牛丼店のテイクアウト「牛皿」でスキヤキを作った話

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オイラの家庭は嫁と二人、いずれもケチなもんで、肉を買うといっても基本的に値段のお安い豚肉がメインになりがち。つうか、牛肉? 冗談じゃあない、見てもいないってなもんよ。

 

いや、もちろん値段を見たことはありますよ。でもまあ高いこと。スーパーの安売り日だったときですら、スキヤキ用の肉、目ん玉飛び出るほどソー・エキスペンシブだった覚えがあります。具体的な値段は覚えていないけど、豚肉の値段がベースになったオツムには、ちょいと刺激が強すぎたことは確かです。

 

うむ、牛肉はお高い。しかし一方で、牛丼店では一時期の価格競争時ほどではないにしろ、庶民的な価格で牛肉を食せるのも事実。ならば……と考えたのが今回の企画であります。

そう、牛丼店に売っている肉だけのメニュー【牛皿】を使用してスキヤキを作れば安上がりに牛肉を食えるんじゃねえの? ということです。

 

企画を打ち明けたときの嫁の反応はイマイチ。見てろよ!

「牛丼店のテイクアウト牛皿で、スキヤキを作ってみようと思っているんだけど」


「はあ……(43歳にもなって何言ってんだコイツ)」


「牛丼の味なんて、タレの濃さで隠れるだろうから、イケると思うんだよな」


「そうかもねえ……(相変わらずばかなこと言ってるけど、肉食べられるならいっか! 肉だ、ニク!)」

 

嫁の反応は薄いが、まあいい。こういうのをギャフンと言わせるのが漢(おとこ)ってもんです。ま、実際にギャフンという反応を見たことはないんだけど。とにかく早速、近くの牛丼店へと駆け込みます。

 

さて、牛丼店で牛皿を仕入れた後、スキヤキなんだから野菜もいるだろうということで、長ネギと椎茸、さらには豆腐、しらたき、そして生卵を購入。スキヤキのタレは家にあるものを使えばよし。

 

すぐさま家に帰って調理です。 

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火の通りにくい椎茸を先に入れようということは決めていたが、いざ実行するとなるとどう煮ていいのかわからん。水炊きするのもナンだし、いきなりスキヤキのタレで煮る。ま、なんでもいいんだよ、最終的にはみんな一緒になるんだから(テキトーすぎ)。

 

で、椎茸がいい感じになったあたりで、肉などの具材を投入。うむ、見た目は悪くない。ちょびっと味見もしてみたけど、これまた立派にスキヤキしてます! この企画はイケるよな。

 

「んむ、ウマい」

当初は冷たい視線を送っていた嫁ですが、食わせてみれば上々の反応。ホレ見たことか。やっぱりギャフンとは言わなかったけど、ギャフンの2歩手前ぐらいの手応えは感じたわけです。

 

「でも、コレ、スキヤキじゃないよね……」

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スキヤキのタレのおかげで肉以外の具材は安定した味と食感を発揮しているものの、肝心の肉が「スキヤキ」を名乗るには小さいんじゃね? という問題提起がなされたわけですな。

 

「味が同じなら文句はねえだろ」


「まあ、味はいいんだけどね。ただ、スキヤキのイメージと違ってさあ……」

 

嫁が言うスキヤキってのは、つまりがこういうことらしい(下の写真参照)。

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確かに本当のスキヤキって、こんな感じのモノなんでしょうけど、こいつはいくらなんでも……。

 

嫁いわく、「肉がカーテンみたいにビラビラできるようなものがスキヤキ! 牛皿を使ってこれを追い求めるなんて発想自体が無理でしょ」とのことです。

 

まあ、嫁の言う通り「カーテンみたいなビラビラ」がスキヤキなのだとしたら、牛皿の肉では再現できまい。

 

オイラの実家では牛肉が小さな肉片でも「スキヤキ」として扱っていたこともあって、今回のような発想・企画となったわけですが、その結果、オイラと嫁の実家の格差が現れてしまうという「残念な事実」だけが無駄に浮き彫りになってしまい、この記事を書いている股旅庵馬ん次さんはダイナマイトしょんぼりであります。

 

それと、ですね。もうひとつショッキングなことが。
ズバリ、同じ分量の肉を買うなら、スーパーで買ったほうが安かったってオイ。

 

もうね、完璧な企画倒れですわ。オイラと嫁の実家格差はまあいいんですが、正直こっちのほうはショックがデカかった。嫁の反応を見たときに何か嫌な予感がしたけど、こういうことだったんですな。

 

こういう感覚って女性のほうが間違いなく優れていますから、なにも男の貧乏性を惜しげもなく発揮した企画をドヤ顔で披露することはなく、そのうえ「見返してやる……」などと考えるべきではなかったと猛省している次第です。ま、こんな失敗談をここでネタにしているオイラも相当にイタいんだけどさ。

 

悔しいので、スーパーで牛肉買ってマジなスキヤキ作った

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この値段を見て一目瞭然。スーパーで買った肉が100gあたり198であるのに対し、牛丼店で買った牛皿はざっと計算したところ、100gあたり260円超! 完敗です。

 

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まあこれも安い肉なんで、嫁の言ったような大きな肉ではなく、見た目とお味は牛皿で作ったスキヤキ(もどき)とほとんど同じなんだけど、それよりは少しだけ「スキヤキ」になっていたし、何よりも安くできるのがデカいですよ。

 

牛丼店は安く手軽に牛肉が食えることは確か。そして、牛皿は牛皿として味付けしているんだから、変なまねをせずにそのまま食うのが正解なのかと。牛丼店の店員さんも、売った牛皿をわざわざスキヤキにしているとは夢にも思うまい。

 

当たり前の結論で恐縮ですが、

  • 牛丼店は牛皿を買って食う分にはもちろんコスパ◎
  • だが、牛皿は牛皿として作られているので、スキヤキにして「うまくいかない……」だの「コスパが……」と嘆くのはナンセンス。
  • スキヤキ食いたいなら、安い肉はそこそこあるから、スーパーで牛肉を買って料理しろ

……ということでしょうな。


ま、牛丼店の肉には、安くうまいものを作るネタが潜んでいるような気がするので、引き続き検証はしたいと考えていますが(嫁は「もういいだろ」と言っている)、今回のところはこれぐらいで勘弁してやろうと思う次第であります。

 

※この記事は2017年1月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:股旅庵馬ん次

股旅庵馬ん次

1973年生まれ。競馬新聞記者、編集者を経てフリー記者。競馬記者時代、ディープインパクトを思い切りdisるコラムを書き、物議をかもす。「馬券も料理も、重要なのはエロス」がモットーの43歳は、SNSに異常なほどの偏見を持つ昭和のおっさんです(単に面倒なだけ)。

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