「飲み」シーンにベトナムの風を。こんにちは、メシ通レポーターのナガオヨウコです。
一般的に、ガッツリ食べ飲みとか、男子一人飲みとか、宴会とかで「ベトナムのお店に行こうぜ」とは、なかなかならないんじゃないかと思います。街のベトナム料理店って、カフェっぽい雰囲気のところや、メニューの数が少ないところが多いですからね。
しかし、「ウマい料理をアテに飲みたい」「いつもと違う飲みシーンを開拓したい」なら、今回ご紹介するベトナム料理店を大プッシュいたします。
エスニック系といえば、タイ料理の方がポピュラーですよね。タイ料理は、ナンプラーやハーブ、酸っぱさや辛さがストレート。そのストレートさをミックスしながら食べるもんですが、ベトナム料理はもうちょいあっさりなんですよ。
現地仕込みのベトナム料理
京都の、烏丸押小路を東にぐいんと入ったとこにある「フォーン ヴィエット」。地下鉄「烏丸御池」から徒歩3分の、アクセスしやすい場所にあります。
出迎えてくださったのは、オーナーの越田正勝さん。
越田さんがこちら「フォーン ヴィエット」をオープンしたのは2000年のこと。
「カバンの資材などのデザイナーとして会社勤めをしていたのですが、30歳までがむしゃらに働いたので、サラリーマンはもうええかなと思って退職しました。それで、とりあえず、ベトナムに行ったんですよ。
旅行先としてベトナムを選んだのは、大きな理由はありません。『ダーツの旅』みたいな感じで選んでしまっただけです(笑)。『ベトナムか、ビザ代だけで2万円もかかってしまうなぁ、大変やわ』って思いながら準備をしましたね。
いざベトナムに着いたものの、2日か3日でビーチに飽きて。で、ホーチミンの料理教室に通うことにしました。朝から晩まで習うのは大変なので、午前中だけ料理を習うことにしました。僕はもともと料理が好きで、50人くらいのバーベキューを仕切るなんてこともやっていたんですよ。
午後からは屋台でビールを飲んでだらだらしてたら、『自宅で宴会があるから、準備を手伝わないか』って声がかかるようになって。ベトナムの家庭の味を学ぶことができました」
その後、越田さんは料理レッスン+家庭料理のお手伝いで約1カ月×8回の渡航を約1年間続け、現地の味をしっかり学んだそうです。
店先のプランターには、植物がわさわさ。奥のススキみたいなのはレモングラス。マメ科ぽい葉っぱは「ベトナムの植物の種をまいたんだけど、何の種かわからへん」と、越田さん。ベトナムの植物に詳しい方、誰か教えてください。
これはオリエンタルバジルという、バジルの一種。よくあるスイートバジルとは香りが全然違う、まさにオリエンタルな香り。フォーやサラダに入れることもあるそうです。
では中に入ってみましょう。ライムグリーンの壁がベトナムっぽいな! エスニック気分を盛り上げてくれます。
テーブルと椅子は紫檀(したん)。紫檀の家具ってむちゃくちゃ高級じゃないですか!! ハノイから運んできたそうです。
奥には、靴を脱いで上がるお座敷席もあります。
▲「男性のお客さん、むちゃくちゃ多いで」と越田さん
今回私が「フォーン ヴィエット」を訪問したのは、メシ通レポーター・通称おかんに「他にない、現地流のベトナムめしが食べられる」と聞いたから。
ならば、現地のベトナムごはんとビールを飲んじゃおうかなと思ったのですが……。
オーナーの越田さんは事情があり、お店にはお昼しか立っていないそうです。(夜は弟さんが担当)今回は越田さんとがっつりお話ししたかったので、訪問したのはお昼。
ガッツリ系ベトナム料理
▲ツマミ系と揚げ物系を中心に選んだ、現地流ベトナムめし
ということで、料理は「ビールに合うもの」を選びました。写真にはビールを並べちゃったりしてますが、すみませんわたくしこの後に車の運転をせねばならず、ビールは飾りです(泣)。
ほんまはビール飲みたかった……。
お酒ナシですが、昼から宴会風でいきます! なお、お供は19歳男子と40代女性の友人。
▲蒸し鶏 しょうがネギソース (864円)
まずは、冷製からスタートです。「蒸し鶏って中華料理によくあるアレかな」って思っていたのですが、全っ然違いました。
ぷりんぷりんの鶏の上に、しょうがネギのソース。生姜のピリピリ感もネギのとげとげしさもなくて、全体がまろやかにまとまっているんですよ。
▲揚げ豆腐 レモングラス塩 (540円)
揚げ豆腐の上に乗っかっている茶色いのは、かつおぶしではありません。レモングラス塩というものです。
生のレモングラスを思い切り細かく刻んで揚げたもの。これがですね、ふわああ〜っと爽やかな香りがしてウマウマ。
あっ、レモングラスって、レモンの仲間じゃないですよ。先ほどの写真にもちらりと写っていましたが、レモンの香りがするススキみたいな葉っぱです。
▲揚げ春巻き 5本 (1,026円)
ベトナム料理といえば生春巻きですが、ここはあえての揚げ春巻きをチョイス。
ひと口で楽しめる、ライスペーパーのじゃくじゃく感と、具材のじゅわじゅわジューシー感がたまらん。
ハーブ、醤油、お酢といった味付けアイテムを奥ゆかしく使っているのも、ベトナム料理の特徴のひとつです。
▲塩豚のカリカリ揚げ (680円)
塩漬けにした豚肉を素揚げしたシンプルな一品。ベトナムでは定食店の定番だそうです。
これ、「骨付きですか」って聞いちゃったほど、食感がゴリゴリでばりんばりん。※骨はついてません
じ〜〜〜っくり火を通すことで、ばりんばりんな食感に仕上がっているそうです。漬けダレは、ヌクトンというベトナムの大豆系醤油です。ライムか何かの柑橘系が入っているのかと思うほど爽やか。
ビールに絶対合う、合うよ!
▲ソフトシェルクラブ (1匹 745円)※写真は2匹
「フォーン ヴィエット」一番好評のメニューがこちら。東南アジアのマングローブにいるマッドクラブという泥カニに、米粉をまぶして揚げたものです。
レモンが付いていたので、カニにレモンをぎゅっと搾り、塩コショウ or ホットチリソースでいただきました。
脱皮したてなので、甲羅が柔らかくてそのまま食べられるのがポイント。
手というか脚はカニ風味ぼりぼり。身は、カニ味噌がみっちり詰まっておりまして、口の中にじゅわんじゅわんと味噌が広がります。焼酎か日本酒にも絶対合うと思う。
珍しい自家製フォー
▲フォーボー (Mサイズ 1,026円)
これこれ! 今日、絶対食べたかったの! ベトナム料理の代表的存在、フォーという米麺です。
なんと、米麺・フォーは自家製麺!!
ベトナムでは、米粉の生地を直径1メートルクラスの鍋に流して、麺状に切ってフォーを作るそうです。でも、こちらのような個人店ではそんな鍋を用意するのは難しい……ということで、中華麺用の製麺機をアレンジし、フォー専用に作り替えたんですって。
フォーの自家製麺って、聞いたことないんですけど……。
出来上がったフォーがこちら。
一般的なフォーは輸入乾麺ですので、ややプラスチック感が残るお店もありますが、こちらの自家製のフォーはむちゃくちゃしなやか。つるんつるんのフォーが、鶏ベースのスープに合う!
シメは辛〜いベトナム鍋
▲フエ風辛味鍋 ※牛肉(1人前 3,024円)
※写真は2人前(注文は2人前〜)
もう結構おなかいっぱいになりつつありますが、今日のテーマは「ベトナム宴会」ですので、鍋を注文。ベトナム人は、とにかく鍋料理が好きなのだそう。友人との自宅宴会や、親戚が集まったときなんかは必ずといっていいほど鍋なんですって。
日本では「鍋は冬」と思われがちですが、暑い国でも鍋が愛されているんですね。
へこんだ中心部にスープが入っていて、ぐつぐつ煮えるスープに周辺の具材を落として食べる、ベトナム南部の鍋スタイル。
スープの真ん中にある、白くて細いのはパクチーの根っこ。いいダシが出るんだって。レモングラスの茎もどっさり入っていて、玉ネギや青ネギ、しめじなんかの野菜もたっぷり。けっこう辛いのですが、その中にうま味びしばし重層感。う、うまい……。
SNS映えしそう! と思って頑張って写真撮りましたが、おしゃれには撮れませんでした……。「お客さんも『写真撮るの難しい』って言ってますよ」って、越田さんになぐさめられましたけれども。SNS映え得意な方は、ぜひ挑戦してみてください。
お皿やコップ、ピッチャーはベトナムのもの。このキッチュな感じ、大好き。わたくしベトナムに行くなら、こういう雑貨買いまくりたい。
魚とカエルのプラスチックケースは、爪楊枝入れでした。ああ、この色使いと適当感が大好き。しかし越田さんは「最近、こういう安っぽい雑貨が減ってきているんですよ。田舎に行けばまだあるんだけどね〜」。
なお、おひとり様の晩酌セットは2,009円〜。(※写真は税抜き価格)
<揚げ春巻き・エビサテグリル・サラダ・塩豚カリカリ揚>の晩酌Asetなら、2,009円。
宴会プランもありますよ。90分飲み放題付きで5,400円〜。(※写真は税抜き価格)
ちなみに、単品をいろいろ注文&1人につきドリンク2〜3杯飲んで、予算は4,000〜5,000円です。居酒屋さんと同じ予算で、うまうまベトナム料理をがっつりいけちゃうって、けっこうすごいんじゃないかなと思います。
お店情報
ベトナム料理 フォーン ヴィエット
住所:京都府京都市中京区押小路通東洞院西入ル118 プールトゥジュール中はし1F
電話番号:075-253-1828
営業時間:12:00~14:00(土曜日・日曜日は〜15:00)、18:00〜翌0:00(LO 23:00)※日曜日は〜22:00(LO 21:00)
定休日:基本的に火曜日(やや気分次第)
※この記事は2017年8月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。