毎月1日と15日にだけ現れる謎の「ハトポッポ」の正体は?【福岡・唐人町】

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城下町の商店街にある福岡藩主御用達の和菓子店

福岡城の城下町にある唐人町商店街はかつての唐街道にあたり、古くから賑わってきた商店街だ。


ここにある「加美家」は享保二年(1717年)の創業で、来年300周年になるという福岡藩主黒田家御用達の和菓子の老舗。江戸時代に造られた店舗を商店街の再開発の際に現在の場所に移築したもので、天井の梁や柱には風格がある。

 

昭和二十六年に生まれた日本初の立体煎餅「黒田武士煎餅」が看板商品だが、商店街のサービスデーでもある毎月1日と15日にだけ販売される「ハトポッポ」という、かわいらしいネーミングの限定商品があるという。

 

今回、その実態を探ってみた。

 

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福岡城のお堀の跡・大濠公園の近くにある唐人町商店街。毎月1日・15日はサービスデー。

 

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表は屋敷風の小奇麗な外観だが……。

 

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店内は古い梁や柱が見えて、歴史の重みを感じさせる。

 

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黒田家から与えられた「黒田家御用達」の看板。創業者である初代大山惣右衛門の名前が刻まれている。

 

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民謡「黒田節」にもある日本一の大槍の飲み取りにちなんで、先代が作り上げた立体煎餅「黒田武士煎餅」。盃から底に突き出した高台などが均一に焼けるような焼型を作るのが大変だったとか。大盃は1枚 800円、小盃は 8枚セットで 800円。焼印を用意すれば、周年記念などオリジナルの「黒田武士煎餅」を作ることも可能。

 

戦後に生まれた懐かしのハトポッポ

当代店主の紙谷陸和さんに話をうかがうと、「ハットポッポ」が生まれたのは戦後の昭和二十八年ごろ。まだ空襲の焼け野原が残っていて、「人々の気持ちを和ませるようなものを作りたい」と、先代が平和のシンボルであるハトを焼型にしたカステラ焼を始めたのだとか。

 

他にもたくさんの和菓子を作っているので、「ハットポッポ」は手が空いた時に不定期で作っていたのだが、昭和四十年ごろに商店街のサービスデーが始まってから、それに合わせて毎月1日と15日に作るようになったと言う。

 

焼きたての「ハトポッポ」はサクッとした軽い歯ごたえがあって、素朴な懐かしい味わい。玉子がたっぷり入って滋養満点なので、戦後の人たちには最高のおやつだったのだろう。


出来立ての温かいまま袋に入れてあるのだが、冷めると湿気が出てくるので、袋の口は閉じずに渡してくれる。近所の人たちにはお馴染みのようで、夕方には売り切れてしまうので、電話で予約して取り置きしてもらうこともできるようだ。


実は朝イチの焼き始めから取材に来て、売台の上に商品が溜まったらその様子を撮影しようと思っていたんだけど、次から次に商品がはけてしまう。しばらく売るのを止めてくれと言う訳にもいかず、希望の絵を撮るのに結局1時間半もかかってしまった(涙)。

 

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店頭で実演販売される「ハトポッポ」。1日で左の大鍋2杯分の材料を焼くと言う。

 

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焼型に材料を流し込んで、くるくる回して焼いていく。

 

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出来上がり。

 

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なんとも愛らしい「ハトポッポ」。

 

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店主の紙谷さんが抱えている「ハトポッポ 小」が1袋350円、「大」は700円。

 

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お店の前を通る買い物客が、次から次へと買っていく。

 

お店情報

加美家製菓

住所:福岡福岡市中央区唐人町1-2-19
電話番号:092-751-1250
営業時間:8:20~18:30
定休日:不定
ウェブサイト:加美家製菓

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:兵土 G. 剛

兵土 G. 剛

福岡のタウン情報誌の編集部に15年勤めた後、フリーライターに。食うの好き、飲むの好き、きれいな女の人好き。マメさなし、根性なしの偏屈じじぃ。

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