飛びかうグラス!躍動するカクテル!世界一のフレア技術をバー「Garden」で見てきた【別視点ガイド】

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みなさん、フレアショーをご存じでしょうか?

ボトルやシェイカーを使ってバーテンダーが曲芸的にカクテルを作るショーです。

アメリカのバーテンダー・ジェリートーマスが、ウイスキーに火をつけて行ったパフォーマンスがそもそもの起源とされています。

映画『カクテル』で、トムクルーズがフレアバーテンダーを演じたことで一気に有名になりました。

 

フレアの世界チャンピオンが目黒にいる

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そんな、フレアバーテンダーの世界チャンピオンが目黒のバー「Garden」にいるんです。

フレアショーのド派手なイメージとは裏腹に、お店の中はとても落ち着く、無駄のない造り。カウンターとテーブル席が3つです。

 

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MITSUこと、バーテンダーの金城光浩さん。

2003年「TGI Fridays World Bartender Championship」、2008年「SKYY Flair Global Challenge」などで世界チャンピオンに輝いています。

 

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あいさつがわりに超絶技巧を見せてくれました。

お手玉の要領でシェイカーやボトルが右へ左へ飛び交って、なにが起こっているのか理解できません。

「ひえ~~~、なんかどえらい現象が生じている~」と巨大な竜巻でも眺める思いです。

 静止画だと残像しか見えないので、動画でご覧ください。

 

 

どうですか、訳が分かりませんね。

専門用語で説明すると、この状況「1ボトル2ティン」と言います。

ティンはシェイカーのことを指していて、MITSUさんは最大2ボトル4ティンまで操れるとか。

 

シェイカーにボトルを入れる技を「カップイン」、腕の上でピタッとボトルをとめる技は「ハンドバランス」と呼びます。

世界中のフレアバーテンダーがオリジナル技を編み出し続けているので、基礎的なもの以外はとくに名前がないそうです。

 

こちらは7色のカクテルが出てくる「レインボーショット」。

美して不思議な技ですね。

 

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「手品を見せている訳じゃありません。糖度によって比重が異なるので、シェイカーのなかでレインボーを作って注いでます」とのこと。

 

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青いカクテルほどアルコール度数が高く、赤いカクテルはシロップのように甘かったです。

 

フレアショーはいつでも行っている訳ではなく、お祝いなどであらかじめ予約した方に行っています。

デザート盛り合わせとカクテル、ショーがセットになって1人 4,200円。

「かならずフレアが見たいよ!」って方は予約がおすすめです。

 

世界チャンピオンになるための努力をうかがった

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――フレアをやり始めてどれぐらいですか?

 

もう17年目になりますね。
20歳で初めて行ったバーにたまたまフレアバーテンダーがいて。当時日本に20人ぐらいしかいなかったんですけど、すごくかっこよかったので「自分もやってみたい!」となりました。

それから毎日1,000円だけ握り締めてそのバーに通って、1つだけ技を見せてもらって。むこうもお金がないって分かっていたので快く迎えてくれました。
見せてもらった技は、その日のうちに3回連続で成功するまで練習を繰り返しました。30個技を覚えれば大会出られるな、と思っていたんです。
1週間も通っていると本気なんだと伝わって「教えてやるよ」と言ってくれました。

 

あとあと分かったことですが、アメリカのトップフレアバーテンダーともなると、チップ合わせて月350万円ほど稼ぐ人もいるんですから夢がありますよね。


――見よう見まねから始まったんですね!

 

当時はネットもなければフレアについての本もなかったので、大会ビデオと生で見たものをそのまま覚えていきました。

大会といっても種類がたくさんあるんですよ。誰でもエントリーできるオープン大会もあれば、各国で選抜されたバーテンダーだけが出られるものもあります。
5~6種類一気に出されたオーダーをいかに正確で衛生的に作れるかを競ったり、タバコを吸いはじめたら火をつけるとか接客態度も採点対象になるようなものだったりとか、大会の内容もさまざまです。

 

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――大会で優勝レベルまでいくのに何年かかりましたか?

 

アルバイトをしていたTGIフライデーズの世界大会は2年目で優勝しました。アジアのバーテンダーではじめての優勝でしたね。
ストア大会→エリア大会→アジア大会→世界大会とコマを進めていくんですが、初年度はストアレベルで落ちて、それが悔しくて。
仕事が終わったら4時間ぐらいカクテルやフードのレシピテストの勉強して、2時間寝て、公園で3時間練習してお店へ行っての毎日を繰り返していました。すごい楽しくて辛くはなかったですね。

 

大会が近づいたら8時間ぐらい練習していました。

本番を想定して折りたたみ式カウンターを用意して、ボトルに砂糖水を入れて糖度をあげた状態で練習します。糖度があると手がべたついてしまうので、本番まで水でしかやっていないと焦ってしまうんです。
100見せたかったら200の準備をしてないといけません。こんなことが起こりうるんじゃないかって想定をして準備しておくことが大切です。

 

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――このお店は何年前からやられているんでしょう?

 

7年前からですね。
わたしを含めてTGIフライデーズでアルバイトをしていた4人で共同経営で会社を起こして、このお店「Garden」を作りました。現在、渋谷にもう2店舗ありますが(「ura庭」「8528」)、フレアパフォーマンスをしているのはここだけです。


――バイト先の同僚と立ちあげたんですね

 

そうですね。TGIフライデーズには10年間お世話になりました。迷惑をかけないように独立を決めてから、1年かけて徐々にシフトを減らしてもらったんです。
会社を立ち上げた当初はお店を持っていなかったので、結婚式や企業パーティーなど出張でフレアパフォーマンスをしていまして、多い時は月40本やりましたね。


――フレアが出来るようになってから、バーテンダーとしてなにか変わりましたか?

 

「Garden」では土地柄にも合わせて、常にフレアをするスタイルではなくショータイムを設けてその中でやるスタイルですけど、お客さんが見てくれるのでコミュニケーションは取りやすくなりますよね。
「あ、あのすごいパフォーマンスをやっていた人だ!」ってなれば知らない人がオーダーを取るよりもコミュニケーションしやすい。

 

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――いつでもフレアをする訳じゃないんですね

 

このお店ではお祝いなどでご予約をいただいたときにやります。
フレアが武器になるのはわかっていたけど、それだけで「どうだ、すごいだろ」ってやりたくなかったんですよ。

社会人経験ゼロでバーを立ち上げてますから、世の中のことを知らないってコンプレックスがあったんです。
だから、どの駅からも遠い立地で、あえて最大の武器を出さずにお客さんを満足させられたらやっていけるだろうと思っています。


心配りや接客、カクテル作りなど、あくまでバーテンダーとしての基礎があってのフレアです。
第一にお客さんにおいしくて満足していただけるカクテル、新しい価値を感じてもらえるものを作ることを考えています。フレアはスパイス。しなくても楽しいおいしいと感じてもらえるなら、しなくていいと思っています。


――今後も大会には出続けるんでしょうか?

 

そうですね、出られるかぎり出たいです。
出場プレイヤーは20代が多いので、僕は現役プレイヤーとして最も古株のほうです。
大会前は1日4時間も5時間も練習するので、30代になり会社を仲間とともに持つようになるとスタッフのことも考えたり、やらなくてはいけないことが多くなってくるので若い時ほど頻繁に出るのは難しいんですね。
でも、人前に出て、緊張して頭が真っ白になる瞬間が好きなので。自分の弱さが見えるのが面白くてワクワクするので、大会には出続けると思います。

 

お店情報

Garden

住所:東京都目黒区下目黒2-15-10 エムズ目黒3階・4階
電話番号:03-5435-2335
営業時間:19:00~04:00
定休日:月曜日
ウェブサイト:http://flair-upt.com

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年6月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:松澤茂信

松澤茂信

観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。

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