【現地取材】サウナ発祥の地、北欧フィンランドでサウナあがりに食べるべきなのは?

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先日、フィンランドに行ってきました。理由は「サウナに入りに」です。
実は「sauna(サウナ)」はフィンランド語であり、フィンランドの文化なんです。
体験してみると、日本にある「風呂あがりの一杯」の発想と同じように、「サウナあがりの○○」が存在していました。

 

フィンランドグルメとは?

そもそもフィンランドの名物料理が謎ですよね。
最初に代表的なものを紹介しましょう。

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やってきたのは「Ravintola KAMONE」。日本で売っているフィンランドのガイドブックにはほぼ100%掲載されているお店です。というのも、映画の舞台となったお店で、日本語メニュー完備、日本語ができる店員さんもいます。

 

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まず紹介するのはこちら、魚料理です。フィンランドはバルト海に面しており、サーモンやニシンがよく食べられています。脂がのっていて、素材のよさを感じられました。ちなみに乗っかっているつぶつぶは木の実です。

 

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そしてミートボールにかかっているのは甘みのあるベリーのソース。肉と甘いベリー……、日本人には馴染みのない組み合わせですが、なかなかうまい! 付け合わせのマッシュルームはしっかりした歯ごたえ、キノコらしい味わいがあってこちらもうまいです。

国土の約7割が森林のフィンランド、「森の幸」こそがお国のメシなんですね。

 

日本でいう秘湯的なサウナに行ってみた

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ここはフィンランドの首都、ヘルシンキからバスで約40分、Kuusijärvi(クーシヤルヴィ)というところにあるサウナ施設です。
森のなかにあり、日本でいうところの山の温泉地のイメージですね。

 

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この建物が脱衣場兼サウナ。昔ながらのスタイルであるスモークサウナが現存する数少ない施設です。スモークサウナは燃料がまきです。入っているとまきを燃やしたすすが出て、顔がちょっと黒くなったりします。

 

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「サウナあがりの○○」の前に、フィンランドに来たからには体験しておかなければならないことがあります。サウナ後のクールダウン、湖へのダイブです。

 

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やってみました。あらためて動画で見ると、かっこわる!!!
フィンランドのベテランサウナーたちは、水しぶきを上げることなく湖に吸い込まれていきました。

 

サウナあがりにビールは、世界共通だった!

サウナ→湖→サウナ→湖を満足するまで繰り返し「サウナあがりの○○」をいただきに、食堂にやってきました。

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食堂にはガッツリとお腹を満たせるハンバーガー、サンドイッチから、サクッとつまめるお菓子が揃っていました。デザートにマフィンやスムージーなど、選択肢に幅があります。

 

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そのなかから見つけました、フィンランドのビールです。この自然あふれる環境に相応しい、熊の絵柄が書かれた「KARHU(カルフ)」をチョイス。

 

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すごくパンチがありそうな熊のイメージとは裏腹に、軽い口当たりでグビグビ飲める!
日本の風呂あがりの一杯と同じように、たっぷり汗をかいた後のビールはうまい!
サウナの後にビールを飲むだけで、なんだかフィンランドに親近感がわいてきました。

 

日本でいう銭湯的なところに行ってみた

「サウナあがりの○○」はビールだけではありません。
それを求めて首都ヘルシンキの公衆サウナに行ってみました。

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こちらは「SAUNA ARLA(サウナオーラ)」。ヘルシンキ駅前からトラム(路線バス)に乗りHelsinginkatuで下車、徒歩1分ほどで到着です。日本の銭湯というとお寺っぽい建築ですよね。フィンランドは牢獄風の外観のようです(多分ここだけ)。

 

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突然うかがった私に店主さんは快く対応してくれました。ここが銭湯でいう番台、ここから先は女性は1階、男性は2階に分かれます。ちなみに扉のところに置いてあるトマト、常連さんらしき人がさりげなく食べていたのでテイクフリーなようです。

 

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店主さんがサウナ内の絵葉書をくれました。
こちらはサウナの手前にあるシャワールーム。シャワーやサウナが混雑している時、たくさんある椅子に腰掛けて待ちます。

奥の頑丈そうな扉がサウナです。サウナ内部のつくりは日本のものと大差はありません。フィンランドでは自分で温度調整できるのが特徴で、熱源であるアツアツの石に水をかけて温度をあげます。

 

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サウナ後は中庭に出て涼みます。ビールを飲んでいる人もいれば、雨のなか新聞を読んでいる猛者もいました。実はここでの涼みの時間こそがフィンランドサウナの真髄。サウナユーザー同士でのコミュニケーションの場になっているのです。

 

ちょっと意外なフィンランド式「サウナあがりの○○」!!

「SAUNA ARLA」にあったのは、自由に飲んでいい水と自由に食べていいのかよくわからないトマト。でもこれが「サウナあがりの○○」ではないはず。ヘルシンキの市街を散策してみると、あることに気が付きました。

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日本のカフェには通常ないものが写真中央にでーんとあるのにお気づきでしょうか。

 

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街のカフェでもアイスクリームの品揃えが専門店並みなのです。ここ「ROBERT'S COFFEE(ロバーツコーヒー)」では全16種類。日本では考えられない品揃え!
「なんで右端の真っ黒なやつにしないんだ!」とメシ通編集部に怒られることは覚悟しつつ、比較しやすいバニラ味を注文してみます。

 

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分量は日本のレギュラーサイズの1.5倍以上あるように感じました。そして甘い! 途中でお茶がほしくなりました。他の味はバナナやシトロンシャーベットなど馴染みのある味が多い一方、すごい色をしたものはフィンランド語表記で解読ができませんでした。

 

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ヘルシンキ市街にはヨーロッパらしい町並みが残っています。こちらはヘルシンキ大聖堂。このような史跡等でアイスを食べるのもフィンランドっぽくていいですね。

 

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ただし、カップルの邪魔をしないように気をつけましょう。


日本の風呂あがりの定番と一緒じゃん! いえ違うんです!

風呂あがりにアイスを食べる、日本でも同じじゃん! そうですね、同じです。
ただし、フィンランドと日本では気候が全然違います。

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この写真は8月19日のヘルシンキ駅前。真夏のこの時期、平均最高気温は20℃、朝晩はジャケットが必要です。冬場は連日氷点下の日々が続きます。
そんな環境にもかかわらずフィンランド国民のアイスクリームの消費量はヨーロッパでは1位、全世界で見ても3位に入るというデータがあるのだそう。

 

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フィンランド人のアイスクリーム愛を強く感じたのは、往復の飛行機で機内食を食べた後、デザートにアイスクリームが配られたこと。
街にもアイスクリーム屋さんが日本のコンビニに近い感覚で営業しており、いつでも手に取れる環境でした。

 

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※日本のサウナです

普通に考えて、寒いところでアイスクリーム食べたくないですよね。それでも愛されているのは、どう考えても長い間サウナという熱源がフィンランドにあったからに違いありません。

日本にもフィンランドのアイスクリームのように、文化が育んだ食べ物がありますね。風呂あがりの牛乳、コタツのミカン、土用の丑の日……いろいろ思い浮かべるとあるものです。

異国での体験を通して、自国の食をあらためて見つめなおす。海外ではそんな「調味料」をゲットできるのです。海外旅行ではぜひ独自の食を楽しんではいかがでしょうか。

 

お店情報

Ravintola KAMOME

住所:Pursimiehenkatu 12 00150 Helsinki
電話番号:+358 (0)9 657 422
営業時間:月曜日~金曜日11:00~14:30、17:00~22:00(金曜日は22:30まで) 土曜日17:00~22:30
定休日:日曜日

www.kamome.fi

 

ROBERT'S COFFEE

住所:Aleksanterinkatu 52 00100 Helsinki
電話番号:050 305 4754
営業時間:平日9:00~21:00、土曜日9:00~19:00、日曜日11:00~18:00(stockmanの営業時間による)

 

Kuusijärvi Sauna

住所:Kuusijärventie 3  01260 Vantaa
電話番号:+358 10 322 7090
営業時間:レストラン9:00~21:00、電気サウナ9:00~20:00、スモークサウナ15:00~20:00

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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千葉県いすみ市の山奥「ポッポの丘」に、極上「たまごかけご飯」が食べられる食堂車を発見!

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朝食の定番といえば「たまごかけご飯」ですね。時間がない朝、かきこめる手軽さにお世話になった人も多いことでしょう。

近年は専用の醤油が登場したり、コンビニでは「たまごかけご飯」味のおにぎりが出たりと、一工夫するのが流行りのようです。

そんなトレンドの「たまごかけご飯」、面白いところがないか探してみると、養鶏場が経営するたまごかけご飯のお店「カフェT.K.G」が千葉県のいすみ市にあると聞き、「え? カフェでたまごかけご飯!?」 という皆さんの疑問を解決しに行ってきました。

 

山中に丸の内線!? 珍景「ポッポの丘」

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千葉県いすみ市といえば、経営不振から一気に回復した鉄道会社、いすみ鉄道で有名なところです。

そんないすみ市の田んぼ道を進んでいると不意に出てくるこの看板。目的の「カフェT.K.G」は近いようです。

ただその下の2つの看板「プラレール売り場」「ポッポの丘」。プラレールとの組み合わせでのポッポですから、「汽車ポッポ」ということなのでしょう。少し心がざわついてきました。

 

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到着です。一目見て誰もが思ったことでしょう。ここは操車場か!? すごい数の電車が止まっています。

確認しておくと、ここは養鶏場が運営している「ポッポの丘」というところです。近くには線路はおろか、駅もありません。この丘まで力技で運んできているのです。

 

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敷地内を歩いてみましょう。

こちらの赤い車両、乗れるようになっていますね、ちょっと入ってみます。

 

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電車電車電車電車……ここは電車の写真を展示している電車ですね。
あとは卓上にプラレール、子供向けの遊具が設置してあります。 

 

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不意に扉の上部に目をやると、見慣れた駅が並んでいます。そう、ビジネスマン御用達、丸の内線です。

私はこの車両を外から見ても丸の内線で使われていた車両と判断できませんでしたが、実際に使っていた方が見たらたまらない気持ちになることでしょう。

このように敷地内にある電車は中で展示、物販をおこなっています。

 

「カフェT.K.G」、店内はまんま食堂車!?

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「ポッポの丘」の一角に建っているこの小さな建物が目的の「カフェT.K.G」です。

カフェというと屋内外に椅子やテーブルが並び、のんびり過ごしているような光景をイメージしますが、それらしいスペースは見当たりません。

 

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「カフェT.K.G」、名前から推察するに主役が「たまごかけご飯」というのは間違いありません。サイドメニューにはそれを彩るおかずがあると思いきや、メニューを見るとどれもガッツリとしています。
そしてなにより、カルビ丼、牛丼と、たまごを産まない動物の肉を食べることもできるのです。

 

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カフェのすぐ横にある黄色い車両、壁面には「カフェT.K.G」の文字と窓ガラスにはアイスクリームのポスターが貼られています。

この車両でご飯を食べることができそうです。 

 

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めちゃくちゃいい雰囲気! 電車の椅子を使わないのは左右の窓からの景色を、人で遮ることなく見てほしいからでしょう。

日差しが強い時のために設置したカーテンが食堂車の雰囲気を演出する一方で、つり革のくたびれた感じが多くの人を運んだ歴史を物語っています。

なんでしょう、この落ち着いた感じ。すごく貴重な経験をしているような気持ちです。

食べる場所こそ最高の調味料

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こちらが看板メニューの「たまごかけご飯」。メインを飾るご飯とたまごの脇に味噌汁、パックのおかず、「たまごかけご飯」専用の醤油がセットになっています。

たまごはもちろん養鶏場直送、お米も地元いすみ産です。そういえば、この食堂車はいすみ鉄道の車両。空間までも地のものです。

 

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たまごを表現するとき、よく「ずっしりしている、身が詰まっている」なんてことがよく言われますね。重いという感触はありませんでした。割るときに心なしか殻が頑丈な印象を受けました。

 

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生たまご専用の醤油をかけます。色が薄いので分量を見極めながら入れましょう。

 

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思う存分にかき混ぜてからご飯に注ぎます。

混ぜるほど、注ぐほどに気持ちが高まっていく……「たまごかけご飯」の魅力ではないでしょうか。

 

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高まった気持ちとともにかきこみます。かきこみながら窓の外に目をやると大自然、窓からはいい風が入ってきます。

「たまごかけご飯」はあっさりとした優しい味でした。その味わいを壊さない薄口の醤油がいい仕事をしています。朝ご飯にしてはご飯多めかなと思いましたが、このあっさりのおかげでさらっと食べることができました。

 

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味噌汁の具材はたまごとわかめ。「たまごかけご飯」と同様、養鶏場直送のたまごを使用しています。

 

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パックに入っていたおかずは「いわしの角煮」。

「たまごかけご飯」のあっさりに対して、ものすごいパンチのある濃い味でした。この角煮のためにご飯を別皿に取っておいてもいいかもしれません。うまい!

 

コーヒーとの食べ合わせは?

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みなさんも気になっていたと思います、ここは「カフェT.K.G」。カフェなのです。コーヒーもウリに決まっています。

「たまごかけご飯」とコーヒーの相性を調べ「いけるぞ!」と思ったからこの名前にしているはずですよね。食べ合わせてみました。

 

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「おお! 悪くない!!」

コーヒーが「たまごかけご飯」の風味を消し去っていきます。口の中をリセットしてくれている感覚ですね。かといって次に口に運ばれる「たまごかけご飯」の味わいを邪魔しないので、繊細なたまごの味を毎回楽しめます。

「たまごかけご飯」とコーヒー……やっぱり合わないじゃん! という予想を覆し、案外あり、いやオススメできる食べ合わせです。

 

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「カフェT.K.G」では食器を戻すのはセルフサービス。軒先の棚に食器を戻します。

ほぼ屋外です。これが都会だったらカラス達に荒らされてしまいそうですが、この環境ではそんな心配は無用なのです。

 

たまごが生んだ珍景、たまごを食べて守っていく

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「たまごかけご飯」を電車で食べる。幸せな時間であり、ちょっと変わった体験でもありました。

「カフェT.K.G」の魅力は新鮮なたまごだけではなく、電車内という特殊な環境が一層「たまごかけご飯」をおいしくしていることにあります。

その時間を提供してくれた電車は、現役を退いているとはいえ、存在している限りどんどん傷んでいきます。たまごの売り上げがあってこそ、この景色を維持することができるのです。

 

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自慢の「庭先たまご」は、ひとつ60円(税抜)。その売り上げがこの珍景、いや、絶景を維持しています。

いすみの地で、いすみを支えた「いすみ鉄道」の車内で、いすみで育った鶏の「たまごかけご飯」を食べてみてください。

絶対に忘れられない「たまごかけご飯」になりますよ!

 

お店情報

ポッポの丘 カフェT.K.G

住所:千葉県いすみ市作田1298
電話番号:0470-62-6751
営業時間:金曜日・土曜日・日曜日・月曜日・祝日のみ10:00~16:00

www.popponooka.com

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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築90年の古民家カフェ「蓮月」で、昼はがっつり豚を食う! 夜はしっぽり酒を飲む!

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大田区池上に、昭和2年から営業しているそば店をリノベーションしたカフェ「蓮月」があります。いわゆる「古民家カフェ」です。古民家カフェというと、静かなしっとりした雰囲気が特徴のお店が多いですよね。

ここ蓮月はカフェとは思えないガッツリとしたどんぶりメシをいただいたり、酒に合う多彩なおつまみに舌鼓を打てるお店なのです。

 

寺の街、池上の老舗そば店をリノベ

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大田区池上は、池上本門寺を中心に多くの寺社仏閣が集中している寺の街。

写真中央の突き当たりの門は池上本門寺。力道山のお墓や、日蓮上人入滅の地として有名です。

 

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その池上本門寺から1〜2分歩くと、木造に瓦屋根の一際目立つ建物が見えてきます。こちらが昭和2年に竣工されたそば店「蓮月庵」をリノベーションしたカフェ「蓮月」。

第1回大田区景観まちづくり賞を受賞しています。

 

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店内は屋根のついた帳場が現役で活用されており、写真左手から中央の一段上がったステージはもともと座敷席でした。

テーブルや椅子、写真右奥のちょっとした座敷など、そば店時代に活躍していた多くの設備をそのまま活用しています。

 

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入口付近の壁にはそば店時代のメニューが掲げてあります。価格は全て「銭」表記。時代を感じますね。 

 

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ステージから奥はもともと店主の居住スペースでした。

カフェになってからは壁を取っ払い、庭を見渡せるソファ席を設置しています。

 

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元居住部分にもそば店の名残が見て取れます。写真中央にある黒い箱はそば店時代に使われていた金庫です。この金庫と毎日向き合い、店主が一喜一憂していた日々があったと思うと感慨深い……。

 

カフェの照りっ照り豚丼……!?

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こちらが飲食メニューです。数種類のトーストやコーヒーと、のんびりカフェタイムを楽しめるメニューが揃っています。

そのなかでも目を引くのが「ごはん」。カフェメニューとは裏腹に、ガッツリと腹に溜まりそうな「厚切り照り豚丼」が気になりますね。

 

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注文してみました。なんともうまそうな照り返しだ……!

小松菜と白髪ねぎが添えられ、ご飯と豚肉の間には大田区の大森エリアの名産、海苔が敷かれています。

ちなみに豚肉、海苔、小松菜ともに近所で買ってきたもの。地産地消ならぬ地買地消。これも地域と関わる一つのかたちだと店長さんは語っていました。

 

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かぶりついてみると染みだすうま味脂。そしてなにより筋っぽさがまったくない!

塩漬けにして下味をつけた豚を照り焼きにしており、ガンガンご飯を食べられます。これはうまい!

 

もっとのんびりしたいかた、2階へどうぞ

「蓮月」は、2階で飲食をすることもできます。

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この急な階段、昭和世代は懐かしさを感じる角度じゃないでしょうか? 小さいころに祖母の家の階段から転げ落ちていたのを思い出します。

 

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こちらが2階の広間です。

カフェ風の1階とは打って変わって、シンプルな和風でなんとも落ち着きます。

そして鼻に入ってくる畳のにおい。お腹いっぱいだし、もう横になりたいですね。

 

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横になっていいそうです。漫画を読んでも、パソコンで仕事をしてもいいそうです。

店長さん曰く「スーパー銭湯の休憩スペースのように、気持ちの良い時間を過ごしてもらいたい」とのことでした。今回私が持ち込んだのは、有名温泉漫画『テルマエ・ロマエ』。因果なものです。

 

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眠くなったら寝てもいいそうです。手足を投げ出さない、混雑時は遠慮するなど、他のお客さんのことを考えて利用しましょう。

この居心地の良さ。まさに風呂あがりですね。ちなみに2階はレンタルスペースとして貸し出しており、多目的に利用できます。

 

夜の「蓮月」、メシも雰囲気も見事に尽きる

2階でのんびりと過ごし、日暮れを待ちました。

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というのも「蓮月」は夜のメニューを用意しているらしいのです。それを目当てに来たのですが、まず外観が放つ風格が渋すぎる!

もはやカフェでもそば店でもない……なんだろう、圧倒されてわからない!

 

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店内はジャズが流れ、バーのような空気感に変わっています。昼間とはまた違った居心地のよさがなんとも心地いいですね。

 

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オススメのビールはCOEDO。写真中央のBeniaka(680円)をいただきました。コクの深い味わいで、古民家の深い歴史とともに味わうのにふさわしいビールでした。

全部飲みたい人には5種飲み比べセット(3,000円)がオススメ。ビール以外にもフルーツカクテルや日本酒、ワインも取り揃えています。

 

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食事もお酒が進むものをそろえています。写真上から時計回りに……。

  • お麩の唐揚げ 甘酢ソース和え(580円)
    外はサクッと中はフワッととはよく言いますが、中身はお麩なのでマジでフワフワです。甘辛のソースでビールが進む!
  • おふくろのもつ煮(480円)
    煮込んだニンジン、大根、ゴボウがホロホロ! 塩気控えめであっさりした美味しさ。
  • うま塩漬け焼き豚(980円)
    ビジュアルがすでにうまい! 胡椒のきいた豚は最高のつまみでした。添えてあるわさび、柚子胡椒も本格的。
  • ポポテテトトフライ(480円)
    注文時にスタッフとの会話が生まれたら……ということで命名。ジャガイモが甘く、一回食べたら病みつきになる!

 

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酒が進むメニューに囲まれ、歴史を感じる雰囲気に抱かれ酒を飲む……昼の様子から比べると、見事に飲み屋さんへの変身を遂げています。

その一方で私の後ろの席では家族連れが食事を楽しみ、カウンターではパソコンを開いて仕事をする人と、ファミレス、カフェの顔も垣間見ることができました。

 

歴史に敬意を払い、自由に先を見据える

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そば店、「蓮月庵」を引き継ぎカフェにリノベーションした店長の輪島さんです。引き継ぐきっかけは何とも奇妙な縁がありました。

ある日、輪島さんが仕事をしていると転倒して足に犬のフンがついてしまいました。その1時間後、歩いていると鳥のフンが直撃。「これはなにか起こるぞ」、そう思った翌日、知人から「蓮月庵」を今後どうするかという会議に出ないかと声をかけられたのです。自分が「蓮月庵」を引き継いだら面白いことになるだろう……。

こうして現在の「蓮月」が誕生しました。
縁というか、ウンというか、そんなきっかけなのです。

 

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「古民家カフェ」というと、どこかお堅い印象も受けますが、店長さんはこんな感じです。自由です。

お昼にいただいた「厚切り照り豚丼」、じつはお店のスタッフさんが考えたメニューです。そして日本酒好きなスタッフさんが日本酒を、ワイン好きなスタッフさんがワインをチョイスするなど、スタッフさんの考えがたくさん反映されています。

その一方で店名は先代の名前を継いで「蓮月」とし、もともとあったものを大切に使っています。「先代への想いを汲み、敬意を払って営業を続けたい」とおっしゃっていました。

 

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「蓮月庵」ができた約90年前には、ボーっと過ごす自由な時間が当たり前のようにあったのかもしれません。現代社会では意識しないと、そんな時間は過ごせないものです。

「蓮月」ではそんな自由な、ほっとできる時間があります。無目的に訪れてはいかがでしょうか。あなたが座った席の隣で、私が原稿を書いているかもしれません。

 

お店情報

蓮月

住所:東京都大田区池上2-20-11
電話番号:03-6410-5469
営業時間:10:00~22:00(LO 21:30)
定休日:不定休
Webサイト:http://rengetsu.net/

www.hotpepper.jp

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

銀座熊本館で出会った、ピリ辛のからし蓮根と球磨焼酎のタッグが完全にハマる

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近年、地方発祥でブレイクするものが増えてきています。そのなかで、継続して大きな経済効果を生んでいるもののひとつが「ゆるキャラ」です。火付け役となった熊本県営業部長兼しあわせ部長「くまモン」は、今や日本国民に知られるキャラクターになりました。

今回の取材先は「くまモン」だらけなのだそうです。ぶっちゃけ私は「くまモン」にほとんど興味はなく、「風呂デューサー」として、九州の一大温泉県である熊本県とコネができないかな、なんてビジネス丸だしな気持ちで取材に行ってきました。

 

熊本情報発信基地の2階は……遊び場だった!

銀座といえば、ブランド品店が並ぶハイクラスな場所というイメージ。その一方で、実は日本中の都道府県のアンテナショップが集まっている場所でもあります。いまや東京のど真ん中にいながらにして、各地の名産品を手に取れる時代なのです。

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多くのアンテナショップはピカピカの内装の高級感のあるお店なのですが、今回うかがう銀座熊本館はどこか素朴な雰囲気を醸しています。場所はJR有楽町駅から徒歩5分ほどの数寄屋橋交差点付近です。

 

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1階は熊本のお土産品などを扱う物産館です。取材時は水俣フェアを実施しており、熊本直送しらすが手ごろな価格で販売されていました。ほかにも店内では焼酎や野菜、果物などの熊本県の名産品が販売されています。

 

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1階を見てまわるだけでも十分に熊本感を味わえますが、銀座熊本館の真骨頂は2階にあります。

 

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2階に着くなり、大量の「くまモン」グッズが迎えてくれました。大量なんてもんじゃありません。「くまモン」しかありません。

お客さんのなかには「kumamon!」と英語で話す方もいらっしゃって、もはや「くまモン」は熊本どころか日本を飛び出し、いまや世界の「kumamon」なのかと、その成長ぶりに驚きました。

 

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「くまモン」グッズのラインナップはすさまじく、熊本県産の杉を使用した「くまモンドミノ」まで! 「くまモン」が描かれていれば熊本土産。そう思えるのは「くまモン」の影響力あってのことなのでしょう。

 

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「くまモン」グッズコーナーのさらに奥、12席の小さな食事処が、熊本の味を楽しめる食事処「ASOBI・Bar」です。

店内には「くまモン」のぬいぐるみが随所にディスプレイされ、若い女性、「くまモン」ファンを意識したつくりになっています。

 

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そうは言ったものの、壁面には間接照明に照らされた熊本の焼酎がならんでいます。
これは年配の男性向けなのでは……? 「くまモン」とのギャップに少し違和感を覚えつつも、ワクワクせずにはいられませんね!

 

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こちらが食事のメニューです。

謎すぎる「アベックラーメン」、限定につられて注文したくなる「漁師の沖めし丼」が気になります。 

 

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迷った挙句、担当者の「一番のおすすめは高菜ご飯ですよ」という一言が決定打となり、「高菜ご飯セット」を注文しました。

「高菜って、だいたいどこでもあるじゃん」と思わなくもないですが、お店の方のイチオシなので絶対ウマいはず。

 

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すげーいいにおいがする!!!!

箸を入れてご飯を持ち上げてみると、ごま油のいいにおいがたちのぼります。

食べてみると、しっかりと味が染み渡っており、ごま油の風味と塩気がいい具合です。おかず、必要ありません。これは永久に食べ続けられるご飯ですね。

 

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優しい………。しっかりと味が付いた高菜ご飯と対照的に、すべてを包み込むような薄味の味噌汁。

豪快で一本道を突き進む九州男児を象徴した高菜ご飯、それを優しくフォローして主役として立たせる素敵な奥さん。この「高菜ご飯セット」は、熊本の夫婦を象徴しているような気がします。

 

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食事メニューとは別に一品のカフェメニューもあります。

写真はいちばんの売れ筋商品である熊本の郷土菓子「いきなりだんご」です。「急な来客があったときにすぐ出せるから」という由来でこの名がついたのだそう(所説あります)。あんことサツマイモの2層になっており、名前とは正反対の手の込んだだんごです。

 

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食後の飲み物はデコポンジュース。熊本は柑橘系の果物の生産も盛んです。自然な甘みと柑橘類のほんのりとした苦みがきちんとあり、聞くまでもなくデコポン100%。
こうして「ASOBI・Bar」でのカフェタイムは、「くまモン」と熊本料理をのんびりと楽しむことができました。


メニューに酒がないじゃないか!!!

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先ほどからバンバン写真に写り込んでいる焼酎。実はランチメニューになかったんです。楽しみにしていたのに……あれは飾り物なのか!? 店員さんに聞いてみると「夜はバーとして営業しています」とのこと。

 

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ということで夜にまた来ました。

 

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夜はすっかり大人向けの酒に合うメニューに変更されていました。どれもおいしそうですが、一番正体の見えない「ほろ酔いセット」を注文してみました。


熊本三昧の「ほろ酔いセット」

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「ほろ酔いセット」の全貌がこちら。
左から馬刺し2点盛、中央にからし蓮根、右は本日の一品のポテトサラダです。

 

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ポテトサラダだけ熊本っぽくない……なんて思いませんでしたか?

よく見るとちくわが混ざっていますね。じつは熊本の日奈久地区はちくわの一大産地なのです。

そして上に乗っているからし蓮根チップ。カリカリの食感とピリッとした辛味が味のアクセントになっています。

 

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そしてなんともおいしそうなこの馬刺し。

こちらの赤身肉はとにかく柔らかく、いままで食べてた馬刺しは何だったのかと思いました。

 

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こちらはタテガミという部位です。白いですね。

肉というよりは脂身っぽいですが、イメージする脂とは全然違います。ジュワッという感じでもなく、カチコチになった脂というわけでもなく……不思議な食感です。

 

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「ほろ酔いセット」には、上記の料理と好きな焼酎一杯がセットになっています。チョイスした焼酎は「温泉焼酎」です。これは熊本県人吉市の「大和一酒造」の焼酎で、工場内に湧く温泉を原料としています。

飲んでみると、焼酎と聞いてイメージするガツンとくる風味はありませんでした。最初の一口はキリッとした口触りで、時間の経過とともにまろやかに変わり、酔いながら時間の流れを楽しめる、球磨焼酎の魅力を体験することができました。

 

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球磨焼酎の種類は28の蔵元から選べます。

今回はほろ酔いセットをいただきましたが、ガッツリと焼酎を楽しみたい方は飲み比べセットがオススメ。3種類の焼酎を選べます。

 

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そして熊本といえばこのからし蓮根。食わず嫌いで食べたことがありませんでしたが、この機会に食べてみることにしました。

 

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「おっ! からし来た!」

唐辛子のように爆発的に辛さが広がるのではなく、かめばかむほどにじわじわとからしがしみわたります。まろやかなからしとシャキッとした蓮根の食感が際立っていますね。

 

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気が付いたときには焼酎を手に持っていました。

辛いから飲むという感覚ではなく、脊椎反射で不意に焼酎を胃に流し込む。

 

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「くあああぁぁぁーーー!!」

この一連の流れこそがからし蓮根の醍醐味なのか!

今後九州郷土料理のお店に行ったらまず間違いなく頼んでしまうと思います。ハマりました。

 

「ASOBI・Bar」で飲んで気付いた、その魅力

からし蓮根と焼酎の最強タッグで、すっかり酔ってしまった私。顔がほんのり赤くなったところで気持ちに変化がありました。 

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「くまモン」のやんわりした笑顔。隣で眺めていると、酔っぱらって心からあふれ出る世の中への不満や、将来への不安といったものがどこか薄れていくような感覚になっていくのです。

「ただ飲みすぎなだけ!」そうなのかもしれません。ただ隣には「くまモン」が静かに、笑顔でたたずんでいるのです。

「くまモン」に囲まれたファンシー空間でいただく、からし蓮根と球磨焼酎の熊本が誇る最強コンビ。この「熊本トライアングル」があれば、今夜はどこまでも酔える気がします。

 

お店情報

銀座熊本館 ASOBI・BAR

住所:東京都中央区銀座5-3-16
電話番号:03-3572-1261
営業時間:カフェタイム13:00~16:00 バータイム17:00~20:00
定休日:日曜日、月曜日(イベント等で臨時休業の可能性あり)

www.kumamotokan.or.jp

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は2016年2月時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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「当店には囲炉裏があります」

メシ屋を探していてこの表記があるお店にぐっと来てしまうかた、多いのではないでしょうか。囲炉裏で焼くだけでなんかおいしそうになりますよね。

今回、千葉県に評判の囲炉裏の宿があると聞き取材に行ってきました。宿の囲炉裏……せいぜい串に刺した鮎とか焼けるんでしょ、くらいに思っていたのですが、焼けるものであればなんでも持ち込んで調理可能、提供するメニューも豊富、そしてなによりうまい……! 囲炉裏の楽園がそこにはあったのです。


囲炉裏の楽園へ海と山を越えて行く

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今回の目的地である千葉県は、東京湾と太平洋に面した海の恵みがあふれる地域です。
アクアラインを使うと、ETC搭載車ならたったの800円で千葉に入れます。景色最高、向かうは楽園、もはや仕事モードはゼロなのです。

 

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最寄りのインターチェンジ「木更津東」から一般道に降り、山道を進んでいきます。
潮風のにおいを覚えたまま木のにおいを感じる……旅行気分が盛り上がりますね。

 

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山道を進むこと約40分。見えてきた小さな宿、七里川温泉です。建物に派手さはなく、周囲はとても静かな環境です。

“風呂デューサー”として言わせていただくと、温泉に滞在する環境として理想的ですね。泊まりで来たかった……宿の前に立った時点で心底思いました。

 

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建物に入ってみると、いきなり囲炉裏です。視界にはいるだけで4セットの囲炉裏がならび、少し年季の入った温泉宿の雰囲気が感じられます。

アイスを食べている人、テレビを見ている人……各々が自由にのんびり過ごしていますね。平和です。

 

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「メシの前の風呂は、メシを3割増しでうまくする」。私がつくった名言です。

その言葉に従い、入浴料金を支払って浴室に向かうと、脱衣場の前に「天然硫黄泉源泉かけ流し」の看板が。実は千葉県で源泉かけ流しを実現できるところは珍しいのです。胸を張って自慢できる貴重な温泉です。

 

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こちらが内湯です。

ほぼ無色透明の湯が湯口からトポトポと流れ落ち、湯船からあふれた湯は縁から流れていきます。これぞ源泉かけ流し!

窓の外はほとんどが青と緑で構成されています。家を出てから1時間30分でこの環境ですよ。自分で信じられていません。

 

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脱衣場から階段を上っていくと、露天風呂もあります。

 

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内湯から見えていた景色に入り込んだみたいだ!

暖かい日差しに山から駆け下りてくる涼しい風……どちらも都会のそれとは別物です。
湯船は2つ、どちらもこの地域の湧水を使用しており、透明感のあるさらっとしたお湯でした。


「焼く」のと「囲炉裏で焼く」のはどうやら全然違うらしい

昼間っからあの環境で温泉に浸かる……最高に贅沢でした。
もうメシの取材しなくてもいいような気さえします。とりあえずメニューを見てみましょうか。

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メニュー超豊富!

海の幸が豊富な千葉県とはいえこの山の中ですから、山菜とかキノコばっかりと思いきや、大半が海産物です。

 

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「写真映えするやつお願いします!」と注文したところ、大皿の手前側から

  • 鹿肉ソーセージ(3本1,000円)
  • 鮎の干物(380円)
  • 金目鯛干物(700円)
  • ホッケの開き(680円)
  • イワシ丸干し(320円)
  • 右の別皿には房総豚のみそ焼き(800円)

上記6点 を用意してくださいました。

結論からいうと、カメラさんと2人で食べきれず、隣で食べていたご夫婦のお客さんと分け合って食べました。そう考えるとこのボリュームでも一人あたり2,000円を切っています。安い!

 

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まずは火の通りやすそうなイワシ、ソーセージ、アユを焼いてみます。

囲炉裏に手を伸ばすとじわりと伝わる熱気。コンロの火より感じる熱が重厚なのです。
イワシはサクサクに焼き上がり、頭から丸かじりできました。アユの干物って初めて見ましたが、川魚の風味をしっかり残し、味が凝縮されていました。

うまい!

 

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鹿肉ソーセージはジビエの風味と黒コショウのきいた濃い目の味付けです。ビールを飲みたい人には強くオススメします。

ファーストバイトの際はアツアツの肉汁爆発に気を付けて食べましょう。あらためて写真を見ていたらまた食べたくなってきました。

 

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続いて金目鯛、ホッケを焼いていきます。
房総豚以外は冷凍の状態ですので、高温の囲炉裏とはいえ焼き上がりまで少し時間がかかります。

何度も焼け具合を確認してしまう私は囲炉裏素人丸だしなのですが、この確認作業が楽しかったりするんです。

 

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魚で一番うまかったのはホッケ。肉汁がすごいです。ホッケを囲炉裏で焼くと飲み物になるとわかりました。

どの食材にも言えるのは、身に汁が詰まったまま外に逃げないですね。

 

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誰もがビジュアル的に気になっていた、房総豚のみそ焼き。行ってみましょう。
このサイズと重量感……眺めているだけで幸せです。

 

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冷凍の魚と同じような感覚で焼いているとあっという間に焦げ目が。ここでも素人が出てしまいました。冷凍のものと同じ感覚で焼いてはいけないのです。

 

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房総豚そのものはとてもあっさりした味です。見た感じ味噌味が濃そうですが、食べてみると甘みが強く、塩気はほとんど感じません。飽きることなくペロッといただけました。

そしてなにより、肉汁があふれだしてくる。これが囲炉裏の力……! うまい! うますぎる!!

 

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〆は焼きおにぎりをいただくことにしました。

囲炉裏の火力でほんのり固くなった表面に対し、中はほくほくに仕上がりました。房総豚と同様の味噌がついているので塗りたくるのもいいでしょう。

 

食材の持ち込みOK! 囲炉裏味のアレを食べてみよう

七里川温泉では、お店で提供しているメニューを注文せず、持ち込んできた食材を焼いて食べてもOKです。私も途中で食材を調達してきました。

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道中の道の駅でしいたけとたけのこを購入し、コンビニでカニカマとさんまの塩焼き、チャレンジメニューとして駄菓子の「蒲焼さん」、バウムクーヘンを買ってきました。

しかし……写真の通り、腹がいっぱいなのです。甘いもの食べたいのでバウムクーヘンだけ焼くことにしました。

 

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表面はこんがり、なかはふんわり、ケーキを焼いているような甘い香りが漂っています。

「バターつけたらおいしそうですよね」 とカメラさんと話していると、お隣の夫婦がチューブバターを持ち込んでおり、貸してくれました。

噛むとカリッとした食感で、ジュワッとバターが染み出してきます。「バウムクーヘン囲炉裏味」……うまい!

 

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すごいものを見つけた! なんて喜んでいると、お隣のご夫婦は持ち込んだ鶏肉とねぎを串に刺して焼き鳥をつくり、持ち込んだ鍋に湧き水を注ぎ、うどんを茹でていました。

女将さんに聞くと「焼けるものであれば何焼いてもいい」とのことでした。アルミホイルを敷いて焼きそばをつくっている猛者もいたそうです。

 

お腹いっぱいになったら、さっぱりして帰れる

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ここは囲炉裏レストランではありません。囲炉裏の宿です。一度入浴料を支払えば、何度でも温泉に入れます。

囲炉裏を挟んだ向かいの人が派手にくしゃみをしてすすをあびても、洗い流してサッパリと帰路につくことができるのです。

昼頃と夕暮れの時間で趣の違う露天風呂を楽しむことができました。

 

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風呂あがりといえばの牛乳もしっかりと用意してあります。もはや囲炉裏を見ているだけで牛乳も普段よりおいしく感じました。

こんなに素晴らしい環境なのに東京から約1時間30分。半日でも時間があれば手軽に来れる距離もまた魅力です。

 

温泉もメシも、囲炉裏が生み出す人間関係もいい

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隣にいるかたは見ず知らずのお客さんです。私がライターであることを話すと、外房エリアには昔ながらの酒造があると教えてくれました。

そしてバウムクーヘンのくだりでも、隣で調理していたご夫婦のお客さんからバターを借りたり、囲炉裏を囲むことでおしゃべりが生まれるのです。

基本的にお店に入ったら食べるだけですよね。「囲炉裏で焼く」という行程が加わるだけで食材も心もジューシーに仕上がっていく。

これこそが囲炉裏の力であり、食べ終わったら温泉で語らい、さらに深い人間関係をつくれるのは七里川温泉の魅力だと感じました。

 

お店情報

いろりの宿 七里川温泉

住所:千葉県君市黄和田畑921-1
営業時間:9:00~22:00
電話番号:0439-39-3211
定休日:第1・3水曜日
ウェブサイト:http://shichirigawa-onsen.com/

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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本格ピザと生ビールがウリの……銭湯? 風呂あがりの楽園で昼間から昇天してみた

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銭湯に行って風呂あがりにビールを飲む。至福以外の何物でもありません。
その「お供」といえば、焼き鳥、モツ煮など下町っぽいイメージが浮かんでくるものです。

今回取材する銭湯「蒲田福の湯」は店内でピザを食べることができるのです! しかも本格的なピザ窯を使い、注文を受けてから焼きあげる、それはそれはうまいピザを風呂あがりにいただくことができます。


銭湯っぽくなさすぎて気がつけない! 新築ピカピカの銭湯

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JR蒲田駅から徒歩約10分。小さな商店街を進んでいきます。

目的の銭湯「蒲田福の湯」はもうこの写真のなかに写り込んでいるのですが、皆さんお分かりでしょうか? 

 

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答えはこちら! 通り右側の白い建物が銭湯「蒲田福の湯」です。

「答えはコレ!」 と言われても全然ピンとこないですね。

 

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正面から見るとこんな感じ。正面から見ても私達がイメージする銭湯とは別物かもしれません。

取材に同行した『メシ通』編集部員は「歯科医院」だと思ったようです。

 

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入口脇の提灯を見ると「福の湯」の文字が。間違いない、銭湯です。

その文字の下にFoo−Qooという表記があります。これは「福」という文字を口に出して読んだ時、英語圏の外国人にはFワードに聞こえてしまうため、誤解を防ぐためにつくったものだそうです。

 

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店内に入るとまず迎えてくれるのは下足箱。木札を抜くことでロックがかかります。

単純に靴をしまっているだけですが、この銭湯らしい行為にどこかほっとしました。

 

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大人料金460円を支払い脱衣場へ向かいます。

暖簾をくぐる……これも何気ないことなのですが、店内がきれいすぎて銭湯感薄めの「蒲田福の湯」です。この通過儀礼を行うことで、しっかりと銭湯モードに切り替わりました。

暖簾右上部にある「福の湯」のロゴマークもさりげなく可愛らしさを演出しています。

 

小さい中にもこだわりの工夫あり!

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暖簾をくぐると脱衣場になります。木目調のロッカーが並び、中段部分に物を置ける使い勝手の良いつくりです。

そしてなにより驚くのは流れているBGM。この日はOasisの『Don't Look Back In Anger』が流れていました。選曲はご主人の趣味なのだそう。ちなみに、開店当初はこれまたご主人が好きなスピッツの曲を流していたそうです。

 

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「福の湯」は床からブクブクと気泡が出るバイブラとジェットがついた大きめの湯船、そして岩風呂の2種類。

どこを見てもピカピカ、床は滑らないタイルが敷かれ、要所要所には手すりが設置されており、誰もが安心して使える銭湯です。

ボディーソープ、シャンプーは備え付け。タオルだけ持って気軽に利用できます。

 

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白を基調とした浴室内で目を引く岩風呂。ご主人いわく「ヒーリングブース」という名前なのだとか。

まるで露天風呂に入っているかのように涼しい風が吹き、鳥の鳴き声が聞こえてくるような感覚になります。

 

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涼しい風、鳥の声……錯覚でありませんでした。

青い矢印の部分はスピーカーになっており、ウグイスの鳴き声が流れています。
赤い矢印の部分、管に穴が空いているのが見えるでしょうか。そこから風が出てくるのです。

 

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さらに水中の壁面にはライトが埋め込んであり、太陽光が水面で照り返している様子を再現しています。

徹底していやしを追求したこの空間、名付けるならばやはり「ヒーリングブース」が相応しいです。

 

本格ピザをお供に、風呂あがりの一杯

さっぱりしてお腹を空かせたところで、「蒲田福の湯」名物、ピザをいただきましょう。

銭湯業界初(?)の本格ピザ窯導入店とはいえ、ピザって電子レンジに入れちゃえばできる時代ですよ。問題はクオリティ。ビールの味とアルコールでごまかしちゃうようなピザではいかんのです。 

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フロントに座っているヒゲのお兄さんがご主人です。取材ということでガチガチに緊張されています。

もともとラーメン屋さんで長く働いており、ふと「俺は本当にラーメンが好きなのか」と自問自答したところピザが好きだと気付き、作りかたを研究、銭湯でピザを提供しようと思い立ったのだそう。 

 

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奥にある赤い箱、これが主役のピザ窯です。
コンパクトながら450~500度の高温でピザを焼き上げる超本格派。それでは早速注文してみましょう。

 

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注文を受けてから生地を伸ばし、

 

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トマトソース、チーズ、バジルをトッピング。

 

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仕上げにたっぷりのオリーブオイルをかけて、 

 

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in the ピザ窯!

焼き上がりまで少し待ちましょう。 

 

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食事ができる「蒲田福の湯」のロビーは、これまた銭湯にはなさそうなカウンター席とテーブルが1台。10人ほど収容可能です。

奥の壁面は和モダンな床の間のようになっており、ご主人の奥様がデザインを担当しています。

この部分以外の内装も奥様が担当しており、ご主人と二人三脚で新生「蒲田福の湯」をつくりあげました。 

 

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どこに座ろうか、悩んでいる90秒ほどでこんがりとしたマルゲリータの完成です!

注文から3分ちょっとでこのクオリティ。ここが銭湯だと忘れてしまうほどの本格派ピザです。飲み物はもちろんビール。銭湯ですから、ワインとか洒落たものは不要なのです。

 

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ぼあぁぁーーー! うめえ!!!

ほ、本格的すぎる! ここが銭湯とは思えない、完全にピッツェリアのやつだ。

ピザの販売は土・日・祝日の17:00~24:00。生地がなくなり次第終了です。超本格的なマルゲリータ(L:900円、S:400円)に加えてもう2種類あります。

 

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ひとつはバジルソースをたっぷりかけたジェノベーゼ(L:1,000円、S:450円)。ソースはお店でバジルを粉砕して作った自家製、癖のない自然な味わいに仕上がっています。ソースにはパルメザンチーズ、食感を演出する砕いたカシューナッツが混ぜ込まれています。

 

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もうひとつは幼少時代アメリカで生活していたご主人が忘れられないというアメリカンピザ(L:1,000円、S:450円)。ほどよくジャンキーな味わいで、ビールとの相性は抜群。

食べてみると鼻に抜ける香りが印象的でした。それもそのはず、オレガノ、バジル、パプリカ、タイムといったハーブ類を独自に調合しているのだそう。また、ピザに乗っているペパロニはアメリカ産にこだわり、幼少期の心に残った味を再現しています。

 

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そしてこちらは現在試作中、いずれメニューに登場するかもしれないミックスピザ。甘みが強く、お菓子のようにぱくぱく食べられます。

その甘みの理由はソースに使っているケチャップです。酸味をまったく感じず、言われないとわかりませんでした。ピザ窯の火力のおかげか、ちりばめられているコーンそのものの甘みも強いです。

 

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ピザはテイクアウトも可能。風呂に入らずピザだけの購入も大歓迎だそうです。

テイクアウトの箱代は大が100円、小は50円かかります。サイズ感は、大は大人の男性一人、小は子ども一人で満足できる量という目安で良いと思います。

 

ピザが育む、地域の銭湯

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ピザを食べながらご主人に話をうかがっていて思いました。この席の配置は、着席した人全員の顔が見られる配置なのです。ピザ、ビールを片手にさっぱりした気持ちで語り合う、銭湯が本来持つ役割「地域の交流の場」としての機能が、ピザのおかげでパワーアップしているように感じました。

銭湯で提供しているピザ。疑問符だらけで取材に来ましたが、そんじょそこらのイタリアンよりうまいです。加えて風呂あがりというコンディションが今まで経験したことのないうまさを演出してくれます。浸かって食らってください!

 

お店情報

蒲田福の湯

住所:東京都大田区蒲田1-12-15
電話番号:03-3732-1245
営業時間:14:00~24:30
ピザの販売は、土曜日・日曜日・祝日の17:00~24:00(用意した生地がなくなり次第終了)

定休日:木曜日

※金額はすべて消費税込みです。
※記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。 

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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「味噌漬けの豚をケバブにしたら絶対うまいよな……」秩父温泉満願の湯にあるよ! 温泉も飲めるよ!

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日本でよく見かけるようになったケバブ。実は日本に限らず世界中で流行しています。

そんなケバブの中身を、秩父の伝統特産品である豚味噌を挟んで提供している入浴施設があるのだそうです。入浴施設にしては攻めたメニュー……。気になったので、「風呂デューサー」でもある私、毎川直也が行ってきました。

 

秩父山中に佇む秘湯「秩父温泉 満願の湯」

新宿から車で1時間30分、今回の取材先は秩父にある「秩父温泉 満願の湯」です。
電車の場合は秩父鉄道皆野駅、長瀞駅から無料送迎が出ており、電話一本で駆けつけてくれます(要相談)。

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カーナビが示したところに到着すると深山幽谷に映える赤い欄干の橋と提灯がお出迎え。なんだろうこの異界感……! 私の心がざわついています。

 

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橋を渡った先にあるこちらの施設が「秩父温泉 満願の湯」です。この地域には天長元年(824年)、大干ばつに見舞われた際に、住民たちを救った湧き水の伝説があります。

「この伝説があるということは、掘ったら温泉が出るのでは?」と考えたオーナーは掘削を開始。湧き出た水は「必ず願いが満つる湯」、満願の湯と名付けられ、1997年に開業しました。由緒正しい……が、ケバブの要素がないぞ……!

 

超貴重! 飲める温泉!

受付を済ませ、早速風呂に入りましょう。

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広々とした内湯は二辺が窓に面し、悪天候でも自然光が差し込みます。ほぼ露天風呂ですね。熱すぎない適温の湯に浸かると、穏やかに流れていく時間……日が傾かないと時間の経過に気づけません。

 

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こちらは露天風呂、黄金の湯です。滝が落ちる様子を眺めながら入浴……立地が最高の湯船ではないですか! 温泉はpH9.3というアルカリ性の強い泉質で、少しぬるっとした感覚があります。
露天風呂は2種類あり、水曜日に男女が入れ替わります。

 

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秩父温泉 満願の湯」、最大の特徴は温泉を飲めるという点です。男女の露天風呂と、施設入り口に飲泉所が用意されています。
飲泉許可が降りている施設は大変貴重。風呂デューサーとしては、満願の湯に来たからには必ず体験してほしい設備です。ゴロゴロっとした硫黄の口触りから始まり、喉を通るとほんのりと甘みを感じるクセのない味でした。

 

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内湯にある水風呂では、加温をしていない状態を楽しむことができます。
条例に基づいた消毒がなされていますが、浸かることのできる最も源泉に近い湯船です。ここに浸からずして満願の湯に来たとは言えません。ケバブより重要といっても過言ではありません。

 

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露天風呂で撮影していると、カブトムシを発見。いかに自然あふれる環境に温泉が湧いているか、あらためて実感しました。

 

味噌百面相!

風呂あがりのメシは3割増しでうまい。
コンディションが整ったところで、ケバブを食べに行きましょう。

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満願の湯には、食事がとれる部屋が貸切も含めて全6部屋、250人近く収容できます。
今回、豚味噌を食べるのはこちらの部屋「宝登山(ほどさん)」。宝登山は秩父に実際にある山で、他の部屋も秩父の地名を拝借しています。地元愛が温泉のようにあったかい!

 

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ケバブの前に、秩父の味噌グルメを確認してみました。味噌こんにゃくと味噌ポテト、秩父では小昼飯(こじゅうはん)と呼ばれる、いわゆるおやつです。

甘味のある味噌はこんにゃくの汁気とうまく混ざり、低カロリーだけど甘い! 飽食の時代である現代、間違いなくニーズがありそうです。

そしてもはや説明不要なほど秩父のB級グルメとして有名になった味噌ポテト、安定したレベルの高さに驚きました。じゃがいもと味噌の甘みが永久に口の中で楽しめます。食べる数を決めておかないと、おやつの範疇では収まらない可能性大です。

 

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小昼飯はおやつのレベルを超えていました。見た感じうまいに違いない豚味噌丼でさえも、すでにハードルが高くなっています。いきおいで味噌ポテトいっぱい食べちゃったからなぁ……私のコンディションも万全とは言い難い。果たしてうまいのか?

 

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柔っっっ!!!! 目隠しされていたら肉という判断が下せないぞ……。
しっかり主張してくる肉の脂、味噌とは違った甘みを持っていますね。
2種類の甘みとほんのりとした塩気が最高にうまいです!

 

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伝統と地元愛に満ち満ちた満願の湯。そんなメニューのなかで一歩攻めた味噌料理「豚みそケバブ」、いってみましょう。ケバブと豚味噌の相性、想像の範囲でうまいのはなんとなくわかります。実際はどうなのか。

 

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食らいつく前に断面をしっかりと見ておきましょう。ピタパンに豚味噌とトマト、レタスを挟んでいますね。顔と比較すると結構デカいです。このサイズ感で価格は680円。フライドポテトもついているので、男性でも十分にお腹いっぱいになれる分量。お得なのです。

 

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勢いでつくったクオリティじゃない……! ケバブとして完成されている!! 新開発メニューにもかかわらず素材全ての相性がかみ合い、王道のうま味を備えています。野菜やソースを変えることで、この先の姿がありそう。うまいだけでなく今後の期待を楽しめる、これはすごいメシだ!

 

秩父温泉 満願の湯」の異界へ

あーうまかった! 満腹になったら部屋で休むことができます。
1階の大広間へ行ってみました。

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一見普通の大広間ですが、奥の舞台を見てください。
「花の満願演芸劇場」です。

 

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満願の湯は、大広間でカラオケができる入浴施設なのです。毎週水曜日にはカラオケ歌合戦が開かれるほどの目玉イベントとなっています。

 

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選曲方法も超レトロ。リクエストカードに曲を記入しステージ脇の窓口に渡します。
順番になると名前と曲名が読み上げられ、最高に場が暖まった状態から歌うことができるのです。窓口が開いているのは17時まで。以降はコイン投入式になるので、経験したいかたは昼間にお越しください。

 

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しばらくすると常連のお客さん達が歌い始めました。みなさん超ハイレベル! どこか懐かしいこの感覚、脳にはよさそうな気がします。ここで豚味噌を食べたらまた味わいが違うんだろうなぁ……。

 

温泉で知った味噌の可能性

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B級グルメとして大ブレイクした「味噌ポテト」。
デザートの甘みを持つ「味噌こんにゃく」。
ガッツリ満腹、王道のうまさ「豚味噌丼」。
出来た瞬間から高い完成度「豚みそケバブ」。

単純に味噌と言っても、組み合わせる食材でいかようにも変わる、深いポテンシャルを持っていました。「一歩攻めた伝統食」、近い未来、食事情のキーワードになりそうな気がします。

 

お店情報

秩父温泉 満願の湯

住所:埼玉秩父郡皆野町大字下日野沢4000
電話番号:0494-62-3026
営業時間:10:00~21:00
定休日:年中無休(施設点検のための休業があり)
公式サイト:秩父温泉 満願の湯

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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