肉をトントン叩いて薄くして燻製にすると、ベーコンがジャーキーみたいな味わいになってとにかくうまかった

燻製食材づくりは楽しいですよね。なかでも自家製ベーコンは、一度つくるとさまざまな料理に応用できて素晴らしいんです。そんなベーコンづくりの最大のコツは「肉を徹底的に叩くこと!」。はてさて、どんなベーコンができるのでしょうか。

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ある日、台所で肉を叩きながら

私は家でベーコンをつくります。

豚バラブロックを塩で水分を抜いて乾燥させて、燻製すれば立派なベーコンが完成します。もちろん、乾燥に数日、さらに燻製と時間はかかるのですが、仕上がったその味はやはり格別です。

自家製ベーコンが冷蔵庫にある生活はなんと豊かなんだろうと思うわけです。

 

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ある日、私はとんかつ用の肉を叩いていました。

肉を平べったくして、とんかつにするつもりでした。

叩いたらどうなるかといえば、肉は柔らかくなるし、面積は広がるので食べがいもあります。ということで、食欲旺盛な小学生の息子たちには「紙カツ」ばかり食べさせています。

息子たちも食卓にとんかつがのぼると大喜びします。

最近では「とんかつは塩で食べるのが一番だね」なんて偉そうなことを言うようになりました。

 

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また別のある日、私は近くのスーパーの精肉コーナーにいました。

次の瞬間、雷に打たれたように何かが降りてきたのです。

叩かれてペラペラになった肉でベーコンをつくったらどんな味がするのだろうと。

柔らかい肉にスモークがぎゅっと入って、そして柔らかくてうまくなるんじゃないかしら。

 

思い立ったらすぐに行動。気がつけば私は肉叩きハンマーを手にしていました。

 

叩けば叩くほど、肉は柔らかくなるはず

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「トントントントン」

 

さらに包丁を使って、叩いて叩いて叩きます。

豚だけにトントン。さあ叩け叩け。叩けば叩くほど柔らかくなるはず。

 

とんかつと同じく筋は切りましょう。熱でぎゅっと縮んでしまうから。

叩くこと数分で、ワッフルのように凸凹な肉が出来上がりました。

 

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ベーコンにするために下味となる塩を振ります。

食材の重さに対して2%の塩が適量と言われていますが、塩抜きが面倒に感じるのと、肉を薄くしたので中まで味が入りやすいだろうと考え、塩は少なめにすることに。

そんなわけで、肉の重さの1%に当たる4gを満遍なく手ですり込んでポリ袋に入れたら、冷蔵庫で1日寝かせます。

 

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こちらが1日たった豚肉。

水分が出てしっとりしているのがわかります。

軽く水洗いして、ペーパーで水分をきります。このあと本格的な脱水作業が待っています。

 

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そこで登場するのがこちらの「浸透圧脱水シート」です。「食用品脱水シート」など、いくつか呼び方があるようです。

普通にスーパーの台所用品のコーナーで売っています。

こちらを使えば、肉や魚の水分をぎゅっと抜いてうま味を閉じ込めることができます。

もちろんなくてもベーコンはできるのですが、これがあると作業が捗るので私は重宝しています。今回も使用しますね。

 

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浸透圧脱水シートに包んで1日経過した豚肉さん。

水分が抜けてピンクが強くなっている気がしますね。そういえば脱水シートに包む前に、黒胡椒をふっています。

これを冷蔵庫から取り出してと。

 

さっそく燻製ベーコンにしてみます

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燻製チップを使って燻製します。

コンパクトスモーカーは、全家庭に1台は常備してほしい料理道具です。

ウォーターシーリング機能がついていて、マンションでも換気扇の真下で使えば、煙はそんなに気になりません。

 

www.hotpepper.jp

▲以前書いた記事もぜひ参考にしてみてください

 

燻製チップは、クセがなく万能なサクラのチップを使用します。

 

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モクモクと煙が立ってきました。

今回は肉に火が通ってもあまり気にしないということで、中火で1分ほど加熱して、チップに火がついたらコンロの火を消して、フタをします。

中の空気が無くなるわけで数分したら火は消えてしまいますが、そのままフタをして10分ほど放置します。

この作業を2回ほど繰り返せば、肉に煙の匂いが沈着するという仕掛けです。

 

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できました。

ペラッペラになった叩きベーコンの完成です。

見てください、この美しい茶色を。どう考えてもうまそうです。お肉の右側の、脂身の部分もいい感じ。

ステーキで食べるときは邪魔なこういう部分も、ベーコンにすると俄然うまくなるんですよね。

 

まるでジャーキーのような味わい。ビールとの相性も抜群

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そんなわけで実食しましょう。

自家製ベーコンは加熱が甘くなることがあるので、念のため端っこを切り出して、それをフライパンで炙ります。

カリカリになる手前でいただきます。

 

「……うまい!」

 

もちろん製法からしてベーコンであることは間違いないのですが、なんというか、ベーコンと宣言していいのか疑問が残るのは、食感や味わいがジャーキーに近いからです。

 

そう、これはジャーキーなんです。

 

カリカリとして、歯応えがあって、噛み切るのにちょっと力が必要で、そして噛み締めるたび肉のうま味が溢れてくる。

もちろんビールとの相性だって抜群です。

 

普通のジャーキーは、タレにつけて乾燥させたりと手間がかかるのですが、肉をガンガン叩いて燻製してしまえば、あっという間にうまいつまみができるんです。

 

シンプルに塩胡椒だけなので、肉の持つうま味と、燻製の風味がダイレクトにやってくるのがいいですね。とにかくうまいし、2日でできますから、来客があるときはこれをつくってもてなそうと思ったのでした。

あ、あと、あくまで家庭用なので、できるだけ早く食べ切ってくださいね。

 

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この叩きベーコン、本当にいろいろな料理に応用できます。ピーマンと一緒にペペロンチーノにしたら最高においしかったです!

皆さんもぜひ試してください。

書いた人:キンマサタカ

キンマサタカ

編集者・ライター。パンダ舎という会社で本を作っています。 『週刊実話』で「売れっ子芸人の下積みメシ」という連載もやっています。好きな女性のタイプは人見知り。好きな酒はレモンサワー。パンダとカレーが大好き。近刊『だってぼくには嵐がいるから』(カンゼン)

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