こんにちは! 料理家の美窪たえです。
本日は、手羽元がやわらかくなるまでスパイスが効いたスープで煮込んだ、マレーシア生まれのチクテー(鶏骨茶)をご紹介します。
マレーシアやシンガポールで親しまれている料理の一つに、バクテー(肉骨茶)という料理があります。マレーシアでは宗教上、豚肉を食べない方も多いため、鶏肉バージョンのチクテーが生まれたんだとか。
本場のチクテーはスパイスなどを使用しますが、日本のスーパーで買うことができる五香粉を使えば、手軽に本格的な味わいになります。
干し椎茸と五香粉の色で黒みを帯びたうま味スープは、水から煮込んだだけとは思えない深みとコクがクセになる味わいに。手羽元はタンパク質が豊富な点も嬉しいポイントです。
茹でた蕎麦を入れれば、スープのうま味をダイレクトに感じられますので締めにおすすめです。それでは作り方をご紹介していきます。
材料(2人前)
- 鶏の手羽元……8本
- 干し椎茸……6個
- 生姜の薄切り(皮付きのまま薄切りにしたもの)……10g
- ニンニク……5片
〈調味料〉
- 五香粉……小さじ1(3g)
- 塩……小さじ1と1/2
- 砂糖……小さじ2
- 醤油……大さじ1/2
〈仕上げ用具材〉
- 油揚げ……2枚
- えのき……1パック(100g)
- レタス……2〜3枚(100g)
- こしょう……適量
チクテーの作り方
1.干し椎茸を水(分量外)で戻しておきます。器に干し椎茸を入れたら、それらがギリギリ浸る程度の水を入れて、やわらかくなるまで戻します。可能であれば冷蔵庫に入れて6時間から一晩かけて戻すと、おいしさが劇的に増しますので試してみてください。
2.鍋に水(分量外、600cc)を入れて中火にかけ、沸騰したら手羽元を入れます。
本来は丸鶏が使われることもあり、さまざまな部位が一緒に煮込まれますので、手羽元に限らずむね肉やもも肉など、お好みの部位を入れてもおいしく作ることができますよ。
3.再び沸いて手羽元からアクが浮いてきたらすくい取り、水で戻した干し椎茸、生姜の薄切り、ニンニク、〈調味料〉を全て加えます。
蓋をして弱火に落とし、20分ほど煮込んでいきます。
ちなみに手羽元は、スーパーなどで買ってきたら下処理はなしでそのまま使用することができます。骨から出るうま味も期待できるので煮込み料理に最適な食材です。チクテーを作るときは、ぜひ使ってみてくださいね。
さて、味付けのポイントになるスパイス五香粉についてです。
お店や現地でチクテーを作る場合は、数種類のスパイスを独自に配合して煮込むのですが、それらを揃えるのは大変です。
そこで使用するのが五香粉です。一般的に八角、シナモン、クローブ、山椒、陳皮などが入っているので、これ一つで本格的な味わいを手軽に作り出すことができるのです。
1点、気を付けていただきたいのは八角が配合されている五香粉を選ぶことです。
五香粉は原料になるスパイスの数や種類がはっきり決まってるわけではなく、メーカーや製品ごとに原材料の違いがあります。
八角の強い香りは好みが分かれるところですが、特にチクテーの場合は八角の香りがある方が異国情緒が楽しめるのでおすすめです。
4.手羽元を煮込んでいる間に、鍋に追加する具材を準備しておきます。
油揚げは1/4幅に切り、えのきは石づきを切り落として手でほぐしておきます。レタスは火が通るとぐっと縮むので、1枚の葉を1/4程度に切っておきます。
ちなみに油揚げを使う際に、お湯に浸けて油抜きをすることがありますが、油のコクもスープのおいしさの一部になりますので、そのまま加えてください。
5.手羽元を煮込み始めてから20分ほど経過したら、油揚げとえのきを加え、さらに弱火で10分ほど煮込みます。
6.最後にレタスとこしょうを加えて1分ほど弱火で煮込み、レタスがしんなりすれば完成です!
チクテーの楽しみ方
具材とスープをバランスよく器に盛り付けたら熱々をいただきましょう!
まずはぜひスープから味わってみてください。干し椎茸と五香粉の色で黒みを帯びたスープは、手羽元や油揚げのうま味もしっかり効いていて、水から煮込んだだけとは思えない深みがあります!
続いて手羽元をスープと一緒に食べてみます。やわらかく煮えた手羽元は食べやすく、お肉の味わいもしっかりと残っています。タンパク質もおいしく摂取できますよ。
また、油揚げやえのき、レタスもスープの味をしっかり吸っていて、さまざまな食感や味わいを1皿で楽しむことができます。
また、手羽元はそのまま食べても十分おいしいのですが、味変用にニンニク醤油ダレを用意しておくと、ますます食が進むのでおすすめです。
小皿に、醤油(小さじ1)、砂糖(小さじ1/3)、ニンニクのみじん切り、鷹の爪(それぞれ適量)を入れたら完成です。
ごはん(分量外)の上に手羽元とニンニク醤油ダレをのせて頬張れば……。これは間違いありません。ガツンとしたニンニク醤油の風味の後に、複雑なスープのうま味が感じられるので、パンチがありつつも奥深い味わいになっています。
具材をたっぷり楽しんだ後にもしスープが残ったら、チクテー蕎麦をお試しください。チェーンの蕎麦屋さんでも、バクテー蕎麦が注目されていましたよね。
残ったチクテーのスープに茹でタイプの蕎麦(分量外、150g)を加えたらできあがりです。お好みで具材をのせ、薄切りのネギや七味(それぞれ分量外)などを添えると蕎麦っぽさも加わります。
八角風味のスープと蕎麦は意外な組み合わせですが、鶏と具材のうま味がたっぷりなので、相性は抜群。スープのうま味を堪能しながらツルツルとおいしく食べられますよ。
まとめ
マレーシアで生まれたチクテーは、五香粉を使用することで、手軽に本場のような味わいのスパイススープを作ることができます。ぜひ作り方を参考にしてみてくださいね。それでは。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。