こんにちは。料理家の美窪たえです。
今回は、大盤鶏(ダーバンジー)の作り方を紹介します。
日本ではまだあまりなじみのない中国の料理ですが、簡単に言うと鶏肉とじゃがいもの辛い煮込みです。大盤鶏は多種多様な作り方が存在するようですが、唐辛子(豆板醤:トウバンジャン)の辛さをベースに、花椒(ホアジャオ)の爽やかな刺激を加えた味わいが特徴のオリジナルレシピを紹介します。
また、大盤鶏の「大盤」は大皿のことを指します。文字通り大皿にたっぷり作って食べたくなるような、クセになるおいしさです。
おかずとしてご飯が進むのはもちろん、幅の広い麺を加えて〆るもよし。お好みの形で最後まで楽しんでくださいね。
材料 (2人前)
- 鶏モモ肉……1枚(約350g)
- ニンニク……2かけ
- しょうが……10g
- 長ねぎ……1/3本(50g)
- しょうゆ……小さじ2
- サラダ油……大さじ2
- 砂糖……大さじ1
- 豆板醤……大さじ1
- 韓国唐辛子(粉)……小さじ1(2〜3g)
- 花椒(粒)……小さじ1
- 水……300ml
- 鶏ガラスープの素(顆粒)……小さじ2
- じゃがいも……中1個(180g)
- ピーマン……1個
- 赤ピーマン……1個
- 玉ねぎ……1/4個
うま味のある辛さが特徴! 大盤鶏の作り方
1.鶏モモ肉は3cm角程度に切り、しょうゆをかけてなじませておきます。
2.じゃがいもは皮をむいて、厚さ1cmほどのいちょう切りにし、水で表面のでんぷんをさっと洗い流します。
じゃがいもの水気を軽く切って耐熱皿に入れ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ(600W)で2分ほど加熱します。水蒸気で膨らむと危険なため、ラップは必ずふんわりとかけるようにしてください。
この後さらに煮込んで加熱しますので、この時点では、火は通っているけれどやや硬めの仕上がりが最適です。
3.ニンニクとしょうがは、木べらで上から押してつぶしてから、みじん切りにします。つぶしてから刻むと香りが出やすく、形がふぞろいになるので見た目や口当たりに変化が生まれ、料理に躍動感が加わります。
4.長ねぎは幅1cmほどの斜め切り、ピーマンと赤ピーマンは縦4分の1に切ってからさらに斜めに半分に切り、玉ねぎは厚さ1cmほどのくし形切りから縦の長さを半分にします。
大盤鶏の味わいを支える調味料について
今回のレシピの鍵となる調味料が、豆板醤、花椒、韓国唐辛子です。
豆板醤は、発酵由来のうま味と辛さを併せ持つ調味料ですが、塩気も強いため、辛くしたいからと言ってたくさん入れるとしょっぱくなり過ぎてしまうのが悩みどころ。
そこで、登場するのが韓国唐辛子です。辛くなり過ぎずにいかにも辛そうな赤い色が演出できます。また豆板醤と合わせて、複数の辛味を使用することで、辛さと味わいにも奥行きが加わるのです。
花椒は、シビレる辛さがよく知られていますが、もう一つ柑橘(かんきつ)系の爽やかな香りにも大きな特徴があります。煮込み料理の場合は、粒の方がその香りをじっくり煮汁に引き出すことができます。また粉末に比べて辛さもマイルドに感じるため、唐辛子系の辛さとの相乗効果で絶妙な奥深さが生まれます。
韓国唐辛子や花椒は、スーパーなどで小袋や小瓶のものが手に入りますので、ぜひ購入してみてください。
5.材料の準備ができたところで、早速作っていきます。フライパンにサラダ油と砂糖を入れ中火で温めます。砂糖は上白糖など家庭にあるもので大丈夫です。
3分ほど経過すると、砂糖が茶色くなってきます。こうして砂糖を油で熱して、香ばしいカラメル風味と色を引き出すことにより、料理全体に独特の深みを与えることができます。
6.砂糖が茶色く色付くまで加熱したら、一度火を止め、鶏モモ肉、ニンニク、しょうが、長ねぎ、豆板醤、韓国唐辛子、花椒を加え、炒めていきます。
油の温度が高いところに水分のある材料を入れると油がはねて危険なので、必ず一度火を止めてゆっくりと材料を加えてから、再度中火にしてください。
豆板醤などの調味料も早いタイミングから加えて長めに加熱することで、それぞれの持ち味である辛さや香り、色、うま味を油にしっかり溶け込ませることができますよ。
7.2〜3分ほど炒めたら、水、鶏ガラスープの素を加え、ふたをして10分ほど煮込みます。
火加減は絶えずグツグツと音がする程度(弱火〜弱中火目安)で、煮汁をしっかり沸き立たせながら、赤く染まった油と水を乳化させることも仕上がりを左右するポイントの一つです。
8.10分ほどたったらふたを取り、じゃがいも、ピーマン、赤ピーマン、玉ねぎを加え、さらに5分ほど煮込みます。じゃがいもはあらかじめレンジ加熱済みなので、生の野菜と同時に加えれば、ちょうどよく味が染みて火が通ります。
最後に加えた野菜にさっと火が通ったら、大盤鶏の完成です!
辛さとシビレがクセになる大盤鶏の楽しみ方
できたての大盤鶏をいただきます。
豆板醤と韓国唐辛子の辛味が染み込んだ鶏モモ肉は、しょうゆと香ばしい砂糖の香りも相まって、ほどよい辛さになっています。ほのかに心地よいシビレもやってきて、さまざまな味わいを感じます。
最後に加えたピーマンと赤ピーマン、玉ねぎはシャキシャキ感を、じゃがいもはホクホク感を演出しており、多様な食感も楽しむことができます。
また、ご飯に合うのはもちろんですが、ゆでた幅広の麺(分量外)と合わせてもおいしいです。きしめんタイプのゆでうどんを使えば、手軽に作れますよ。
まとめ
今回は大盤鶏を紹介しました。
豆板醤と韓国唐辛子をじっくり加熱することで生まれる辛味と、油で炒めた砂糖と鶏モモ肉の奥深いうま味で、ワンランク上の味わいになっています。使用する具材は、スーパーで簡単に購入できるものばかりなので、ぜひ定番のおかずに加えていただけたらうれしく思います。それでは。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。