【ネタバレ注意】記事中、ゲーム後半に登場する要素についての記載があります。
「米作り」だけじゃない。「食風景」もスゴかった
島旅フォトライターのいづやんです。
コロナ禍で旅に出られない日々が続いていますが、ステイホームでも非日常感を味わえる手段として、ゲームに手を伸ばす時間も増えました。
そんな中、僕がハマったのが『天穂のサクナヒメ(以下、サクナヒメ)』。日本人のDNAに刻まれた主食、「米」を育てる稲作体験ができるゲームです。
その米作りにおける設定の細かさ・複雑さは、実際の農家さんをして「今年の米の収穫が終わってホッとしていたのに、また仕事している気分になる」と言わしめたほど。
田起こしから田植え、田んぼに張る水の量の管理。肥料もやらなければいけないけどたくさん撒けばいいわけではない。ちょっと目を離すと雑草は生えるし、稲は病気にかかったり害虫が湧いたりします。
水、肥料、苗の植え方など細かく手入れをしても、天気に左右されて台無しになることも。刈り取った稲を干す稲架掛けの時期に、長雨でも降ろうものなら気が気じゃない。
「どうすればもっとよい米が作れるのか……」と、大体のプレイヤーはここで頭を抱えます。
しかも、主人公のサクナヒメはただ米作りをしていればいいわけではありません。
この夕餉(ゆうげ)の献立も、「鬼(動物の姿をした敵キャラ)」を倒して手に入れた食材や、探索中に拾った食材を組み合わせて作ることになります。最初は稗や粟を炊いた飯、拾ったドングリの汁など粗末な食事が続きますが、島の探索が進み採れるものが増えてくると、食卓はにぎやかになっていきます。
米作りの奥深さや戦闘の爽快さはもちろん、ゲームを進めていくうちに、この夕餉で作れる料理の多さに目がいくようになりました。
ここまで細かくゲーム内の食風景を表現しようとした裏には、どんな思いがあったのか。どのような基準で料理を選んでいるのか。時代背景は何を参考にしているのか。
そこでこの記事では『サクナヒメ』の食の世界について、開発元の「えーでるわいす」のなるさん、こいちさんにお話を伺いました。
室町時代の生活を伝える「辞書」との出会い
──『サクナヒメ』、先日クリアしました! すごく面白かったです。
なるさん・こいちさん(以下、敬称略):ありがとうございます。
──「米作り」と同じくらい『サクナヒメ』の魅力的な要素だと思っているのが、作中での「食風景」です。室町時代の食文化を参考にされてるそうですが、まずこのあたりの時代設定を選んだのはなぜでしょうか。
こいち:キャラクターたちにはなるべく機械を使わないで暮らしてもらいたかったのと、こういうゲームですし「徐々に豊かになってもらいたい」というのがあったので、江戸時代とかよりは(庶民が貧しい生活をしていた)室町時代の方が合っているという考えですね。
▲室町時代の食文化を参考にしているので、米作りは当然ほぼ手作業ながらも、道具以外は現代農法を参考にしているそう。ゲームを開始してしばらくは、精米も杵と臼を使って行う。コントローラーのスティックをひたすら上下するのが、実際の作業の地味さを実感させる
──今では当たり前の、塩とか味噌、醤油といった調味料がゲーム内で非常に貴重なのも、やっぱり時代背景に合わせたのでしょうか?
こいち:それももちろんですし、ゲーム的な意図として、貿易品とか加工品は基礎的な遊びを覚えた後で作ってほしいというのもありますね。
▲序盤はなかなか塩が手に入らなかったので、味噌が作れた時は嬉しかった!
──室町時代までさかのぼると、庶民の食に関する資料もあまり残っていないのではと思うんですが、参考にしたのが『日葡辞書』(にっぽじしょ)※だったと、他のインタビューで拝見しました。
※戦国時代に日本に渡来した、イエズス会の宣教師たちが刊行した辞書。3万語以上の日本語をポルトガル語によって説明したもので、当時の日本語の発音や意味、動植物名、生活風俗を知ることのできる第一級の歴史的資料。実物の現存数は少ない。1980年に『邦訳 日葡辞書』が岩波書店から刊行されているが、こちらも希少。
こいち:室町時代の資料って、やっぱり武将や公家などに関する物はいっぱい見つかるんです。対して、庶民を研究した資料って意外と目にしないんですよね。数少ない資料の中でもアクセスしやすいものが、この『日葡辞書』だったんです。
▲『邦訳 日葡辞書』(岩波書店)。食事はおよそ「飯」「汁」「菜」で構成されていたことや、ゲーム中にも出てくる種類豊かな「飯」、今でも聞く菓子や麺類、味噌や豆腐を使った料理、探索で採れる食材の数々が載っている
──なるほど。とはいえ本物の『日葡辞書』は大変な希少なもので、世界に4冊くらいしかないそうですし、『邦訳 日葡辞書』も古本屋で相当な値段がついてるじゃないですか。これは図書館に行って調べたんですか?
こいち:そうですね。『邦訳 日葡辞書』は金額的に購入するか迷ったんです。開発当時でも古書店で5万円ぐらいしたので、なかなか手を出しづらくて。今だったら、おかげさまで『サクナヒメ』もたくさん売れたので「(そのぐらい)買えよ」と言われそうですけど(笑)、あの頃は全然手が出なかったですね。
ただ、『日葡辞書』を研究した論文はいっぱい出ています。中でも一番参考にしたのが、東京女子大学・林文子先生の「『日葡辞書』が語る食の風景」(国立情報学研究所・CiNii)でした。
──僕も今回インタビューの前に読んでみたんですが、ゲーム内の食風景と重なる部分が相当書いてありました。
今はなき、謎の汁モノ料理たち
──ゲームを進めていくと「蓼水汁(ただみじる)」とか「青搗汁(あおがちじる)」、「毛切汁(けぎりじる)」といった、ネットで検索してもほとんど情報がない料理が出てきます。今では見られないそういった料理は、やっぱり『日葡辞書』や関連した論文を見て採用したんですか?
▲今回の企画は「蓼水汁ってなんだろう?」という疑問から始まったと言っていい
こいち:蓼水汁に関しては、意外と当時はポピュラーだったみたいで、他の資料でも見たような気がしますが、他の二つは『日葡辞書』や関連の論文だけですね。調理法についてはもう概要しかわからなかったです。
──蓼水汁は、似たような名前の料理は今でもあるはあるんですけど(だだみ汁・だらみ汁/真鱈の白子を入れた味噌料理)、材料がまったく違う別の料理ですね。
こいち:そもそも、蓼(たで)を昔ほど使わないですからね。でもそんなに難しい料理ではないらしく、当時の人はかなり飲んでいたと言われてます。
「獣肉は室町時代でも食べられてた説」は本当?
──室町時代の農民だと、毎晩の献立も割と質素だったんですよね。
こいち:実は『日葡辞書』を読んでいると、日常的でないにしても「意外といろいろなものを食べていた」というのが読み取れます。
なる:特に獣肉については、「(仏教の伝来以降)肉食はタブーだった」って言われてた割に食べてたっぽいんですよね。
こいち:戦国武将が肉を食べてたみたいな話はたくさんあって。秀吉は虎肉を好んでいたという記録があったりするので、建前でしかなかったんじゃないかと。
──先ほどの論文にも、肉料理の献立が相当載っていました。
こいち:そうですね。間違いなく今よりもいろんな種類の肉を食べてた形跡はあって。やっぱりすごく貧しい時代なので、宗教よりも生存を取らざるを得なかったみたいなところはあると思うんですよね。
▲ヒノエ島では様々な獣の肉が獲れるので、毎日の夕餉に上ることも珍しくない
ゲームだからこそできた、史実からの「外し」
──「食べられるものが獲れたらもう食べてしまおう」と。肉といえば、ゲーム内ではウサギやスズメに始まって、熊やイノシシも出てきますが、当時ほとんどの地域で食べられていなかった豚を登場させたのには、何か理由があったんでしょうか。
こいち:単に僕が食べたかったっていうのが一番です(笑) 。時代背景的に本当は出すべきじゃないなと思ってたんですけど、もう個人の好みですね。
なる:現在の豚ってよりは、一応毛の生えた「イノブタ」っていう感じだったはずです。
──なるほど、確かにそうですね! 「イノシシがいるのに豚も出てくるんだな」と少し不思議に思ってました。
▲『サクナヒメ』のアクションパートでは、動物が「鬼(敵キャラ)」となって登場。「豚鬼」を倒せば豚肉が手に入る
こいち:豚とイノシシでは味が全然違うので。室町時代でも琉球と薩摩では飼われていた記録もあるようで、それならギリギリ行けるだろうと(笑)。
なる:“動物敵”の選定をしてる時は、割と「食べたいか食べたくないか」みたいなところで選んでますね。
こいち:「ジビエでまずポピュラーなものを出そう」みたいなところはありました。
──逆に「食べたくない」という理由で削ったものってあるんですか?
なる:カエルとか……。
──確かにカエルはボスで出てきますけど、カエル肉は登場しないですもんね。
なる:初めから食べられる縛りで考えてたので、食べたくないものはそもそも案までいかなかったのはありますね。そういう意味では「食べられるから敵として出そう」と考えていたけど最終的に削ったものに、カニとウナギがいますね。
▲ウナギも獲れるし、材料さえ揃えば鰻丼まで作れる!
──ウナギは出てきませんでしたっけ?
なる:ウナギは敵としてではなく、普通に(アイテムとして道中で)拾えるんですけど、カニはもう完全に消えてます。
こいち:鯉も、最初に鬼として出すかどうかみたいな話はありましたね。
「ゲーム内の食材をどこまで広げるか」問題
──今お魚の話になったんですが、ゲームで出てくるのって川魚メインじゃないですか。ゲームの舞台のヒノエ島は、周りに海が広がってますよね。海魚をほとんど出さなかった理由はあったんですか。
なる:海まで広げると収拾がつかないと考えて、僕の方で意識的に縛っていたんです。
こいち:獲れるものが増えすぎますからね。「それが獲れるならこれも獲れるべきなんじゃないの?」みたいなものがたくさん出てくるのと、活動範囲がやっぱり島の中なので、外側にはあまり目を向けてもらいたくなかった、というのがあります。
なる:川魚だけでもそれなりにいろんな種類が出てくるじゃないですか。RPG的には、ある程度種類をまとめた方がゲーム的に処理がしやすいし、プレイヤーも集めやすくなるんですよ。
▲鯉やウナギなど獲れる川魚は種類も豊富
──例えば、「根菜」と一つにまとめればそれで済むけど、「ニンジン」「里芋」「ゴボウ」ってバラけてると困ってしまうと。
こいち:キノコも「舞茸」「シメジ」「松茸」のように最初は全部別だったんですが、遊んでいて「今何を採ったのか?」となってしまって。種類が多すぎるとだんだん管理できなくなってくるんですよね。
──もし根菜やキノコが全部分かれていたら、蔵(取得したアイテムを保管しておく場所)の中を見るだけでも一苦労ですよね。
室町時代なのにビールが作れるワケ
──ゲーム内の食といえば、「ミルテ」が料理番としてみんなを支えていますが、彼女は「ベンタニア」という国の宣教師です。異国のキャラクターを料理番にした理由があれば教えてください。
こいち:「料理担当」という役割が先にあったんですけど、元々は「おたき」というヤナト人(ヤナト=ゲーム上の国。神話に登場する日本に近いイメージ)のキャラクターだったんです。彼女は、「きっぷがいい姉さんキャラだったんですけど、サブクエストなどいろいろ物語を作っていくにあたって、何か(作品全体に)変化が出るようなキャラクターにした方がいいっていうところで、外国の異文化を取り入れてみようと。
▲右上の女性がベンタニアの宣教師で村の料理番、ミルテ
──なるほど。ベンタニアって、オランダのイメージですよね。ゲームで出てくるベンタニア料理も、ベースはオランダ料理なんですか?
こいち:そうですね。完全にオランダ料理の本を参考にしました。
──料理まで出そうと思った理由ってあるんですか。
こいち:「料理番」として存在する以上は、自国の料理に触れないのも不自然だなと。
▲物語が進むと、ミルテの故郷ベンタニアの料理が作れるようになる。「パンネクック」は実際に存在するオランダ料理
なる:ベンタニア料理としてビールが作れるようになるんですけど、ゲーム配信動画を見てるとみんな喜んでくれます。
──作れるお酒の種類がいっぱいあって、料理番は外国人だしひょっとしたらワインなんかも作れるのかな? と思ってましたが、まさかのビールが出てきたのはすごく嬉しかったのを覚えてます。食材を集めるのはたいへんでしたが(笑)。
玉子焼をめぐる“宗教戦争”勃発?
──食材の由来や思いをお聞きできたところで、食事とゲームのバランスについて質問です。食事をすることによってサクナヒメのステータスが上昇する食事効果がいろいろありますが、「主食」「汁」「主菜」といった料理のカテゴリーや、「松茸」といった食材によって、効果の傾向はあるのでしょうか。
こいち:ありますね。「主食」は主に“満腹”、「汁」は主に“命”と“技”、「菜」は“力”、“体力”、“神気”、”運気”みたいに、ベースとなるベクトルがあります。
ほかにも「お菓子」はちょっと特殊な効果が多いとか、「お酒」は“神気”に関わるなど、採れにくいものや作りにくいものは性能も高かったり変わっていたりと、棲み分けを考えています。
──松茸が「運気」に影響するのもそういう理由ですよね?
こいち:そうですね。松茸だと見つけたこと自体がラッキーだと思うので“運気”が上がりますし、結構強くなります。とはいえ、昔はいっぱい生えてたらしいですけどね。あくまでも現代人の感覚で性能付けをしています。
──そういった理由だったんですね。
▲ヒノエ島で採れる食材は非常に多岐に渡っている。食材の組み合わせで料理にもより幅が出るのが、ゲームの面白さのひとつとも言える
こいち:ウサギ肉も“運”、豚肉は“体力”に関わったりと、連想しやすいものを紐づけたりしています。
野菜系は実際の栄養価から効果を決めてた気がしますね。どういう成分が多いのかってところから、肥料として使った時にどうなるかまで考えなきゃいけなくて大変でした(注:食材は肥料に混ぜて使うことも可能)。
──玉子焼などいくつかの料理は、材料が違っても同じものを作れるようになってますが、理由があったりするんですか? 卵さえあれば、塩でも砂糖でも出汁でも作れたりと、細かな違いがありますよね。
こいち:玉子焼に関しては、身近な人たちからクレームが入ったっていうのがあって(笑)。
▲玉子焼などいくつかの料理は、材料違いでも作れるものがある
こいち:実は、玉子焼は「都との交易開始のタイミングで、砂糖が手に入ってから作れるようにしよう」という、完全にゲーム的な事情だけで決めていて、あんまり「この調味料が使えるべきだ」みたいなところは考えてなかったんです。
そうしたら、普段割と穏やかな人が本気のトーンで怒ってくるようなことがあって(笑)。宗教戦争みたいになってしまったので、アップデートで砂糖だけではなく、塩や醤油、出汁でも玉子焼を作れるようにしました。
──そのアップデート、話題になってましたよね。
こいち:直したらうちの奥さんの会社の人からなぜか「ありがとうございます」っていうメッセージが届いたりと、不思議な現象が起こりました(笑)。
──皆さんそこまでゲームの中の「食」についてもこだわってるっていうのは、開発者としては嬉しいですよね。
こいち:嬉しいですが、ちょっとびびってますね(笑)。
開発者の「実体験」を取り入れる
──なるさんとこいちさんお気に入りの、ゲーム内の食事があれば教えてください。
こいち:僕は時期によって変わるというか、テストプレイしてると「今回はこれがいいな」って変わるんですけど、最近プレイしててなんか良かったなっていうのが「毒矯(どくだみ)茶」ですね。
──毒矯茶! ゲーム内では毒を消せるありがたい効果がありますが、なぜですか?
▲料理には飲み物のカテゴリーもあり、毒矯茶は戦闘パートでどくだみを手に入れると作れるようになる
こいち:味が好きとかではないんですけど、個人的に思い入れがありまして。母が僕のアトピー治療のためによく作ってくれてたんです。こういう実体験での思い出に関わるものをゲームに載せられたのって、結果的にいいことなのかもしれないなって思ってます。
──毒矯茶をゲーム内で見るたびに思い出しそうないいお話です、ありがとうございます。
こいち:あの体験がなかったら、ゲーム内に存在してなかったかもしれないですね。
──なるさんはいかがですか。
なる:ゲーム内の性能では何てことないものですけど、「土筆(つくし)汁」がちょっと気に入っていて。小さい頃に近所のおばあちゃんが作ってくれたんです。
▲土筆汁。村の田んぼ脇で手に入るので、序盤はとてもお世話になった
──なるほど、お二方とも実体験に結びついていた料理なんですね。
なる:食事効果の性能的には高くない料理もたくさんあるんですけど、やっぱりゲーム内の食事や献立みたいな部分を真面目に遊んでくれてると、すごく嬉しいですね。毎日真面目に献立選んでくれてる人も結構多くて。
──そう考えると、本当に『サクナヒメ』の食卓ってすごく上手に作られてるなと。やっぱりついご飯に汁、おかずを組み合わせて、少しでも豪華にしていきたいって思ってしまうんですよね。多分ゲームを楽しんでやってる皆さん全員の「印象に残った食卓」というのがあるんじゃないかなと思います。お二人のお気に入りの料理が聞けて、すごく良かったです。
続編があれば入るかも? 幻となった食表現
──食卓への思いで盛り上がりましたが、先ほど「これをやりたかったけどできなかった」とお話が出てました。他に何かゲーム上の食表現でやりきれなかったことあったら教えてください。
なる:料理のグラフィックは、まだやれる余地があるのかなと思ってました。一度何かのレビューで見かけたんですけど、「ゲーム内でキャラたちが食べているものを食べたくならなかった」っていうのがあって。
▲主菜ばかりにすると、ちゃんとそのグラフィックが並ぶ。今夜はお魚祭りよー!
こいち:料理のアイコンは結構頑張って描きましたけど、3Dモデルがすごい少ないとかもありますね。
──食材の段階から膨大な量があるので、料理のグラフィックを起こすって相当な労力になりますよね。
こいち:料理の3Dモデルは作ってて楽しかったですけどね。あと、仕様的には薬味とか調味料を自由に組み合わせたりしたかったです。さっきの玉子焼の作り方もですけど、「好きな料理に好きな調味料をかけたい」というのはみんなあると思うので。取り合わせボーナスみたいなのもあればよかったですね。
──献立の組み合わせってことですよね。
こいち:そうですね。キャラの好みによって「この料理とこの料理を組み合わせたらより効果が強くなる」とかできればと思ったんですけど、これもちょっと余裕がなかったですね。
なる:天候との相乗的なセリフとかも入れたかったですよね。例えば寒い時に鍋料理にしたら「体が暖まる」みたいなセリフが出てくるとか。
──食卓がよりリアルで面白くなりそうですよね。
▲砂糖や醤油など貴重な調味料が必要だが、鍋を作ることも。食事効果も高い
なる:やっぱり食事の場面は、まだまだやれるなっていう感触はかなり持ってますね。めっちゃ大変なんですけど(笑)。
──そうですよね。あの囲炉裏端の食の光景、たまにセリフが出てくるくらいでいつも変わらないですが、献立を考えたプレイヤーの数だけ見えているものが違う気がする……そんな奥深さが感じられます。もし続編を作ることがあったら、より作り込んだ形をぜひ見てみたいです。今日はありがとうございました!
・・・
米作りの奥深さと難しさ、楽しさを教えてくれた『天穂のサクナヒメ』は、僕たちの主食である米にフォーカスしたゲームですが、それを取り巻く食風景もまた、身近でありつつも懐かしい体験をさせてくれました。
お話しを伺っていると、「史実性」と「ゲーム的な落とし所」、そして「開発者の実体験」が混じり合って、複雑かつ魅力的な、『サクナヒメ』独自の“食の世界”が生まれたのだとわかり、僕自身とても興味をそそられました。
またヒノエ島に戻って田んぼの世話をした後、今夜の献立を考えたいと思います。
書いた人:いづやん
島旅研究家、島旅フォトライター。本業のWeb制作のかたわら、休みのたびに日本の離島を巡り歩いては写真を撮り、ブログを書き、イベントで話したり、同人誌を作って離島の魅力を発信しています。人生初離島は小笠原、一番通っているのは八丈島。
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