造りたてクラフトビール飲み放題が60分2,200円で楽しめる高円寺麦酒工房が最高すぎた!

造りたてクラフトビールの飲み放題を提供する「高円寺麦酒工房」をご紹介します。10種類前後のクラフトビールを60分2,200円から楽しめるコスパ最強のお店です。

エリア高円寺(東京)

はじめまして、ライターのJUNERAY(ジューンレイ)です。

突然ですが聞いてください。

食べ物の記事かと思って開いたのに、急に詩的なことを言われておののきましたか。そう、ビールは「網戸」とか「大蚊(ががんぼ)」とかと同じ、れっきとした夏の季語です。ちなみに「枝豆」は秋の季語だそうです。(なんでよ)

日中40度近いコンクリートジャングルに住まう我々にとって、夏祭りや川下りなんて涼しげな行事はもはや夢物語。

足元は熱い鉄板のような地面に灼かれ、頭上からはオーブントースターのごとく日差しが降り注ぎ、風流さを感じる余裕など皆無というもの。

そんな我々でも夏のよさを手軽に感じられる存在……それがビール。

今回は、メシ通編集部のU氏から「高円寺に60分2,200円(税込)で造りたてのクラフトビールが飲み放題のお店がある」と聞きつけたので夏エンジョイ勢として、はせ参じてみたレポートです。カラダを夏にしていくぞ!!!

60分2,200円で10種類前後のクラフトビールが飲み放題ってマジ!?

さて、今回お邪魔したのは、高円寺駅から徒歩約5分の場所にある高円寺麦酒工房さん。店頭では涼をとるための水のミストが猛烈な勢いで噴射されており、静かに気分が盛り上がります。

いい感じのテラス席も完備されています。テラス席で飲むビールは最高ですよね。

シャンデリアが光るこちらが店内。右奥に見える蛇口のようなものは「タップ」といい、あちらから樽に繋がれたビールが注がれます。酒オタクの筆者にとっては親の顔より見た蛇口です。

こちらの高円寺麦酒工房さんは、醸造所(ざっくりいうとビールを造る場所)がお店に併設されており、造りたてのクラフトビールを飲み放題でいただける仕組みなんです。

そして気になる本日のラインナップがこちら。醸造した分がなくなり次第、新しいクラフトビールに入れ替えていくのだそう!

▲★マーク付きが高円寺店で醸造されたクラフトビール

これだけ見てもなんのこっちゃと思われるでしょうから、後で実際に飲みながら解説していきましょう。

そして、うわさの飲み放題ですが……。

60分2,200円!!! 120分3,300円!!!!

物価の高騰が叫ばれているこの時代に、造りたてのクラフトビールがこの値段で……?(ふーん、いるんだ、神様って)

クラフトビールというのは基本的に少量生産で、原材料にもこだわっているため1杯1,000円以上することもザラです。

つまり筆者の計算だと60分飲み放題なら2杯飲めば勝利ですが、一般的な居酒屋のビールが500円だとしても4杯飲めば2,000円。十分すぎるほどリーズナブルといえるでしょう。

というわけで……。

飲み放題はグラスオーダー形式で、飲み終わったグラスをカウンターに持っていき、おかわりするのがルール。醸造家も務める、店長の木塲(こば)翔悟さん(かっこよすぎる名字)に注いでいただきます。

それでは早速飲み放題スタート!

1杯目:French Saison×自家製ビールで漬けたピクルス

初手・French Saison(フレンチセゾン)。

こちらは高円寺麦酒工房さんで醸造されているものではないのですが、セゾンというスタイルが好きすぎるのでキミに決めてしまいました。

セゾンというのは元はベルギーのビールで、冬に仕込んで夏の農作業中に飲むためのもの。とはいえ、ベルギーの夏は最高気温でも20度台で、日本の気候で飲むなら春から秋までずっとうまいタイプです。

醸造所によって香りや味が異なるスタイルですが、一般的に口当たりが軽くて爽やかなのが特徴。つまり強い苦味が苦手な方、暑いから爽やかなビールが飲みたいという方の1杯目としては最強といえるでしょう。

妖怪みたいなタイミングで登場してすみません。いまあなたが読んでいる文章を書いている筆者です。クラフトビアアソシエーション認定ビアテイスターで、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートでもあります。(つまり酒のオタク)

やっぱ夏はセゾンだぜ。柑橘やマスカットの爽やかな香り、苦味の少ない軽快な炭酸。灼熱の高円寺を歩いてきた甲斐があったというものです。

一緒に来て写真撮影をしてくれていた担当編集・U氏が「ここ、ご飯もめっちゃおいしいんですよ……」とお地蔵さんのような微笑みをたたえていたので、ビールのおつまみも頼むことにしました。

▲フードメニューは席備え付けのQRコードで、スマホから注文可能(フードメニューは2022年7月時点のもの/ここに掲載されていないフードもあります)

French Saisonに合わせたのは、「自家製ビールで漬けたピクルス(税込490円)」

酒場でピクルスを頼んでしまうのってどうしてなんでしょうね。本能? ビールの醸造所ならではの自家製ビール漬けピクルスは、クセもなくさっぱりとした味わいで、どんどん箸が進みます。キュウリがさりげなく飾り切りされてるのもポイントです!

2杯目:CREAM×とろ〜り卵の燻製チーズポテサラ

あっという間に1杯目を完飲したところで、2杯目はCREAM(クリーム)を選択。

「クリームエール」と呼ばれるビールが存在するのですが、それとは全く違う解釈で、ひたすら口当たりのよさ、飲み心地の柔らかさを追求した1杯だそう。

いいタイミングで「とろ〜り卵の燻製チーズポテサラ(税込390円)」が登場。

ちなみにビールとおつまみの選び方は、いろいろな流派がありますが、筆者のおすすめは「色で合わせる」やり方。

いま飲んでいるクリームエールのような白っぽいビールには、ポテトサラダや白身魚のフリット、淡い色のチーズなんかを頼んでおけばひとまず間違いありません。

逆に色の濃いビールや味のしっかりしたIPA(※)などは、タレやソースを使った色の濃い料理や、肉料理がおすすめです。

店長の木塲さんも、「赤ワインには赤身の肉、白ワインには白身の魚を合わせるのと同じ要領で、ビールの色から合わせる料理を決めるといいですよ」とのことでした。

※IPAとは「インディアペールエール」の略。ホップをしっかり効かせた爽快な苦味が特徴のビールの名称。

つまり、チーズと半熟卵を使ったポテトサラダと相性が最高なわけですが……。

あらあらあらあ〜らあらあら。

トロットロの卵がのったポテトサラダを一口食べたら、CREAMで後追い。「苦くない」「ひたすらまろやかな」「優しい世界」が口いっぱいに広がります。食用の羽毛布団か???

このCREAMというビールは、ホップを苦味づけでなく香りづけのためだけに使用しているらしく(贅沢!)、マスカットジュースのようなジューシーな香りがこれでもかと鼻になだれこんできました。

飲み飽きせず、ちょっとぬるくなってしまってもおいしく、許されるならずっと飲んでいたい1杯でした。

3杯目:PALE ALE×高円寺麦酒工房名物「厚切りベーコン」

いいのか? こんなにうまくて? と不安になり始めたところで、何やらデカいやつが登場。

高円寺麦酒工房名物「厚切りベーコン(税込690円)」

普段小さい土鍋などが置かれて、お膳の隅で炎が揺れているアレ(旅館で見るやつ)の上に、巨大なベーコン。しかも4つ。動揺して「マッチョの腹筋みたいですね」とわけのわからないことを口走ってしまいました。

いい感じに焼き目がついてきたタイミングで、3杯目のビールはPALE ALE(ペールエール)をチョイス。

「エール」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、世の中のビールは「ラガー」と「エール」のざっくり2つに分かれます。

コンビニなどで買える、大手メーカーの定番ビールのほとんどは「ラガー」の中の「ピルスナー」というスタイル。キリッとしていて苦く、喉越しを楽しむラガーと異なり、エールはワインのように香りをじっくり楽しむのが醍醐味です。

こちらのPALE ALEは、エールの中でも色が比較的淡く、苦味がしっかりしているものが多め。苦い飲み物がOKな方ならまず試してほしい1杯です。

「苦味のしっかりしたビールには肉系を合わせよ」と教えていただいたことを早速実践してみたわけですが、塩気の効いたベーコンと香り高く上質な苦味のPALE ALEの相性は抜群。

焼けたベーコンの香ばしいうま味でPALE ALEが進み、PALE ALEの苦味がベーコンにかぶりつくスピードを加速させていく、というエンドレスループが発動し、あっという間に完飲完食してしまいました。

4杯目:ever free IPA×ビール屋さん秘伝のフィッシュ&チップス

気分が乗ってきたのでever free IPA(エバーフリーアイピーエー)を注文。

ever free IPAには「ビール屋さん秘伝のフィッシュ&チップス(税込890円)」を合わせていただきます。

とにかく衣がサクッサクで超ジューシーなフィッシュ&チップス。濃厚なタルタルソースも最高で、ever free IPAの爽やかさとマッチします。(フィッシュ&チップスはお店の看板商品なんだそう!)

ever free IPAはとにかく鮮度抜群。爽やかで心地よい苦味を感じられました。「ビールの苦味が得意じゃない」という方も、これなら好きって人も多いのでは? と思うほど、造りたてのメリットを感じられる1杯でした。

5杯目:MEET²×食べたら病みつきバッファローチキン

ここから先は肉系の料理が続くということで、「肉に合うビール」をテーマに造られたMEET²(ミートアンドミート)を注文。

(あっという間に5杯目ですが、290mlのハーフグラスでいただけるのでいろいろな種類を楽しめます)

同時に「バッファローチキン(税込490円)」がカットイン。夏は辛い味付けの肉を食べることでMPが回復する気がしますね。(しませんか?)

辛味と酸味が効いたオリジナルソースをまとったバッファローチキンは、びっくりするほどジューシーで食欲を奮い立たせてくれるような一品。

口の中が辛くなったところに、柑橘系のホップの香りが特徴のMEET²が怒涛の勢いで駆け抜けていって、リフレッシュしたところにまた辛い味付けの肉を食べて……という幸福の永久機関。私がメカなら発電してたよ。

6・7杯目:WEIZEN・snow drop IPA×オリジナルハーブブレンドソーセージ

メニュー4番のORANGE SOUR(オレンジサワー)が完売してしまったとのことで、6杯目は代わりにタップに繋がったWEIZEN(ヴァイツェン)を注文。

WEIZENとは小麦を使ったビールで、苦味がなく、バナナのようなフルーティな香りが特徴です。(担当編集・U氏に香りをかいでもらったところ「めっちゃバナナの香りだ!」と驚いていました)

香りだけではなくバナナのような味わいも感じられ、口当たりの優しい飲みやすい1杯。苦味抑えめでさっぱりしたビールが好みの方には、バチッとハマるんじゃないかなと思います。

続いて7杯目はsnow drop IPA(スノードロップアイピーエー)。先ほどのWEIZENと同じく小麦ビールで、ホップの爽快感に特徴があるタイプ

CREAMやWEIZENと比べると確かな苦味があるけれど、口当たりは綿のように柔らかく、「もうちょっと冒険してみようかな?」という方におすすめです。

アテは「オリジナルハーブブレンドソーセージ2本(税込1,290円)」

snow drop IPAの小麦の優しさがハーブを引き立て、かつ苦味のあるIPAでもあるから肉汁にも負けない。中堅のお笑いコンビかいってくらい安定した組み合わせの2品。

個人的な所感ですが、ソーセージに粒マスタードをたっぷり添えてくれる酒場はよいお店が多いと思ってますがどうでしょうか?

8杯目:HARMONY IPA Ⅱ×ビールで煮込んだトロトロ角煮

8杯目はHARMONY IPA Ⅱ(ハーモニーアイピーエーツー)。

こちらはアイスコーヒーのようなしっとりとした苦さを感じられる、新感覚の1杯でした。

飲み会でひとしきり盛り上がった後、「いつか独立してさあ、まだ誰もやってないことを仕事にしたいんだよね」みたいなことを言い出した同僚の話を半分聞き流しながら、残ったアテをつつくみたいな、謎の時間に手元にあるとうれしいタイプのビールです。

あるよね、「酒と食べ物がうまいからギリ帰らない」みたいな時間。

大人の財力にモノをいわせて、「ビールで煮込んだトロトロ角煮(税込680円)」に+100円で温泉たまごをトッピング。もし「100円の使い方コンテスト」があったら優勝までのRTAはこれです。

見るからにおいしそう、もう見ただけでおいしいことがわかるから食べなくてもいいんじゃないか? (いただきます)

料理に添えられた温泉たまごを割る瞬間って、例えるならビンゴゲームでビンゴになる瞬間の、最後の数字を押し込むようなトキメキがありますよね。

トロットロに煮込まれた、それでいてほどよい肉感の残る豚と、しつこすぎない程度の奥行きがあるタレ。八角などの中国スパイスの香りと、とろける温泉たまごが絡み合い、「お腹いっぱいだとしても構わず食べ進めてしまうな」と思わせるおいしさでした。

9杯目:STOUT×鉄板ナポリタン

9杯目はSTOUT(スタウト)をチョイスしました。

焙煎された麦芽を使った、いわゆる「黒ビール」の一種で、コーヒーのような苦味とコクが楽しめます。

多少温度が上がっても(ビールがぬるくなっても)おいしく飲めるタイプなので、〆などのゆっくり味わいたい料理と一緒に頼むといい感じ。

最後の〆に選んだのは「鉄板ナポリタン(税込650円)」

(正直2人で食べ切れるのか? というオーダーをしてしまいましたが、担当編集U氏が平然と胃袋に収めていったので、〆までおいしくいただくことができました)

テーブルに置かれた瞬間のトマトソースが焼ける香りで、ほぼいっぱいだった胃のストレージの空き容量が増えた実感がありました。

麺がモチモチでけっこうなボリュームなのに、「シンプルに、うまい」という理由で食べ進められてしまう。トマトの酸味とチーズのコク、食感もすべてがすばらしく、ビールとこのナポリタンを味わいに来るだけでも十分すぎるほどの理由になります。

飲み放題だけでも破格なのに、酒のアテもバリエーションが豊かでお手頃、しかも全部おいしいなんて……。高円寺に住んでる人がうらやましい! 毎日通いたい! と感じるほど魅力的なお店でした。

気軽に入ってもらえるクラフトビールのお店を目指して

最後に、高円寺麦酒工房の店長・木塲さんにいろいろ伺いました。

※「どうしても恥ずかしくて……」とのことで、お顔をアイコンで隠してお届けします。

JUNERAY:「クラフトビール」は定義のない言葉なので、お店によって造り方や提供の仕方が異なるように感じています。高円寺麦酒工房さんが考える「クラフトビール」の特徴とはなんでしょうか?

木塲翔悟(以下、木塲さん):小規模で少量生産をしているところと、オリジナルのレシピを持っているところが特徴ですね。一般的なビールに対して、個性のあるビールを提供することができます。

JUNERAY:お店で造ったビールはお店でしか飲めない(小売店などで販売されていない)とのことですが、どういったこだわりによるものでしょう。

木塲さん:やっぱりフレッシュなビールを楽しんでいただきたい、というのがあります。ビールは案外熱や光などに弱くて、輸送中に劣化してしまうこともあるので、造りたてのおいしいビールを飲んでみてほしいです。

JUNERAY:来店される方はクラフトビールがお好きな方が多いですか?

木塲さん:「クラフトビールにハマりたて」という感じの方が多いように思います。大手のメーカーのビールじゃない、もっと個性的なものを飲んでみたい方々な印象です。

JUNERAY:「クラフトビールというおいしそうなものがあるぞ」という感じの。

木塲さん:そうです、そうです。クラフトビールの専門店って、初心者さんは入りづらいかしこまったお店もあるじゃないですか。なので、ウチは気軽に来店していただけるクラフトビールのお店としてやってます。

JUNERAY:値段も手頃、味わいも豊富、どれも新鮮でおいしいので、クラフトビール初心者の方には最適なお店では? と思いました!

木塲さん:それはうれしいですね。ぜひまた気軽にいらしてください!

JUNERAY:フレーバーもどんどん変わっていくとのことなので、ぜひまた伺います!! 今日はありがとうございました。

ビール初心者さんからビアギークまで。造りたてフレッシュな生ビールを楽しもう!

さて、この日にタップに繋がっていたビールは(The MALT'S以外)すべて飲んでみたわけですが……

結局どう違うの? という方向けに、この日のビールの分布図を作ってみました。

「ビールのこと好きになりたいけど苦いのは苦手!」という方におすすめの順番は、WEIZEN→CREAM→French Saison→snow drop IPA。

「三度のメシよりビールが好きだぜ!」という方は、French Saison→PALE ALE→CREAMで一休みしてから→気になるIPAという流れがおすすめです。

ちなみに、筆者の個人的なお気に入りはこの「クリーム」。

記事の進行上カットしていますが、実は2杯飲んでます。正直どれも個性があっておいしかったのですが、あふれ出すマスカットの香りとなめらかな口当たりが最高でした。できることなら今すぐまた飲みたい!!!

なんと9種類のクラフトビールをいただいた関係で、結びまでとんでもなく長くなりましたが、高円寺麦酒工房さんで最高の夏を楽しんでみてはいかがでしょうか。

※季節、時期によってビールが変わり、記事内のビールが売っていない可能性がございます。

お店情報

高円寺麦酒工房

住所:東京都杉並区高円寺北2-24-8
電話番号:03-5373-5301
営業時間:[火~金]17:00〜22:30[土・日・祝]12:00~21:30
定休日:月曜日
※営業状況は変更になる場合がありますので、店舗にご確認ください。

www.hotpepper.jp

書いた人:JUNERAY

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、クラフトビアアソシエーション認定ビアテイスターの元花屋。たまにバーテンダー。記事を書いたり、ドリンク開発をしたりします。

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