- INDEX
こんにちは! 東京ソバット団のソバット本橋です。みなさん、そば食べてますか? 私は食べてます。
というわけで今回は、あれこれ食べて紹介してきたそばを、まとめて紹介します。どれもぜひ行っていただきたいお店なので、ぜひこの記事を参考にして足を運んでみてください。
ちなみに、過去2回のまとめもよろしく!
【富士そば 代々木八幡店】チェーン店の雄が始めた“乱切り蕎麦”の実力を試す
立ち食いそばチェーン店もそれぞれ、魅力的なメニューを展開していますが、そんな中で「富士そば」が始めたのが乱切り蕎麦。その名のとおり太さの異なるそばで、押し出し製麺機で作られるんですが、一部の店舗だけで提供されている、けっこうレアなメニューなわけです。
これは一度、食べてみねばと、「富士そば」にお願いして、従来の生麺との食べ比べ取材をしてみました。
実食したところ、異なる食感が食べていてなかなか楽しい。しかも切りたて(押したて?)ということもあって、そばの風味がしっかりあります。
現在は15店舗で食べられるので、見かけたらぜひ食べてみてください。ちなみに価格は通常のもりそばと同じ300円。
お店情報
富士そば 代々木八幡店
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-53-3 横川ビル
電話番号:03-6276-3857(ダイタンキッチン株式会社)
営業時間:24時間営業(行政の指導により午前3時から45分間閉店)
【田そば】飲食未経験で始めたお店がすごかった!
小伝馬町にある「田そば」は、とにかくツユのクオリティーがめちゃめちゃ高い。
鹿児島県産の本枯れ節を使っているんですが、これがカツオの香りがキュンときて、うま味が後を引くという、素晴らしいツユなのです。花巻そば(バラのり・400円)なんて、そのツユにのりの香りが加わって、もう身もだえしちゃうぐらいのうまさ。
他にもオリジナルなタネが多く、評判の納豆ちくわ天そば(420円)は、半分に割ったちくわの溝にひきわり納豆を詰めて揚げた一品で、これがアイデア賞ものにおいしいのです。
店主は「田そば」を始める前は不動産関係の仕事をしていて、飲食業は未経験。そこからこれだけのそばを作りあげた顛末については、過去記事に書いてあるので、ぜひご一読を。
お店情報
田そば
住所:東京都中央区日本橋小伝馬町3-7
電話番号:03-6206-2578
営業時間:6:00~15:00
定休日:土曜日・日曜日・祝日
【文殊 両国駅前店】駅ナカでダントツの評判を誇るそば店の戦略とは?
1995年に両国本店をオープンして以来、2018年現在で12店舗を展開している「文殊」。その着実な成功を支えていたのが出店戦略で、なんと12店舗のうち、10店舗が収益の良い鉄道施設に関連する立地にあります。
もちろん立地だけが成功のポイントではなく、チェーン系の中では抜群においしかったことも挙げられます。
今では多くのお店で取り入れている、生麺を注文後にゆでるスタイルを早い時期から導入したのがこちらで、細めの自家製麺は喉越しが良く、香りも十分。ツユもカツオ枯れ節の一番ダシを使うぜいたくさで、スッキリしつつもうま味がしっかりした絶品のうまさなんですよ。
もちろん値段も安く、好評の春菊天そば(380円)は、春菊がカラッと揚がり、「この値段でいいの?」と思ってしまうほど。立ち食いそば経営の優等生は、味も優秀なのです。
お店情報
文殊 両国駅前店
住所:東京都墨田区両国3-25-4
電話番号:03-3635-6552
営業時間:月曜日~金曜日6:00~22:30、土曜日・日曜日・祝日6:30~20:00
定休日:無休
【八兆】二代目となりうまさもバージョンアップ!
店主の高齢化や店舗の老朽化などの理由で老舗の立ち食いそば店が次々と閉店する中、二代目を継承し、さらにうまさを進化させたのが千歳船橋の「八兆」。
かき揚げそば(420円)を玉ねぎメインから葉物メインに変えるなどバージョンアップしつつ、カツオとかえしがきいたツユの味はしっかり継承。従来の常連さんに加え、新しいお客さんを獲得することに成功したのです。
そんな二代目継承を成功させたのが、こちらの店主夫妻。
実は先代店主は若女将の叔父さん夫婦で、「八兆」を閉めようかという話が出たときに、若女将がそれならと手を挙げたんだとか。
この店主夫妻の立ち居振る舞いが、絶妙なコンビネーションで見ていて気持ちいいんですよ。これからも仲良く、末永く「八兆」を続けていただきたいものです。
お店情報
八兆
住所:東京都世田谷区船橋1-9-45
電話番号:03-3425-3956
営業時間:月曜日~金曜日 7:00~17:30、土曜日 9:00~15:00
定休日:日曜日・祝日
Instagram:八兆 (@jun1910)
【Y’z☆Kato】ガッツリ飲んだ後は「ぬるそば」で締め!
やっぱり立ち食いそばはアツアツなのがおいしいわけですが、こちら方南町の「Y’z☆Kato」(通称ワイズ)は、ぬるそばなる、ぬるいそば(280円)が名物なのです。
文字通りのぬるいそばで、熱さは普通の熱いツユに水で締めたそばの「1 少しぬるい」と、常温ツユに締めないそばの「2 通常」と、常温ツユに水で締めたそばの「3 だいぶぬるい」の3種類。
ぬるいのってどうなのよって思うかもしれませんが、ぬるいだけで普通においしい。そしてツユがゴクゴクいけるんで、飲んだ後の締めにぴったりなのですよ。
実はこの「ワイズ」、普通に昼間からガッツリ飲めちゃうお店としても有名なんです。カセットコンロに乗って出てくる鍋焼きうどん(550円)とか、揚げたてでいろんな味が楽しめるバラミックス天(100円)をツマミにビールなんか飲んじゃえば、もう最高。ちょい飲みではなく、ガッツリ飲みできるそば店として、ぜひ覚えておいてください。
お店情報
Y’z☆Kato(ワイズ)
住所:東京都杉並区方南町2-15-5
営業時間:平日6:00~19:00(LO)、土曜日6:00~17:30(LO)
定休日:日曜日・祝日
【伊藤松吉商店 中落合店】これぞ立ち食いそばの原点!
最近、新しくできる立ち食いそば店と言うと、生麺使ってみりんのきいた優しめのツユというのが定番なんですが、この「伊藤松吉商店」はゆで麺にガツンと濃いめのツユという、スタンダードな立ち食いそばで勝負。
しかもガッツリ系メニューが多くて、この松吉丼セット(600円)なんか、肉丼だけでも満足できちゃうボリューム感。
まだ新しいチェーン店なんですが、六文そばを味の参考にしたというだけあって、ゲソ天そば(410円)もしっかりラインアップしています。
最近、減りつつあるロードサイド展開で現場労働者やドライバーをターゲットというスタンスですが、お客さんがいなくなったわけじゃないし、やりようによってはまだまだ「アリ」なビジネスモデルなんですよね。ぜひ、頑張ってほしいです!
お店情報
伊藤松吉商店 中落合店
住所:東京都新宿区中落合2-9-5
電話番号:03-6908-0574
営業時間:月曜日~土曜日5:30~15:30
定休日:日曜日
【長寿庵】ここの傑作冷やしたぬきに迫る
立ち食いそばで夏の定番メニューは、もちろん冷やしたぬき。シンプルなメニューながらなかなか奥深いものがあり、大久保にあるこの「長寿庵」の冷やしたぬき(280円)も、その値段から想像できないほど手が込んでいるんです。
カラッと揚がったたぬきは密かに小海老が混ぜられ風味をアップ。
さらにゆで麺ながらも製麺所に独自のオーダーをしているというそばはコシがしっかりあって、まさに冷やしたぬきにぴったり。これが280円という驚異的な値段で食べられるんですから、行かねばならんでしょう。
実は三ノ輪にも「長寿庵」という立ち食いそば店があり、そちらは「大久保長寿庵」店主の実家。なぜ大久保で同名のお店をやっているかは過去記事に詳しく書いてあるので、興味のある方はご一読を。
お店情報
長寿庵
住所:東京都新宿区百人町1-24-8
電話番号:03-3362-3037
営業時間:月曜日~金曜日7:30~18:00、日曜日・祭日9:00~18:00
定休日:土曜日
【翁そば】大衆そばの名店でカレー南蛮を食べつつそばの未来を語る
この日はいつもと趣向を変えて、『うまい! 大衆そばの本』(スタンダーズプレス)という著書を出版した坂崎仁紀さんに、立ち食いそばを始めとする大衆そばについて語ってもらいました。
もちろん会議室なんかでインタビューするはずもなく、訪れたのは浅草の名店「翁そば」です。
大正3年創業の老舗なんですが、ここのカレー南ばん(650円)が素晴らしくてですね。ぶっといそばにカレーあんが絡みまくって、汗をかきながら一気食いしてしまいました。
もりが450円としっかり大衆値段ながら、手抜きなくおいしいそばを提供し続けてきた「翁そば」は、まさに大衆そばのかがみでしょう。一緒に頼んだ冷やしたぬき(500円)も最高。「大衆そばってなに?」って思った方は、「翁そば」に答えがあるんで、ぜひ行ってみてください。
お店情報
翁そば
住所:東京都台東区浅草2-5-3
電話番号:03-3841-4641
営業時間:月曜日~土曜日11:45~15:00 16:30~19:30
定休日:日曜日
どのお店も話を聞いてみると、現在の味に至るまでにさまざまなドラマがあったりすんですよ。そんな事情を知ってからそばを食べると、また格別だったりするので、記事を読んで「ほほぉ」と思ったら、ぜひ食べに行ってください。
うまさが違いますよ。
書いた人:本橋隆司
フリーランスの編集、ライターとしてウェブや雑誌などで仕事中。近著は『東京立ち食いそばジャーニー』『立ち食いそば大図鑑』(ともにスタンダーズプレス)そばであればだいたい好き。
- サイト:立ち食いそば図鑑の中の人のサイト
- Facebook:東京ソバット団
撮った人:安藤青太
カメラマン、書籍制作。グラビア系から食べ物系まで何でも撮るカメラマン。本橋とは『立ち食いそば図鑑 東京編』『立ち食いそば図鑑 ディープ東京編』を制作。その他『檀蜜DVD色情遊戯2』『相撲部屋の幸せな猫たち』『東京の、すごい旅館』など。好きな立ち食いそばはコロッケそば。