉田:その名の通り、お肉と野菜にタレをかけてホイルで包んだ料理です。七輪で焼いて召しあがっていただきます。

JUNERAY:蒸し焼きにするようなイメージでしょうか?

吉田:ホイルの中でバターとタレも一緒に焼くので、蒸しと煮込む工程を同時に行う料理というイメージでしょうか。

JUNERAY:一般的な焼肉屋ではあまり見かけないお料理みたいですね。どんなお料理なのか想像もつきません。

吉田:そうですよね。では、実際に作ってみます。

吉田:まずはアルミホイルの上に、1cmほどの厚みに半月切りした玉ねぎと薄切りにしたエリンギを並べます。

吉田:続いて、薄切りにした和牛の肩ロースをのせていきます。いろいろなお肉を試したところ、薄切りにした和牛の肩ロースが最もおいしくできることが分かり、こちらを使用しています。

JUNERAY:いい感じにサシが入っていて、絶対にいいお肉ですよね。先に玉ねぎを敷いたのには何か理由があるんですか?

吉田:お肉が焦げないようにするためですね。玉ねぎは水分が出るので、一番下に入れることで、焦げづらく全ての食材にちょうどよく火が入るようになっています。

JUNERAY:なるほど……! 焦げにくい食材を火の当たる場所に配置するのは、ホイル焼きならではの工夫ですね。

吉田:先ほど敷いた玉ねぎとエリンギの上に、大判の和牛の肩ロース2枚分を食べやすい大きさにカットしてのせます。

吉田:その上にバターをひとかけのせます。

JUNERAY:ここでバターが入るんですね!

吉田:お肉の上にバターを配置することで、バターの風味やうま味がお肉にまとわりついてくれるので、バターの効果が最大限発揮されると思って、この配置にしています。

JUNERAY:ホイル焼きって食材を入れる順番が結構大事なんですね。

吉田:最後に、火が入りやすい長ねぎ(2cmほどの厚みに斜め切り)とパセリを置き、特製ダレをかけたら準備完了です。パセリを最後に置くことで、ホイルを開いた瞬間にいい香りがするようにしています。

JUNERAY:こだわりがすごく詰まっていますね。ちなみにホイル焼きはおいくらなんでしたっけ? ものすごいお肉+こだわりがすごくて心配になってきました。

吉田:715円です。

JUNERAY:安すぎません……?

吉田:最後にホイルを半分に折ったら……

吉田:餃子を包むように、ホイルの端を丁寧に折りたたんでいきます。これで蒸気とタレを逃さずに、蒸すように食材に火を通すことができます。

JUNERAY:このホイルの包み方は参考になります。1人分のホイル包みを作りたいときにまねできそうですね。

吉田:そうですね。ホイルはしっかり包まないと加熱の過程で隙間からタレが染み出すことがあるので、丁寧に包んであげるといいと思います。

JUNERAY:ちなみに、和牛ホイル焼きのタレはどうやって作っているんですか?

吉田:タレは砂糖と醤油をベースにした、李朝園特製のタレです。詳細は秘密なんですが、すき焼きに近い味付けになっていると思いますよ。

JUNERAY:家でも似たタレが作れるかもしれませんね。ちなみに、焼肉屋でお肉にタレとバターで味付けする料理は初めて見たかもしれません。和牛ホイル焼きはずっと前からあるメニューなんですか?

吉田:いえ、実は最近登場したメニューなんですが、あっという間によく注文されるメニューになりました。

私は以前、洋食のレストランで働いていまして。バターとパセリを使うのはそこからのアイデアです。

JUNERAY:和風のタレと洋風の要素、それをさらに蒸し焼きに……。どんなお料理になるのか楽しみです!

吉田:ホイルを開いたときのバターとパセリの香りがすごくいいので、ぜひ楽しみながら味わってみてください。

JUNERAY:今日はお忙しい中ありがとうございました! 席に移動して早速いただこうと思います。

バターが入ったすき焼き風の味付けがたまらない! 和牛ホイル焼き

和牛ホイル焼きを早速いただいてみましょう! 卓上の七輪でじっくり火を通していきます。

5分ほど経過して、ホイルが大きく膨れたら食べ頃だそう。卓上に置かれたハサミでホイルの端から切り開いていきます。

立ち上る湯気からフレッシュなパセリとバターの香りが……!

ホイルを開くと、特製のタレとバターで蒸すように煮込まれた食材たちが! これはおいしくないはずがない……!!

熱々のうちにいただきます!

お肉はとってもやわらかく、箸で切れてしまうほどのホロホロの仕上がり。まさにすき焼き風の味付けにバターが合わさって、これは「洋風のすき焼き」と言いたくなるような味付けです。

吉田さんいわく「ごはんに合います」とのことで、ライス(275円)にのせていただきます。

野菜とお肉とごはんを一緒に食べてみると、その食感に驚きました。野菜にはしっかり火が入っているものの、食感を残してシャキシャキです。野菜の甘みをしっかりと感じられて、そこにお肉のうま味とバターのコク!

最初は「霜降りのお肉とバターの組み合わせは、結構パンチが強いお料理かな……?」と想像していたのですが、全くしつこくありません。むしろパセリの清涼感が効いて、いくらでも食べていたいほど。

最後に残ったタレはごはんにかけていただきます。特製のタレ×バター×肉汁×野菜の甘みで、こんなのごはんに合わないはずがない。和牛ホイル焼きだけでごはん3杯いけそうでした。

このぜいたくさで、なんと715円(衝撃すぎるのでお値段2回目のご紹介です。※2022年11月現在)。膨らんでいくホイルを見守るのも、自分の手でホイルを切り開くのも楽しい体験だったので、来店の際はぜひ注文していただきたい一品です。

スライスした玉ねぎをベースに、食材を層になるように盛り付け、ホイルで包み焼きにするという新感覚のメニュー。プロの技にはかなわないと思いますが、自宅でもまねしてみたい新鮮な調理法でした。

筆者は、この調理法を参考に、一人ホイルすき焼きでもやっちゃおうかなと思っております。

牛タンに冷麺! 李朝園のメニューもいろいろ食べてみよう!

和牛ホイル焼きに舌鼓を打ち、早々にごはんを完食した筆者&メシ通担当編集U氏。せっかく焼肉の名店に来たのですから、他のお料理もいただきつつ、ご紹介していきたいと思います。

店主の林さんにおすすめを聞いて、いろいろと注文させていただきました。自己紹介が遅れました、この理髪店の前で回っているやつみたいなのが筆者です。

まずは一番のおすすめと言われたタン塩(1,507円)。レモン搾り器がレトロでかわいい!

そしてこちらは、和牛切り落とし(935円)。

この金額でこのクオリティ、おかしくないですか?

飲み物は塩スイカサワー(495円※完売次第終了予定)を注文。しっかり塩が効いていて、スイカの香りが爽やかでおいしい! 冷麺にスイカが刺さっているのをよく目にしますが、焼肉にスイカも意外とアリだなと思いました。

▲タン塩は七輪でさっと焼き、レモンを搾っていただきます

コリコリした食感なのにやわらかいお肉がたまりません。筆者は仙台育ちで牛タンが大好きなのですが、こちらのタン塩は素晴らしいおいしさでした。

タン塩を頬張る間に焼けていく和牛切り落とし、美しすぎる! 

やわらか……! 噛み締めるほど溢れる肉汁と、しつこさのない上品な脂。白ごま入りのタレの風味も相まって、「焼肉、ここに極まれり」という気分です。吉祥寺まで来てよかった……!

付け合わせには自家製キムチ(528円)。辛すぎず甘すぎない絶妙な味付けで、漬物好きの筆者はこのあともう1皿頼んでしまいました。お肉との相性が最高!

忘れてはいけないナムル(605円)。さっぱりした味付けでこのまま食べてもおいしいですが、ぜいたくに焼いたお肉にのせて食べてみたところ、シャキシャキの食感が加わって絶品でした。

ハチノス(660円)もいただきます。こちらもお酒のアテにも、箸休めにもなる絶妙な塩加減……! やわらかな食感とやさしいうま味が魅力的です。

▲サイドメニューも完璧な布陣だったので、お酒をもう1杯注文しました

店主さんに2杯目におすすめのドリンクを聞いてみたところ、「焼肉にはマッコリのイメージがありますが、おすすめは紹興酒(グラス/550円)が合いますよ!」とのこと。

お肉との食べ合わせを試してみましたが、実際、紹興酒はかなり合います! 複雑な香りと酸味が、お肉のうま味や醤油ベースの付けダレに負けず、奥深さにぐいぐい引き込まれるようでした。

締めにはやっぱり冷麺(1,078円)。透き通ったスープが美しい、お肉をたくさん食べたあとのお腹にやさしい1杯です。

ツルツルの麺とさっぱりしたスープ。筆者のように辛いものが好きな方は、こちらに追いキムチをすると酸味とコクが楽しめます。

上質な脂のうま味を噛み締めるお肉と、さっぱりした味付けのサイドメニューたち。まるで銭湯の交互浴のような体験で、しかもどれを食べてもおいしいときたもんです。何十年も愛される名店の力をしっかりと堪能しました。

李朝園に行くためだけに、吉祥寺に足を運ぶ価値がある

昭和49年に創業してから、50年近く愛されてきた名店・李朝園。昔からのノウハウが詰め込まれた七輪の焼肉と、料理長のアイデアを活かした斬新な一品で、焼肉ファンの方も、筆者のようなビギナーも楽しめること間違いなしです。

▲厨房の中には前オーナーさんが買い集めたという、こだわりの調理器具がずらり

中でも特に味わってみていただきたいのは、やっぱり和牛ホイル焼き。

食材をタレやバター、香草と一緒に蒸し焼きにする調理法は、たしかにまねしたくなる面白さでした。

いつもなら「吉祥寺にお越しの際はぜひ李朝園へ……」と締めるところですが、李朝園のために吉祥寺まで足を運ぶ価値があると感じます。井の頭線や中央線ユーザーでない方も、ぜひ足を運んでみてください。

お店情報

李朝園

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-3 コスモビル4F
電話番号:0422-21-4004
営業時間: 月~土、祝前日: 16:00~翌0:00 (料理L.O. 23:30)日、祝日: 12:00~翌0:00 (料理L.O. 23:30)
定休日:なし
※営業状況は変更になる場合がありますので、店舗にご確認ください。

www.hotpepper.jp

書いた人:JUNERAY

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、クラフトビアアソシエーション認定ビアテイスターの元花屋。たまにバーテンダー。記事を書いたり、ドリンク開発をしたりします。

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