こんにちは! 料理家の美窪たえです。
本日は、シンガポールでよく食べられている鶏料理「ペーパーチキン(紙包鶏)」をご紹介していきます。
このレシピの特徴はなんといっても、調味料やお肉のうま味を全て堪能できることにあります! 耐熱性のある調理用ペーパーに包んだまま調理するため、素材や調味料のうま味を逃さず調理することができるんです。
また、ペーパーチキン(紙包鶏)は、少めのサラダ油で揚げ蒸し焼きにするため、鶏もも肉がびっくりするほど柔らかく仕上がります。
じんわりと抽出された香味野菜と鶏もも肉のうま味が滲み出たタレごと、ご飯の上にのせてしまえば、箸が止まらなくなってしまう……。そんなシンガポールの絶品おかずをご紹介していきます。
ペーパーチキン(紙包鶏)の作り方
材料(2人前)
- 鶏もも肉……1枚(約300g)
- 長ネギ……1本(白い部分のみ使用)
- おろし生姜……15g(同量のチューブ生姜でも代用可能)
- 醤油……10g
- オイスターソース……10g
- 紹興酒……10g
- 片栗粉……5g
- 砂糖……5g
- ごま油……5g
- サラダ油……5g
- サラダ油(揚げ油用)……100g
- ご飯……100~200g(ご飯はお好みの量をご用意ください)
(※紹興酒は料理酒や日本酒でも代用可能ですが、紹興酒がおすすめです)
ペーパーチキン(紙包鶏)の作り方「下準備編」
1. まずは鶏もも肉を、縦5cm×横2cm目安の棒状にカットし、トレーなどに並べます。
※鶏もも肉1枚が300g前後なので、10等分(1カット30g)を目安にカットすると最適なサイズになります。
2. 次に、鶏もも肉の上に長ネギの薄切りを分量通り1本分(白い部分のみ使用)をのせます。実際に調理してみると、長ネギの量は多く感じられるかも知れませんが、加熱するとくたっとしてかさが減ります。そのため分量通りにのせていきましょう。
3. 次に、醤油、オイスターソース、紹興酒、砂糖、ごま油、サラダ油、おろし生姜を加えていきます。
おろし生姜は分量通りに入れると「多過ぎないか……?」と少し不安がよぎるかも知れませんが、これが適量です。香味野菜の多さにビビると、味のインパクトに欠ける仕上がりになってしまうので、分量通り入れることが味のポイントです。
また、最後に片栗粉を全体にまんべんなく振りかけます。
4. よく混ぜます。
5. 全体を混ぜ合わせたら、ラップをして冷蔵庫で6時間~1日寝かせます。実はすぐには食べられないのです。すみません……。
しかし……! この「寝かせる時間」は、お肉の中までしっかりと味が染み込むだけではなく、鶏もも肉のうま味を引き出してくれます。
耐熱性のある調理用ペーパーの見分け方
さて次の工程からは、漬け込んだ材料をペーパーで包んでいく工程ですが、その前に耐熱性のある調理用ペーパーの見分け方をご紹介します。
今回ご紹介するペーパーチキンでは、「クッキングシート」を使用します。オーブンシートやベーキングシートと表記されている場合もありますのでご注意下さい。コンビニや100均でも買うことができます。
(※使用前には製品名称をご確認ください)
■ご注意ください■
似たような商品に「ワックスペーパー」というモノもあります。こちらはワックス(=蝋)を染み込ませたモノで耐熱性はありません。クッキングシートを選ぶ際は、この違いにご注意ください。
ペーパーチキン(紙包鶏)の作り方「包み方編」
1. それでは、包み方編にまいります。クッキングシートを15cm角にカットします。調理の途中に中身の汁が漏れると油が跳ねて危ないので、大きめのクッキングシートできっちりと包むことが重要です。
2. カットしたクッキングシートを正面にまっすぐ置き、中心に鶏もも肉やタレ、長ネギをバランスよく配置します。
3. 手前と奥の辺を持ち上げて合わせ、重ねたまま1cmほどの幅で2回折り込み、筒の状態を作ります。あらかじめクッキングシートに軽く折り目をつけてから包み始めると作業がスムーズです。
4. 次に、左右の筒状の部分を軽く潰します。
5. その後、左右を閉じるように軽く折りたたんだ後、捻って閉じていきます。
※クッキングシートはかなり丈夫ではありますが、そうは言っても紙。破れることもあるので、ほどほどの力加減で捻じりましょう。
6. しっかりと密閉されれば包む作業は完了です! 残りの材料分が包み終わったらフライパンで加熱していきます。
正直なところ、若干面倒臭いこの作業……。しかし、心の中でぶつぶつ呟きながら包んでいくうちに、次第に作業に慣れて上手くなっていき、完成した際には謎の達成感が湧いてきます。おいしくなる妄想をしながら辛抱強く包んでみてください。
ペーパーチキン(紙包鶏)の作り方「調理編」
1. ここからは調理編です。冷たいフライパンにペーパーチキンを並べ、サラダ油を2回しほど(100g)加えます。
準備ができたら中火にかけます。油を多めに使わなくて良いのがこのレシピの素敵なところです。
2. 3分ほど経つと、油が温まってパチパチと音がしてきます。パチパチという音が聞こえたら、弱火にして蓋をして約6分加熱します。
※蓋を斜めにしてしまうと水滴が油に落ちて危険です。蓋はしっかりするようにしてください。
3. 6分経ったら蓋を開けて中を確認します。蓋を開けるときは、蓋の裏側についた水滴が油に落ちないように、スッと横に動かして開けてください。
※蓋の裏の水滴がフライパンに落ちると油が跳ねて危険です。蓋を斜めにせず、横にスライドさせるように開けましょう。
4. クッキングシートの包みが膨らんできたら裏返します。蓋はせずにさらに2分ほど加熱していきます。
※裏返す際は、クッキングシートをきっちり閉じたつもりでも、多少、汁が漏れることがあります。必ず弱火で調理して油が高温にならないよう気をつけてください。
5. 再度、クッキングシートの包みが膨らんで醤油が焦げるような香りがしてきたら完成です。しっかり温まると肉汁の蒸気でクッキングシートの包みが膨らむので、火が通った目安になります。
あとは、網などで油を切ってお皿に盛り付けます。今回使用した網は100均にありますので、お持ちではない方はクッキングシートと一緒に購入してみてください。
ペーパーチキン(紙包鶏)の楽しみ方
まずは熱々をどうぞ! と言いつつ、しっかり閉じたので少々開けにくいですが……。
火傷に注意しつつ、クッキングシートの包みの中に溜まった貴重なうま味汁を一滴もこぼさないように、慎重に開いていきましょう。
クッキングシートの包みを開くと、湯気と共に甘くて芳ばしい香りが立ち上ります。たっぷりの香味野菜の風味と紹興酒の香りは異国情緒満載です!
実際に食べてみると、柔らかくてジューシーな鶏もも肉の上品なうまさが口の中に広がっていきます。たっぷりの香味野菜と紹興酒とオイスターソースのタレからは、日本の家庭料理の味付けとは一味違ったインパクトを感じられるはずです。
揚げた食感とも蒸した食感とも異なる、鶏もも肉の食感もお楽しみください。
また、ペーパーチキン(紙包鶏)は、ビールや紹興酒などとの相性もバッチリです。濃いめの味付けと熱々の具材をキンキンに冷えたビールや紹興酒で流し込めば、もう間違いありません。
そして〆におすすめしたいのが、ペーパーチキン(紙包鶏)をタレごとご飯にのせた食べ方です。これはもう本当におすすめです!!
甘辛い鶏もも肉と、クッキングシートの中に凝縮されたうま味が全て染み込んだご飯をかきこめば、箸が止まらなくなるご飯のお供にもなるんです。
以上、シンガポールでよく食べられている鶏料理「ペーパーチキン(紙包鶏)」でした。いつもとは一味違うお料理で旅行気分を味わってみてください。
まとめ
シンガポールの絶品おかず「ペーパーチキン」はいかがでしたか?
日本ではなかなか馴染みのない調理方法を使用していますので、食材の食感なども楽しんでいただきたいと思います。
最後に1つだけ、ペーパーチキンを作る時の注意点のおさらいです。揚げ蒸し焼きをする際は、油の温度が高くなると油が跳ねやすくなるため危険です。
「弱火で調理すること」、「しっかり蓋をすること」、「蓋を取るときは、蓋の裏の水滴が油に落ちないように注意すること」を意識して、おいしいペーパーチキンを作ってみてください。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。