【かつ丼】食欲もモリモリ!?アップアップガールズ(仮)森咲樹の“かつドル”への道【アイドルめし】

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2011年結成、鍛え抜かれた肉体と激しいライブパフォーマンスで「体育会アイドルグループ」との呼び声も高い7人組アイドルグループ、アップアップガールズ(仮)、通称「アプガ」。

2016年11月8日には初となる武道館単独公演「武道館大決戦(仮称)」を控え、その勢いはますます加速している。そんなアプガのなかでも一番の高身長を誇り、スタイル抜群なアイドル。それが森咲樹だ。

彼女の夢は、“かつドル”になること。

 

ちょっとなにを言っているのかわからない『メシ通』読者のために説明すると、森咲樹こと森ティー大のかつ丼好き。

常日頃からSNSではかつ丼に対する愛を語り、この取材前日のSNSにも「明日はかつ丼の仕事なんです!」と言っちゃうくらいなのだ。恐らく、「かつ丼の仕事」という単語を使うことは人生の中でそうそうないことだろう。

そんな森ティーのかつ丼の仕事を遂行すべく、我々は四谷・荒木町とへと向かった。

 

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今回訪れた「とんかつ鈴新」は創業60年、お店の看板にもなっているご主人が2代目となる老舗とんかつ店。ランチタイムともなればお店の外まで列をなすお店だ。数々のメディアにも登場し、とんかつ通の間には名の知れた名店でもある。

 

とんかつはもちろんのこと、かつ丼がとにかく美味い。揚げたてのかつをたまねぎと特製タレで煮て卵でとじた「煮かつ丼」、ごはんの上に揚げたてのかつをのせたサクサク感のたまらない「かけかつ丼」、特製ソースたっぷり、だけど大根おろしを添えてさっぱりといただける「そうすかつ重」。どうやらこの三種類のかつ丼のことを「鈴新」では「かつ丼三兄弟」と呼んでいるようだ。

 

そんな有名店に、チェーン店でしかかつ丼を味わったことのないという、森ティーを投入したらどんな化学反応が見られるのだろうか。楽しみである。

 

「かつドル」森ティー、かつ丼ファン垂涎の「かけカツ丼」を初体験!

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「肉!!」

思わずそう叫んでしまいたくなる存在感の、すごい豚肉が登場しました。

 

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「鈴新」の名物店主である鈴木洋一さん。まさに東京のとんかつ界の重鎮であります。熟練の手つきで茨城県産のヨークシャー肉を贅沢にスライスしていきます。

 

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「スーパーとかで売ってるラードは白いでしょ? あれは着色料を使ってるの。うちのラードはちょっと茶色いでしょ? これが自然な色なんですよ。サラダ油は使わないでラード100パーセント使用してるんです」

 

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「かつから湯気が立ってきたら揚がった証拠なんですよ」

 

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「湯気が見えます……!」と興奮気味に語る森ティー。こんがりきつね色に揚がったかつを包丁で切る音が心地良い。

 

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「ああもう、この音をケータイの着信音にしたい!」

その気持ち、よくわかります。では、さっそくいただきましょう。

 

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「どうしよう……緊張する……

 

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▲かけかつ丼(1,200円)

 

最初に食べていただいたのはこれ。このお店一番の好評メニューだという。

 

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それでは森さんが完全に素の表情でかつ丼を堪能する姿を動画でご覧ください!

 

 

「幸せです……。なんだかすごく神聖なモノを食べる気分……

口の中に入れた瞬間、サクサクっと小気味いい音が聞こえます。

 

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「うふふ……

無意識なんだろうか。食べている最中に自然と笑みがこぼれています。

「お肉だけじゃなくてたまねぎも味わいたい人なんですよ。このかつ丼はたまねぎも甘いです。カツ丼は人を幸せにしますね」

 

“かつ丼同盟”にファンを勧誘中!

──以前、SNS上で「かつ丼ツアーをやりたい!」って言ってましたよね。

 

森咲樹「ファンの人と一緒にいろんな地域に行ってそこのかつ丼が食べたいんです。新潟のタレかつ丼とか名古屋のみそかつ丼とかいいですよね。卵とじ丼も食べたいから23日の日程でやりたいです!」

 

──結構な倍率になりそうですね。

 

森咲樹「握手会とかでファンの人をかつ丼同盟に勧誘してるんですよ。意外と入ってくれる人が多いから結構倍率は高いかもしれないですね」

 

──森さんがかつ丼に関する発言が多いからファンの人も自然とかつ丼好きになってしまうのでは?

 

森咲樹「そうです!『森ちゃんのせいでかつ丼食べたくなっちゃったよ』とか言われたりしますもん。ファンの方の中でかつ丼が嫌いな人がいるんですけど、『森ちゃんのおかげでかつ丼が好きになったよ』って言ってもらえたんですよ~!」

 

──ここまでくると“かつドル”を超えて“かつ丼大使”ですね。

 

森咲樹「かつ丼は世界で1番好きなんです!」

 

そんな森さんの表情を見て、「よかったね。大好きなかつ丼の仕事がきて……」としみじみと語るマネージャーさんなのであった。

 

──ところであと2種類食べていただきますが、お腹の方は大丈夫ですか?

 

森咲樹「大丈夫です! コンディション整えてきたんで!

 

さすが体育会系アイドル! まるでアスリートのような発言です。

お米は新潟のコシヒカリを使用。炊き方はシーズンによって変えているようで、新米のときは水を少なめで炊いているのだとか。盛り方にもこだわりがあるらしく、ご飯の中に空気が入るようにフワッと盛るのがポイント。しかし、こだわりはこれだけではありません。

 

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▲そうすかつ重(1,200円)

 

鈴木洋一さん「これは特別なソースを使ってるんですよ。ソースかつ丼のソースにプラスアルファが入っていて、通常よりちょっと辛めなんです。我々は白い山脈って呼んでます」

 

おろしの白が下のソースに映えてとても綺麗です。

 

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「断片すご~い!! サクサクもしてるし、タレがおいしい。シンプルだからタレの味が感じられます。おろしのさっぱりさがあるからどんどん箸が進んじゃいますね!

 

森咲樹「豚汁にもなにか秘密があるように感じる!」

 

鈴木洋一さん「豚汁はね、自家製でいろんな具をいっぱい入れてるんですよ。いろんなエキスが出てくるから時間が経つほどおいしくなるんですよ」

 

森咲樹「鈴新さんのかつ丼はたまねぎもやわらかすぎず、シャキシャキとした歯ごたえがあって、お肉も肉厚だし、パーフェクトです!点数をつけるとしたら200万点!!」

 

いろんな食材が最上級な顔を見せてくれる

──「鈴新」のかつ丼を他のものに例えると何ですか?

 

森咲樹「アプガのライブみたいですね! それぞれ最上級のパフォーマンスを魅せるというのがアプガのライブなんですが、ここのお店のかつ丼もいろんな食材が最上級な顔を見せてくれるから似てるなって思います!」

 

──森さんもゲン担ぎの意味でかつ丼を食べたりしますか?

 

森咲樹「自分自身にを入れるときに食べますね。先日、Zeppツアーが終わったんですが、Zeppツアーの初日の前には気合を入れる意味でも、夜遅くに一人でかつ丼を食べに行きました。それ以外にも、気持ち的に落ち込んじゃってるときなんかにも食べたりしますね」

 

──夜遅くにかつ丼を食べることもあると言っていましたが、なぜそんなにスタイル抜群なんでしょうか?

 

森咲樹「やっぱり、ライブですね。アプガのライブはスポーツ並みに激しいですからね。アプガのライブがあるから好きなものを気にせずに食べられるのかもしれません」

 

──アプガの衣装って基本的に袖がないものが多いですよね。それはいつでもアッパーカットできるようにですか?

 

森咲樹「それもありますが、あとは腕の筋肉がきれいに見えるようにするっていう意味もありますね。生地量が少ない方が可動域も少なくていいからっていうのもあるのかな(笑)」

 

そう答える森ティーの丼を持ち上げる上腕二頭筋も、ハッとするほど美しいのであった。

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人生は一度きりだから食べることで後悔したくない

──森さんは食べることが好きですが、アプガのメンバーの中で一番の食いしん坊は?

 

森咲樹「私ですね(笑)。食い意地もすごく張ってるし、他のメンバーからも『森ティーってごはん食べるときは怖いよね』って言われたりもするんです。森ティーのテリトリーの中にあるものは取るなというのが暗黙の了解になりました」

 

──今回ですね、実は森さんに内緒で他のアプガメンバー全員からアンケートを取ってきました!

 

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「えぇぇぇぇぇ!! なにそれ!」

 

──そちらでも全員一致で森さんが「アプガでいちばんの食いしん坊」だという結果が出ています。

 

森咲樹「……やっぱり!!(笑)」

 

そんなアンケートの中から印象的な回答をご覧いただきましょう。

 

佐保明梨佐保明梨:森ティーとごはんに行くと、だいたいお店の人と仲良しでサービスをしてくれます。

 

古川小夏古川小夏:みんなでごはん食べようって日に、なぜか森だけごはんを食べてから来たことがありました。

 

新井愛瞳新井愛瞳:食べることになると、人が変わったかのように夢中になってしまうんです。

 

佐藤綾乃佐藤綾乃:ごはんを食べていると、森咲樹の視線を感じる。

 

──以上、メンバーからのご報告でした。これはもう森さん、前世で餓死していたレベルじゃないでしょうか(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20160816215021j:plain「お腹が空くと、人の話に集中できないんですよ(笑)。だから女子会の前とかでもお腹は少し満たしておかなくちゃいけないし……。それにしても私、そんなに食べている人のこと見つめてたんだ……。これホント、無意識でやってますね。それにしてもこのアンケート、おもしろすぎます。気をつけないと!」

 

──森さんのお寿司に手をつけてしまった佐保さんにいたっては、「トラウマになっている」とのことです……

 

「申し訳ない!(笑)」

 

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結論。森咲樹は、食い意地が異常なまでに張っている。

 

──そんな食い意地の張っている森さんですが、最後に武道館公演に向けて意気込みをお願いします!

「正直、無謀な挑戦だとは思っています。だけどアプガは、これまで無謀なこととか破天荒なことに挑戦してきて絶対に成功させてきたし、それがメンバー同士の絆を深めるきっかけにもなりました。武道館のライブがゴールだとは思っていなくて、次の切符を手にするための通過点だと思っているので、今度の武道館公演は絶対に成功させなくてはいけないと思っています」

 

──ファンの皆さんもすごく楽しみにしています。

「新曲の歌詞のなかで『成功がゴールじゃない』っていうところが大好きなんですよ。失敗を恐れないで、アプガらしく全身全霊で挑みたいと思っています! お祭り騒ぎな武道館公演にしたいと思っているので、普段騒ぐことが好きな人や毎日のお仕事でストレスがたまってるっていう人も、み~んな足を運んでほしいです。今日は来てよかったなって絶対に思わせる公演にします! 気合はモリモリです!

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最後には自身の名前をもじった渾身のアピールも飛び出した。かつ丼パワーで武道館へ! アプガファミリーもここ「鈴新」にライブ前に立ち寄ってみてはいかがだろうか。

 

お店情報

鈴新

住所:東京新宿区荒木町10-28 十番館ビル1F
電話:03-3341-0768

営業時間:11:3013:30、17:0020:30(LO 20:15
定休日:日曜日・祭日

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

JR中央線を代表するタイ料理店! どこをとっても味のあるハンサム食堂【西荻窪】

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そこはまるでアジアの路地

JR西荻窪駅南口。ディープなお店で飲みたいなら断然南口! 出て、すぐに新宿ゴールデン街のような、小さなお店がひしめく通りが見つかる。

ここは異国料理の並ぶ通りで、いろんな国の料理の匂いが混在している。まるでアジアの国を凝縮したような感じ。

 

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路地を進むとハンサム食堂はあった。でっかい提灯に「酒とタイ料理」と書いているだけあって、この二種類がとってもリーズナブルなお値段で食べることができる。

それにしても、この路地。お店がひしめいていて、飽きない。どこに入ろうか迷っていると時間があっという間に過ぎていく。人の流れもすごい。オシャレな雑貨屋さんなどが並ぶ北口とは全然違う! 住人たちは使い分けているのだろうか。

 

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ハンサム食堂の名物は、なんといっても2階にある座敷のフロア。こんなにくつろげるタイ料理店って他にはないでしょう。

 

ただし床で寝るのは禁止!

 

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窓から外を眺めると、まるで京都の床のような風情。下の道では、川の流れのようにひっきりなしに人が流れていく。

 

ちょっとノスタルジー。

 

そんな気持ちにされてくれるのはハンサム食堂だけ! 西荻にこんな風情を感じられるスポットがあるなんて!

 

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ビールで流し込みたい定番ソムタム

さっそくお通しが出てきました!

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これは、スパイスや具材をちょっとずつ、葉で包み、ソースを塗って食べるもの。とっても美味しかったです。

 

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その頃厨房では、驚くような忙しさで料理を作っていました。すみません、僕らだけ楽しんじゃって……。

 

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さて、いよいよビール(中 450円)が来ました。夏に最高なビールを飲んで、いやされましょう!

 

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カンパーイ!

 

さあ、どんどんタイ料理が運ばれてきましたよ!

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まずはソムタム(パパイヤのサラダ 700円)。これがね、辛いんですよ! でもその辛さがやみつきになるんだから不思議。

 

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恐る恐る口に入れてみます……。

 

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やっぱり辛かった! ハンサム食堂では辛さの調節もできるのがうれしいところ。

 

めくるめく、本格タイ料理

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次は、豚肉の皮(300円)。スナック菓子のようでした。コンビニで売っていたら絶対買う!

 

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ガパオライス(1,300円)。海老が豊富に使われていて贅沢。味はもちろん保証済み。

 

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ガイヤーン(450円)。皮はパリッ、肉はジューシーで、もうたまらない美味しさ。

 

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ヤムマーマー(650円)は、タイのインスタントラーメンの麺のサラダ。適度にオカズ感があって、これが結構イケるんです。

 

シメは評判のカレー味で

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そういや、気になっていた、ボードのパクチー梅酒(450円)。パクチー大好きな人にとっては1回は挑戦してみたくなるドリンク。さっそく頼んでみましょう。

 

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この顔で悟ってください! (笑)というのはうそで、パクチー好きにはぜひ飲んでほしいドリンク。パクチーの香りと独特の味がほんのり効いていておいしいんです!

 

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シメは、ムーパッポンカリー(1,200円)、カレーの炒めものですね。たまごとお肉にカレーのスパイスが効いていてとっても美味しい!

そして全体的に値段がリーズナブルなのもいい!

 

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これぞ西荻クオリティ! なお店。ちなみにこの横丁、2軒目として使えるお店もたくさんあります。

ハシゴするもよし、別の通りに行ってみるのもよし、こうして西荻の夜は更けていくのでした。(モデル:オカダサキ)

 

お店情報

ハンサム食堂

住所:東京都杉並区西荻南 3-11-5
電話番号: 03-3335-5468
営業時間:18:00~翌1:00(変動あり)

定休日:月曜日、第一、第三日曜日あとの月曜日、火曜日が休
公式Instagram:https://www.instagram.com/handsome_delica/?hl=ja

※金額はすべて消費税別です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:神田桂一

神田桂一

ライター/編集者。『POPEYE』『スペクテイター』『ケトル』などカルチャー誌で執筆したり、Yahoo!特集でルポルタージュなども。グルメ系では『dancyu』。趣味は旅行。台湾好き。

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【閉店】キッシュは食べる宝箱。うまい食材がぎっしり詰まった幸福感がハンパないキッシュ

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キッシュの女王がいるらしい

 こんにちは。メシ通レポーターの放送作家、吉村智樹です。

突然ですが、

キッシュって、おいしいですよね!

 

さっくりした食感の生地が、肉や魚、野菜など色とりどりな具材を包み、表面はチーズが焦げてカリッカリ。
フォークをさして口へ運べば、硬→柔→硬、さくっ→とろっ→さくっ。
さまざまな異なる食感がリズミカルに踊り、おいしいだけじゃなく、食べていて、とっても楽しいんです。 

次々といろんな食感が迫りくる食のパレード、キッシュ。
フランスからやってきたキッシュは、いまやカフェめしのエースとして日本でもすっかり定着しました。

 

そんなキッシュを焼かせたら右に出る者なしと評判を呼ぶ女性シェフがいると聞き、会いに行ってきたんです。

 

海が見える街にある蜜蜂印のお店

やってきたのは大阪南部。

「泉州」(せんしゅう)と呼ばれるエリアに位置する泉佐野市(いずみさのし)。

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大阪湾を臨むJR・南海各線「りんくうタウン」駅を降りると、高さ85mもの大観覧車「りんくうの星」がお出迎え。

 

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ビーチに立つと関西国際空港へと続く長い長い連絡橋が見えます。
さらに海岸に沿うように横たわるのが、マンモスショッピングモール「りんくうプレミアム・アウトレット」。

 

キッシュがおいしいと評判のお店「Flour bee*(フラワービー)」は、さわやかな潮風が吹き抜けるこのシーサイドの街にありました。

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海の家を思わせるオープンテラスもある、ウッディなつくりの愛らしいカフェです。

 

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店名には「花に蜜蜂が集まるように、お客さんが集うお店に」という願いが込められているのだそう。

 
扉を開けると、自然素材の珪藻土(けいそうど)を塗った壁に、店名の通りハチの巣のような棚がしつらえられ、目をひきます。

 

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床も古民家の木材が再利用され、フランスの田舎にあるような、素朴なムードに包まれています。

 

女王が生み出す一年がかりの味

こちらがキッシュのおいしさに定評がある「Flour bee*(フラワービー)」のオーナーシェフ、山﨑こず恵さん

 

さっそくベースとなる生地(直径18センチ)を見せていただきました。

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山﨑さんがいま手に持っているのが、型から抜いた生地。

 

パイ生地やデニッシュ生地を使われるお店が多いんですが、うちは本場フランスでよく使う“ブリゼ生地”でキッシュを作ります。ブリゼとはフランス語で「ほろほろとした」という意味で、かむとほろりと砕けるのが特徴です。言わば甘くないクッキーですね。材料は北海道産の薄力粉と全粒粉、水と塩とよつ葉バター。これを型に敷いて、まずいったん冷凍します。(山﨑さん)

 

え! 生地の段階で冷凍するんですか?

 

冷凍してからでないと生地に焼き縮みが起きるし、時間をおかないとさくさくした食感にならないんです。そして解凍した生地に金属製の“タルトストーン”という重石を入れて焼き、重石をとってさらに空焼きします。(山崎さん)

 

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▲この金属のつぶつぶがタルトストーン。成型のための重しになる

 

ええ! 生地の段階で2回も焼くんですか?

 

はい。それだけではなく、さらに生地に液体を注いでまた焼きます。ですからキッシュって、計3回、焼くんです。実はキッシュって時間と手間がかかるんですよ。(山崎さん)

 

3回も焼くんですか。

そんなに手間暇が……。

もっと簡単な料理なのかと勝手に思いこんでいました……。

 

そうなんです。「キッシュってどれくらいの時間でできますか?」ってよく聞かれるんですけど、生地から手づくりなので最低3日。さらに生産者さんから直接野菜を入手できる関係を築けたのも一年がかりでしたし……。うちのキッシュができるまでは一年以上かかりますねなのでキッシュの専門店ってなかなか続かないんですよ。手間がかかりすぎるので、辞めてしまわれる方が多いんです。(山崎さん)

 

キッシュひとつができるまでに一年……。
この厚い生地のなかには熟成された時間がぎゅっと詰まっているんですね。

 

そして空焼きを終えた生地がこちら。

 

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火が通った全粒粉が甘い香りを放ち、このまま割ってオートミールクッキーとして食べても充分おいしそう。


それに分厚さにびっくり!

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計ってみると厚さが8ミリもありますね

 

生地にここまで厚みをもたせたお店は少ないでしょうね。国産小麦のうまみと食感を楽しんでいただくために、思いっきり厚くしています。(山崎さん)

 

小麦粉の風味を存分に堪能できるさくさく生地のキッシュ、ますます、できあがりが楽しみです!

 

和食? と見まがう意外な食材が

ではさっそく、数ある定番キッシュのなかでも特に評判というオリジナルメニュー「田尻(たじり)漁港直送炭火焼き穴子と青ねぎたっぷりキッシュ」(単品 830円、サラダ付き 930円 テイクアウト 780円)をオーダー。

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おお、これですか!

穴子に青ねぎだなんて、まるで和食のような組み合わせ。
確かに穴子は地元である泉州沖の名物。
とはいえ、それがフランスの郷土料理であるキッシュの具材になるとは、意表を突かれます。


正直、ミスマッチな気が……。


では(おそるおそる)いただきます。

 

お? お? ……こ、これはうまい!
漁師さん秘伝のたれを塗った炭火焼き穴子と、地元泉州産の青ねぎがクリームをまとって蒸し焼きにされ、ふんわかした食感に。
たとえるなら、洋風の茶碗蒸し。

 

厚みたっぷりな生地も劇的においしい。
生地に穴子のたれがしみこみ、ざくざくとろりとした食感がこたえられません。

 

なにより素材のフレッシュさが驚異
穴子の身は淡白なのにうま味がほとばしり、ふくいくたる磯の香りが広がります。
青ねぎは目がさめるほど爽快な甘みが。
千切りになった海苔がそよぎ、これまたオツな味。
ビールはもちろん、清酒にも合いそうな、よそではお目にかかれないキッシュです。

 

穴子など魚介はこのお店からすぐ近くにある田尻漁港へ自分で買いだしに行き、近海ものを仕入れます。青ねぎも地元泉州の生産者さんの畑へ行って直接受け取っているんです。そんなふうに、素材の入手に時間がかかるけれど、できるかぎり地元のものを使います。私はキッシュは食べる宝箱だと思っているので、地元の宝をふんだんに詰めたいんです。(山崎さん)

 

キッシュは食べる宝箱!
いい言葉ですね~。


そして山﨑さんはお宝の鑑定人。
実は山﨑さん、野菜ソムリエのなかでも具体的な成果をあげて活躍している人にしか与えられない「アクティブ野菜ソムリエ」の称号を取得しているエキスパートなのです。
そんな山﨑さんがわざわざ畑へ出向いて厳選した野菜は、宝石さながらの輝きを放っています。

 

「水なすLOVE」がとまらない

さて、こちら「Flour bee*(フラワービー)」ではいくつかの定番キッシュのほかに、その日の旬の素材を使った日替わりメニューがあるのです。


そこで、「アクティブ野菜ソムリエ」の山﨑さんが吟味した地元の新鮮野菜と近海の幸でひと品、日替わりキッシュを焼いていただくことにしました。

 

では季節限定でお出ししている、泉州を代表する野菜のひとつ「水なす」と、田尻魚港にあがったばかりの真鯛でキッシュを作ってみます。「水なす」の旬は春から晩夏までで、お店に出すのは9月いっぱいという感じですね。(山崎さん)

 

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ぷっくりまんまるな「水なす」は、ここ泉州が本場。
大阪に夏を呼ぶジューシーな野菜ですね。

 

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山﨑さん、「水なす」は自ら生産者の元へ出向き、厳選します。


そして野菜ソムリエの山﨑さんにとって、この「水なす」は特に思い入れの強い野菜なのだとか。

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▲我が子のように「水なす」を愛でる山﨑さん

 

山﨑さんは埼玉県のご出身。
泉州人のご主人と結婚するまで、「水なす」を口にしたことはなかったといいます。

 

はじめていただいたのは大阪へ嫁ぐのに送別会として友人がセレクトしてくれた六本木のフレンチのお店でです。料理で出された「泉州水なす」を食べて「なにこれ! フルーツみたい!」って驚いたんです。甘くて、みずみずしい。そしてここ泉州に越してきて、「水なす」のおいしさをもっと多くの人に知ってほしいと思ったんです。私が野菜ソムリエを志したのは、「水なす」がきっかけ。「水なす」に出会っていなかったら、私は野菜ソムリエになっていなかったでしょうね。(山崎さん)

 

なんと! 「水なす」は山﨑さんを人生をも変えてしまったのです
水なすを愛するあまり、つやつや光る水なすの皮から抽出した色素で、独自の調味料「泉州水なす塩」まで開発してしまうほどに

いろんなシェフがいますが、塩まで自作してしまう人は稀有でしょう

 

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三種類ある「泉州水なす塩」は、かすかになすのいい香りが。

採れたてで、しっかり張った皮から色素を抽出しないと、みずみずしい紫にならないのだとか。

 

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「泉州水なす塩」を使ったアイスドリンク「Aubergine (オベルジーヌ)」(580円)も評判。

カシスの果肉が入った紫の層、グレープフルーツジュースの層。ツートンカラーがきれいです。そしてグラスのふちには「泉州水なす塩」。
「ソルティドッグのように味わってほしい」とのこと。

 

毎日の旬を日替わりキッシュに

ではいよいよ「日替わりキッシュ」のクッキング開始!

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職人さんが漁港で三枚におろした真鯛に、塩で下味をつけ、15分ほど味をなじませます。

 

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「水なす」は豪快に輪切りに。

 

輪切りと決まっているわけじゃないんです。水なすの水分量や、その日にあがった魚介類の種類や状態によって切り方や切る厚さが変わります。キッシュってレシピがあってないようなもの。素材の状況を見て切り方や調味料の分量を変化させなきゃおいしくならない。その加減が難しいですね。(山崎さん)

 

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鯛をソテーする油はビタミンEが豊富な「こめ油」。

 

「こめ油」は、ちょっと値段がお高いんですが、火を入れても油の味が劣化しないのがいいですね。(山崎さん)


熱したフライパンに、こめ油とおろしたニンニクを溶き入れ、鯛の切り身を敷いてゆきます。

 

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ぢゅぅう~。


熱をいれるにしたがい、焼けたこめ油とにんにくに鯛の切り身からおつゆがにじみ出て、この時点で、くらくらするほどいい香り。

 

今日は真鯛を使っていますが、日によってスズキだったりコロダイだったり。クエの仲間で真っ赤な「赤っぽ」という稀少魚を使うこともあります。田尻漁港は近海のいい魚があがるので、いろんな魚をキッシュで味わっていただきたいんです。(山崎さん)

 

ソテーした真鯛をとりだし、うまみたっぷりなソースが残っているうちに、輪切りにした「水なす」を投入。

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鯛の身から出たうまみエキスに「水なす」をからめます。

 

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果汁豊富な「水なす」は、火を通すと琥珀のような色合いに。

 

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ていねいに骨を取り除いてほぐした鯛、熱した「水なす」を2度焼きした生地に重ねます。

「水なす」は丸ごと2個分も! お宝が満載です。

 

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チーズをふんだんに乗せ、表面を覆います。

 

具材を置き終えるとキッシュのかなめ「アパレイユ液」(よつ葉牛乳、生クリーム、卵、塩、こしょう)を注ぎ、40分ほど3度目の焼きを入れます。

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アパレイユ液の分量も、食材の状況次第で変化します。

 

素材が新鮮なので、「アパレイユ液」の味つけはシンプルに塩だけ。そのぶん、塩の分量の見極めが命です。(山崎さん)

 

山﨑さんは何度もテイスティングをして味を調整していました。
その表情は、話しかけることができないほど真剣なもの

 

40分後、遂に焼きあがりました!

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おお! 

見た目にも表面がカリッとしていて、おいしそう!
分厚い生地に包まれてローストされ、はぜるチーズ。

 

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この下には「アパレイユ液」に浸って、蒸し焼きになったお宝たちがざくざく忍んでいるのです。

 

しばらく寝かせ、いよいよ、切り分けます。

ざくり。

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お皿に盛りつけます。

 

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できました!

「田尻漁港直送泉州産真鯛と泉州水なすのキッシュ」(単品 880円、サラダ付き 980円)。

ぷりっ、ずしっとした真鯛と、人生を変えた愛する「水なす」。

素材からにじみ出たジュースがさくさくの生地にも染みわたり、最高の出来です。

*入れる具材はその日によって変わります。

 

キッシュはもともとが家庭料理。だから「こう作らなきゃいけない」というルールはありません。なので自分の思いを詰めやすい。キッシュは自分を表現できる料理なのかなと思います。(山崎さん)

 

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鮮度抜群な大阪泉州の自然の恵みと、山﨑さんの地元愛が詰まった、食べる宝箱。

ぜひ味わってみてください。
「行きたいけど、遠方なので」という方、「Loveキッシュ」という通販レーベルもありますよ。

 

お店情報

【閉店】Flour bee*(フラワービー)

住所:大阪府泉佐野市羽倉崎4‐2-11
電話:072‐415-3232
営業時間:11:00~17:30(LO 17:00)
定休日:日曜日・月曜日・火曜日(2016年9月20日より火曜も営業)
ウェブサイト:http://www.flourbee.com/

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:吉村智樹

吉村智樹

よしむらともき。関西ローカル番組を構成する放送作家。京都在住。街歩きをライフワークとし、『VOWやねん!』ほか関西版VOW三部作(宝島社)、『ジワジワ来る関西』(扶桑社)、『街がいさがし』(オークラ出版)、『ビックリ仰天! 食べ歩きの旅』(鹿砦社)など路上観察系の書籍を数多く上梓している。

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これぞTHE日本のカレー! 味もパッケージも懐かしい「オリエンタルカレー」を知ってるか【名古屋】

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子どもからお年寄りまでみんな大好きなカレー。街に出れば、インドカレーやタイカレー、欧風カレーなど多種多様なカレーが楽しめるが、やはり家で食べるカレーに勝るものはない。

 

そこで味の決め手となるのは、カレールー。どこの家庭の「ウチはこれでないとダメ」というこだわりがあると思う。生まれも育ちも名古屋の私はコレ!

 

それがオリエンタルの「即席カレー」である。

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 ▲「即席カレー」151円 ※公式HPオンラインショッピングの価格

 

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えっ、知らないって!? 名古屋では定番中の定番なんだけどなぁ……。

オリエンタルの歴史については後でじっくりと説明するとして、この「即席カレー」は、多くのメーカーが採用している固形タイプではなく粉末タイプなのが最大の特徴なのだ。

 

日本の本格的ルータイプ、インスタントカレーの元祖

ってことで、もっとこのカレーについて知りたくて、愛知県稲沢市にある株式会社オリエンタルへ話をうかがいに行ってきた。

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ご対応くださったのは、株式会社オリエンタルの参与で、長年にわたって研究開発室で新商品の企画・開発に携わってきた山内正雄さん。

 

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最近のカレールーは調味料脂肪分が多いのですが、オリエンタル「即席カレー」は粉末ですから、控えめになります。だから肉や魚介、野菜などカレーに入れる具材によって味が大きく左右されます。そこにカレーが家庭の味といわれる所以があると思います。(山内さん)

 

 「即席カレー」が発売されたのは、終戦直後の昭和20年11月。にもかかわらず、レシピや味は当時とほとんど変わっていないという。つまり、辛さや香りのバランスなどカレールーとして完成されていたということだ。

 

戦前からカレーライスは洋風料理として人気でしたが、家庭で作る際に炒めた小麦粉にカレー粉を混ぜなければならず、これが手間のかかる作業だったんです。戦後、弊社の創業者である星野益一郎は、カレーが家庭料理として普及しつつあることに着目し、もっと簡単に作ることができれば売れると考えました。そこで考案したのが、小麦粉にバターや牛脂を混ぜて焼き、カレー粉と調味料まで入った本格的なカレールー。日本のインスタントカレールーの原点はこのときに完成した、弊社の「即席カレー」です。(山内さん)

 

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▲ 創業者・星野益一郎氏(写真提供:株式会社オリエンタル)

 

しかし、当時は庶民にとって、カレーは高嶺の花どころか、食べたことさえない人も多かった。そこで星野益一郎氏は自らリヤカーに商品を積んで、街へ出て販売した。

昭和28年にはそんな地道な販促活動が実り、知名度が上がると「オリエンタルカレーの唄」を作り、4トントラックを改造した宣伝カーで仙台から沖縄まで全国行脚をした。

 

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▲宣伝カーによるPR(写真提供:株式会社オリエンタル)

 

私の出身は滋賀県の田舎町ですが、そこにも宣伝カーが来ましてね。母親が「即席カレー」を買ってくれて、生まれて初めてカレーを食べました。6歳のときです。しかし「即席カレー」は1袋で5人前なんですね。私は10人家族でしたから、倍に薄めなければなりません。カレー風味の野菜水煮のようなものでした。肉は高価でしたから代わりにサバ缶を入れていました。それでも美味しかった! 今でも食べたときの感動ははっきりと覚えています。(山内さん)

 

今のように甘口や辛口、中辛といったものもなく、辛いのが苦手な人にはトマトをふんだんに使用した「即席ハヤシドビー」、すなわちインスタントハヤシを用意していた。

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 ▲「即席ハヤシドビー」151円

 

余談だが、私の両親はこれをお湯で溶いて、とんかつにかけて食べていた。デミグラスソースと同じだから、そりゃ旨いに決まっている。

 

レトロなパッケージと家庭の味わい

さて、ここからはオリエンタルの商品を紹介しよう。まずは、「即席カレー」に次ぐ人気を博しているのが昭和37年に発売された「オリエンタル・マースカレー」。

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 ▲「マースカレー」(130g)216円

カレールーとは別に添えられている特製マースチャツネを入れてじっくり煮込むと味に深みが出る。こちらも「即席カレー」と同様に家庭の味にこだわったやさしい味わい。レトロなパッケージデザインも◎。 

 

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▲左「マースカレー レトルト版」、右「マースカレー 辛口 レトルト版」各248円

どこか懐かしい味の「マースカレー レトルト版」。ノーマルのほか辛口も用意。

 

こちらは「マースハヤシ レトルト版」。ハヤシにもマースチャツネがじっくりと煮込まれている。

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 ▲「マースハヤシ レトルト版」248円

 

厳選した香辛料を用いて、牛肉や野菜、果物を調理して十分に煮込んだ「濃縮生乃カレー」。肉や野菜を加えれば、カレー専門店にも負けない本格的な味になる。こちらは商品名の通り、濃縮タイプ。1袋で2~3皿分作ることができるのでかなりお得。

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▲「濃縮生乃カレー」388円

 

当時「濃縮生乃カレー」はテレビCMで大々的にPRしていて、私もよく覚えている。「よそ様とちょっと違う手作りの味」というフレーズが印象的。

この「よそ様」とは、「よその家」を指すが、実は違う意味も込められている。

 

当時、レトルトカレーは便利な反面、味が今ひとつといわれていました。それを覆そうと作ったのが、この「濃縮生乃カレー」です。(山内さん)

 

つまり「よそ様」とは「ほかのメーカー」という意味でもあるのだ。ここにオリエンタルの、老舗カレーメーカーとしての自信と誇りがうかがえる。

 

 

オリエンタルのテレビCMでほかに私が印象に残っているのは、トロピカルフルーツのジュース、「グァバ」。昭和50年代には、オリエンタルは飲料業界にも進出していて、缶コーヒーやコーラ(!)もあった。

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▲「グァバ」(6本入り)822円

 

当時、小学生だった私はCMを見ても「グァバ」の味を想像することができなかった。実際に飲んでみると、かなり甘ったるかったのを覚えている。残念ながら飲料からは撤退したが、この「グァバ」だけは今も作り続けている。

 

本格インドカレーをレトルトで再現

今でこそ、レトルトカレーは多種多様な種類があり、辛さや味はかなり細分化されている。どんなマニアにも対応していると言っても過言ではない。

オリエンタルは30年以上も前にかなりマニアックな商品を生み出している。山内さんが開発を手がけた「男乃カレー」がそれだ。

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▲左/「男乃カレー ビーフ」、右/「男乃カレー チキン」各486円

 

本格的なインドカレーをレトルトで一般家庭の食卓に届ける、というのがコンセプトでした。しかし、インドカレーの生命である香辛料がレトルトの殺菌によって味や風味が大きく変化してしまうのです。試行錯誤を重ねて、香辛料の香味を油に移すことで解決しました。(山内さん)

 

どの程度日本人の味覚に合わせるかも熟慮に熟慮を重ねた。結果、日本人向けに一切アレンジせず、とことん本場の味を追求することにした。

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また「男乃カレー」というインパクト十分のネーミングもかなり難航したという。

 

有力候補が挙がらないまま議論が続き、疲れきっていたときに誰かが冗談で「このカレーは女性や子どもには用がない。辛口が好みの男性だけに食べてもらえばいいのだから、“男のカレー”」と、言ったんです。それがそのまま商品名になりました。(山内さん)

 

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▲山内さんの技術者魂を引き継いだ研究開発室のメンバー。左から中島唯さん、北嶋正治さん、篠田江美さん

 

これまで慣れ親しんだカレーとはまったく違うため、発売当初は「辛すぎる!」というクレームが数多く寄せられた。その反面「今までにない味でとても感動した」「こんなカレーがレトルトで食べられるのはうれしい」という支持する意見も多かった。しかし「男乃カレー」が発売されてから2年後に激辛ブームが到来すると、辛さに対するクレームがピタッと止んだという。

 

今ではエスニック料理のレトルト食品が沢山ありますから、「男乃カレー」は逆に「辛さが足りない」というご意見をいただきます(笑)。新商品の開発は、時代と環境とタイミングだと思います。(山内さん)

 

一昨年、彼らが試行錯誤を繰り返しながら、満を持して発売したのが「香り薫るカレールウ」。これまでオリエンタルがこだわり続けてきた家庭の味ではなく、高級レストランで食べるカレーのようなコクや旨み、香りを見事に再現している。

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▲「香り薫るカレールゥ」410円

 

【閉店】「今スグ食べたい」なら直営店へ!

オリエンタルの商品は東海地方のスーパーや百貨店、公式ホームページでも購入できる。「ルーから作るのが面倒くさい」という方は、中部国際空港(セントレア)や名神高速道路養老SA下りに直営店があるのでご安心を。

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「オリエンタルキッチン セントレア店」では、知多半島産のあいち知多牛や知多豚、元気卵、豊田地区産のお米、ミネアサヒなど地元の食材をふんだんに使ったメニューがズラリ。

カレーソースは玉ネギと赤ワイン、生クリームを使用したオリジナル。ノーマルとスパイシーの2種類から選べるほか、小麦粉を極限まで焙煎した濃厚で深いコクが楽しめるデミハヤシも用意している。

 

 

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▲「知多豚の手打ちカツカレー」1,500円

 

前にも書いたが、オリエンタルが一般家庭にインスタントカレーを普及させた原点は宣伝カーによる販促活動である。現在は宣伝カーこそ使っていないが、今でも関東のスーパーや百貨店を中心にキャンペーン活動を展開していて、詳細はオリエンタルのFacebookページでチェックできる。

関東で商品を見かけたら、即ゲットだ!

 

お店情報

【閉店】オリエンタルキッチン セントレア店

住所:愛知県常滑市セントレア1-1 中部国際空港セントレア4階ちょうちん横丁内
電話番号:0569-38-1720
営業時間:8:00~21:00
定休日:無休

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
 

 

オリエンタルカレー公式ホームページ

  

書いた人:永谷正樹

永谷正樹

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに写真と記事を提供。最近は「きしめん」の魅力にハマり、ほぼ毎日食べ歩いている。

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【閉店】古くから学生に親しまれてきた新潟市「らーめん亭にしやま」の絶品チャーシューメン!

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古くから学生に親しまれてきたお店

新潟市中央区には、高校や大学など多くの学校が並ぶ地域があり、そこには古くから学生に親しまれてきたお店があります。

 

今回ご紹介するお店はこちら。

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▲らーめん亭にしやま

 

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お店の中には「学生割引有り」と書かれた紙が貼られています。

 

多くの学生客がこちらのお店でお腹を満たしてきたのでしょうね。

 

カメラを持ちお店の中を撮影していると、お客さんの一人が

「取材ですね。私はこちらのお店40年通っていますよ。本当に美味しいです」

と声をかけてきてくれました。

恐らくその方も学生時代からこのお店に通い、その味にハマり卒業後も通い続けたのでしょう。

 

ちなみに、数年前に代替わりし、現在では2代目店主がラーメンを作っています。

古くから通う常連さんがその味を認めているという点に、しっかりと味の伝承が行われているという事が想像つきます。

 

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▲メニューの数々

 

写真に写っている以外にも多数のメニューがあります。

たくさんあるので迷ってしまいますね……。

 

こういう時は定番の品からいくものです。

 

注文したは、「チャーシューメン(醤油味)」です。

 

カウンターに座ったため、自分が食べるラーメンを作るところを見る事が出来ました。

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まずは、醤油ダレと油を丼に入れます。

 

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麺はたっぷりのお湯に泳がせ茹で、平ざるで湯切りをします。

 

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茹で上がりに合わせ、スープをこしながら丼に注ぎ入れます。

 

深い味わいの背脂醤油スープ

出来上がりはコチラ!

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▲チャーシューメン(850円)

 

昔ながらの味わいのあっさり醤油味のスープに程よく背脂が浮いています。

 

ちなみに、先代が作っていた頃は、もっとたくさんの背脂が浮いており、
「にしやま=こってり」
というイメージを持っている人も多いかと思います。

2代目店主となり、
「背脂たっぷりで重たくしたくないのと、スープの味をしっかりと味わって欲しい」

という気持ちから背脂を減らし、あっさりめにしたのだとか。
ただ、背脂の量は注文時にお願いすると調節可能なので、以前の様にたっぷりの背脂を浮かせる事も可能です。

 

※ 7年前に先代が作っていた頃の「にしやま」で撮影したチャーシューメンの写真が残っていたので掲載します。

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背脂の量だけでなく、チャーシューの盛り付けの変化や味玉がプラスされていますが、ベースとなるスープの味はほぼ一緒でしたね。

 

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麺は弾力感たっぷりのツルツルモチモチ多加水極太麺です。

 

この麺の歯応えがたまりませんね!

 

スープと麺の相性も抜群です!

 

その美味しさのベースとなるのは、たっぷりの素材の味を抽出したスープです。

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豚骨、鶏がら、背脂の動物系に、煮干、タマネギ、ニンジン、ニンニク、生姜、ネギを加え3時間程煮込んでから取り出し、更に弱火で5時間煮込みます。

 

素材に合った最適な火加減、煮込み時間により、良質なスープを作り上げています。

 

1日かけて仕込んだスープは一晩寝かせ、こした後に翌日営業用として使用します。

 

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▲手前が仕込み中のスープ、奥が営業用スープ

 

新メニュー「マーボーメン」

2代目店主がお店を継ぐ前に中華系のお店で修行してきた経験をいかし新たに発売した一品がこちら。

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▲四川風麻婆麺(850円)

 

山椒が効いたトロみたっぷりの麻婆豆腐がかかっています!

 

「にしやま」の背脂醤油スープと麻婆豆腐が融合した斬新な一杯です。

 

各種サイドメニューもおすすめ

新潟県五泉市の「キムラファーム」が作る新鮮な玉子をかけた「たまごかけご飯」もおすすめとのこと。

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▲たまごかけご飯(250円)

 

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他にも「半チャーハン」も最近好評のメニューらしいです。

 

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中華鍋をふるう二代目店主。

 

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チャーハンが出来上がり!

 

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▲半チャーハン(350円)

 

「たまごかけご飯」や「チャーハン」などのご飯物は、背脂醤油ラーメンのサイドメニューにピッタリな一品です!

  

古くから続く老舗店の味を守りつつも、新たなチャレンジを続ける二代目店主。

 

古き良き味と、これからの変化を感じに「にしやま」 へ行ってみてはいかがでしょうか?

 

お店情報

【閉店】らーめん亭にしやま

住所:新潟新潟市中央区学校町通3番町484-1
電話番号:025-231-3102
営業時間:火曜日~金曜日11:00~14:30、17:30~22:00(LO 21:30)/日曜日・祝日11:00~15:00(LO 14:30)、17:30~21:00(LO 20:30)
定休日:月曜日(祝日は営業)
ウェブサイト:http://ramentei-nishiyama.com/

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:新潟ラーメン.com

新潟ラーメン.com

新潟県内のラーメンを紹介するHPを運営しています。
サイト内では、仕込みに密着しお店のこだわりを紹介するインタビューや、新店情報、限定メニュー告知、クーポンの掲載などを行っています。

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