こんにちは。ライターの大塚たくまです。
ぼくはシーチキンが大好きでよく買うんですが、これまで誰にも聞けなかったことがあります。
シーチキンって、なんかやたら種類多くない??
いったいどんな違いがあるのか、販売元のはごろもフーズ株式会社の広報担当である金子さんに尋ねてみました。
- 看板商品は「シーチキンファンシー」
- シーチキンLとシーチキンマイルドの違いは?
- なんで「L」や「マイルド」といった名称なの?
- 「シーチキン」の名称はどうやって誕生したの?
- 「シーチキンファンシー」にハマる
看板商品は「シーチキンファンシー」
──シーチキンって単に「シーチキン」という名前の商品はないじゃないですか。結局、どれが看板商品なんでしょうか。
金子さん:看板商品は「シーチキンファンシー」ですね。
──シーチキンファンシー??
▲シーチキンファンシーには「特選品」の文字が
金子さん:シーチキンファンシーは、びんながまぐろを原料としたソリッドタイプで、油漬の缶詰です。
──ソリッドタイプ……?
金子さん:ソリッドタイプというのは、魚肉をほぐしていないタイプのことです。
▲フレークタイプ(左)とソリッドタイプ(右)。シーチキンの中でソリッドタイプなのはシーチキンファンシーだけ
──びんながまぐろを使った「シーチキンファンシー」には、どのような特徴がありますか。
金子さん:びんながまぐろは、シーチキンで使用している魚の中では最もクセがなく、幅広い料理に使える、飽きのこない味です。しっかりとした食感で、食べ応えがあります。
──看板商品は、「シーチキンL」や「シーチキンマイルド」じゃないんですね。
金子さん:消費者の方に最も馴染みのある一番の売れ筋商品ということでしたら、「シーチキンL」と「シーチキンマイルド」です。ただ、看板商品ということなら、特選品である「シーチキンファンシー」ということで、選びました。
▲シーチキンファンシーはそのままでも大満足
金子さん:シーチキンファンシーはうま味が濃くて、そのまま食べても満足感があるおいしさ。岩塩やマヨネーズにつけて食べるだけで、おつまみになります。
シーチキンLとシーチキンマイルドの違いは?
──馴染み深い「シーチキンL」と「シーチキンマイルド」はどう違うんですか?
金子さん:まずは魚種が違います。「シーチキンL」はきはだまぐろ、「シーチキンマイルド」はかつおです。
──そもそも魚種から違っていた……!
金子さん:さらに魚肉の形状にも差があります。「シーチキンL」はチャンクタイプですが、「シーチキンマイルド」はフレークタイプです。
▲チャンクタイプのシーチキンL(左)とフレークタイプのシーチキンマイルド(右)
──チャンクタイプとフレークタイプにはどのような差があるんですか。
金子さん:チャンクタイプは大きめにほぐしたもので、フレークタイプは細かくほぐしたものです。
──なるほど……。ちょっとこのへんで、表にまとめておきましょう。
▲シーチキンの魚種と形状早見表(パッケージ写真提供:はごろもフーズ株式会社)
──きはだまぐろを使っている「シーチキンL」の味の特徴を教えてください。
金子さん:やわらかな食感で、しっかりとしたうま味を楽しめます。
▲シーチキンL
──個人的には「シーチキンL」が、ぼくのイメージする馴染み深いシーチキンに一番近い気がするなぁ。一方「シーチキンマイルド」は、どんな味でしょうか。
金子さん:びんながまぐろ、きはだまぐろと比べると魚の強いうま味があり、最も魚らしい味です。こちらもやわらかい食感です。
▲シーチキンマイルド
──おお、こうやって食べ比べると全然違いますね。「マイルド」は「ファンシー」や「L」と比べて、味も食感も魚感があります。これはこれでおいしい。
なんで「L」や「マイルド」といった名称なの?
──「シーチキンL」の「L」って、サイズのLなのかな? とぼんやり思っていました。
金子さん:「シーチキンL」の原料であるきはだまぐろは、「ライトミート」と呼ばれています。その「Light」の頭文字をとって、「シーチキンL」という名称にしました。
▲パッケージにも「Light Meat」の文字が
──どうして「ライトミート」と呼ばれるようになったんでしょうか。
金子さん:魚肉が淡いピンク色、または黄色みを帯びているため、英語で「淡い」を意味する「Light」が使われているようです。
──では「シーチキンマイルド」は、なぜ「マイルド」?
金子さん:かつおが原料の「シーチキンマイルド」は魚独特の風味が強いじゃないですか。その味を「マイルドに仕上げている」ことに由来します。
──由来のアプローチが「L」と全然違ってた。では「ファンシー」は? 「ファンシー」って、しゃれてるとか、派手なっていう意味ですよね。
金子さん:いえ、実は「ファンシー」には、「(食品が)極上の」という意味もあるんです。「ファンシー」の由来は、そこからですね。
──由来を知ることで、ようやく各商品のイメージがわかってきました。使い方に違いはありますか?
金子さん:魚種によって調理にどのように使い分けるなどは特にありません。お好みでご使用いただきたいと思っています。
──それぞれの味を知って、好みで選べばいいんですね。
金子さん:強いて言うなら、ソリッドタイプやチャンクタイプは「具材感を残したい料理」に使用するのがおすすめですね。お好み焼きや鍋、カレー、お味噌汁、煮物とか。
──なるほど。お肉の代わりに使用するようなイメージですね。ぼくは、ほとんどマヨネーズと和えるか、サラダに入れるかでしか使ってなかったな……。
金子さん:公式サイトにたくさんレシピを掲載していますので、ご参考にお使いください!
「シーチキン」の名称はどうやって誕生したの?
──「シーチキン」は誕生した時から、「シーチキン」という名称だったんですか。
金子さん:はごろもフーズは昭和6年に「後藤缶詰所」として創業しました。当時は「シーチキン」というネーミングではない「マグロ油漬缶詰」を製造し、主に米国向けに輸出していました。
──もともとは輸出主体だったんですね。
金子さん:昭和26年頃に当時の社長が国内販売に舵を切りました。でも、国内ではマグロ油漬缶詰はまだ一般消費者に馴染みのある食べ物ではなかったんです。
──そこで、国内の一般消費者に馴染みやすい名称を考案したと。
金子さん:特に若年層に好んで食べてもらえるような商品名を検討していました。当時は原料にびんながまぐろのみを使っていました。びんながまぐろは、白くやわらかくておいしいことから「海の鶏」と呼ばれていたんです。そこから「シーチキン」と名付け、昭和33年に商標登録しました。
──そこから、国内に根付いていったんですね。 ぼんやりしかわからなかったシーチキンが見えてきた気がします。本日は貴重なお話をありがとうございました。
「シーチキンファンシー」にハマる
まさかの看板商品だった「シーチキンファンシー」。ぼくはすっかり、惚れ込んでしまいました。
▲シーチキンファンシーパーティー
シンプルに缶詰として、クオリティが高い。岩塩、カレー塩、マヨネーズなど、合いそうな調味料を準備。
岩塩をつけるだけでも、シーチキンファンシー自体のうま味が引き立ち、おいしく食べられます。ぼくはビールや日本酒と一緒に食べるのが好きです。
「うーん……。ファンシー(極上)」
「L」でも「マイルド」でもない、「ファンシー」が看板商品だったなんて。見落としがちな特選品「シーチキンファンシー」、ぜひこれを機に味わってみてください。
改めて食べ比べると、新しいシーチキンの魅力が発見できるかもしれませんよ。
※「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社の登録商標です。
書いた人:大塚たくま
福岡に住む九州を愛するライターで二児の父。グルメ、旅行、子育てに関する記事を多数執筆。便利で心を動かす記事を書きたい。取材が大好きで、情報量の多い記事を目指しています。