
皆さんこんにちは、メシ通ライターの飯炊屋カゲゾウです。
ウチの近所のスーパーなんですけど、骨付きの鯛の切り身(2切れ1パック)が500~600円くらいで売ってるんですよね。時間帯によってはタイムセールで半額ですよ。
こんなんあったらつい手に取っちゃうし、これで一品を作り、骨酒と共に一杯やるというのが最高なので皆さんにご報告します。

今日はこの切り身を割烹風に調理して、「なんちゃって即席鯛づくしコース」としてみなさんにご紹介したいと思います。
第一の皿「鯛の塩焼き」
塩焼きなんで、レシピというほどのものではないですが、一応こんな感じです。

【材料】(1人分)
- 鯛(切り身) 1片
- 塩 適量
- 柑橘類 あればで良い

切り身全体に軽く塩を振ります。

10~20分ほど置くと身から汗のように水分がでてくるのでペーパータオルなどで拭き取りましょう。これで身がしまり臭みを軽減できますよ。

味つけ用に再度塩を振って焼きます。ウチは魚焼きグリルがあるので、オートメニューにお任せですが、熱源はご自宅で使いやすいものをどうぞ。

いい塩梅に焼けたら、柑橘類をギュッと絞っていただきましょう。

ささ、熱いところを一口どうぞ。うん、うんまい! 淡白な白身でありながら、しっかりした歯ごたえと旨味がある。古くから魚の王様として君臨しているわけです。

箸をこのまま進めたいとは思いますが、ちょっとがまん。すぐに骨を取り分けてください。あと、一つ大事なことを言い忘れていました。身は必ず半分ほど残しておいてくださいね。理由はあとで説明します。
食中酒「鯛の骨酒」
さあ、骨酒を作りましょうか。そうなんです、ここは一人割烹ゆえ、料理が勝手にでてこないところがたまにキズ。でも食べながら作るってのも慣れるとオツなものですよ。
【材料】(1人分)
- 鯛の塩焼き 骨の部分 1片
- 日本酒 1〜2合

鯛の骨をグリルかオーブントースターの一番の弱火で焼きます。そうですね、熱源にもよりますが目安は3分といったとこでしょうか。「焼く」というよりは骨の水分を十分に飛ばすというイメージです。

で、さらにこの間に熱燗の用意です。片口に、なければ耐熱容器などに日本酒を1合、いや2合を目安にドボドボ注ぎ、レンジで2分加熱です。
ちなみに、手前味噌でタイヘン恐縮なのですが、この片口、ウチの奥さんが焼いたやつなんですよ、テヘ。
な~に、量も時間も目安です。一人割烹ですから自分が気に入るようにやったらいい。ただしお酒はヌルかったらいけません。かえって魚の生臭みがでます。
温度はとびきり燗(55℃以上)~熱燗(50℃前後)くらい、日本酒の種類は「純米酒」系がよいと思います。
熱燗や、銘柄にこだわりたい方は千葉こころさんのこの記事が参考になります。
骨酒に関しては、白央篤司さんの記事が充実していて一杯飲みながら読むのが最高です。
お〜っ、骨が黄金色に焼け、熱燗もいい感じに仕上がりました。では骨酒ファンがおそらくもっとも好きな瞬間に移りたいと思います。

それはアツアツの骨を熱燗に落とす瞬間。耳をそばだててくださいよ。「ジュッ!」という音が聞こえましたか? 骨のダシが日本酒に溶け込んでいく甘美な時間です。
あ、骨ですが身をキレイに取る必要はありません。いや、むしろ残っていた方が良い! ここからもダシが出てきますからね。

どうですか? 日本酒がほんのり琥珀色に染まりました。鯛の脂が溶けて表面に浮いている様子もいい景色じゃありませんか。

まずは一献いってみましょう。かっはぁ~、う・ま・い‼
自分でも芝居がかっているとは思いますが叫ばずにはいられません。
熱燗なんてそもそもウマいものですが骨酒にするともう別格。
盃を近づけると、フワッと鼻先に立ち昇る湯気と香り。日本酒と焦げた骨の薫香が鼻孔をくすぐります。そして一口啜れば口腔にワッと広がる酒と鯛の骨のダシが混じり合った液体の旨味! これはもはや滋味あふれるスープです。

さてさて、大き目の身を頬張りながら…また一献。
くっふっ~、うんめ‼ 鯛と骨酒の相乗効果たるや、ペアリングどころか初めから二つで一つだったかのような不離一体!
池波正太郎先生のお言葉を借りるなら「ああ…もう、たまらぬ。」なのであります。
正直なことをいえば、鯛の骨酒を飲みたくて切り身を買っているみたいなところあります。ええ、完全に酒が主、肴が従です。
第二の皿「鯛の煮付け」
お楽しみはまだまだこれからです。二皿目に移りましょうか。鯛の切り身の煮付けになります。

【材料】(1人前)
- 鯛(切り身) 1片
- めんつゆの素(3倍濃縮タイプ) 40cc
- 水 120cc
- 砂糖 大さじ1
- 生姜 1片
- 菜の花 適量

ウチの場合、煮汁はめんつゆの素を利用しています。容器の表示の割合で水を加え、ここに砂糖をプラスします。

コイツを火にかけ、沸いてきたら臭み消しの生姜と鯛の切り身(皮目を上)にして投入。
鯛は他の白身魚や青魚に比べるとそこまでニオイは気にならないので、生姜がなければ省略してしまっても大丈夫だと思います。

火加減は中火、時間は5~6分といったところでしょうか。あと、煮汁を対流させて身全体に熱を入れていきますので、落とし蓋を忘れずに。ウチでは片付けも楽なのでアルミ箔で代用しています。
「もっと本格的な煮付けを作りたい!」ということであれば、【魚屋三代目】さんのレシピ記事が参考になりますよ。
これらの記事を読む前は、魚の煮付けというと長い時間火にかけて「身に味を煮含ませる」というイメージがあったのですが、軽く火を通すだけでいいそうです。これを知ってから俄然食卓に登場する回数が増えました。
先に身を皿に取り出し、煮汁は少し煮詰めて味を濃くし照りを出しましょう。これを煮魚にかければ……、

鯛の煮付けの完成です。ここに旬の緑が入るとキレイです。今回は茹でた菜の花を添えてみました。

さあ、身にビタビタと煮汁を浸して早速一口いきましょう。うん、ふっくらした身に甘じょっぱいタレが絡みつきこちらも美味。鯛なのでとても上品な味わいです。

さらにこちらも骨酒と一緒にいただけば……。かぁ~、この一杯に生きてるよな!
第三の皿 〆は「鯛のほぐし飯と医者殺し(鯛汁)」
普段はですね、焼きか煮付けのどちらか一品を作って、骨酒で飲(や)るって感じなんですけど、今回は割烹風ですので、〆のご飯まで作ろうと思います。
【材料】(1人前)
- ご飯 1杯
- 鯛の煮付けの煮汁 大さじ1杯
- 鯛の身 ほぐしたもの 適量

煮汁ってまだお鍋に残ってますか? これを白飯にかけましてね、最初にとっておいた鯛の身をほぐして乗せます。そしてもう一度煮汁をかければ……、

これで「鯛のほぐし飯」の完成です。
温かい汁もつけたいですよね。以前テレビで観たのですが、煮魚の煮汁にお湯を注いで最後まで食す文化が三重県にあるそうです。
かの地ではこれを「医者殺し」あるいは「医者いらず」と呼んでおり、今回はこれをアレンジさせてもらいましょうか。

汁は熱々をいただきたいので、煮汁に水を加えて飲める濃度に調整して沸騰させます。これを汁椀に注ぎ、三つ葉を散らします。香の物をつけて食卓に出せば……、

大トリの「鯛のほぐし飯定食」の完成です! ご飯の方は風味が鯛とぴったりあうので炒りゴマなんかかけると最高です。
「鯛の塩焼き」と「鯛の煮付け」を「骨酒」で飲りつつ、最後は「鯛のほぐし飯」と「医者殺し」で〆る。少々手間はかかりますが、ほぼワンコインでコースが楽しめ満足度もかなり高いです。お時間のあるときにぜひ!
書いた人:飯炊屋カゲゾウ

1974年生まれの二女一男のパパ。共働きの奥さんと料理を分担。「おいしいものはマネできる」をモットーに、料理本やメディアで紹介されたレシピを作ることはもちろん、外で食べた料理も自宅で再現。家族と懐のために「家めし、家BAR、家居酒屋」を推進中。「双六屋カゲゾウ」名義でボードゲーム系のライターとして活動中。「子育屋カゲゾウ」名義で育児ブログも更新中。
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