こんにちは! 料理家の美窪たえです。
今回は、かまぼこ、油揚げ、卵という手軽にたんぱく質が取れる食材をメインにした木の葉丼をご紹介します。
関西圏では定番メニューの木の葉丼は、体にもお財布にもヘルシーな丼もの。弾力のあるかまぼこの歯応えと青ネギのシャキシャキ感、噛むと煮汁がじゅわっと広がる油揚げなど、さまざまな食感も楽しめる料理です。
材料は手軽にそろえることができるものばかりで、どなたでも気軽にチャレンジできる料理ですが、さらにおいしくするためのちょっとしたコツもお伝えします。
他の料理に応用できる小技もありますので、この機会にぜひお試しいただけたらうれしいです。
材料(1人前)
- かまぼこ……50g
- 青ネギ(九条ネギ、ワケギなど)……1本(約30g)
- 油揚げ(薄揚げ)……1枚
- 椎茸……2個
- 卵……2個
- 温かいごはん……お好みの量
〈煮汁〉
- 出汁……80cc
- 日本酒……大さじ1
- みりん……大さじ1
- しょうゆ……大さじ1
- 砂糖……小さじ1
木の葉丼の作り方
1.かまぼこと板の間の部分に包丁を入れます。
かまぼこを板から外す時は、包丁の背の方をかまぼこと板の間に入れます。板に沿って軽く押していくと、かまぼこが板に残らず、するりと気持ちよく外すことができます。
かまぼこの切り方に決まりはありませんが、形を活かしてそのまま薄切り、幅を半分に切ってイチョウ切り、棒状に切るなど、いくつかパターンがあります。
また、弾力が強いかまぼこは、厚く切れば食べ応えのある仕上がりになり、薄く切れば卵や他の食材とのなじみがよくなって、食感の統一感が出ます。切り方はお好みでいろいろ試してみてください。
今回は、かまぼこの形を活かして、ひらひらと舞い散る木の葉をイメージしながら、3mmほどの薄切りにしていきます。
2.青ネギは、青い部分を1cm幅程度、白っぽい部分は7〜8mm幅の斜め切りにします。九条ネギやワケギなど太めの青ネギを使うと、色みがきれいでシャキシャキとした食感も楽しめておすすめです。
3.油揚げは1.5cm幅程度の短冊切りに、椎茸は軸の硬い部分を切って7〜8mmの薄切りにします。
木の葉丼の具材は、かまぼこ、青ネギ、卵が基本です。それ以外の材料はお好みですが、油揚げを入れると油のコクと大豆由来のたんぱく質が加わります。
また、椎茸(他のきのこでも可)を入れると、風味が追加されて味に深みも出てきます。個性の違う食材をいくつか追加すると、おいしさや食感、見た目の楽しさが増しますよ。
4.鍋に〈煮汁〉の材料をすべて入れて中火にかけ、油揚げ、椎茸を入れて煮ます。
生で食べられない椎茸と煮汁をしっかり含ませたい油揚げを、他の食材と時間差をつけて先に煮るのがコツです。
5.ふたをして、煮汁が沸いてきたら弱火にして2〜3分煮てください。
ここで味付けに関する大事なポイントです。
それは、他の卵でとじる丼よりも、やや薄めの味付けで煮汁を作ることです。メイン食材であるかまぼこは、そのままでもおいしく食べられる塩気と甘味がついています。そのため、一般的な丼と同じ味の濃さで煮ると、仕上がりが少ししょっぱくなってしまうのです。煮汁をやや薄めの味付けにすることで、かまぼこの味と合わさった時にちょうどいい味加減になります。
6.具材を煮ている間に、ボウルに卵を入れて、溶きほぐして準備しておきます。
この卵の溶き方にも、おいしさのポイントがあります。それは卵を混ぜ過ぎないことです。
勢いよく一気にかき混ぜるのではなく、まず白身だけを箸で持ち上げて切るようにしてほぐすのがコツです。白身がある程度ほぐれたら、最後に卵黄を軽く崩して終わりです。
白身はある程度ほぐしておかないと、ズルンと一気に鍋に入ってひと塊りになってしまいます。なので、先に白身だけを狙ってコシを切り、卵黄のフレッシュな黄色を最後まで残すことで、変化のある絶妙な食感と生き生きとした卵らしい色みが同時に作れるのです。
7.油揚げが煮汁を含んで、椎茸が煮えたら、中火にしてかまぼこと青ネギを加えます。
その後、まず卵液の半量を回し入れます。
30秒〜1分煮て、最初の卵液が固まってきたら、残りの卵液を全体に回し入れて10秒ほど加熱して火を止めます。
このように、卵液を2回に分けて加えるのも、おいしい卵とじ丼を作る大きなポイントです。卵液の入れ方を少し工夫するだけで、まるでお店のような絶妙な卵とじに仕上げることができますよ。これは、親子丼やカツ丼など卵でとじる料理全般に応用のきく小技ですので、ぜひお試しください!
8.丼に温かいごはんを盛り付けたら、バランスよく卵とじをのせれば、木の葉丼の完成です! この間にも、2回目に加えた卵液に適度に熱が伝わり、とろりといい具合に落ち着いているはずです。
木の葉丼の楽しみ方
卵がとろりと柔らかいうちにいただきましょう!
まず優しいかまぼこの味わいと、とろっとした卵の心地よい食感を楽しむことができます。その後、煮汁を吸ったジューシーな油揚げと青ネギ、椎茸が口の中に入ってきて、さまざまな食感を楽しみながらも、ごはんが進みます!
ある程度食べ進めた後の味変としては、七味唐辛子や粉山椒、刻みのり(すべて分量外)を追加するのもおすすめです。お好みの薬味で、味変もぜひ楽しんでくださいね。
まとめ
たんぱく質が手軽に取れる木の葉丼をご紹介しました。
材料も作り方もシンプルで手軽な料理ですが、味付けをやや薄めにすること、卵液を2回に分けて加える一手間で、さらにおいしく美しく仕上がります。
調理も楽しみながらぜひ作ってみてください。それでは。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。