こんにちは、ライターのキンマサタカです。早いもので、年末がすぐそこまで迫ってきましたね。
ということで今回は、お正月料理の定番「お雑煮」について、料理研究家の樋口直哉さんに取材を実施しました。
知っているようで意外と知らないお雑煮に関する知識や、さまざまなお雑煮の作り方をご紹介していきます。
※取材はオンラインにて実施しました。
そもそもお雑煮の作り方に決まりってあるの?
キンマサタカ(以下、キン):樋口さん、今日はよろしくお願いいたします。
樋口直哉(以下、樋口):こちらこそ、よろしくお願いします。
キン:まず、「雑煮」という漢字にもあるように、なんでも雑多に入れていい=お雑煮というイメージがあるんですが、お雑煮の作り方に決まりはありますか?
樋口:お雑煮には「お餅が入っていること」、「山のものと海のものがそれぞれ具材に入っていること」が多いですが、各地域ごとにお雑煮の作り方や材料が異なっているので、作り方の明確な決まりはないと考えてます。
キン:なるほど、明確な決まりはないんですね。
樋口:各地域の特色を生かしながら定着していった料理なので、いろんな正解があっていい料理だと思います。
お雑煮は大きく2種類に分けることができる
キン:お雑煮って誰もが知っている料理だと思うんですが、頭の中に思い浮かべるイメージはみんなバラバラですよね。そう考えると面白い料理ですね。
逆に言えば選択肢が多いだけに、どうやって作っていくのがいいんでしょうか?
樋口:まずお雑煮は、「出汁ベースのお雑煮」と「白味噌ベースのお雑煮」の2種類に分けることができるんです。
ざっくりですが、関東では出汁ベースのお雑煮が主流で、関西では白味噌ベースのお雑煮が多いです。四国も白味噌系なんですが、九州に行くと出汁ベースになったりします。
キン:へぇ〜! まずは2つのベースがあって、その中で具材などで違いがある感じなんですね。わかりやすいです!
樋口:今日は「出汁ベースのお雑煮」と「白味噌ベースのお雑煮」。この2つのレシピをお教えしますね。
まずどちらのタイプのお雑煮を作るかを決めると、イメージもはっきりすると思いますよ。
キン:両方の作り方を教えていただけるなんて……なんと贅沢な! ありがとうございます!!
樋口:それでは早速、出汁ベースの作り方からご紹介していきますね。
出汁ベースの作り方
材料(4〜5人分)
- かつお削り節……30g
- 利尻昆布……8g
- 水……1.5L
- 濃口醤油……100ml
- みりん……50ml
- 塩……1.5g(小さじ1/4)
※かつお節、昆布は同量の顆粒の和風出汁で代用できます。その場合は、38gの顆粒の和風出汁を使用。
作り方
樋口:今回はお正月に作るお雑煮なので、かつお削り節と昆布で出汁をとる方法をご紹介していきます。ちょっと面倒だな……という方は、使用するかつお削り節と昆布と同量の顆粒の和風出汁で代用できますのでご安心ください。
キン:年末年始はなにかと忙しいですからね……。大変助かります!!
樋口:まずは、かつお節の選び方についてなんですが、かつお節って大きめのスーパーに行くとたくさんの種類を取り扱っています。
実はそれぞれ用途が違うので、お雑煮の出汁をとるのに最適なかつお節を選ぶ必要があるんです。
キン:なるほど! ちなみに、お雑煮の出汁をとるのに最適なかつお節ってなにを選べばいいんですか?
樋口:スーパーで売っているかつお節は「花かつお」と「かつお枯節削り節」と「それ以外の雑節」に分けることができます。
どれを使っても出汁はとれるんですが、よりうま味が出るのはカビ付けをしている枯節・本枯節を原材料にしたかつお節になります。
キン:では、パッケージを見て、原材料が枯節・本枯節を選べばいいわけですね!
樋口:そういうことです。原材料名に「かつおの枯節」と書いてあるものを選ぶのがいいと思います。
ちなみに「花かつお」は、カビを付けていない荒節を削ったものになります。
キン:これはわかりやすい……。勉強になります!
(注:上記のかつお節の選び方に関しては、あくまで基本的な考え方となります。商品によっては、記載が異なる場合もございますので、購入の際はHP等で原材料などを確認ください。)
樋口:ちなみに昆布にも、「利尻昆布」、「羅臼昆布」、「山出し昆布(真昆布)」、「日高昆布」などがあるんですが、最初の3つが出汁をとるのに向いているので、それらを選ぶようにしてみてください。
キン:この情報を知らなかったら、絶対に価格の安いものを選んでいたと思います。危なかったです。
樋口:それはよかったです(笑)。
では、前置きが長くなりましたが出汁ベースの作り方をご紹介していきます。
キン:お願いします!
樋口:まずは、鍋を火にかける前に、濃口醤油以外の材料をすべて入れてから、中弱火にかけていきます。より本格的な出汁をとりたい場合は、30分〜1時間ほど水に昆布をつけておくといいですよ。
顆粒の和風出汁を使用する場合も、濃口醤油以外の材料をすべて入れてから、弱火にかけてください。
キン:火にかける前に材料を全部入れちゃうんですね。なぜでしょうか?
樋口:いくつか理由はあるんですが、昆布は水が沸騰するまでの間にうま味が出るというのが大きな理由です。
ですので、材料を入れてから弱火にかけていく方法が、短い時間で美味しい出汁がとれるやり方の1つなんです。
キン:これはわかりやすくていいですね! 少なくとも昆布は火にかける前に入れておくのがいいんですね。
樋口:そういうことです。
3〜4分ほどで沸騰してくるので、昆布を取り出して、さらに2〜3分弱火にかけていきます。
そして、ここであくのようなものが出てくると思います。ただ、これはあくではなくて、ただの泡になります。面倒な方はそのままにしておいても、味に支障は出ませんよ。
キン:樋口さん、1つ聞いてもいいですか? かつお節は火にかけすぎると香りが飛んじゃうと聞いたことがあるんですが、それってどうなんでしょうか?
樋口:確かに、かつお節を長時間火にかけると香りは飛んでしまいます。例えば蕎麦の香りを生かしたい蕎麦つゆなんかは、かつお節を40〜50分ほど火にかけて香りを飛ばすんです。でも、2〜3分火にかけるくらいで香りは飛びませんよ。
キン:そうなんですか!
樋口:かつお節の抽出時間についてですが、沸騰したお湯で2〜3分火にかけることでうま味が十分に出ます。ですので長時間火にかける必要はありません。
では、3分ほど火にかけていたものをザルで濾(こ)していきます。
樋口:ここに濃口醤油を入れれば、出汁ベースの完成です! レシピの分量で作った場合は、1.5Lの出汁ベースができます。
そして、この時に氷水にあてるなどできるだけ早く冷やすことで、風味が維持されやすくなり、保存する上でも傷みにくくなりますよ。
キン:ちなみに、多めに作った出汁ベースはどの程度保存できますか?
樋口:清潔な容器に入れて冷蔵する場合は3〜4日、使い切れない場合は冷凍すれば1〜2カ月は保存できます。
出汁ベースのお雑煮「鶏と小松菜のお雑煮」
樋口:それでは、まずはこの出汁ベースを使った「鶏と小松菜のお雑煮」からご紹介していきましょうか。
キン:出汁ベースを使ったお雑煮……ものすごく楽しみです!!
材料(2人分)
- 鶏もも肉……80g
- 出汁ベース……400ml
- かまぼこ……20g
- 小松菜……1束
- 三つ葉……6本
- お餅(角餅)……2個
- 柚子皮……適量
作り方
樋口:まずはお餅の準備をしていきます。オーブントースターでもお餅は焼けるんですが、個人的には鉄鍋にクッキングシートを敷いて焼くのがおすすめです。
キン:なぜオーブントースターを使わないんですか?
樋口:お雑煮には、見栄えのいいお餅を使いたいんですが、オーブントースターだと焼き加減の調節が難しいんです。お餅が膨らんで中身が出てきてしまうことがよくあるじゃないですか。
ですので、高温で一気に焼き目を付けられる鉄鍋を使っています。
キン:ほんとだ! お餅の形はきれいで美味しそうな焼き目も付いてますね。
他にもお餅を焼く時のこだわりはありますか?
樋口:お餅のサイズ感ですね。市販されているお餅は、半分か1/4にカットしてから焼くといいですよ。焼き目も付けやすくなりますし、食べやすくなると思います。
キン:意外な盲点でした……。お餅は小さくカットするのいいですね!
ちなみに、鉄鍋を持ってない場合はどうすればいいですか?
樋口:フッ素加工されたフライパンでお餅を加熱した後に、直接火で炙(あぶ)って焦げ目を付ければ同じような仕上がりになりますよ。
※お餅を直接火で炙る場合は注意して行ってください。
樋口:では次に、お餅以外の具材を調理していきましょう。
3〜4cm角にカットした鶏もも肉と、2cm幅にカットしたかまぼこと出汁ベースを鍋に入れて、2〜3分中火にかけていきます。
鶏もも肉は小さめにカットするのがおすすめです。火も早く通りますし、食べた時に出汁ベースも一緒に楽しめるので。
樋口:そして、この間に三つ葉を結んでいきます。カットしてそのまま入れてもいいんですが、結んだ方が盛り付けた時に見栄えがよくなります。せっかくのお正月なので、ぜひやってみてください。
そして、小松菜は5cm幅にカットしておいてください。
樋口:さて、お鍋の方が沸騰してきたら、弱火に落として小松菜と三つ葉を投入し、1分ほど煮立たせれば完成です!
キン:ほんとだ! 三つ葉は結んであげるだけで、存在感が出て見栄えもよくなりますね。
樋口:さて、準備が整いましたので盛り付けをしていきましょう。
キン:ちなみに、お雑煮を美味しく盛り付けるポイントってあるんですか?
樋口:お雑煮を盛り付けるときのポイントは「土台を作ること」です。
キン:土台……ですか。どういうことでしょう?
樋口:お雑煮は、底の深い椀に盛り付けていくわけですが、普通に盛り付けると主役であるお餅や具材が沈んでしまい、盛り付けが決まらないんです。
ですので、主役が沈まないように、土台を作って盛り付けることがポイントになります。
樋口:このように、小松菜の土台の上に、主役となるお餅や鶏もも肉などを盛り付けていきます。
樋口:具材を盛り付け終わったら、最後に出汁ベースを注いでいきます。
キン:すごい……! ものすごく高級そうなお雑煮に見えます!!
樋口:お雑煮は、盛り付け方を知っているか否かで見栄えに大きな差が出てきます。ちょっと面倒ですが、せっかくのお正月なので、余裕のある方はぜひ丁寧に盛り付けてみてください。
樋口:最後にお好みで柚子皮を散らせば、鶏と小松菜のお雑煮の完成です!
樋口:味についてですが、しっかりと出汁をとっているので、かつお節と昆布の贅沢なうま味や香りを堪能していただけます。
鉄鍋で焼いたお餅は、香ばしい部分とモチモチした部分がしっかり感じられて、小さくカットしたことで食べやすくなっていると思います。
キン:いままでお雑煮を心から求めたことがなかったんですが、本当に食べたくなりました……。正月は絶対にお雑煮を作ります!!
樋口:ちなみに、年末に三つ葉や小松菜、鶏肉は需要が一気に高まるので、通常の1.2〜2倍程度に価格が上がり、在庫も品薄になる傾向があります。
早めに購入してカットしてから冷凍しておくことで、安く材料を揃えられるので、年末の前にお雑煮の準備を整えてみてください。
キン:これは耳寄りな情報すぎませんか……。お雑煮の準備なんて考えたこともなかったですが、絶対にやっておいた方がいいですね。
出汁ベースのお雑煮「アルゼンチン有頭赤海老のインパクト雑煮鍋」
樋口:続いて、同じく出汁ベースを使った「アルゼンチン有頭赤海老のインパクト雑煮鍋」をご紹介していきます。
キン:お正月っぽい感じがしていいですね! 雑煮鍋というのも気になります!!
材料(2〜3人分)
- 鶏もも肉……100g
- 出汁ベース……1L
- 白菜……200g
- お餅(角餅)……2〜3個
- 油揚げ……1枚
- にんじん……20g
- 絹さや……10g
- アルゼンチン有頭赤海老……4〜5尾(爪楊枝などで背わたをとっておく)
- 水……500ml(一部の材料を茹でる時に使用する)
- 塩……4g
作り方
樋口:まずは、にんじんの下準備から始めます。
にんじんを6〜7mm幅にカットして、型を使って花の形などにくり抜いていきます。100均などで野菜用の型抜きは売っていますので、余裕がある方はぜひやってみてください。
難しい方は、丸になるように皮を剥く形でも問題ありません。
樋口:続いて、お鍋に水と塩とにんじんを入れて、中火で2〜3分ほど茹でていきます。
樋口:にんじんを取り出したら、ヘタと筋を取り除いた絹さやを、同じお湯で1分ほど中火で茹でていきます。
キン:にんじんと絹さやは同じお湯でいいんですね。
樋口:アクの少ない野菜であれば、お湯を変えなくても大丈夫です。
その後、絹さやを取り出したら、爪楊枝などで背わたを取った殻付きのアルゼンチン有頭赤海老を入れて、中火で3〜4分ほど茹でていきます。
キン:海老は、アルゼンチン有頭赤海老を選ぶのがいいですか?
樋口:本来であれば車海老を使いたいところですが、値段もそれなりにしますからね。
見た目にも、味にも、コスパ的にも優れているのは、アルゼンチン有頭赤海老かなと思います。スーパーなどでも手に入りやすいので。
キン:確かに、アルゼンチン有頭赤海老は安くてインパクトもあっていいですね!
樋口:では他の具材を準備していきます。白菜は5cm角にざく切り、鶏もも肉は2〜3cmの角切り、油揚げは8〜10等分にカットしてください。
そして、鶏と小松菜のお雑煮と同様に、1/2程度にカットしたお餅を鉄鍋で焼いたら、具材の準備は完了です。
まずは、お鍋にカットした白菜から盛り付けていきます。
キン:白菜から盛り付けていくのは、先程おっしゃっていた土台を作っているわけですか?
樋口:さすがキンさん、ご名答です。こうすることで、主役の具材が沈まずにきれいな盛り付けができるわけです。
白菜の土台の上に、鶏もも肉、油揚げを盛り付けた後に、鍋に出汁ベースを注いでいきます。
樋口:最後に、アルゼンチン有頭赤海老、にんじん、絹さや、お餅をのせて、中火で3分ほど煮立たせていけば、アルゼンチン有頭赤海老のインパクト雑煮鍋の完成です!
キン:見た目が豪華ですごく美味しそうです! お雑煮を鍋にしてしまうのはすごくいいですね。
樋口:こうやって鍋にして、盛り付けにもこだわれば、お雑煮は主役を張れますからね。
白味噌ベースのお雑煮「大根とにんじんとお餅の日の出雑煮」
樋口:ではここからは、白味噌ベースを使った「大根とにんじんとお餅の日の出雑煮」をご紹介していければと思います。
キン:出汁ベースのお雑煮しか食べたことがなかったので、白味噌ベースのお雑煮も楽しみです!!
材料(2人分)
- 白味噌……80g
- 水……400ml
- お餅(丸餅)……2個
- 大根……20g
- にんじん……20g
- 青のり……適量
- 水……500ml(大根とにんじんを茹でる時に使用する)
- 塩……4g
作り方
樋口:まずは、白味噌ベースを作っていきましょう。
味噌の選び方なんですが、関西で主流のお雑煮になりますので、白味噌を選ぶようにしてください。白味噌というのは麹の多い甘口味噌のことです。
キン:白味噌を選ぶのがポイントなんですね。作り方は結構難しいですか?
樋口:いえ、すごく簡単ですよ。白味噌をお湯に溶かすだけでベースは完成です。
ただ、1つだけ注意してほしいポイントがあるんです。
キン:そのポイントとはなんでしょうか?
樋口:水と白味噌の割合です。関東圏の方が普段使っている味噌は、白味噌に比べてかなり味が濃いんです。
ですので、その感覚でお湯に溶いていくと、味や白味噌の風味が薄い仕上がりになってしまうんです。白味噌を使って味が決まらない場合は、白味噌の分量が少ないことが多いんです。
キン:そうなんですか!
樋口:ですので、白味噌を分量通りに使ってみてください。水400mlに対して、白味噌は80g使っていきます。
キン:白味噌は80gも使うんですね。普段白味噌を使わないので、目からウロコの情報でした……。
樋口:水を中火にかけて温めて、分量通りに白味噌を溶くと、このくらいの見た目になります。
適量の白味噌をしっかり使うことが、白味噌ベースのお雑煮を作る上で重要なポイントになります。
樋口:さて、白味噌ベースができたら、具材を準備していきましょう。
まずはお餅ですが、丸いお餅を用意しました。
キン:なぜ丸いお餅なんですか?
樋口:お餅の形に関しては、諸説あるようですが、江戸時代の時代背景に由来していると言われています。
江戸周辺では一度にたくさんのお餅を作って売るために、型にはめてカットしていたので、関東では四角いお餅が普及しています。
キン:なるほど。
樋口:しかし、それ以外の地区では、家庭でお餅をつく習慣が根付いていたので、手で成形する丸餅が残っています。そんな歴史的な背景に倣って、丸餅を選んでみました。
キン:面白い雑学ですね〜!
キン:ちなみに樋口さん、お餅は焼くのではなく、お餅を茹でていますよね。焼くのと茹でるのでは、どんな違いがあるんですか?
樋口:お餅は茹でることで、より柔らかく、なめらかな食感を演出することができます。
焼いて香ばしさと、パリっとした食感にしてもよかったんですが、より白味噌ベースに合うように茹でてみました。
キン:お餅は茹でるのか焼くのか。また、どんな方法で焼くのかでいろんな食感の変化や見栄えを調整できるんですね。
僕もお雑煮を作る時には意識してみます!
樋口:さて続いては、皮を剥いて2mm幅に切ったにんじんを、水と塩を入れた鍋で2〜3分茹でていきます。火加減は中火です。
その後、にんじんを取り出して、同様にカットした大根も茹でてください。
樋口:これで具材の準備はできたので盛り付けをしていきますよ。
土台にできる具材がないので、白味噌ベースを少なめに注ぐことで対応していきます。
まずは、大根をお椀の底に配置します。こうすることで、お椀とお餅がくっつくのを防ぎます。
樋口:そして、大根の上に茹でたお餅をのせたら、お餅に立てかけるイメージで大根とにんじんを盛り付けます。ちなみに、丸くカットして茹でた大根とにんじんは、日の出を表しています。
キン:盛り付けに意味を持たせることができるのはいいですね!
樋口:次に、先程作っておいた白味噌ベースを注いでいきます。
大根とにんじんが沈まず、うっすらとお餅が見える程度がいいかなと思います。
樋口:最後に、青のりをふりかければ、大根とにんじんとお餅の日の出雑煮の完成です。
キン:ちなみに樋口さん、最後にふりかけた青のりにはどんな意味があるんですか?
樋口:お雑煮には海のものと山のものを入れたいので、青のりを加えました。ここはかつお節なんかを添えてもいいと思います!
キン:そうでした! お雑煮には、山のものと海のものを入れることが多いんでしたね。
キン:僕は白味噌ベースのお雑煮を食べたことがないのですが、お味の方はどんな感じですか?
樋口:白味噌をしっかりと入れているので、麹の風味やうま味を感じられる味になっていますよ。具材は非常にシンプルですが、野菜と青のりとお餅の食感や味わいが異なっているので、一口ずつ変化があって楽しめると思います。
お餅は焼くのではなく茹でていますが、香ばしさがほしいという方は焼いてみてもいいんじゃないかなと思います。
キン:白味噌ベースのお雑煮は、作り方が非常に簡単なので、白味噌さえ買ってしまえばすぐにできるのがいいですね。
樋口:あとは、香川県の伝統的なお雑煮として、「あんもち雑煮」というレシピがあるんですが、いまご紹介したレシピを応用して簡単に作ることができます。
追加の工程としては、お餅の下につぶあん20g(1人分)を入れるだけです。
あん入りのお餅をそのまま入れるのが一般的ですが、どちらでも味は変わりませんので。
キン:つぶあんが入った白味噌ベースのお雑煮ですか! どんな味なんですか?
樋口:白味噌とつぶあんの相性はいいので、すごく美味しいですよ! 全国各地には、さまざまなお雑煮がありますので、調べてみると面白いと思います。
キン:出汁ベースや白味噌ベースさえ多めに作ってしまえば、簡単にアレンジできそうですよね。お正月にお雑煮を作るのがなんだか楽しみになってきました!
樋口さん、今日は丁寧にたくさんのレシピを教えていただいて、本当にありがとうございました!
樋口:僕も楽しかったです! よいお年をお迎えください。
まとめ
料理研究家の樋口直哉さんに、さまざまなお雑煮の作り方を教えていただきました。
印象に残っているのは、自分のイメージしていたお雑煮以外にも、日本各地にはたくさんのお雑煮が存在しているということです。レシピも決して難しくないので、お正月以外でもお雑煮を作って、自分好みの味を追求していきたいなと思いました。
また、人生で初めての白味噌ベースのお雑煮に挑戦してみようかなと思います!
編集後記(樋口さんのおすすめお雑煮アレンジ)
編集後記では、記事内に収まりきらなかったお雑煮をアレンジする食材や、お雑煮に関する豆知識などをお届けします。
キン:樋口さんがよく作る「おすすめのお雑煮アレンジ」ってありますか? 冷蔵庫にあるような食材で、簡単にトッピングできるようなものがあれば知りたいです。
樋口:出汁ベースのお雑煮に生卵を入れて加熱した、半熟卵のお雑煮はよく作りますよ。簡単にできますが、すごく美味しいですよ。
キン:お雑煮に卵を入れるのはいいですね!
樋口:他にも海苔の佃煮などはおすすめです。お雑煮は恐ろしい程にいろんな食材に合いますからね。基本的にご飯のお供になるような食材は相性がいいですよ。
お餅の食感に飽きてきたら、揚げ餅にして、それをお雑煮に入れても美味しいですよ。
キン:揚げ餅にするのはいいですね! お菓子の揚げ餅なんかを入れても手軽で美味しいかもしれませんね。
以上、取材のこぼれ話でした。樋口さんのお雑煮レシピを参考に、年末年始は美味しいお雑煮を作ってみてください。
また「私の住んでいる地域にはこんなお雑煮がありますよ〜!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント等で教えてください。
書いた人:キンマサタカ
編集者・ライター。パンダ舎という会社で本を作っています。 『週刊実話』で「売れっ子芸人の下積みメシ」という連載もやっています。好きな女性のタイプは人見知り。好きな酒はレモンサワー。パンダとカレーが大好き。近刊『だってぼくには嵐がいるから』(カンゼン)