【魚のプロ・森田釣竿氏に教わる】絶品すぎる「アジのりゅうきゅう」のつくりかた 【超シンプル】

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絶品!「アジのヅケ りゅうきゅう」のつくりかた

千葉県浦安市、堀江三丁目。

もともとは漁師町だったこの地も、今はありふれた郊外の姿である。

そんな住宅街の片隅に、先日ひとりの男が鮮魚の新店舗をオープンさせた。

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浦安魚市場で天然マグロ・クジラ専門店を営む老舗「泉銀(いずぎん)」の三代目、森田釣竿(もりた・つりざお)氏である。

 

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森田氏は、伝説のフィッシュロックバンド「漁港」のリーダー(ボーカル・包丁担当)。『メシ通』でも話題となったこの記事を覚えている方もいるかもしれない。

www.hotpepper.jp

 

さらに森田氏は、昨年より水産庁長官から魚食文化の普及と伝承に努めている方だけが選ばれる「お魚かたりべ」に任命された。「日本の食文化を魚に取り戻し鯛(たい)!」と日夜奮闘中なのである。

 

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バンドマンとしての森田氏の勇姿は、こちらの動画を参照されたい。

 

まさに潮の匂いの似合う、男の中の男……。

 

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ちなみに現在、6thシングル「イカ」を絶賛発売中だ。

gyoko.thebase.in

 

ところで皆さんは普段、おいしい魚を食べたいときに、どんなお店で魚を選んでいるだろうか?

もちろん「地元のなじみの魚屋さんで!」とカッコ良く答えてもらいたいところだが、実は街場の鮮魚店は年々衰退の一途をたどっている。

昭和47年には55,000軒を超えていた日本の鮮魚小売店、いわゆる町の魚屋さんは、現在、全国で14,000軒までに減少してしまっているのだ(水産庁・平成28年度水産白書、総務庁統計局・平成26年経済センサス基礎調査結果より)。

これは人口1万人に対して、魚屋さんはたった約1軒という、極めて少ない数字。

 

そんな魚屋業界の惨状を憂いた森田氏が

これは何とかしないと烏賊(イカ)ん!

と、立ち上がった。

 

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浦安市場にある家業の場内店を飛び出して、さらに浦安の街なかに「泉銀2号店」を町の魚屋さんとして開店したのだ。

 

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さっそく店内を見回してみると、おいしそうな魚でいっぱい!

手作りのフライや天ぷらなどのお総菜があったり、マグロ・クジラ専門店だった市場の場内店よりも、こちらは魚のバリエーションも豊富な様子。

ここだけで、今晩の食事がすべて賄えます。

 

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町の魚屋さんなので、自分の食べたい物を好みの量で購入することも可能。

一匹丸ごとの魚でも、食べやすくさばいてもらえます。

 

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自家製のサバの西京漬は、脂の乗ったサバを無添加の味噌にしっかりと漬け込んだ逸品。

通常は3日から4日間漬け込むのだが、季節や気候によっても変わるので、購入時に食べ頃を聞いてくださいとのこと。

 

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店舗にはひっきりなしにお客さんが来店する。

今夜の夕食の相談など、店内は会話で活気にあふれている。

 

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f:id:Meshi2_IB:20170801150418j:plainぼくの子どもの頃は、まだ魚屋さんが町にたくさんあって、今晩のおかずを店員さんと相談したり、お客さん同士が料理の仕方を教えあったり、そんなコミュニケーションの輪が魚屋さんで広がっていたんですよ。

 

そんな人と人との交流を、このお店を通してさらに広げていきたいと森田氏は語る。

 

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そこで今回は、町の魚屋さんとしてあらゆる魚を取り扱い、大衆魚を知り尽くした森田氏に、これからの季節、最高においしくなるアジを使って、安くてうまいオススメ料理を教えていただきました。

 

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いやこれ、本当に絶品なんですよ。


絶品!「アジのりゅうきゅう」のつくりかた

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メシ通読者の皆さん、こんにちは。森田釣竿です。 

今回は大分県の郷土料理、「りゅうきゅう」を紹介いたし鱒(ます)。

 

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大分県なのに“りゅうきゅう”?」と思った方。大丈夫です。間違えていません。

これ、もとは沖縄の漁師から大分に伝わった料理なんだとか。

それで、名前が「りゅうきゅう」に。

大分では、漁師の賄い飯や、刺身を多く作りすぎた時の保存食として普及した洋(よう)です。地元ではお母さんの味・ソウルフードとして、各家庭でレシピや使う魚もさまざまです。

でも当の沖縄では、今では廃れてまったく作られていないらしいんです洋(よう)。

不思議ですね~。

 

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まずは新鮮なアジを用意いたし鱒(ます)。

一匹で、だいたい男性の一人前です。そして材料は、

  • 醤油
  • みりん
  • ネギ
  • 生姜
  • 白ごま

たったのこれだけです。

 

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このアジは静岡県の沼津港産。静岡のアジは駿河湾の高級サクラエビを食べて育つので、脂が乗って身がふっくら。本当においしいんです。

 

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これをサクッと、三枚におろします。


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と、ここでうれしいハプニング。

アジから白子が出て来ました!!

これが一匹買いの醍醐味(だいごみ)です。最初から刺身で買っていたら、出合えません。

アジの白子は「湯引き」して食べると、またうまいんだ。

 

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三枚におろしたら、小骨を毛抜きで抜き鱒(ます)。

ここで、重要なポイント。

三枚におろした身を刺身にしていき鱒(ます)が、刺身を細かく切りすぎないようにしてください!

 

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身の、尻尾の方はやや太めに。

 

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身の、中ほどはこんな感じに。

 

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なぜ薄く切ってはいけないのか。実はこの後、醤油とみりんにアジの身を漬けるときに、刺身が薄いと漬かりすぎて塩辛くなってしまい、魚のうま味を殺してしまうからなのです。大事なことなので、2回言い鱒(ます)。

「刺身は、細かく切りすぎない」

 

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刺身を漬ける器は、魚を買ったトレーをそのまま使いましょう。

洗い物が一つ減って、エコで海の環境にも優SEA(やさしい)です。

 

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トレーに醤油とみりんでタレを作り鱒(ます)。

醤油とみりんの割合は1:1。

でも、きっちりと計る必要はありま鮮(せん)。

だいたい、こんな感じです。

ここでも、刺身にタレが浸りきらない洋(よう)に、タレは多くなりすぎない洋(よう)に注意です。

 

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タレに刻んだネギとおろし生姜を投入。

 

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はやる期待に、自然と笑顔も浮かび鱒(ます)!

 

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ここで、タレにアジの刺身を漬け込み鱒(ます)。

刺身全体に行き渡るように、お箸でしっかりと混ぜ合わせてください。

 

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最後に、白ごまを加え軽くあえ鱒(ます)。

 

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これで、「りゅうきゅう」の完成です!

 

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驚くほど簡単でしょう?

それでは、さっそく食べてみます。

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お、お、お、おいSEA(おいしい)!!

うまいぞ! うますぎる!

 

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ひとつまみ口に含んだだけで、アジのうま味ごまの風味ネギの香りが口いっぱいに広がって、何とも言えない幸福感!

旬を迎え脂の乗ったアジは、刺身だけでも十分においSEA(おいしい)ものですが、たったひと手間加えただけで更に別次元のうまさに変わり鱒(ます)。

どんぶり飯にも合い鱒(ます)し、日持ちもするので次の日にお茶漬けにするのも最高です。

夏バテや二日酔いで食欲がない日も、ご飯がどんどん進み鱒(ます)よ。

もちろん、日本酒や焼酎との相性もばっちりです。

大分の料理なので、大分名産・麦焼酎がおすすめですね。

 

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今回は薬味をネギにしましたが、本来の「りゅうきゅう」ではミョウガを使う方が多いです。ネギの代わりにミョウガを使った方が、より香り高い一品になるでしょう。

使う魚はアジ以外にも、マグロやイナダ、イサキなどでも大丈夫。

これからは、刺身があればサクッと漬け込んで、どんどん「りゅうきゅう」にしてしまいましょう。

夕飯で食べきれなかった切り身や、スーパーの特売の柵なども、「りゅうきゅう」にはうってつけです。もとの刺身の時よりもうま味の幅が広がりますので、いろんな「りゅうきゅう」を試して食べてみてくださいねー。


「泉銀」で見かけた珍品ーーこれはいったい、何なんだ?

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おいしい料理、「りゅうきゅう」を教えていただいたついでに、もう一品ご紹介。

これ、トリッパではありません。

新鮮な、マンボウの腸なんです。

見た目がハチノスや牛のトリッパに似ていますが、調理方法も同じように炒め物や塩焼き、煮物などがおすすめだそう。

「泉銀」では鮮魚の他にも他店ではなかなか目にすることがない稀少な活魚の取り扱いも始めたそうで、この腸も生きたままのマンボウを森田氏が自ら市場でさばいて販売しています。

 

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マンボウの他にも、ノコギリエイやサメ、ウツボなど水族館級の珍種も入荷するそう。

これは、オオグソクムシのホルマリン漬け。素揚げにするとおいしいとのこと。

 

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いつも入荷しているものではないので、こまめにお店をのぞいてみてください。

ダイオウグソクムシで有名なオオグソクムシ、どんな味なのか気になります。

 

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市場を飛び出し、街中にも新店舗を開いた老舗鮮魚店、「泉銀」

今回教えていただいた「りゅうきゅう」同様、非常に味わい深いお店でした。

みなさんも是非、普段使いの街のお魚屋さんとして、立ち寄ってみてください。

森田氏の軽快なトークとともに、新しい魚のおいしさを発見するかもしれませんよ。

 

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お店情報

泉銀 堀江店

住所:千葉県浦安市堀江3-25-1
営業時間:火曜日~金曜日11:00~18:00、日曜日15:00~18:00
定休日:月曜日・土曜日

twitter.com

www.urayasu-uoichiba.ne.jp

「漁港」公式ウェブサイト

※この記事は2017年8月の情報です。

 

書いた人:平山訓生

平山訓生

浅草在住のカメラマンです。ここで一句。「思ひおく マグロの刺身 鰒汁 ふっくりぼぼに どぶろくの味」

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