「おいしくてからだにいいカレー」を作りたかった
年末。締め切りが幾重にも重なるこの時期。
そんなときに試してほしい、薬膳料理のパイオニア「香食楽(かくら)」の薬膳カレーとラム肉メニューをご紹介します。
年末進行真っ只中の自営業仲間を誘って行ってきました。
▲お付き合いいただいた人たち。ありがとうございます
左から 逸見(筆者)、Eテレやアニメの音楽制作で活躍中の藤本功一さん(作曲家)、メシ通記者でもある工藤真衣子さん(フォトグラファー/ライター)、ボクシングの試合を控えて減量中の田中拓也さん(プログラマ)。
井村:こんばんは! ひさしぶりですね。
▲薬膳カレーで知られる「薬膳カレー&Cafe KA・KU・RA 香食楽(かくら)」のシェフで店主の井村真沙子さん
国際中医薬膳師、栄養士、カレーマイスターなどいろんな肩書きをお持ちです。
──ご無沙汰です。さっそくですが、疲れたからだにおすすめのメニューをください……。
井村:皆さん疲れていますね。はい、黒カレーにラムハンバーグをトッピングした特別メニューをどうぞ。
▲腎をあたためる黒カレー(1,700円・プラス200円で激辛に変更できます)+薬膳ラムハンバーグ(3,000円・要予約)
希望すると、ハンバーグとマリアージュが楽しめるスイスの白ワイン、アイダ(アイダ・ド・ヴェ)がサービスで付いてきます。
──メニューに「腎をあたためる」とありますね。
井村:「腎」は生殖機能全般を差します。 東洋医学の世界では、五臓の中でとても重要な臓器といわれていて「産まれた時点で親から受けたもの」という意味で「先天の本」ともいうんですよ。
──ほう。黒カレーのどんな食材が腎にいいのでしょうか。
井村:黒カレーには、黒豚・黒ゴマ・豆鼓・イカ墨など黒い食材がいっぱい入っています。
黒い食材は、活性酸素を取り除き、からだの浄化を促すと言われているんですよ。ちなみに、小麦粉・化学調味料は使用していません。
バランスを崩したからだをリセットしたい方にはぜひ、黒カレーがおすすめですす。
──黒カレーもハンバーグもおいしいです。言われないとラムだとわからないくらいクセがないですね。ジューシーでワインともよく合います。
井村:ラム肉はLカルニチン(代謝に重要な働きをする栄養成分)が豊富なんです。黒カレーと一緒に食べるとさらにからだがあたたまりますよ。
薬膳カレーの先駆け
──香食楽さんといえば、「薬膳カレーの先駆け」として有名ですよね。薬膳カレー、今ではだいぶ一般的になりましたね。
井村:中目黒にお店を開いて16年になります。開店当初は「薬膳カレーって何?」という人が多くて。近所でもマニアックなお店として認知されてたような(笑)。お客さんもはじめは健康に対して意識の高い方が多かったです。
16年頑張っているうちに、「薬膳カレー」がどんどん世の中に浸透してきて。一般的になりつつありますよね。今では子どもからお年寄りまで、いろんな方が食べに来られますよ。さて、次はこちらを食べてみて。
▲サイコロラム肉ステーキ黒カレー添え(1,980円)
▲黒カレーにつけていただきます
▲藤本氏「やわらか~い」
──ハンバーグの次はステーキですね。黒カレー、ソースとしても万能なんですね。ところで、井村さんが薬膳カレーに目覚めたきっかけは何ですか?
▲昔からお世話になってます
井村:ずっと飲食の世界にいるんですが、忙しすぎて体調を崩したことがあるんです。そのときに東洋医学に出合って。漢方で快方に向かった経験が大きいですね。でも、私が伺った薬膳料理のお店は生薬がゴロゴロ入っていて、味も苦味が立っていて慣れなく、残念だなって思ったの。
そんなことを考えているうちにひらめいたんです。「カレー」だったら苦味がいい隠し味になるんじゃないかって。味わい的にも深いコクが出て、おいしいカレーができるんじゃないかと。一念発起して、薬膳カレーの開発に取り組んだんです。それが20年前。
──なるほど。本当に未知の領域だったんですね。
井村:通常のカレーに使われる唐辛子をはじめとしたスパイスは、からだを冷やすんです。口の中がHOTでも、あとで冷えてしまう。香食楽の薬膳カレーは、からだの症状にピンポイントで届く生薬やスパイスをブレンドして作っています。
だから、からだをあたためたいとか、自分の症状に合わせてメニューを選べるんです。研究に研究を重ね、数え切れないくらい試作して、原料を中国から取り寄せて。開発に10年かかりました。
──10年ですか!
井村:ひと皿で味も栄養面でも満足できるカレーを作りたかったんです。ようやく自分が納得できるカレーが完成したので、香食楽を開店しました。ところが、薬膳の世界ってすごく奥が深くて。調べれば調べるほどもっと勉強したくなる。
なので、学校にも通って資格も取りました。お店を営業しながらの勉強は大変でしたけど、取ってよかった。新しいことにも自信を持って挑戦できるようになりましたね。
──これまでいろいろと研究されてきたんですね。
井村:努力したかいがあって、香食楽の薬膳カレーのファンがどんどん増えていきました。レトルト商品にもなった。これで全国の人にも食べてもらえるって思って、嬉しかったな。ところでチエコさん(筆者)、顔色悪いね。冷えてる?
──はい。芯から冷えてます……ブルブル。
疲れも吹っ飛ぶ「薬膳カレー×新鮮ラム」のしゃぶしゃぶ鍋
井村:それならいいメニューがあるの。ぜひ皆さんで試してみて。
野菜がたっぷりの鍋と、
ラム肉のスライス(厚い)と、
タレが運ばれてきました。
──これは?
井村:新鮮なラムの肩ロース肉を、野菜と薬膳たっぷりの秘伝のカレー鍋でしゃぶしゃぶしていただく「薬膳カレー鍋」です。これ、ほんと今の季節おすすめ!
▲薬膳カレー鍋 ラム厚しゃぶしゃぶ(3,500円 ※1人分の金額/注文は2人前より)
▲しゃぶしゃぶして、タレをつけていただきます。新鮮なラム肉ならでは。香食楽のオリジナルメニューです
井村:厚いから食べごたえあるでしょ。タレは黒カレー、マスタードソース、ポン酢です。
──(黒カレーにつけていただく)柔らかい! なにこれー。うまっ。黒カレーと合いますね。ラムが苦手な人、これ食べたら驚くと思います。フレッシュでおいしくて。地味に脇役のキクラゲがまたいい仕事してますね。
▲野菜たっぷり。美容にいいナツメや食べる目薬といわれるクコの実も
ちなみに、ポン酢はさっぱりとした味に、マスタードソースはラム肉の味がクリアになる感じでした。
井村:スープは四分の一くらい残しておいてね。〆はドリアになります。
そして、しばらくして出てきたのがコチラ。
〆のドリアに舌鼓
▲〆のチーズカレードリアは、ライムをキュッと絞ってパクチーをのせていただきます
▲チーズ&薬膳スープにライムの酸味がよく合うんです。飲んだあとの〆にも良さそう
▲羊×カレーを食べつくして大満足の一同。
自宅で「薬膳の考え方」を生かしたカレーを作るには
──さて、最後に教えてほしいのですが、家で薬膳の考えを取り入れたカレーを作るにはどうすればいいでしょうか。アドバイスがあればぜひ。
井村:「薬膳そのもの」は奥が深くて難しいけど、より「薬膳に近付いた」カレーならできるかも知れません。薬膳の考え方ではそのときの旬の食材が栄養状態が良いことから、旬のものを積極的に食べることを推奨しています。
なので、旬の食材を具材に選んで作りましょう。さらに、陳皮(チンピ)を入れてみて。陳皮は漢方医学でよく使われる食材で、血流を良くして栄養分をからだにめぐらせてくれるといわれています。いつものカレーより元気が出るかも知れません。
──なるほど。試してみたいと思います。今日はご馳走様でした。
▲最後に井村さんと記念撮影。せっかく中目黒に来たので、このあともう一軒寄ってから帰りました
からだを休める、寝る、温泉に入るなど、疲れたときの対処はさまざまあります。
でもやっぱり、薬膳のカレーは即効性がすごい。
「スパイスを食べたい欲」と「からだにいいものを食べたい」を同時に叶えてくれる薬膳カレーは、疲れやすい大人の救世主になるかも知れません。
撮影:工藤真衣子
※シェフの井村さんケガのため、2019年12月まで香食楽は休業中となっております。2020年1月下旬以降に営業を再開される予定ですので、しばらくお待ちくださいませ。最新情報はHPにてご確認ください。
※薬膳の効果効能には個人差があります。
お店情報
薬膳カレー&Cafe KA・KU・RA 香食楽
住所:東京都目黒区上目黒2-42-13
電話番号:03-3710-0299
営業時間:平日 18:00~22:00(LO) 土日祝 12:00~14:30(LO)/18:00~21:00(LO)
定休日:月曜日、火曜日