豚足が好きだ。
読んで字のごとく、豚の足そのまんまのあの形状。
むさぼり食らっていると、原初の記憶がよみがえるようだ。これぞ、食事という体感。
プルプルとした食感も食欲をそそる。
日本では豚足を主菜にご飯を食べることはあまりしないが、お隣、台湾では豚足がメインの専門店が数多く存在している。
豚足は麺やご飯のおかずとして、老若男女をとわず、人々に親しまれているのだ。
そんな豚足専門店の1つ「阿水猪脚大王」に足を運んだ。
▲阿水猪脚大王
阿水猪脚大王は40年ほど前に屋台からはじまったお店。
特製タレでよく煮込まれたプルプルの豚足が評判を呼び、いまでは台北を中心に複数の店舗展開をしている。
ちょっと上に貼りつけた店頭写真をご覧いただきたい。
なにか違和感を感じないだろうか?
なにかおかしな物が写りこんでないだろうか??
そう、鍋がえらいことになってるのだ!
こちらの鍋の中身は、創業以来継ぎ足して煮込んでいる伝統のタレ。
どこまでがタレで、どこまでが鍋なのか。タレと鍋が一体化し、異形のアイテムに生まれ変わった。
長い時を経て、使いこまれた道具は妖怪のようだ。
夕飯どきに来店すると、店内はあっという間に満席に。
配膳のおばちゃんたちもテキパキと客席を動きまわり、活気に満ちたムードだ。
メニュー構成はシンプル。
単品で豚足を食べるのか、それとも、麺やご飯とのプレート盛りにするのか。基本の選択肢はそれぐらい。
あとはお好みに応じて、副菜をつけたり、スープをつけたりすればいい。
フライドチキンなどもあるにはあるが、見渡す限り、ほとんどのお客さんが豚足を食べている。
豚の脳みそスープを飲んでみた
▲豚の脳みそスープ (40台湾ドル/約142円)
このお店に来たなら、ぜひチャレンジしてほしいスープがある。「豚の脳みそのスープ」だ。
とにかくビジュアルのインパクトがスゴい。こんなの映画に出てくる、培養液に浮かぶ脳みそだ。このスープが裏で店長を操っている。
インパクト大のビジュアルにひるんでしまいそうだが、勇気をもって口にすると、その味は拍子抜けするほど淡泊。
つるんとした歯応えも、クセのない上品な味わいも、魚の白子にかなり近い。
スープ自体も薬膳っぽい香りなので、なんだか体に良さそうだ。
柔らかすぎて豚足がとろける!
▲豚足とそうめんのプレート (110台湾ドル/約390円)
脳みそスープで胃腸を整えたら、いよいよメインディッシュの豚足だ。
大きな豚足1本にそうめんのような細い麺、煮卵ものっているプレート料理。
1皿で充分お腹いっぱいになるボリュームだ。
ひとくち豚足をかじってビックリ!
いままで食べてきたものとは、まるで食感が違うんだ。
特製タレで煮込まれたこの豚足は、想像をはるかに超える柔らかさ。口のなかでとろけてしまう!
一般的に豚足といえば、プルプルとした歯応えで、両手でつかんでしっかりかまなきゃかみ切れないという印象だったが、ここのは軽く歯を入れれば、骨から身がするっとはがれる。
いや、歯さえ必要ないかも。くちびるで挟めば、食べれてしまう。それぐらい柔らかい。
ここまで柔らかくするために半日近く煮込むんだとか。
煮込む際には特製タレに黒砂糖も加えるそう。脂と砂糖の甘味が調和して、ここだけの独特なうまさだ。
ほんとにするっと口に入ってしまうので、2本でも3本でも食べれてしまう。
「歯応えが欲しい!」という方には、アキレス腱の煮込みがオススメだ。
コリコリした食感がクセになる。ご飯のうえにのせれば、タレが染みてぐっとハシが進む。
脳に足にアキレス腱、さまざまな部位を食べ比べるのはいかがだろうか。
※ 日本円表記は、2019年1月現在で換算
お店情報
阿水猪脚大王 台中店
住所:400台中市中區公園路1號
電話番号:+886 4 2224 5700
営業時間:11:00~20:00
定休日:無休