野菜もタンパク質も取れる「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」は安くて体づくりにも最適

料理・食文化研究家の庭乃桃さんがおいしく、そして安全に食べられる「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」のレシピをご紹介します。プリッとした鶏むね肉と「たっぷりねぎのピリ辛だれ」が絡む絶品レシピで温まりましょう。

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。

今回ご紹介するのは、「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」。

寒さが厳しい季節、ヘルシーで値段も手頃な鶏むね肉は、ぜひ鍋ものにも積極的に使っていきたい食材ですよね。

でも鶏むね肉を鍋に使用する場合、加熱によるパサつきや、脂が少ないことによる満足感などが気になることがあるかもしれません。

ましてや、しゃぶしゃぶとなると、鶏むね肉を薄く切るのが大変そうだったり、正しい加熱方法も気になったり……。作るのにちょっとハードルが上がってしまいそうです。

でも、心配はご無用! そんな鶏むね肉でも簡単に、安全に、おいしく作れる「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」のレシピをご紹介します。

素材の味わいが生きたシンプルなスープに、しっとりプリッとした鶏むね肉、「たっぷりねぎのピリ辛だれ」で食べる「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」は、一度食べたらきっととりこになる味です!

記事の後半では、〆として「鶏だししょうが雑炊」の作り方もご紹介します。

野菜もたんぱく質も取れて、体づくりにも最適な「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」。しかもお鍋は体が温まります! おなかにもたまるので、炭水化物なしでもお腹がいっぱいになりそうです。それでは作っていきましょう!

「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」

材料(2人分)

  • 鶏むね肉……1枚(300g)
  • 木綿豆腐……1丁(350g)
  • 白菜……1/8個(約300g)
  • えのきたけ……1パック(200g)
  • にんじん……小1/2本(70g)
  • 水……1L
  • 昆布……3cm角のもの2枚

【鶏むね肉下味用】

  • 塩……小さじ1/2
  • おろしにんにく……小さじ1/2

【たっぷりねぎのピリ辛だれ】

  • ポン酢醤油……大さじ4
  • 豆板醤……小さじ2
  • ごま油……小さじ2
  • 砂糖……小さじ2
  • 白ごま……小さじ1
  • 刻み小ねぎ……3本分

※昆布はあらかじめ水に浸けて3時間~ひと晩置くと良いだしが出ます(時間がなければ鍋に一緒に入れて煮てもOK)。

※〆に「鶏だししょうが雑炊」を楽しむ場合は、別途、ご飯と卵、塩、おろししょうがを適量ご準備ください。

作り方① 鶏むね肉を準備する

まずは、メインの鶏むね肉の準備から始めていきましょう。

鶏むね肉でしゃぶしゃぶを作る上でのポイントが、この工程に詰まっているので必見です!

1. 鶏むね肉の表面に付いたドリップを拭き取り、皮を外します。

臭みの元となる余分な黄色い脂肪や血などをきれいに取り除いたら、全体に下味の塩と、風味付けのおろしにんにくをもみ込みましょう。にんにくは鶏むね肉の臭みを取ったり、味わいにコクをもたらします。にんにくの香りは加熱によってほとんど気にならなくなるので、ぜひ入れていただきたいです。

ここで塩をもみ込んでおくことが1つ目のポイント。鶏むね肉にしっかり味が付くだけでなく、身が適度に締まって加熱したときの肉質がパサつかずにプリッと仕上がります。

 

下味を付けた鶏むね肉は、食品用のビニール袋に入れて冷凍保存することも可能です! 

外した皮はフライパンでカリカリに焼いてから刻んでおけば、香ばしくてコクのあるおいしい鍋のトッピングにもなります。

2. 鶏むね肉を切っていきます。

しゃぶしゃぶとしても楽しめるよう、できるだけ薄く切ります。これが2つ目のポイントです。

薄く切ることで鶏むね肉に早く火が通ってやわらかく食べられるだけでなく、野菜やたれとの絡みも良くなります。

▲生のまま切ったもの(左上)、半解凍で切ったもの(右下)

鶏むね肉は身がやわらかいため、上手に薄く切るには2通りのやり方があります。

① よく切れる包丁で生のまま切る。

② 半冷凍状態(生のものを冷凍庫に1時間入れる)または、半解凍状態(冷凍済みのものを冷蔵庫に移して8時間置く)にして切る。

どちらでも構いませんが、いずれの場合も鶏むね肉の皮が付いていた部分を上にしてまな板に置き、身が太い方から包丁を少し寝かせるようにして「そぎ切り」にしていくと比較的安定して切ることができます。

包丁の刃を前後に動かしながら、3ミリ程度の厚さに切ることがコツです。おすすめは半解凍状態で切ること。その方が身崩れしにくくて切りやすいですよ。 

「そぎ切り」にすることで鶏むね肉の繊維が断たれているため、加熱しても鶏むね肉が比較的硬くなりにくいです。また後ほどご紹介するたれを添えれば、多少厚みがあったり長く煮過ぎたりしても気にならないくらい、鶏むね肉が安定しておいしくいただけます。

作り方② 野菜と豆腐を切る

1. 白菜をそぎ切りにします。食べやすい大きさで構いませんが、ここでも包丁を寝かせるようにしてそぎ切りにしておくと比較的早く火が通ります。

2. えのきたけは石突きを切り落とし、10本くらいずつに分けます。えのきたけは火を通すとかさがグッと減ってしまうので、結構多くても大丈夫です。

 

3. にんじんは比較的火が通りにくいので、上の写真のようにピーラーを使ってリボン状にしておくと他の具材と同時に火が通ります。

4. 木綿豆腐はパックに入れたまま水気を切り、包丁の先で食べやすい大きさに切ると扱いが簡単です。

ただしこのまま置いておくと水が出てくるので、鍋に加えるときにはもう一度水を切ることを忘れないでくださいね。

作り方③ 「たっぷりねぎのピリ辛だれ」を作る

具材の準備ができたら、「たっぷりねぎのピリ辛だれ」を作りましょう。材料を混ぜ合わせるだけなので簡単です。

調味料を合わせるときは、特に豆板醤が塊で残りやすいのでよく混ぜ溶かしてください。

そして、たっぷりの刻み小ねぎと白ごまを加えれば、「たっぷりねぎのピリ辛だれ」の出来上がりです。

これですべての具材が準備できました。早速火にかけていきましょう!

作り方④ 具材を煮る

1. 鍋に白菜とにんじんを入れ、上にえのきたけと木綿豆腐をのせます。

2. 上から昆布と水(またはあらかじめ合わせて作っておいた昆布だし)を入れ、中火にかけます。煮立ってきたら、火を少し弱めて、5~7分煮て白菜に火を通します。

3. 野菜がだいたい煮えてきたら、メインの鶏むね肉を入れましょう。

鶏むね肉は、1枚ずつしゃぶしゃぶしても、まとめて煮て食べてもどちらでもOK。

ただし、いずれの場合も必ず「生肉を扱う箸」と「取り箸」は別々に用意して使い分け、鶏むね肉の中心部までしっかりと火が通るよう長めに加熱するようにしてください。これは絶対に守りましょう。

鶏むね肉を安全に食べるための加熱時間の目安は、鶏むね肉の内部温度が75℃で1分以上。このレシピでは、鶏むね肉を入れて再び煮立ってから中火(フツフツするくらいの火加減)で1分以上が目安です。

鍋に入れた鶏むね肉がすべて完全に煮えて、生の部分がないことを確認したら取り出します。鶏むね肉は、多少長く加熱してしまっても下味や切り方などに工夫をしますし、絡める「たっぷりねぎのピリ辛だれ」もおいしいので、硬さやパサつきも気になりません。ここはぜひ慌てず、しっかり、ゆっくり煮て心置きなくお鍋を楽しんでくださいね!

野菜はクッタリ、鶏むね肉はしっとりプリッとしていてとてもおいしそう……! 

早速いただいてみましょう。

あらかじめ下味をもみ込んでおいた鶏むね肉は、塩の効果で身が締まり、うま味と弾力があります。それでいてパサつきもなく、とてもジューシー!

そして、やはりこの「たっぷりねぎのピリ辛だれ」が最高においしいです……! カリカリの皮トッピングもアクセントになります。

豆板醤のピリ辛さの中にもうま味がたっぷり、山ほど入れた小ねぎのシャキシャキ感や白ごまの香りがよく合います。 

プリッとした鶏むね肉や、やわらかく煮えた野菜によく絡み、もはや食べる手が止まりません。

鶏むね肉だけでなく野菜や豆腐も、どれも味が染みていておいしく、もうこの鍋だけでご飯が要らないくらい。鶏むね肉と豆腐、そしてたっぷりの野菜をお腹いっぱい楽しめますよ

〆におすすめ!「鶏だししょうが雑炊」

さて、具材やスープが少し残ったら、〆にこんな雑炊を楽しむのもおすすめです。

残った鍋に塩とすりおろししょうがをお好みの量で加え、味を調えます。

流水で洗ってぬめりを取った冷やご飯を加え、ひと煮立ちさせたら、最後に溶き卵を投入。好みの加減に火を通せば出来上がりです。

鶏だしのきいた塩味のスープに、しょうがが優しく香ります。

こちらも、かみしめるほどに下味の染みたおいしい鶏むね肉とふんわりした卵が最高です。

先ほどの「たっぷりねぎのピリ辛だれ」をかけて食べてももちろん美味……!

まとめ

お財布にも体にも優しい鶏むね肉を使ったしゃぶしゃぶ風鍋をご紹介しました。鶏むね肉を薄切りにするのは少し手間ですが、やってみると意外に簡単で、しかもおいしく安心して鍋を楽しむことができますよ。

あっさりながらも鶏むね肉のうま味がしっかりある「鶏むね肉のしゃぶしゃぶ風鍋」は、重たさがなく、食べやすいです。鶏むね肉や野菜、豆腐もおいしくいただける「たっぷりねぎのピリ辛だれ」は、湯豆腐やたらちり、スープにうどん、おじやと、さまざまなものに使うことができるので、ぜひまとめて作っていろんな具材で楽しんでみてください。

食べた後には体も心もポカポカ。ぜひこの冬は、こんなメニューで元気に寒さを乗り切りましょう! 

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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