新宿ゴールデン街で生まれた唯一無二のレモンサワー。ブームの一端を担ったお店が語るこだわりの製法とは

こんにちは、塩見なゆです。

突然ですが、レモンサワーはお好きですか?

お酒好き、居酒屋好きにとって、レモンサワーはビールや日本酒と並ぶ最もポピュラーなアルコール飲料の一つです。

日本酒やビールがまだ手に入りにくかった戦後、当時の主流は大量生産が可能で値段が安い甲類焼酎でした。焼酎をいかにおいしく飲むか、人々が試行錯誤する中で偶然生まれたのが「レモンサワー」というジャンルです。

もつ焼きなどの酒場料理と相性がよいレモンサワーは、関東の居酒屋を中心に広まり、やがて日本全土の飲食店や小売店の店頭に並ぶようになったのです。

ビールと並ぶ定番アルコール飲料の地位を確立したレモンサワーに、近年新たなニーズが生まれました。それは、原料や製法へのこだわりから生まれる“プレミアム”な味わいの追求です。

そんな“プレミアム”なレモンサワーとは一体どのようなものなのか?

今回は近年盛り上がりを見せる、レモンサワーブームの仕掛け人のひとりである、新宿ゴールデン街の「OPEN BOOK」オーナーの田中開さんにお話を聞きます。

取材場所は、「OPEN BOOK」の系列店でもある「Bar Ao (Another Openbook)(アオ)」(以下、「Bar Ao」)。東京証券取引所を中心に多数の証券会社が立ち並ぶ金融街・兜町にひっそりとたたずむホテルバーです。

ブームの一端を担ったレモンサワー専門店「OPEN BOOK」

塩見なゆ(以下、塩見):本日はよろしくお願いします! まずは、レモンサワー専門店を始めたきっかけを教えてください。

▲田中開さん

田中開さん(以下、田中さん):よろしくお願いします。もともとWEBメディアのライターをしていまして、2014年にレモンサワーに焦点をあてた飲食店紹介記事を書いたことが最初の接点です。

塩見:なんと! ご同業でしたか(笑)。

田中さん:当時レモンサワー専門店なんてものはなく、まだ誰もやっていないからこそビジネスになると思ったんです。そして、どうせ専門店を開くなら、思いっきりこだわったレモンサワーを出して、足を運びたくなる場所にしようと。20〜30パターンの試行錯誤を経て開発したレモンサワーとともに、2015年に新宿ゴールデン街に「OPEN BOOK」を開きました。

塩見:その後、サワー専門店が続々と登場しました。ネオ居酒屋でもこだわりのレモンサワーを差別化アイテムとして使うお店は多いです。まさに「OPEN BOOK」はブームの一端を担っていました。もともと飲食業の経験があったのでしょうか?

田中さん:いえ、週2で飲食店のアルバイトを1年やったくらいです。ただ、昔から飲み歩くのは好きでした。ゴールデン街にもよく行っていたので、それもあってゴールデン街を開業場所に選びました。

塩見:そのお店が今やゴールデン街の新名所となったんですね! 「Bar Ao」は姉妹店的な存在とのことですが、どのような経緯で始められたのでしょうか?

田中さん:もともとは友人からの紹介です。この建物(Hotel K5)は、100年前に第一国立銀行(現在のみずほ銀行)の分館として建てられたんです。創設者がこの部屋を事務室に使っていたという説があります。店名は創設者の雅号「青淵(せいえん)」から、「青淵(あお)」とつけました。

塩見:本格的なカクテルバーといった雰囲気を感じます。バックバーにスピリッツが一通りそろっている中に、焼酎の一升瓶が混ざっているのが面白いです!

田中さん:当店はHotel K5のホテルバーとしての役割も持っています。マティーニなどの定番のカクテルも出していますが、「OPEN BOOK」と同じくこだわりのレモンサワーも提供していますよ。

塩見:それでは、実際にレモンサワーをつくっていただきながら、製法へのこだわりなどについて教えていただきたいと思います。

「OPEN BOOK」流 レモンサワーのつくり方

田中さん:オリジナルのレモンサワーを試行錯誤する中で、ベースは黒糖と米麹でつくる鹿児島県奄美地方の黒糖焼酎にたどり着きました。蔵元で黒糖焼酎にレモンの皮を入れて漬け込んだものを使っています。

塩見:レモンサワーといえば連続式蒸留でつくる極めてピュアなアルコールを加水した甲類焼酎や、ウォッカなどをベースにするイメージがありますが、「OPEN BOOK」では本格焼酎を使っているんですね! 黒糖焼酎でつくるというのも、どのような味わいになるのか気になります。漬け込むレモンにもこだわっているんでしょうか?

田中さん:そうなんです。国内有数のレモンの産地として知られる広島尾道市瀬戸田町で収穫されたレモンを、手作業で一つずつ皮をむいて使っています。加工時には、僕やスタッフも現地へ行き、約1週間、地元の皆さんと一緒に作業をしています。レモンの皮は黒糖焼酎へ漬け込み、果肉はジュースにしてレモンサワー用のシロップの原料となります。レモンに関しては、すべて使い切るSDGsです(笑)。

▲ノンアルコールのレモネードシロップ。お酒に少し垂らして炭酸で割れば、即席レモンサワーにも / 2,600円

塩見:原料の産地まで行って自ら作業するのは、確かにすごいこだわりだと思います。そうした漬け込み作業はどのくらいの頻度で行っているのでしょう。

田中さん:春、秋、冬の3回です。秋は濃くて苦味があるなど、季節によってレモンの味が変わります。こうした違いが楽しめるのも、レモンサワーづくりの魅力です。

塩見:大手が出している通年商品のサワーを飲むことが多いので、季節で味が変わるというのは目からウロコです。そう言われてみると、確かに1年を通して味が一定という方が不思議なことに思えてきました。

▲店舗では、黒糖焼酎と特製シロップの混ざったオリジナルリキュールを使用している

田中さん:こうしてレモンの皮を漬け込んだ黒糖焼酎に、レモン果肉でつくった特製シロップを合わせ、炭酸水を注ぎます。最後に、原料と同じ国産レモンの皮の方を液面に近づけて搾り、最後に塩水を少量吹きかけて完成です。

塩見:レモンは皮の方から搾ることで、より香りが引き立つんですね! 細部にこだわりが光っています。それでは、早速いただきます。

▲リアルレモンサワー / 1,100円

塩見:なるほど! 口の中にレモンの香りや風味が広がり、まるでレモンそのものを味わっているような印象を受けます。黒糖焼酎のほのかに甘く芳醇(ほうじゅん)な香りも感じられますが、決して主張しすぎず、絶妙なバランスがお見事です。

田中さん:僕も、うちのレモンサワーは最高においしいと思って提供しています。酒場でグイッと飲むようなレモンサワーもいいですが、本を読みながらなど、自分の時間を過ごしながらゆっくり時間をかけて味わえるようなレモンサワーを開発したかったんですよ。

塩見:原料や味にこれだけこだわり尽くすのは、専門店ならではの魅力だと思います。冒頭でおっしゃっていたように、まさに「足を運びたくなる」レモンサワーですね。

自宅でつくるおいしいレモンサワーのコツ

塩見:最近は家飲みでレモンサワーを楽しむ人も増えていると思いますが、家でできるレモンサワーをおいしくする技って何かありますか?

田中さん:プレミアム系のレモンソーダを樽熟成の米焼酎と合わせると、うちのレモンサワーに近い味になるかもですね。あとは、塩分濃度20%程度の塩水を2ダッシュ(約2ml)入れるだけでも味は変わります。これは、塩気をつけるためではなく、レモンサワーの甘さを立体的に際立たせるためなんです。スイカに塩を振るのと同じ考えです。

▲「家庭用の冷凍庫でつくる製氷器の氷ではなく、透明度の高いロックアイスを使うのも重要」と、スタッフの杉本匠さん

田中さん:神戸発の有名なバーでは、氷を入れないハイボールが名物なのですが、そこではウイスキーを冷凍庫で冷やしています。レモンサワーも同じように、焼酎を冷凍庫に入れて冷やし、氷を使わずにつくるのもおいしいですよ。飲んでいるうちに体温になじんでくる感じがたまりません。

※ウイスキーはアルコール度数が高いため、一般的な冷凍庫でも凍りません。20~25度の焼酎はシャーベット状になります。

塩見:なるほど! それなら家でも手軽にトライできますね。また、フードペアリングはどんなものがおすすめですか?

田中さん:レモンサワーにはコクやうま味の強いものが合うと思います。「OPEN BOOK」や「Bar Ao」のレモンサワーは黒糖焼酎を使っていますから、キビ糖と合わせたナッツなんかは間違いなく合いますね。また、奄美の郷土料理「塩豚」とかもおすすめです。

▲茶ナッツ / 550円

田中さん:甘酸っぱいお酒には苦味やほのかな酸味があるものを合わせるのもおすすめです。意外かもしれませんが、山菜料理やオイルサーディンなどは、レモンサワーをだらっと飲みながらつまむには最高です。

塩見:ありがとうございます。家でレモンサワーを飲むときの楽しみが増えました! インタビューは以上になりますが、ほかにもおいしそうなカクテルがあるようなので、いただいてもいいですか。カクテルも大好きでして……(笑)。

田中さん:もちろんです! 新宿の「OPEN BOOK」にはない、「Bar Ao」ならではの黒糖焼酎ベースのサワーカクテルを用意しています。少し珍しい組み合わせでいうと、黒糖茗荷サワーなんてどうですか?

▲目の前でカクテルをシェイクする姿が見られるのも醍醐味(だいごみ)の一つ(画像はスタッフのJJさん)

▲黒糖茗荷サワー / 1,320円

塩見:ありがとうございます。鮮やかな朱色ですね! みょうがの苦味と酸味、それを引き立たせる黒糖の甘さもちょうどよく、フルーティーでさわやかな味わいです。

田中さん:黒糖焼酎、みょうがシュラブ(ビネガーにみょうがを漬け込んでつくったシロップ)、レモンジュース、卵白をシェイクしてつくるオリジナルカクテルです!

塩見:レモンサワーだけでなく、カクテルも細部までこだわられていることがわかりました。本日は、唯一無二のレモンサワーについてお話が聞けてよかったです。ありがとうございました。

田中さん:こちらこそ、ありがとうございます。今度は新宿ゴールデン街の「OPEN BOOK」にも飲みに来てください!

まとめ

2015年、新宿ゴールデン街に誕生し、プレミアムなレモンサワーブームをけん引したレモンサワー専門店「OPEN BOOK」のオーナー、田中さんにお話を伺いました。

お店のこだわりに加え、家でもレモンサワーをおいしく楽しむためのヒントを教えてもらったので、早速試してみたいと思います。特に、お店でも実践されている塩水をごく少量加えるテクニックは、簡単なのにしっかりおいしくなるのでおすすめです。

今回訪ねた姉妹店の「Bar Ao」は、まさに都心の隠れ家。ハイセンスで程よくパブリックな空間で飲むカクテルは、非日常を感じさせてくれました。

「いつもと違うレモンサワーを飲んでみたい」という方は「OPEN BOOK」や「Bar Ao」を訪ねてみてはいかがでしょうか。

お店情報

Bar Ao(Another Openbook)(アオ)

住所:東京都中央区日本橋兜町3-5 K5 1F
営業時間:月〜木 17:00~24:00 金土・祝前日17:00~翌1:00

OPEN BOOK(オープンブック)

住所:東京新宿区歌舞伎町1丁目1−6 ゴールデン街5番街
営業時間:毎日20:00~24:00
定休日:不定休

OPEN BOOK 破(オープンブック ハ)

住所:東京新宿新宿1-5-12明和ビル1階
営業時間:木金 15:00~21:00L.O. 土:12:00~21:00L.O. 日:12:00~19:00L.0
定休日:月・火・水

樽ホッピーを提供する超激レア酒場「ホッピー仙人」を知っているか

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こんにちは! 酒場案内人の塩見なゆと申します。

いきなりですが皆さん、ホッピーはお好きでしょうか?

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実はこのホッピー、非常に奥が深いんです。

ホッピーの注ぎ方、合わせる焼酎の種類やその割合、氷の有無など……。同じホッピーといえど、店舗ごとに味わいが変わってくるんです。

そもそもホッピーとはどんな飲料なのか?

まずは、ホッピーの基本情報から簡単にご紹介させてください。

ご存じの方も多いかと思いますが、ホッピー自体はお酒ではなく、1948年にホッピービバレッジ株式会社が発売したビールテイストの清涼飲料水(アルコール度 約0.8%)です。

戦後すぐに発売され、当時は高価だったビールよりもリーズナブルなことに加え、粗悪品が多かった酒を美味しく飲める割り材として支持を得て、「焼酎との割り飲料」の先駆けとして広く認知されていきました。

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麦芽とホップで作られており、製造工程もビールとほぼ同じなのが特徴。

現在はプリン体ゼロ、ビールよりも低カロリー、低糖質ということで、健康志向な人が好む他、もつ焼きなどのこってりとした料理に合う飲料として定着しています。

全国的にも非常にレアな樽ホッピーの存在を知ってるか?

ホッピーの基本情報を簡単にご紹介したところで、皆さんにお伝えしたいのが、全国には非常にレアな樽に詰められた「樽ホッピー」を提供するお店があるということです。

ホッピーファンの間では生ホッピーとも呼ばれており、樽ホッピーを提供するお店は、通常の瓶ホッピーを置くお店の多さと比べ圧倒的に少なくなっています。

その理由は、鮮度管理です。一般的な生ビールのアルコールが約5%に対し、樽ホッピーは0.8%。さらに熱の入り方が瓶製品と異なり、お刺身のようにフレッシュなため、慎重かつ丁寧な鮮度管理が求められます。

だからこそ、ごく限られた店舗のみで展開されています。

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そんな貴重な樽ホッピーを飲ませてくれるお店の中で、筆者が特におすすめしたいお店が、横浜の野毛にある「ホッピー仙人」です。

今回はホッピーをこよなく愛し、ホッピー好きが集まる名店「ホッピー仙人」を取材してまいりました。

ホッピーの名店「ホッピー仙人」に行ってきた

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見なゆ(以下、塩見):今日は店主の熊切さんにお話を伺えるとのことで、楽しみにしていました。よろしくお願いします。全国でも希少な樽ホッピーについて詳しく教えてください。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切憲司さん(以下、熊切):ホッピーに関することなら何でも聞いてください。できる範囲でお答えしますので。まずは塩見さん、何にしましょうか? 今日は樽ホッピーの白・黒・ミックス、瓶ホッピーの白・黒がありますよ。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:では、樽ホッピーの白をお願いします! せっかくなので樽ホッピーの注ぎ方を詳しく解説いただいてもよろしいでしょうか?

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:はい、大丈夫ですよ。まずは、25度と20度の甲類焼酎を混ぜたオリジナルの焼酎をホッピージョッキに注いでいきます。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:25度と20度の甲類焼酎をブレンドしているんですね。なぜ度数の異なる甲類焼酎を混ぜているんでしょうか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:これまでさまざまな焼酎でホッピーとの相性を試してきたんですが、度数の違う甲類焼酎をブレンドすることによって、より口当たりがマイルドになると気付いたんです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ホッピーと合わせる甲類焼酎をブレンドしているなんて、他ではあまり聞かないですよね。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:僕自身ホッピーが大好きですので、何十年もホッピーを出しているお店に行って、どんな焼酎をホッピーで割っているのか研究してきたんです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ホッピー仙人という名前を掲げるだけあって、こだわりがすごいです! ちなみにホッピーを美味しく飲む上で、甲類焼酎とホッピーのベストな割合ってあるんでしょうか?

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:甲類焼酎1に対して、ホッピー5がベストな割合だと思ってます。これはホッピーを製造するホッピービバレッジさんでもこの割合を推奨しています。

ちなみに、うちではこのホッピージョッキを使っているんだけど、焼酎を注ぐ量の目安がわかるんですよ。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:えっと、どういうことでしょう?

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:ホッピーの文字の下に、小さく星マークが2つあるでしょう? 実は、下の星に合わせて25度の甲類焼酎を注げば、アルコール度数5%のホッピーになります。上の星に合わせて25度の甲類焼酎を注げば、アルコール度数7%のホッピーになるようにデザインされているんです。

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f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ホッピージョッキにはそんな秘密があったんですね。だから仙人は、ジョッキと平行になるような目線で甲類焼酎を注いでいたんですね。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:そういうことです。お店で自らホッピーを作る時には、この星マークと甲類焼酎とホッピーの割合を意識すると、美味しいホッピーを作ることができますよ。

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:では次に、タップからジョッキの縁を伝うように樽ホッピーを注いでいきます。樽ホッピーの白と黒をそろえたお店はかなり希少なので、両方の樽ホッピーを目当てに飲みに来てくれる方も多いんです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに、樽ホッピーと瓶ホッピーにはどんな違いがあるんですか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:ものすごくわかりやすく言うと、生ビールと瓶ビールの違いだと考えてもらうと良いかなと思います。生ビールと瓶ビールは同じ液体ですが、口当たりや味わいは全然違うものになるでしょ?
樽ホッピーにも、瓶ホッピーにもそれぞれ違った良さがあるので、うちでは両方を用意しているんです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:確かに生ビールと瓶ビールって全然違う味わいですもんね。例えがわかりやすいです!

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:それは良かったです。最後に、サーバーから細かな泡を注ぎ入れたら、樽ホッピーの完成です。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:では失礼して、いただきます!
樽ホッピーは泡が細かくマイルドな味わいで、のどごしもすごく優しく本当に飲みやすいです! 表現が難しいんですが、いつも飲んでいるホッピーとは別物に感じられました。甲類焼酎とホッピーのバランスがなんとも絶妙で、明確に違いがわかりました……。
樽ホッピーをまだ飲んだことのないホッピー好きの方には、ぜひ一度味わっていただきたいと思いました!

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f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに熊切さんは、いつからホッピーの探求をされているんですか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:僕が初めてホッピーを飲んだのは47年前になるかなぁ。当時は甲類焼酎も過渡期で、良い印象があったわけではなかったの。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:そうなんですね。

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:当時は横須賀で働く会社員だったんだけど、その時は氷の有無や甲類焼酎の種類や量もバラバラで。お店ごとにホッピーの味わいが変わるのが面白くてハマっていったんですよ。
次第に全国各地のホッピーを出しているお店に飲みに行くようになって。気付いたら自分でお店を出すまでになっちゃってましたね。

ホッピー仙人直伝 「瓶ホッピーを最高に美味しく注ぐ方法」

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f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:樽ホッピーが残りわずかになってきましたので、おかわりしても良いですか? 味わいの違いを感じるために、次は瓶ホッピーの白をお願いします。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:では、先ほどと同様に瓶ホッピーの注ぎ方もお見せしますね。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ありがとうございます!

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:まず瓶ホッピーの特徴なんですが、樽ホッピーと比べると炭酸が強くないことが挙げられます。
そのため、いかに炭酸が抜けないように甲類焼酎と混ぜ合わせるかが重要になると僕は考えてます。よく瓶ホッピーを頼むとマドラーがついてきますが、うちでは使わないようにしています。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:マドラーで混ぜないほうが炭酸が抜けないので、よりホッピーを美味しく味わえると考えているわけですね。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:そうですね。ただかなり細かい個人的な好みになりますので、これが絶対とかではないんですけどね。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:では、仙人はマドラーを使わずにどうやって甲類焼酎と瓶ホッピーを混ぜ合わせるんですか?

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:先ほどと同様に、星マークまで甲類焼酎を注いだら……、

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:ジョッキと瓶ホッピーを逆回転させるように注いでます。

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:最後は少し高い場所から瓶ホッピーを注ぎ入れることで、キメの細かい泡を作っていきます。こうすることで、泡が口当たりをよくしてくれることに加えて、炭酸が抜けていくのを抑えてくれるんですよ。
いろんな注ぎ方を試したんですが、これが甲類焼酎と瓶ホッピーがよく混ざって、炭酸も抜けない方法だと気付きました。常連さんは「トルネード注ぎ」って呼んでくれています。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:トルネード注ぎ! ホッピーを注ぐことにこんなにこだわっている方は他にいないでしょうね。どんな味わいになっているのか気になります。

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:細かい泡がしっかり蓋をしていて、炭酸が抜けていくのを防いでいるのがわかるんじゃないかなと思います。ビールに比べて炭酸が弱いのでビールのキレの良さに負けないようにトルネード注ぎを考え出しました。これでホッピー仙人流瓶ホッピーの完成です。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:樽ホッピーと同じように上のほうがキメ細やかな泡になっていますね! というか瓶のホッピーってこんなに美しく注ぐことができるんですね……。
自宅で注ぐと泡をうまく持ち上げることができなかったのですが、これは驚きのテクニックです。炭酸がしっかり感じられることに加えて、本当に口当たりが優しいです。瓶ホッピーを飲む時には、ぜひこの方法で注いでみようと思います!

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f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに、注文は樽ホッピーと瓶ホッピー、どちらが多いですか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:初めて来てくださるお客さんは、樽ホッピーを注文される方が多いんですが、常連さんになると瓶ホッピーを注文される方が多くなりますね。瓶ホッピーのほうが、いつも飲んでいるホッピーと違いが感じやすいんだそうです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:確かにホッピー仙人でいただく瓶ホッピーは、いつものホッピーと全然違ったので納得です。

自宅やお店で瓶ホッピーを最大限に美味しく注ぐための3つのコツ

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに、自宅やお店でもホッピーを美味しく注げるようになりたいのですが、一般の方でも真似できるコツはありますか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:一般の方でも真似できるコツはたくさんあるんですが、今回は3点ご紹介しましょうか。

まず1つ目は甲類焼酎の割合を適切にすることですね。よくお店でホッピーを頼むと、甲類焼酎が入ったグラスと瓶ホッピーが運ばれてきますよね。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:はい。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:ホッピーを美味しく飲むためには、甲類焼酎とホッピーのバランスを取ってあげることが大事なので、注文する時に甲類焼酎の度数を確認して、ホッピージョッキの星マークまで(もしくは適正量)入れてほしいと伝えると、良いバランスのホッピーが作れると思います。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:甲類焼酎が多い場合は、グラスに移すなど自分で調整しても良さそうですね。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:2つ目のポイントは、瓶ホッピーをたっぷり注ぐことです。
甲類焼酎の適正量とされている90~110mlに対して、瓶ホッピーを1本使うのが最適なバランスになります。だいたいのジョッキは450ml程入るので、変にホッピーを残さずに入れきってしまうのが良いと思います。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに、ホッピーには氷が入っていることがよくありますよね? その場合はどうしたら良いでしょうか?

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切これは完全に好みの話なので、正解は人それぞれというのが前提なんだけど、僕はホッピーには氷を入れずに提供しています。時間が経つと味が薄くなってしまうので。
甲類焼酎、ホッピー、グラスがしっかりと冷えていれば、氷がなくても十分冷たくて美味しく飲めるので、氷なしで注文してみるのも良いんじゃないでしょうか。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:あ〜なるほど! それは盲点でした。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:最後は注ぎ方のコツです。一般の方がトルネード注ぎをするのは難しいと思うので、簡単に美味しく注げる方法をお教えしますね。

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:まずは、ジョッキを伝うように瓶ホッピーを傾けて注ぎ入れ、ジョッキの中が7割程度満たされたら、瓶を垂直にして泡を作ります。
このようにホッピーを注ぐと、炭酸が抜けにくく、細かい泡が蓋の役割をしてくれるので美味しいホッピーができますよ。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ビールの注ぎ方はなんとなく知っていたんですが、瓶ホッピーの注ぎ方は初めて知りました。このコツを使いこなして、自宅やお店でも美味しくホッピーを注げるように練習してみます!

ホッピー仙人考案の「オリジナルホッピーカクテル」

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ちなみに、カウンターに置いてある色鮮やかなホッピーを見つけてしまったんですが、これは一体なんですか?

f:id:Meshi2_IB:20220413135728j:plainf:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:これはね、僕がオリジナルで作ったホッピーカクテルなんですよ。
樽ホッピーの白と黒のハーフや、シソや青りんごの割り材で樽ホッピーを割ったカクテルを作ってみたんです。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ホッピーを使ったカクテルですか!? ものすごくきれいに色が分かれていますが、どうやって作っているんですか?

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:じゃあ青りんごのホッピーカクテルを作ってみますね。
まずは青りんごの割り材を入れたら……

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:ジョッキの上にオレンジ色のアイテムをのせます。これは、ジョッキの中にゆっくりと液体を注ぐアイテムなんだけど、いろんなものを研究しているうちに出会いました。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:わたしもそのアイテムは初めて見ました。面白いですね!

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f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:割り材と樽ホッピーが混ざらないように注ぐのはかなり難しくて、いろいろ試してようやくできるようになったんですよ。このアイテムを使って、白の樽ホッピーを注いで、最後に泡をのせれば完成です。

ちなみに、割り材とホッピーはアルコール度数が違うので、ゆっくりとホッピーを注ぐことできれいに上下が分かれる構造になっています。

f:id:Meshi2_IB:20220204152219p:plain塩見:ホッピーのカクテルって珍しいですよね。初めて見ました! ホッピー部分と割り材部分が明確に分かれているので、一口一口味が変わっていってすごく美味しいです! 割り材とホッピーを合わせるという発想自体が斬新で面白いですね。

f:id:Meshi2_IB:20220204151608p:plain熊切:確かにホッピーでカクテルを作って出しているお店はあんまりないかもしれないですね。これからもいろんなホッピーの可能性を探っていけたらと思います。

まとめ

樽ホッピーを提供している「ホッピー仙人」にお伺いしました。

1番の感想は、注ぎ方次第でホッピーの味わいが大きく変わることでした! いままでなんとなくホッピーを注いでいた方も、これを機にぜひいろんな注ぎ方を試してみてはいかがでしょうか。

また、「樽ホッピーの存在を初めて知った!」「樽ホッピーに興味を持った」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ提供している店舗を探してみてください。

カラフルなサワーを配合したホッピー仙人考案のオリジナルカクテルが気になったら、状況が落ち着いた時にお店に行ってみてくださいね。

お店情報

ホッピー仙人

住所:神奈川横浜市中区宮川町1-1-214 都橋商店街2F
電話番号:045-242-1731
営業時間:19:00〜22:00
定休日:日曜日、仙人(店主)が告知した日
※営業状況は変更になる場合がありますので、店舗にご確認ください。

www.hotpepper.jp

「プロントのセルフ立ち飲み」が角打ちみたいでいい感じ【0.5次会にも】

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「角打ちみたいなプロント」が渋谷にできた

セルフスタンドバー形式で話題のPRONTO ILBAR(プロント イルバール)フクラス店に行って参りました。

あの渋谷駅西口駅前の新商業施設、渋谷フクラスの中にあります。

 

「セルフ」スタイルとは、皆さんご存知のファミレスのドリンクバーみたいなもので、それのお酒バージョン。

「角打ち」は、お酒屋さんの一角で、気になるお酒や乾き物や缶詰などを買ってそのままスタンドスタイルで楽しめる、大人の駄菓子屋飲み感覚のニクいシステム(近年どんどん失われている昭和の粋! みたいな飲み方)のこと。

 

そしてPRONTOといえば、カフェとバーが一体化したような業態のお店です。喫茶店としても使えるし、ライトなファミレスとしてしっかりめの食事もとれる、忙しいビジネスマンにはすごく便利なお店のイメージがあります。

そのPRONTOで、セルフで、カジュアルに、角打ち的な立ち飲みが出来るなんて……。

「そんな上手い話があります?」みたいな話ですが、それが、あるんですよ。

 

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渋谷フクラス

 

こちらの1階にあるのが、今回取材させていただくこのPRONTOの中でも主にお酒を提供するお店PRONTO ILBAR(プロントイルバール)です。

 

300円均一のお酒の自販機が並ぶ

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高鳴る気持ちを押さえつつお店に入ります。

 

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f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん:いらっしゃいませ!

 

本日ご案内していただけるのは、店長の廣木さんです。

 

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なんとこちらはお酒の飲めるPRONTO ILBAR(プロントイルバール)の一角に、実験的に初のスタンディングのセルフシステムのコーナーを設けたお店なんだそうです。

 

店内は椅子のある席とセルフの立ち飲みの2つのコーナーにわかれています。

セルフコーナーにはいろいろなお酒の自販機が、手軽に飲める300円均一で置いてあります。

 

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本当にお酒の自販機です。テキーラ、ハイボール(ジムビーム、角)、ワイン(赤、白)、生ビールがあります。

 

この一角だけ見ると、なつかしの自販機だけのドライブインみたいでワクワクします(うどんからトーストまであるところ)。

 

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下には冷やしたグラスがバッチリ用意されています。

 

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ワインは赤と白があります。

 

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▲生ビールはこちら右の機械

 

セルフサービスですが、わからないないことは教えてくれます。

まだオープンして間もないので、皆さん作り方を聞きながらワイワイ購入していました。

 

おつまみの自販機には「万世のかつサンド」も

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そして魅力的なのはこれです。

おつまみの自動販売機。

 

お水もあるし、小腹のすいた人にも嬉しい「万世のかつサンド」。しっかり食べられるこのチョイスがたまらないです。

 

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さっそくサラリーマン代表として、某IT企業にお勤めの宮地くん(25歳)に体験してもらいます。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:ハイボール、いきまーす!

 

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こちらからグラスを出します。

 

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今回は角ハイボールからいただくとします。他にもジムビームのハイボールやテキーラサウザのソーダ割りなどもあり、全部チャレンジしたいところです。

こちらは300円を入れたら自動でウイスキーが適量出てきます。

 

注意書きにあるようにお金を入れた瞬間にお酒が速攻出てきますので、絶対グラスを先にセットしないといけません。

 

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▲レモンがあるのがうれしい

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:ワクワク……。

 

氷、レモンを自分で入れたら……。

 

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炭酸をシャワーっと……

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:なにこれ楽しい!

 

って感じで、簡単にハイボールが一丁上がり。

 

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▲角ハイボール(300円)

 

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ワイングラスは上にあって、販売機にセットすると自動で傾いて注いでくれます。

 

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▲白ワイン(300円)

 

勝手にいい角度で注いでくれます。

 

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そして念願の……

 

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▲万かつサンド(700円)

 

「万世のかつサンド」も大人買いします。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:ちなみにこちらのお店では、おつまみはどれが人気ですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん: 揚げ塩ぎんなんと缶つまベーコンがダントツで売れてます。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:そうなんですか、意外ですね。見た目やお店の雰囲気から予想して、チーズかプロシュートあたりが人気なのかな? と思いました。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん: はい、でも一番売れているのは揚げ塩ぎんなんと缶つまベーコンですね。私達がいつも商品を補充していますので、間違いないです(笑)。

 

「0.5次会使い」に最適なのでは

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▲缶つまベーコン(490円)、揚げ塩ぎんなん(380円)

 

それでは、そのブッチギリの人気の「揚げ塩ぎんなん」と「缶つまのベーコンのハニーマスタード味」も買いましょうか。

 

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とはいえ、やはりプロシュートとチーズも気になります。

 

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▲3種類の盛り合わせチーズ(小・550円)

 

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f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:あ、皿やお箸もちゃんとあるので盛り直したらシェアしやすいですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん: はい。お二人様以上ですと、お皿がほしいですよね。言っていただけたらかつサンドを温めたり、有人カウンターでピザを注文したりも出来るんですよ(※バータイムの始まる17時以降)

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:それ、いいですね。軽く飲むつもりだったけど、もう少し何か食べたいなってとき、ありますもんね。融通きくなあ。

 

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▲プロシュート(小・390円)

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん:プロシュート美味しいですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:なんというか、自販機にいろいろ入っているとお祭りの露店みたいで、楽しくなってきますね。これはいろいろ買っちゃいますね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:やばい、ハサミほしい(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん:そうなりますよね。もちろんご準備しております。

 

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▲自販機の側面にハサミありました。ぬかりありません

 

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やばい……このお店……なんだか……

 

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楽しい!!(しかも万かつサンド、大吉だし)

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:ここ、待ち合わせ前に先に2人とか合流して、ちょっとお先に一杯やりたいときにいいですね。「 0.5次会使い 」って感じで。ノーチャージだし、自分で勝手にやれちゃうから店員さんにも気を使わないですし。それに、お酒は安いしツマミもあるし、最高じゃないですか? これはもう絶対また使いますよ。

 

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▲テキーラサウザ ソーダ割り(300円)

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん:ありがとうございます。そういう使い方をされる方も多いですね。あと、こちらのコーナーは立ち飲みになりますが、反対側には椅子もあってしっかり食事をされたい方のための有人カウンターもあるんです。
そちらはパソコンを持ち込まれる方が多いですが、立ち飲みコーナーは飲みながらスマホでサクッと作業されている方が多いですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:皆さん、お仕事中なんですかね?

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん:お仕事だったりスマホを触りながら一杯だけ、など、いろいろな方がいらっしゃいますね。買い物の合間の主婦のグループ、お一人の年配の方、朝も昼も何というかコーヒーを飲むような感じで気軽に利用される方が多いですね。

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▲ジムビームハイボール(300円)

 

取材中もカップル、買い物中の主婦二人組、ご近所さんっぽい年配のお客様などが次から次に来店して、パッと飲んでサッと帰られてました。

もしかしたら、気兼ねなくサクッと飲めるお店が、いろいろな世代に求められているのかもしれません。

女性も若い方も気軽に入れるPRONTOなら、なおさらです。こういう場所って、今まで意外となかったかも。

 

忙しい渋谷のビジネスマンに支持される理由

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▲ワイン赤(300円)、プロシュート(390円)、揚げ塩ぎんなん(380円)

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:がっつり飲まれる方はいないんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん: がっつり飲みたい方だと、だいたい椅子のお席に座られますね。あと例えば最初椅子のお席が空いていないからスタンドで待って、空いたら椅子に移られる……みたいなお客様もいらっしゃいます。
あとは二軒目のお店が決まらなくてとりあえず立ち寄るグループの方とか。まだちょっと飲み足りない時とか。腰を据えて飲む前とか、次のお店に行くまでの中継地点として使われる方が多い印象です。とても好評ですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:なるほどですね。たしかにそういう風に使うのすっごいアリですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174211p:plain廣木さん: あとオーダーの品がなかなか届かないストレスがないのがいい、という方もいらっしゃいました。このあたりのお客様は忙しい方が多いですから……。お店を利用していただける理由はさまざまですが、需要は高いようでコンスタントにお客様はいらっしゃいますね。

 

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▲一人でワイングラスを傾け、できるビジネスマンを気取る宮地くん

 

f:id:Meshi2_IB:20200123174512p:plain宮地くん:こういうビジネスマンのアフターファイブ飲みっぽいの、やってみたかったんです(笑)。

 

またひとつ大人になりました……。

 

かくして体験者の宮地くんも、お店にドはまりした様子。

今回の取材で、いろいろな世代の方がかわるがわる楽しそうに飲んでいる姿を目撃して、このお店は間違いなく流行るだろう……そう確信した筆者でした。

 

お店情報

PRONTO IL BAR (プロントイルバール)フクラス店 

住所:東京渋谷区道玄坂1-2-3 渋谷フクラス1F
電話番号:03-5422-3139
営業時間:月曜日~金曜日7:00~23:00、土曜日8:00~23:00、日曜日9:00~23:00
定休日:無休

www.pronto.co.jp

 

「囲碁将棋ファン集う飲食店」の盛況に学ぶニッチビジネスのヒント

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お腹を満たしたい。料理やドリンクを楽しみたい。会話を楽しみたい。雰囲気やサービスを味わいたい。多くの人々はこのような理由で飲食店を訪れているのではないだろうか。

だが、ゲームを楽しむプールバーやダーツバーのように、観戦を楽しむスポーツバーのように、飲食プラスαでわいわいするのも良いものだ。

ここで取り上げたのは、将棋や囲碁が楽しめる飲食店。対局をしたり、好きな棋士や定跡の話ができるお店で、同じ趣味を持つファンが家庭や学校・職場以外で集まるサードプレイスとなっている。

その一方では、対局する場としては教室や道場といった真剣な場があり、今はスマホなどを使ったネット対局も盛んだ。そういった環境がある中、人々は「囲碁将棋に特化したお店」に何を求めて訪れているのだろうか。

東京・新橋の「樹林」と六本木の「将棋バーto be」を訪れて、店主やお客さんに話を伺ってきた。

 

将棋・囲碁が楽しめる新橋「樹林」

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将棋・囲碁を始め多くのゲームが楽しめる新橋の「樹林」は2011年から営業開始して今年で8年目を迎えた。ビジネス街という立地もあり、企業の部活動の会合で使われたり、地方のプレイヤーが出張や旅行の際に立ち寄ったりすることもある。

jurincafe.jp

本格的に料理を提供するため、2019年9月に同一エリア内で移転。ランチ時には手の込んだ料理を味わいに、プレイヤーではない人も足を運ぶ。

対局を目的に来店した人はプレイ料金として1,000円(価格はすべて税抜)、17時以降はチャージ500円がかかり、そのほかは飲食物の注文に応じて料金が発生するシステム。従ってランチやカフェで食事のみを目的に訪れた場合は料理の代金しか発生しない。

 

あえて「囲碁・将棋」と銘打たない

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樹林の看板には「囲碁」「将棋」という文字がない。店主の中山佳祐さんはあえて入れていないと語る。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191119100012p:plain中山さん:「対局しに来るお店」ではなく「対局も出来るお店」にすることで、囲碁・将棋を知らない層の方がご来店しやすいお店にしたかったんです。対局が目的の店になってしまうと、対局しない層、つまり興味の無い方や囲碁・将棋に触れたことの無い方のご来店はあり得ません。触れたことが無い方が食事やお酒を楽しむ日常に何気なく囲碁・将棋が認知されるようなお店になっていれば、興味を持ったりプレーして頂けるようになったりする可能性が開けてきます。

 

店名に囲碁や将棋といった言葉を出さないのは、囲碁や将棋を知らないお客様に来店いただき知るきっかけにしてほしいから。逆転の発想だ。

その効果もあり、初心者や、対局はできないけれどプロの対局をテレビやネットで楽しむようなライト層が増えたという。

 

回転率を意識しないから手の込んだ料理が出せる

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料理は手が込んだものを提供している。囲碁・将棋を知らない方が楽しめる飲食店であることこそ急所、メニューは全力投球だ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191119100012p:plain中山さん:全て手作りで仕込んで準備していますよ。ベーコンは1週間かけて作っていますし、カレーはスパイスを引くところから作っています。グランドメニューもありますが、日替わりで作っているものも多く、そちらの注文がどんどん入ります。

 

筆者が取材に訪れた日も、メニューに出ていないスープカレーがひっきりなしに注文されていた。

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写真は煮込みハンバーグ。グランドメニューにはないが、ランチでは1,000円で提供しているものだ。

ハンバーグは牛100%、手ごねで作る。とろりとしたソースは絶妙な甘辛さで牛肉の旨味を充分に引き出しており、確かにこの味、また食べたくなる。

 

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モヒート(580円)はミントをすりつぶして作っている。口に含んだ際の爽やかな香りの広がりが鼻にまで抜け、優しくなれるカクテルだった。

 

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その他のドリンクメニューを見ても、幅広いお客さんに対応できるのがよく分かる。

 

f:id:Meshi2_IB:20191119100012p:plain中山さん:回転率を意識しているわけではない分、手の込んだ料理が作れるんです。

 

確かに、プレイヤーでなくても食べに来店したくなる味だった。

 

高リピ率の秘密は「ニッチなのに気軽」!?

10代のころから飲食店を経験している中山さん。樹林ではリピート率が高く、プレー中の注文も少なくないと言う。

 

f:id:Meshi2_IB:20191119100012p:plain中山さん:気に入るとまた来てくれる、というお客さんが多いですし、お友達を誘って来てくれるんです。焼肉を食べに行こうという方はたくさんある焼き肉店から選ばれますが、将棋を指しに飲食店に行こうという方の選択肢は多くありません。そうしたこともリピート率の高さに繋がっているのではないでしょうか。

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この日は常連同士の男女がペア碁(男女がペアになり、交互に打つ)を楽しんでいた。観戦しながら対局者と談笑している常連さんは囲碁六段。気軽に楽しめる場が良いと魅力を語っていた。

プレーに熱中する余り注文が少なくなるのではないかとも思ったが、食事しながらプレーしている人は少なくない。ドリンクもアルコール・ノンアルと揃っているし、つまむメニューも豊富。

対局を楽しむ人からは「席料」として1,000円を頂くシステムで、客単価がネックになることもない。「ジャンル的にはニッチなのに、意外に気軽」という両面性がリピ率の高さなのかもしれない。

 

お店情報

樹林

住所:東京都港区西新橋1-18-11 ル・グラシエルビル 16号館2階
電話番号:03-3580-1746
営業時間:火曜〜土曜11:30〜23:30、日曜11:30〜20:00
定休日:月曜

jurincafe.jp

 

愛好者が非営利志向で開く「将棋バーto be」

六本木・芋洗坂を下りきった雑居ビルの3階にある「将棋バーto be」。ここは、会員制のバーを土曜日だけ借りる形で営業している、将棋ファンの集いの場だ。

twitter.com

 

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▲マスターの佐藤翔一さん(左)とこの日のスタッフのみなさん

 

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チャージは男性2,000円、女性1,000円。メニューは500円からのドリンクのみ(料金形態は変更の可能性あり)で、ナッツなどを除き、フード類は提供されていない。

二代目のマスターは大学院生の佐藤翔一さん。お店はもともと数名の社会人で運営されており、現在も10名程度の中からお店に出られるスタッフを中心に回している。

 

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初代のマスターがバーの経営者と仲が良かったことから土曜日に使わせてもらえるということで、ほぼ非営利で運営している。将棋ブログを書いている友人同士が居酒屋で集まっているうちに、集まる場が欲しいねと盛り上がったのがきっかけだそうだ。

 

来店メリットは「仲間が増えること」

ホームページを持たず、Twitterのみで営業情報などを提供するto beへは、将棋を知らずに迷い込んでくるお客さんはいない。

その「棋力」も様々。完全プロ志向もいれば、指すのがとにかく好きな人、観戦専門までスタンスは各々異なるが、「将棋、あるいは将棋にまつわる何か」を求めてファンが集まってくる。

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f:id:Meshi2_IB:20191119102655p:plain佐藤さん:将棋仲間が増えるのが大きなメリットです。将棋大会に出た時に知人がいるとアウェイ感がなくなるし、お店に来たのをきっかけに将棋を指すことを覚えてくださる方もいらっしゃいます。

 

将棋の楽しみ方を広げるファンも多いそうだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191119102655p:plain佐藤さん:将棋を指す人が六本木を訪れる理由作りになれればいいなと考えています。私自身、毎週将棋を指しているだけで楽しいですし、お客様が楽しんでくださるのを実感するだけでもやりがいを覚えます。本当に将棋を楽しむために営業している感じですね。

 

有段の実力を持つ佐藤さん。カウンター越しに楽しく将棋を指している姿が印象的だった。

 

楽しさが満ちあふれる店内

お店のスタンスが明確だからだろうか、悪酔いするまで飲むようなお客さんもいないそうだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191119102655p:plain佐藤さん:将棋を指すために来る方が多いので、前後不覚になることはそもそもありませんね。

 

佐藤さんは語るとおり、確かに店内は楽しさと熱気で満ちあふれていた。

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常連は9:1で男性が多いそうだが、取材に来たこの日は大分在住の酒造に勤める女性が一人で来店。常連の女性客と楽しく将棋盤を挟んでいた。Twitterで存在を知って初めて立ち寄ったとのことだったが、リラックスして対局に臨んでいた。

面白かったのはギャラリーが対局中の女性にアドバイスしながら、わいわい話しながら進めていること。

一般的にはアマチュアでも対局中の助言は禁止だ。将棋盤や碁盤の脚のデザインは植物のクチナシ(口を出してはいけない)をかたどった……という通説があるくらいで、対局者以外が対局内容について語れる空気感にはなかなかならない。それだけこの場がオープンな空気ということだろうか。

筆者もこの日初めて来店したというお客さんと対局。おしゃべりが過ぎて集中力を欠いてしまい序盤・中盤と形勢が悪かったが、酔いが回っていない利点を活かして終盤に逆転勝ちした。

 

お店情報

将棋バー to be

住所:東京都港区六本木5-9-14 第7六本木ビレッジビル3階
電話番号:非公開
営業時間:土曜日18:30〜23:00※土曜日のみの営業となります

twitter.com

 

棋は対話なり

道場で真剣勝負を続けるとしんどくなる。ネット対局を続けると雑になる。教室では堅苦しい。ほどよく丁寧にリラックスして対局したくなる。そんな囲碁・将棋ファンは少なくない。

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「棋は対話なり」という言葉がある。将棋や囲碁で使われる格言のようなもので、対局者は対局しながら対戦相手と対話をしている、という意味だ。

「ここまでは押させてもらいますよ」

「そこは我慢しますけれどここは主張させてもらいます」

「仕方ないなあ」

こんな言葉を、盤を挟みつつ無言で交わしているような気になるのだ。

筆者は将棋歴が約40年ある。不思議なことにネット対戦ではこの対話を感じづらく、ゲームとしての将棋を淡々と進めているイメージがある。ところが生身の人間と将棋盤を挟んで対局すると、この言葉通りの心持ちになるのだ。

飲食とともに対局を楽しむ。同じ趣味の人が集まり会話を楽しむ。仲間を作る。飲食店を中心にそうした場が作れることの喜びを再確認した。

「爬虫類バー」というアナタの知らない世界

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爬虫類愛好家のためのお店

メシ通の取材をするようになって、友人知人からいろいろなお店の情報を教えてもらう機会が増えました。

そんななかで「中野にヘビやトカゲとか爬虫類がたくさんいるBARがあるらしい」という噂を少し前から耳にしていました。

いつか取材に行ってみたいなと思っていたのですが、私は子供のころに亀を飼っていた程度で、あまり爬虫類の世界には明るくないため躊躇していました。

今回は一人で取材するのは不安なため、普段から一緒に飲み歩いている知人の立体怪獣作家・ヤモマークさんに同行してもらおうとさっそく連絡を。

 

twitter.com

彼はヤモリを数匹と亀やカエルも飼っている爬虫類マニアなので、きっと会話も弾むはず。

取材のことを伝えると「そんなお店あるんだ。知らなかったよ。しかし中野は変わったお店がたくさんあるね」と良い反応。同行を快くOKしてくれました。

 

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お目当のBARはJR中野駅南口を出てすぐにあるレンガ坂の奥、丸井中野本店の裏手にあるスナックの2階。

 

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ありました、ありました。ここが噂の爬虫類BAR「BAR 夜刀神(バー ヤトノカミ)」。爬虫類の皮膚のウロコのようなイメージの看板が目印。

 

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店の入り口に続く階段の両脇にはおびただしい数の爬虫類や両生類の写真が貼られています。

一般の人は少しギョッとするだろうが、同行したヤモマークさんは「おお~! こりゃ本格的そうだね~」と早くもテンションが上がっている様子。

 

ドアを開けると……。

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いきなりタランチュラのシルエットに「危険」の張り紙が!

「いらっしゃいませ~」

お店の第一印象とは裏腹に明るい声で迎えてくれたのは店長の西川達也さん。

気難しい感じだったらどうしようかと思っていたので、ホッとしましたよ。

 

入り口はわざと入りにくい雰囲気にしていた

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──こちらのBARはいつごろできたんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川達也さん(以下・西川):4年前の2015年にオープンしました。7月だったかな。

 

──もともとはどこかのペットショップで働いてらしたとか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:もともとは東中野に20年ほど前にあったペットショップに勤務していたんです。その後、BARにも勤務したので、そのふたつが合わさった感じでしょうか。

 

──やはりお客さんは爬虫類などを飼っていたり、詳しい方が多いですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:多いですね。わざと入り口も(マニア向けの雰囲気にして)入りにくくしてるんですよ。

 

──たしかにちょっと怖いと思う人は多いでしょうね。間違えて入ってきても、お互いに気分を害する可能性もあるし。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:オープン当初は、階段の壁面などに何も貼っていなかったんですね。そしたら、日曜日でお休みのお店ばかりで飲むところを失ったおじいちゃんが入ってきて。飲み始めたはいいけど横を見てハッとなってすぐに帰るって事もありましたね。それもあってお店の階段からわかりやすく今のような感じに。

 

──あらら。フードはメニューにないですね。持ち込みされているお客さんもいらっしゃるようですけど、どういったシステムなんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ウチはガスが通っていないのでフードは持ち込み自由なんですよ。特に持ち込み料もなしでチャージ500円だけであとはドリンク代のみです。タイムチャージではないので時間は気にせずゆったりしてもらえれば。
常連さんはそのへんのコンビニとかでおつまみ買って持ち込みしてますね。松屋の牛丼を持ち込む強者もいますよ。

 

──そうなんですね。やるなぁ~。牛丼を片手にイグアナを見てるってのは絵面的に結構ヤバいですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:まぁ、みんな自分で飼ってる人が多いんであまりここで生き物をじっくりみる人は少ないですけどね。内装も暗めにして昔の爬虫類屋っぽくしているのでその雰囲気を楽しんでもらうというか。あ、何か飲まれますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:オススメはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:じゃあせっかくですからタランチュラベースのカクテルとか。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:じゃあ、それを。

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▲タランチュラソーダ割り(900円)

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:別のだと、爬虫類は関係ないですけど常連に人気のカクテルもあります。味は某有名スポーツドリンクみたいな感じのカクテルですね。

 

──面白そうなので僕はそっちで。

 

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▲某スポーツドリンクみたいなカクテル(800円)。本当にあのスポーツドリンクみたいな味。そしてけっこう酔う!

 

珍しい昆虫も

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:いやぁ、本当にマニアックなお店ですねぇ。この虫は?

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▲バイオリンムシ(店長の私物)

注)ご紹介した虫は基本的に許可を取ったものを密閉した容器に入れています。店内で外に出すことはありません。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:標本はけっこう出回ってるんですけど、生きているのはあまり出回っていない。バイオリンムシです。失明するクラスの毒をだします。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:えっ、それ毒あるの!?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ケツから毒を出します(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:え~っ! 毒は怖いです。かゆくなる程度の毒ならいいですけどね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:う~ん。でもこの虫、まだ生態がなんにもわかってないんですよ。未知すぎて。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:でも何を食べるかくらいはわかるんでしょ?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:いや、わかってないんです。「サルノコシカケ」っていうキノコあるじゃないですか。その近辺にいるってことくらいしか、わかってないんですよ。そこに集まってくる蛾の幼虫とかを食ってるんじゃないかっていう話があるんです。それで今、いろいろ試行錯誤中なんですけど。

 

──へぇ~。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:でも、そういう虫を食べるっていうタイプにはあんまり見えないけど。葉っぱとか食べていそう。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:口の先が尖ってるんですよ。細かい小さめの虫を襲ってて。仲間としてはオサムシに近いんですよね。肉食系の甲虫の仲間。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:マイマイカブリみたいな?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:そうです、そうです。近いと思いますね。噛まれると地味に痛い!

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:ははは。でも普通にコオロギを飼っていても、噛まれたら血が出ますよね。クロコオロギとかエンマコオロギとかね。けっこう噛む力が強い。

 

そして、この容器に入っているのはすべてサソリとタランチュラ。

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▲サソリ

 

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▲タランチュラ

注)ご紹介した虫は基本的に許可を取ったものを密閉した容器に入れています。店内で外に出すことはありません。

 

珍しい爬虫類軍団を鑑賞しながら

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──これはオオトカゲの子供ですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ええ。その辺にいるのは僕が趣味で集めているものですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:まずこの子がイザベルモニター。ソロモントゲマングローブとも言われたりするんですが。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:真ん中にいるのがこの子がデュメリルモニター。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:そしてこの子が、いちおうコガネオオトカゲとは聞いてるんですが、よくわからないです。まったく形質が違うので新種か自然下ハイブリッドか。たまにそういう面白いのが入ってくる。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:これはクシトゲオイグアナっていう。まだ子供です。

 

──か、かわいい……。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:これはゴールデンテグー。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:けっこうみんな大きくなりそうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:そうですね。大きくなったら自宅に持って帰っちゃうんです。自宅では、大きいのをメインで飼っているんですけど。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:餌はやっぱり、ネズミとか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:はい、ネズミとかウズラだったり。虫も使いますね。

 

「爬虫類マニア」同士の濃ゆい会話、実況中継

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ヤモマークさんは爬虫類に詳しそうですけど、何か飼われているんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:僕はヤモリが多いですね。最初にレオパ(※英名・レオパードゲッコー。日本名・ヒョウモントカゲモドキ。爬虫綱有鱗目トカゲモドキ科に分類されるヤモリ)を買って。あとね、ナメハダタマゴヤモリが好きなんですよ。
あとオニタマ(※オニタマオヤモリ)とかね。でもね、何年か飼ってると死んじゃうでしょ。可哀想だし、次を買うのも高いしで、今ちょっと我慢してます。今はレオパとかイワトカゲが3匹います。イワトカゲはね、丈夫でカッコイイし。 

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:いいですね~。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:一回ね、ご飯を食べなくなって心配して病院につれて行ったんですよね。なんかレントゲンも撮ってもらってね。検査したら、なんでもないっていわれて。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:どこの病院に行ったんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:○○のそばにある病院ですね。ずっとね、××の隣にある、△△クリニックに連れていってたんです。どっちも院長しかトカゲは診られないとかで、その人はやはり凄い詳しくて。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:動物病院の情報は我々にとって非常に大事なんですよ(笑)。

 

──さすが愛好家同士……ヤモマークさんに来てもらってよかったですよ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:ヘビはね、僕、怖いんですよ。やっぱりね、子供のころからヘビ怖いって。もちろんカワイイのもわかるんだけど。シシバナヘビとか、ずんぐりしてカワイイんだけど。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:給餌中に間違えて噛まれると痛いですからね。けっこう怖いんですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:あれ、カエル食べるんでしょ?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:もともとヒキガエルを食べるんですけど。あいつらって食性遺伝するんですよ。マウス食って大丈夫なもの同士を掛け合わせると、マウス食える奴ができるんですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:ああ、そうなんですか(目を輝かせて)。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:たまに先祖返りしてカエルしか食えないやつが出てくるんですけどね。だから売るときには、「マウス食って育ちました」とか、「カエル食って育ちました」とか、明記しないといけないんですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:餌をやるにしてもだいたいカエルが確保できないし、自分がカエル大好きなもんだから餌にするの可哀想になっちゃう。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ヒキガエルとかでいいんですよ、餌は(キッパリと)。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:ヒキガエルは自分でおたまじゃくし採ってきて育てているけど……う~ん、可哀想でやっぱり無理かもしれない(笑)。でもヒキガエルを食べるんですね。ヒキガエルって毒があるのに、食べられるんですかね?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:毒を持ったヒキガエルを食べても食性遺伝で大丈夫な感じになっていて。ヤマカガシなんかの猛毒でも大丈夫で。それでヒキガエルの毒を、耳の後ろに溜め込んだりして。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:ああ、それで毒を持った個体を食べても大丈夫なんだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:本州にいる毒ヘビでは最強クラス。ヤマカガシは。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:僕は正直、ヘビを実際に見てもシマヘビとアオダイショウの見分けがつかない(笑)。ウチの近所にもたまにいるみたいなんですけどね。練馬あたりには。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:練馬あたりだと、アオダイショウかヤマカガシじゃないですかね。街路樹の中とかアオダイショウがいたりして。あと、六本木あたりにもいるらしいですよ。あと明治神宮とか。

 

──明治神宮はいそうだけど、六本木にも!?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:街路樹で鳥が留まっているのを襲ったりして。繁華街なんかでもネズミを襲ったり。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:繁華街の路上で、たまにネズミは見かけるよね(笑)。あれも喰われちゃうんだ。

 

思わぬところで繋がる爬虫類マニアの輪

──ここみたいに爬虫類がたくさんいるお店って、他にもあるんでしょうかね?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:バーだとウチくらいですかね。カフェバーとかではありそうですけどね。ウチは飼育者向けの、飼ってない人よりは飼ってる人向けのお店。お客さんも業界の人間が多いので、趣味で買っている人と交流することも多いです。中野はもともと爬虫類ショップが多いところでもあるので。お客さんでショップの方もよくいらっしゃいます。専門誌の編集長やライターさんとか、僕自身の師匠みたいな人もいらっしゃいますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:◯◯っていう爬虫類ショップのAさんって、知り合いですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:よくウチにいらっしゃいますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:私、知り合いなんですよ。最初は僕がレオパを見せてもらったり、飼い方とかを教えてもらっていたんですけど。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:ああ、そうなんですね! あの方は知識とか凄いですよね。昔からトップを走ってるショップのスタッフであり続けた人で。そのお店のオーナーがメチャメチャ高くてよくわかんない生き物を持ってきて、これ死なせたら60万円の損害だぞ、みたいな無茶振りに耐え続けた人なんで。

 

──わはははは。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:だから(育て方など)なにを聞いても全部わかるっていうね。あの人は。爬虫類屋さんの中でも、知識でいうとトップクラスですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:私の仕事柄、怪獣の知識が凄い人は結構まわりにいるけど、爬虫類にあれだけ詳しい人はいないなァ。

 

責任と覚悟、知識がない限り、安易に飼育はしないで欲しい

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▲アフリカウシガエル

 

──最近、以前より爬虫類や変わった生き物を飼う人が増えているような気がしますが、どのような思いで見ていらっしゃいますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:どんな趣味の世界もそうだと思うんですが、人口が増えると業界自体は潤うかもしれないけど、結局は粗製乱造になるし、ドッと初心者が入ってくると、マナーをわかってない人、大事な部分を知らない人が増えてしまうんですよね。

 

──たしかにそうかもしれません。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:いままでは隠れて飼うようなものだったし、世間一般から見れば気持ち悪い生き物なわけじゃないですか。日本にいるトカゲがせいぜいこんな小さなもんだろうというのに対して、海外から入ってくるものは中型トカゲだと、けっこうな大きさです。
それに首輪をつけて、外で散歩させるような心無いヤツがいるんですよ。そういうのって、結局のところ自分で自分の首を絞めている。そんなヤツらが散々はしゃいだ挙句に法規制が入るってことが多くて。

 

──それはヒドイですね……。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:過去の実例としてはサソリもやられてるんです。極東サソリっていうのがいるんですけど、今は日本で飼育・輸入禁止なんですよ。岡山かどこかで逃がしちゃった人がいて、それで規制になっちゃった。

 

──日本の気候でも繁殖しちゃうようなサソリなんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:いや、日本の気候で繁殖するような生き物じゃないんですよ。でも毒が強いというんで規制されちゃった。
たしかに5mとかに成長しちゃような生き物だったら、許可申請があってしかるべきだと思うんですよ。僕だって3mくらいのサイズになると、一人では扱えないですから。この趣味って法規制との兼ね合いでやる趣味なんで、本当は愛好者はあんまり増えて欲しくない。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:一時期、よく生き物が逃げたってニュースになってましたね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:やっぱり、世間一般に受け入れられない趣味だってことを認識したうえで飼うことが大事だと思うんです。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:そうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:だからこそ、ウチのお店も一般の人が入りずらい入り口にしてあるし、なんでしょうね……悪いことをしているわけじゃないんだけど、秘密組織みたいなね(笑)。それぐらいハードル上げたほうがやりやすかったりする。

 

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──ある程度リテラシーがある人たちでまとまってシーンを守っていかないと……。そういう意味では、こういうお店で初心者なんかはいろいろと教わったほうがいいのかもしれないですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:もちろん聞かれれば、餌はこうしたほうがいいとかを教えたりしています。今はホームセンターでもヤモリが買える。そうすると、商品知識のないダメなショップも出てくるんです。
そういうお店って、育て方や扱い方を何も教えてくれないんですよ。で、飼い主もちゃんと育てられないし、自分ルールで全部やっちゃう。本当に難しいですね。

 

──あまり気軽に扱えるものじゃない、と。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140056p:plain西川:僕は中学3年生くらいから生き物を勉強してきて。それから20年。だから、軽い気持ちで爬虫類の飼育を始めて欲しくないっていうのがすごくあるんです。なんというか、芸歴だけはやたら長い若手芸人みたいな考え方……「老害」になりつつある感じ(笑)。難しいなぁ。

 

f:id:Meshi2_IB:20191030140124p:plainヤモマーク:(唐突に)僕はヤモリが一番好きなんですよ。

 

──ヤモマークさんみたいな人は飼っても大丈夫ですよ。めっちゃお店に馴染んでるじゃないですか。

 

・・・

 

蛇、虫、鳥のことを、人間は本能的に恐れるところがあります。

一説には、人間が猿だった時、天敵になりうるのは空から来る鳥や、木の上に登ってくる蛇、毒のある虫だったから、それが本能として刷り込まれているのだ、という話。

人間が畏怖の対象としてきた生き物を飼育するということは、それなりの責任と覚悟が必要なんだとあらためて感じました。

 

お店情報

BAR 夜刀神(バー ヤトノカミ)

住所:東京都中野区中野3-35-5 2F
電話番号:080-3242-7854
営業時間:金曜日~水曜日18:00~4:00頃まで
定休日:木曜日

twitter.com

 

日本初の「ブロガーが集うバー」がオープンしていたのでログインしてみた

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東京メトロ丸ノ内線の新高円寺駅を下りて徒歩1分。雑居ビルの地下に、そのバーはある。

 

店の扉から中を伺うことはできないが、扉に貼られているのは

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▲入店ではなく「ログイン」

 

「ログイン」の文字。どうやらこのバーでは入店ではなくログインと表現する方がしっくりくるらしい。ここはおそらく日本で唯一であろうブロガーによるブロガーのためのバー「ブロバー」だ。

 

「ケイタさんですよね? いつもTwitterで拝見していました! 会えるかなと思って伺いました。うれしいです!」

取材中に入店してきた男女のお客さんが共同オーナーの一人・沖ケイタさんを見つけるや否や語りかける。SNSでいつも追いかけている人と実際に会えた喜びからか、そのお客さんは満面の笑みだ。

 

沖ケイタさんはTwitterのフォロワーが27,000人を超えるブロガー。日頃からブログ、Twitter、メルマガなど複数の媒体で情報発信をしている。テレビや雑誌に顔を出すような有名人ではないが、彼を慕うファンが多い人気者だ。

 

▼沖ケイタさんのブログ

www.proof0309.com

 

もう一人の共同オーナー・ぶんたさんもTwitterのフォロワーは16,000人以上。ケイタさんと同じく情報発信をまめに行っている。

 

ぶんたさんのブログ「いつまでもアフタースクール」https://www.buntadayo.com/

 

▼ぶんたさんのTwitterアカウントはこちら

twitter.com

二人が運営する、ブログを書いたり広告収入を得たりSNSで情報発信する人、いわゆるブロガーが集まるバー「ブロバー」は、2019年5月1日、令和最初の日にオープンした。

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▲「ブロバー」入り口と共同オーナーの二人。左が沖ケイタさん、右がぶんたさん

 

ブロガー同士で飲んでいるうちにバーを作りたくなった

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自分の思いを吐露する、調べ物をしてそのまとめを発表する、芸術作品を公開する、グルメのレポートをする、製品のレビューをする。こうしたブログ執筆活動として「仲間」が必要なシーンはあまり見当たらない。

しかし、ブログを長く続けるには、仲間の存在は大きいもの。ブログを7年続けている筆者も、ブロガーの友人がいなかったらここまで続かなかっただろう。

 

ぶんたさんはブログを始めた最初の月に、記事が炎上した。

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▲ぶんたさん。ブログを始めた月の炎上を思い出させてごめんなさい

 

f:id:Meshi2_IB:20191010180032p:plainぶんたさん(以下敬称略):困惑した僕の悩みや相談を聞いてくれる仲間がいたのは本当にありがたくて、SNSでの批判も多かったのですが乗り切ることができました。

 

その原体験から、ブロガー同士が気軽に会って話せる場づくりの必要性を強く感じることに。

 

f:id:Meshi2_IB:20191006114919p:plainケイタさん(以下敬称略):以前から事業化するならブロガーが集まるお店をやりたい」とうっすら思ってはいたんですね。誰もやっていないことなので価値はあるのかなと。

 

クラウドファンディングの目標額を初日で達成

さっそく二人は2019年3月に、開店資金の協力を募るクラウドファンディングを実施。

camp-fire.jp

 

支援希望額の230万円は初日でサクセスし、最終的には180%・420万円を超える支援を得た。加えて、スポンサーをしてくれる企業や個人も加わり、総支援額は600万円近くにも上る。

 

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▲クラウドファンディングのメリットを語るケイタさん

 

f:id:Meshi2_IB:20191006114919p:plainケイタ:クラウドファンディングはオーナーに大きなメリットがあるんです。まず「お店を成功しなければいけない」というモチベーションが強くなること。次に、話題になることで開業前にお店の認知度が上がること。そして支援してくださった方がそのまま大切なお客様になることです。

 

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ぶんた:飲食店とクラウドファンディングの相性は良いですよ。支援した人は『自分事』になるので足を運んでくれますし、ほかのお客様を連れてきてくれます。内装も、ボランティアを募集したらペンキ塗りや床の張り替えを手伝ってくれるブロガーさんが何人も手を挙げてくれたんですよ。ありがたかったです!

 

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▲店内の黒板にはクラウドファンディング支援者の名前がずらり

 

同店では、クラウドファンディングの支援をしてくださった方を店内に掲示している。その掲示がどこにあるのか見当たらない……と思っていたら、アートのように描かれた店内の掲示物に書かれているものが、支援者のニックネームだった。

 

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▲有名ブロガーの名前もある、クラウドファンディングの支援者

 

支援額の大きな方はより上部へ、より大きな文字で書かれている。支援した側に立ってみると、こうした掲示がいつまでも残っているのは嬉しいものだ。

 

ブロガーや支援者が楽しめる仕組みを

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ブロバーには、ブロガーが親しみやすくなる工夫がいくつかちりばめられている。

 

①メニューがブログやSNSに関係ある名前になっている

まずはこのメニューをとくと見てほしい。

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▲ブログ・アフィリエイトなどの専門用語が名付けられたドリンクメニュー

 

ツイ廃、炎上うめサワー、バズテキーラなどなど、ユニークなメニューばかり。「炎上うめサワー」というのは、ブログなどの炎上と、梅の赤い色をイメージしてネーミングしたそう。ブロガーなら、初めて注文するときに思わずにやりとしてしまいそうだ。

 

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注文したカクテル「ツイ廃(ツイッター廃人。Twitter依存症のような人を指す。上の画像左側)」はブルーキュラソーサワーで、柑橘系の爽やかな味。この爽やかなブルーがTwitterのアイコン色にそっくりなことから名付けられた。

 

サワー・イチゴ・オレンジの三層で作られたカクテルは三種類の頭文字を日本語・英語からいいとこ取りをしてもじり「SEO」に(上の画像右側)。普段は検索エンジンに振り回されっぱなしのブロガーだが、ブロバーであれば一気に飲み干してしまうこともできる。

 

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▲クラウドファンディングのリターンの1つがメニューの命名権だ

 

クラウドファンディングの支援に対するリターンの一つとして、メニューへの命名権があったのも特徴の一つ。こうして支援者の名前がメニューに残る限り、支援者にとってはブロバーは自分事であり続けるのだ。

 

②来店者はプロフィールカード「ブロカード」を作成

筆者が初めて来店したときに、一枚のカードとサインペンを渡された。それはブログをはじめSNSでの活動などを自己紹介するプロフィールカード「ブロカード」(下の画像参照)。

これに自分のSNSアカウント名やアピールポイントを書いてテーブル上に立てかけておくことで、知らない人同士が互いに話しかけやすくする仕組みだ。

 

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▲筆者のプロフィールカード。悪筆申し訳ない

 

このカードには二つ、ブロガーが安心して楽しめる要素がある。

一つは「顔出し禁止」サインを入れられること。ブログやSNSで自分の顔を出さないポリシーの人は顔出し禁止の旨を書いておくことで、店内で撮影された顔写真がSNSに流出しないよう配慮してもらえる。

写真をSNSに投稿するのが好きなブロガーは多いが、同時に他者の「顔出し」についても配慮できる人は多い。そうした配慮が行き届いているのは心強い。

もう一つは、カードにランキング制がなされていること。注文額に応じてランキングが上がるようになっており、特典もいろいろだ。

ブロガーには馴染み深いASP(アフィリエイトサービスプロバイダ。成功報酬型広告を配信するサービス)の、もしもアフィリエイトのアフィリエイターランキングと似た称号になっている。同社と契約しているブロガーなら、ブロバーでのランキングが一目でわかるだろう。

写真のプロフィールカードは下から二番目のもの。筆者も、もっとアフィリエイトを頑張ろうっと……。

 

ブロガー以外の「界隈」の人も集まる

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▲バーカウンターに立ってお客さんとブログ談義することも

 

気になるのははたしてどんなお客さんが訪ねてくるのか、ということ。ブロバーといってもブロガーばかりが来るわけではないでしょう。そう思って客層を尋ねてみると……。

 

f:id:Meshi2_IB:20191010180032p:plainぶんた:そうですね。ブロガー・アフィリエイター・SNSのヘビーユーザーが多いですが、広告主やASPに働く人、エンジニアなどもご来店いただきますよ。

 

──ブロガーはどんな人が来ています?

 

f:id:Meshi2_IB:20191010180032p:plainぶんた:一口には言えないほどいろんな人が来てくださるんですが、意外とブログを始めたばかりの人に来ていただけてないんですよね。「実績がないと来てはいけない」と思ってるみたいで。そんなことは全然ありません。気軽に来られる店ですので是非来てください!

 

──逆に、ブロガーじゃないというか、ブログにまったく関係ない人って来店するんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191010180032p:plainぶんた:それはあまりいませんね。ブログや情報発信になじみがなさそうな人には「うちのお店はこういうお店で……」と事情を説明するようにしています。そうしないとお互い戸惑ってしまうのかなと。

 

f:id:Meshi2_IB:20191006114919p:plainケイタ:情報発信する上でブログってハードルが低いと思うんですよ。ほぼ無料だし、手軽にすぐ始められるじゃないですか。それよりもさらに低いハードルとしてSNSがあると思うんですけども、SNSやられてる方は多いですね。Twitter、Instagram、YouTubeなどなど、情報発信をしている人は媒体に関わらず来てくれます。

 

デジタル世代の有名アスリートもご来店!

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▲支援者や常連の書いた書籍が店内に並ぶ。これが話題になることも

 

ブロバーでは席替えを促されることがある。共通の話題の多い人が集まる店、交流を望んで来店する人が多い店だからこその動きかもしれない。

ある日、筆者がカウンターでハイボールを飲んでいたら、近くの席に座っていた20代前半の女性が僕の隣に来て話しかけてきた。なんとその女性はバリバリのアスリート。

ソフトボールプレイヤーの本庄遥さんだったのだ。

 

高校時代にエースとして全国大会で投げ、防御率0で優勝。まったく同じフォームから繰り出されるストレートとチェンジアップの球速差が60km/hもあって、YouTubeでピッチングを見せて頂いたときは素人目にもびっくり……!

現在は大学を卒業し、オリンピック出場や海外リーグでのプレーを目指している。スポンサー獲得などに奔走しつつYouTubeやブログでソフトボールの情報発信をし、年下の人たちにピッチングを教えるといった様々な活動をしている。

まさか世界を目指すアスリートが情報発信力の向上のためにこうしたバーに来店しているとは……。

ネット中心のビジネスをしている人が交流を求めて来店するものなのかと思っていたが、他業種の仕事を頑張っている方が情報発信力を身に着けようとしている現状も知ることができた。

 

「勝ちパターン」はまだ見つかっていない

東京渋谷はかつてIT企業が集中した地域だったため「ビットバレー」と呼ばれることもありますが、渋谷の特定のお店にはビットバレーを中心としたIT・Web関係者がよく来店する、といったケースがある。

しかし、ブロガーをはじめとした情報発信者のための店というのは聞いたことがない。おそらく日本で初めての試みなのではないだろうか。

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▲現在と未来を語る二人

 

f:id:Meshi2_IB:20191006114919p:plainケイタ:ウチのように「お酒以外にウリを持っているお店」は、酔っ払って乱れるようなお客様がいない点がメリットなのかなと感じています。いってみれば「お客さんを選べている」のかもしれません。今後の課題は、イベント以外で客単価をどう向上させていくか、でしょうか。ブロガーらしく新しいアイディアを模索して日々PDCAを回している最中です。

 

f:id:Meshi2_IB:20191010180032p:plainぶんた:「ブロバー」という名前の通り、ブロガーさんがもっともっと来てくれるお店にしたいですね。半年近く運営してきて、まだしっくりくる「勝ちパターン」が見つかっていません。また、単にブロガーが集まる飲食店というだけではなく、もう少しブロガーが来て楽しめる要素を作り上げていけたらと考えています。試行錯誤には限りがありませんね。

 

昭和の時代、名だたる小説家や編集者が集まる酒場は、「文壇バー」と呼ばれていた。

ポール・ニューマン主演映画「ハスラー2」が1986年に公開されると、日本にはビリヤードが楽しめるバー「プールバー」が大流行を見せた。その後も、ダーツを楽しむダーツバー、大勢でスポーツ観戦するスポーツバーが流行するなど、共通の嗜好のもとにお酒を楽しむバーは今でも繁盛している。

近頃はより細分化されたジャンルで同好の士が集まる飲食店ができはじめている。ブロガーのためのバーというのは前例がなく、全国に同好の士が集まれる場ができれば旅するブロガーの宿り木にもなるのではないだろうか。

 

店舗情報

ブロバー

住所:東京都杉並区梅里1-7-14 シャトー新高円寺B102
電話:非公開
営業時間:19:00~23:00 ※10:00~18:30 はコワーキングタイム
定休日:不定休(公式ウェブサイトを参照)

bloggers-bar.com

 

これから飲んでみたい人のための「ジン」「クラフトジン」入門【まずはこの11本から】

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クラフトジンの専門店を発見

巷ではクラフトジンが流行っているようですね。

私も最近、沖縄旅行の際に泡盛ベースのジンを飲んだのがきっかけで興味を持ち、「身近にジンに関していろいろ聞けるお店はないかな……」と思ってずっと探していたんです。

すると、なんと中野にジン専門のバーがあることを発見。

さっそく初歩から教わりに行くことにしました。

 

そもそもジンとは何なのか

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中野南口徒歩1分、カウンターのみの小さなBAR。

Craft gin & Cocktail bar Navel(ネーブル)」というお店です。

こちらは常時100種類前後のジンを揃え王道のジントニックを多様に提案しているそう。

今回お話をうかがうのはバーテンダーでマネージャーの大澤裕也さん。

 

──まずはジンというお酒に関して基本的なところから教えてください。ジンというとベースになるお酒は農作物由来と聞いたことがあるのですが……。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:そうですね。昔は穀物が主流だったようですが、もう今はブドウでもなんでもOKなので、お酒になるものなら基本OKです。ただジンを名乗る絶対条件として「ジュニパーベリーの使用」、これがマストです。

 

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▲これがジュニパーベリー

 

ジュニパーベリーは、ヒノキ科の木の実、和名〝セイヨウネズ〟の実。

胡椒のようなスパイシーな芳香を感じられる。ジンだけでなく、肉料理などにもスパイスとして利用される。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:あとは蒸留だなんだと細かいルールはあるんですがジュニパーベリーが入っていないことにはそれはもうジンではない。身近な例ですと……「ズブロッカ」って飲んだことあります?

 

──はい。ハーブが入っているウォッカですよね?

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ズブロッカってハーブを漬け込んでますけど、ウォッカじゃないですか。あそこに代わりにジュニパーベリーが入ったら、それはもうジンなんですよ。

 

──ああ、なるほど! そういううことか!

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:わかりやすく言うと、そうなんですよ。

 

──要は、蒸留酒にジュニパーベリーを入れるとジンになると。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:一番簡単なジンの作り方はスピリッツ(蒸留酒)を買ってきて、ジュニパーベリーと自分の好きなハーブを漬け込む方法。コンパウンドジンとか、そういう呼び方になりますけどジンはジンなんですよね。

 

──ジンって、かなり自由度が高いんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:そうなんです。もともとそれほどガチガチに法律が定められていなかったお酒ですからね。「昔から、ジンってこうだよね」みたいな定義を決めずに伝統的に作られてきたので、これまでなんとなくそうなっていたんですね。
2008年以降、クラフトジンが増え続けてきた時点で、このままではなんでもかんでもジンということになって飽和してしまうということで、あらためてルールがまとめられたんです。

 

──けっこう最近のことなんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ルール化していく過程で定義から外れてしまう老舗ブランドもあったのですが、現在はそれらも収まるように工夫されているようです。調べてみたのですが、糖度に関しての議論があったようですね。「糖度が高すぎてジンじゃない」「糖度2~3%未満程度であればOK」など。
それはそうですよね。これまで何十年も作ってきたジンが急に「今年から君のところはジンじゃない。ゴメンね」ってわけにもいきませんから。

 

──たしかに。そりゃそうですよね。

 

ジンは大別すると3種類

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▲ビーフィーターロンドンドライジン(660円)(ロンドンドライジン)

 

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:最低条件としてジュニパーベリーを使っていることが前提になります。そして、蒸留の時に①ボタニカル(※)を使うのか、②漬け込むだけなのか、③蒸留の時にも使って漬け込みもするのかといったところで、大きく以下の3つに分類できます。

(※ボタニカル:ハーブ・スパイス、果皮などのこと。ジャパニーズクラフトジンではお茶なども使用される)

 

  • ①London dry gin ロンドンドライジン
  • ②Gin ジン
  • ③Distilled gin ディステルデ(蒸留)ジン

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ロンドンドライジンというのは蒸留の時だけボタニカルを使っているものですね。なので漬け込んで「いい感じに香り出たな、じゃあこれ蒸留しよう」といって、蒸留したあとに製品化したのがロンドンドライジンです。ロンドンドライジンと名乗っているものは、基本全部そうです。

 

──そうなんですね。単純に産地がロンドンなのかと思っていました。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:よくロンドン以外の土地で作られたものでもロンドンドライジンと名乗っている場合もあります。この場合はロンドンドライジンの「製法を守っている」スタイルです。ロンドンドライと書いてあるけどスペイン産とか、あちこちにありますよ(笑)。
要は、ロンドンドライジンのスタイルを貫いていますよ、ということなんです。そこを理解していないと困惑することもあるかもしれません。ちょっとそれをもじったもので「京都ドライジン」って聞いたことあります?

 

──はい。あります。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:あれはロンドンドライジンと同じ作り方をしているんですが、京都で作っているから京都ドライジンという言い方をしているんです、おそらく。蒸留の時にしかボタニカルを使っていないので。

 

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▲バスタブジン(1,100円)(ジンまたはコンパウンドジン)

 

──ではシンプルな「Gin ジン」という名称のものは?

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ジンっていうのは、農作物由来のアルコールにジュニパーベリーとボタニカルを漬け込んで香味を抽出しただけのものです。漬け込んでいればとりあえずジンとは名乗っていいです(※天然の香料だけでなく人工香料も使用可)。

 

──3つめの「Distilled gin ディステルデ(蒸留)ジン」との違いは?

 

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▲ポリマルコーニ46ジン(1,100円)(ディスティルドジン)

 

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ディステルデ、つまり蒸留ですね。蒸留工程でボタニカルの香味を抽出していればOKです。添加が認められているので「この1種類だけは風味を強くしたい」と後から特定のボタニカルを漬け込む……というようなもの。こういったものをディステルデジンといいます。いわば、さっきご説明した2種類の両方の性質を持っているものですね。この3つが大きく分けたジンの種類となります。

 

マネージャー大澤さんのおすすめジン「まずは基本のこの3本から」

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──なんとなくジンの世界がわかってきました。では、とりあえずジンの初心者や、いままであまりジンを飲んだことがない方にまず飲んでもらいたい、オススメの3本を教えてもらえますか。

 

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▲Tanqueray No.10 タンカレー ナンバーテン スピリッツ・ジン47度(990円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:超有名銘柄ですね。逆に有名すぎて飲んでない方もいらっしゃいます。フレッシュな果実を使用しており、伸びの良い香りと甘みのある味わいが特徴です。

 

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▲THE BOTANIST ザ・ボタニスト アイラドライジン46度(990円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:アイラ島で採取されたボタニカルをメインに使っている、いわゆるクラフトジンです。爽やかなハーブの香り、花のアロマ、舌に乗せると少しのミント、余韻は長いがキレがよく口当たりも滑らか。クラシック寄りな味わいと言えますね。

 

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▲BOBBY'S ボビーズ スキーダム・ドライジン 42度(990円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:柑橘系のさわやかな甘さと香りにスパイシーさが効いていて、この中では明らかに味が違います。同じジンでもこんなに味の幅があるんだっていうのがわかると思います。

 

──この辺なら、私も飲んだことがある銘柄が入ってます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ナンバー10でクラシックなジンの味を楽しんでから、BOBBY'Sを飲んでその圧倒的な違いを味わって欲しいですね。
ジン好きだって言ってる方には3つのタイプがあるんですよ。ジュニパーががっつり効いたゴードンとかブードルスとかが好きな世代。第2世代で好きになった人は、ボンベイサファイヤとかタンカレーナンバー10で好きになった世代なんですよ。それが第3世代となるとクラフトジンから入った世代になってくる。それぞれの味がわかる飲み比べなんです。

 

飲み比べると自分の好みが見えてくる4本

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──それでは次に、もっといろいろなジンについて知りたい人にトライしてもらいたいジンはありますか。何かオススメを教えていただければ。

 

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▲COTSWOLDS コッツウォルズ ロンドン・ドライジン 46度(1,100円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:まずはコッツウォルズですね。華やか系の香りが特徴です。けっこうラベンダーが効いています。

 

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▲NEVERSINK ネバーシンク スピリッツジン 43度(1,210円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ネバーシンクはリンゴ原料のベースで作ったジンです。フルーティーさとスパイシーさのバランスがいい。ボタニカルもすべてフレッシュですし、スパイスに関してはシナモンとかクローブとかアニスとか、人によってはいろいろなスパイスが効いていると感じるでしょう。フルーティーで飲みやすいジンですね。

 

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▲ISLE OF HARRIS GIN アイル・オブ ハリスジン 45度(1,100円)

(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ハリス島は、「ハリスツイード」っていう生地の産地で有名な島。そこで作っているジンなんですけど、この4本の中では、際立って優しい味ですね。ちょっと塩っぽさとか、昆布のようなフレーバーも入っていて……「うま味系」と言うか。昆布というと、そのままの味を想像すると思うんですけど、いろいろなボタニカルが入っているなかで昆布のフレーバーが特徴的。非常に繊細なジンです。

 

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▲Gin Gelas ジン・ジェラス 38度(990円)(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ジェラスというアルマニャック(※アルマニャック地方で醸造されるブランデー)があって、それを作っている醸造元が手がけているジンなんですよ。
これ、ベースとなっているスピリッツはブドウ原料なんです。ラベンダーだったりジュニパーベリーだったり、ボタニカル自体はベーシックなものをつかっているのですが、非常に柔らかいフルーティーさとジンらしさのバランスがいい逸品ですね。

 

──フレッシュなボタニカルを使ったりと、だんだん奥深い世界に入ってきますね。まさか昆布までとは!

 

ジンの強烈な個性を楽しむための4本

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f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:こちらの4本は、華やかなのか、スパイス系なのか、あるいは柔らかい味なのか、フルーティーなのかがはっきりとわかるジンです。
飲み比べれば、自分の好みがわかるようになっています。このへんまで飲んでおくと、たとえばフルーティーなジン、と言っても風味の差はすごくあるんだな、ああ、こういう味もあるんだというのが見えてくるきっかけになると思います。

 

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▲AKAYANE CRAFT GIN HEART 秋 46度 AKAYANE CRAFT GIN HEART 冬 46度 

(各1,100円)(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:佐多宗二商店という鹿児島の造り手さんのジンです。晴耕雨讀(せいこううどく)という焼酎を造っているんですけど、それを蒸留して、材料の一部として芋焼酎を使っているクラフトジンです。おすすめする理由は単純で、日本で焼酎を使っているクラフトジンってそのまま焼酎っぽい味のものが多いんですが、こちらはジンとしてのバランスも良く、焼酎感もちゃんとありながらボタニカルの使い方も特徴的という素晴らしいジンです。

 

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▲DISTILLERIE DE PARIS ディスティレリ・ド・パリ ジン ベルエール 43度

(1,430円)(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:香水をモチーフにボタニカルの組み立てを行っているので、味と香りの伸びが違います。絶対に試していただきたいのが、水割りで飲むこと。アルコール感は穏やかなのに、広がる香りの膨らみが他ではあまり見られない上質なものです。

 

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▲ロネルジンZ44 DISTILLED DRY GIN 44度 (各1,320円)(ロンドンドライジン)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:油性のある香り、厚み。ハーブ感の強さから食中にも合わせやすいです。特に、チーズならパルミジャーノやミモレットのような香りのある食べ物とはさらに相性が良くオススメです。

 

──私は何かつまみながら飲むのが好きなので、Z44は試してみたいですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:この辺になると、どれも個性が立っているジンばかりです。ロック、ストレート、ジントニック……いろいろな飲み方を試して、いろいろな表情の違いを楽しんでほしいですね。

 

──いやはや、クラフトジンはいいですね。本当に面白い。いままでジンソーダってこんな感じかなって思ってたのが、このあたりのジンを使うとまったく別物ですもんね。

 

あえて質問。ジンはどんな飲み方が正解?

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──ところで、ジンそのものの味を味わうためにはシンプルな飲み方をしたほうがよいのでしょうか? たとえばストレートやロックとか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:そうですね……僕もここで働いていて、「ジンの飲み方で一番いいのは何ですか?」ってよく聞かれるんですがすごく難しいところです。
ジンの味を単体で味わうならやっぱりストレートが一番わかりやすいと思うんですよね。ロックが一番っていう話もよく出るんですが、ロックって冷やした氷が溶けると水が混ざってしまうので、純粋な味ではないですからね。

 

──とはいえ、私にはストレートはなかなかキツかったりするんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:まず「そのジンが自分にとって美味しいかどうか」が大事なので、例えばお客様で「ハイボールが好きです」という方であれば、ぜひまずはソーダ割りで飲んで欲しいんです。

 

──なるほど。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:「ジントニックが好きなんですよね」という方であれば、ぜひジントニックにして飲んで欲しいんです。
ジンとトニックと柑橘が混ざった味わい、香り。それが自分の好きな味かどうか。それで、このジン好きかもと思ったらそのジンでストレートやロックなど、他の飲み方を試してみる。そうすると、まずは受け入れやすいかと思うんですよね。

 

──まずは自分の好きな飲み方を手掛かりに。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ストレートで飲んだ時に美味しいと思っても、後で炭酸で割ってそれが自分の好きな香りかというと、炭酸が弾けることで出てくる香りのニュアンスって、またちょっと変わるんですよ。そうするとイメージと味のギャップが生まれるんですね。「ソーダ割りにしたらこんなになるんだ……」っていうのがあるので、一概にどの飲み方が適しているというのは言えないんですよね。

 

──それじゃ、私なんかはソーダ割りか水割りで試した方がいいかなぁ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:お客様に僕がおすすめしているのはストレートならストレート、ジントニックならジントニック。飲み方を決めてどのジンも同じ飲み方で飲み比べてみてくださいと。そのほうが「コレ好き!」とか「コレあんまり……」などの好みが比較しやすいんですよ。

 

──たしかに、そのほうがわかりやすそうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:その日、違うジンを3種類飲みたいです。というときは同じ飲み方で3種類のジンを飲むのもひとつの方法です。
ストレートで楽しめるようなジンありますか? というお話をいただいたら、まずは柔らかい味のものを提案させていただきますし、飲む順番や、すでに飲まれて来店しているのかにもよります。一概にストレートが一番味がわかるとは思っていないです。

 

──こうやってお話をしながら自分の好みを探っていくのも楽しそうです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:今お店で2種類ほどのジンでやっているんですけど、タンカレーのナンバー10を冷蔵、常温、冷凍の3タイプで、もうひとつは国産ジン「季の美」を冷蔵、常温、冷凍の3タイプで用意しているんです。それでジンソーダを作ってもジントニックを作っても、それぞれの香りの出方が違うし、「冷凍で作るならこういうカクテルが相性いいよね」っていうところからカクテルを作ってお客様にご提案してますね。

 

──そうか! 濃度や割り物の違いだけでなく……。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:温度の違いもやってるんです。ちょっとマニアックなんですけど。特にクラフトジンは、温度でこんなに違うのかっていうのがわかると思います。ジントニックを作る時は冷やさないで常温で作ったほうが抜群に香りがいいです。冷蔵までいくと味が締まりますし、冷凍だとちょっと重いんでショートカクテルにしたほうがよかったりとか。

 

──私はソーダ割りでいろいろ試してみようかな。今日はせっかくだから、お店でしか楽しめないカクテルをいただきます。

 

プロが作る本気のおすすめジンカクテルを2杯

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▲クロコダイル ジントニック(1,320円)

 

──やはり1杯目は王道のジントニックで。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:1杯目というよりは、もうどこかで飲んできたかなという方に楽しんでほしいジントニックです。「プロフェッサークロコダイル」という、ちょっと甘めのオールドトムスタイル(一般的に2〜3%の加糖をしているジン)のジンを使っています。コクがあるタイプなのでグビグビっと飲むタイプではないかな。フィーバーツリーというプレミアムトニックウォーターを合わせることで炭酸感が荒くならないんですね。泡がきめ細やかなので、喉を潤すというよりはじっくり入ってくるというような。

 

──飲み手の状態を手掛かりに提案されているんですね。それではいただきます!

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:トニックウォーター自体の苦味も効いていて、ハーブ感もしっかり、色も少し入っています。オレンジを合わせることで非常にやわらかい印象になり、リラックス効果が高いです。
でも、それだけだとちょっと甘々になるので酸味を入れるためにレモンジュースかライムジュースを少々加えます。どっしり飲める系ですね。ブランデーグラスに入れているのもこだわりです。もちろんワイングラスでもいいんですけど、こういう風に飲むなら香りが立ってくるグラスの方がいいです。

 

──あっ! たしかに違いますね。深みのある味と香りなので、ゆっくり飲みたい感じです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:同じクロコダイルでも、もし1杯目として飲むならタンブラーでスタンダードに作るとコクがあるのにグビグビ飲めるんですよ。シーンに合わせて違うタイプのジントニックが楽しめますよ。

 

──いつも飲んでいるジントニックとは別物。じっくり味わうのに適した1杯。大人のジントニックといった印象。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:次の1杯はガラッと雰囲気を変えてみましょう。

 

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▲マグノリアブロッサム 1,620円(税込)

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:スタンダードというよりも、ちょっとマイナーなカクテルです。ジンベースだとホワイトレディ、マティーニ、ギムレットあたりが有名なカクテルなのですが、最近こういうのにハマっていまして……(笑)。これは先ほど紹介したネバーシンクというジンと生クリームとレモンジュースに、グレナデンシロップを使っています。

 

──綺麗なピンクですね! おじさんが飲んでもいいのかな? 飲んじゃうけど!

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:クリームとレモンジュースって、ほどよく混ぜてあげないと分離してしまうので、その加減が重要なんです。シェイクのしすぎは分離を、しなさすぎは味のまとまりをなくしてしまうんですね。

 

──ほどよい甘さにコクもある。ちょっとデザートっぽいですね。これは美味しい。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:りんご系のスピリッツは、甘みを持たせたりすると非常に膨らみが増してくるんです。それだけだとちょっと重いので、レモンジュースをたっぷり入れます。ネバーシンクというジンが持っている華やかさとスパイシーさを出すために、少しお花のリキュールとアニスリキュールを加え、マグノリアブロッサムというカクテルをちょっとだけアレンジしています。クリームというと甘くて重いという印象があるかもしれませんが、意外とさっぱりいけてしまうんですよ。

 

──見た目ピンクで可愛らしい一杯ですが、決して甘すぎずしっかりした味わい。これは男性にも飲んでほしい。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:同じジンでもグラス、柑橘の種類、これだけでかなり大きく印象が変わってくるので……それがジンの可能性だと思うんですよね。

 

──聞けば聞くほど深くて広い世界が拡がっていきそうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190828193712p:plain大澤さん:ちょっと話はもどりますが、私としてはジントニックが一番とも思っていないですし、ストレートが一番とも思っていないというのはそういう部分ですね。一番だと決めてしまうと、可能性がどんどん狭くなる。
これだけ面白いジンがたくさんあるんだから、いろいろな飲み方を試して一緒に驚こうじゃないかというのが今のクラフトジンで出来る世界じゃないかと思っています。

 

・・・

 

「ジンは今、本当にエンターテインメント性がありますね。バーでジンを飲むことの価値をもっと高めていきたいです」と語る大澤さん。

クラフトジンブームもあいまってこれからますます面白くなってきそうなジンの世界。

皆さんも一歩踏み出してみては?

 

お店情報

Craft gin & Cocktail bar Nave クラフトジン&カクテルバー ネーブル

住所:中野区中野2-30-8 立川ビル B1F
電話番号:03-5340-5808
営業時間:月曜日〜土曜日18:00〜翌1:00 日曜日・祝日18:00〜24:00
定休日:無休

atcf.jp

 

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