銀座熊本館で出会った、ピリ辛のからし蓮根と球磨焼酎のタッグが完全にハマる

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近年、地方発祥でブレイクするものが増えてきています。そのなかで、継続して大きな経済効果を生んでいるもののひとつが「ゆるキャラ」です。火付け役となった熊本県営業部長兼しあわせ部長「くまモン」は、今や日本国民に知られるキャラクターになりました。

今回の取材先は「くまモン」だらけなのだそうです。ぶっちゃけ私は「くまモン」にほとんど興味はなく、「風呂デューサー」として、九州の一大温泉県である熊本県とコネができないかな、なんてビジネス丸だしな気持ちで取材に行ってきました。

 

熊本情報発信基地の2階は……遊び場だった!

銀座といえば、ブランド品店が並ぶハイクラスな場所というイメージ。その一方で、実は日本中の都道府県のアンテナショップが集まっている場所でもあります。いまや東京のど真ん中にいながらにして、各地の名産品を手に取れる時代なのです。

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多くのアンテナショップはピカピカの内装の高級感のあるお店なのですが、今回うかがう銀座熊本館はどこか素朴な雰囲気を醸しています。場所はJR有楽町駅から徒歩5分ほどの数寄屋橋交差点付近です。

 

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1階は熊本のお土産品などを扱う物産館です。取材時は水俣フェアを実施しており、熊本直送しらすが手ごろな価格で販売されていました。ほかにも店内では焼酎や野菜、果物などの熊本県の名産品が販売されています。

 

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1階を見てまわるだけでも十分に熊本感を味わえますが、銀座熊本館の真骨頂は2階にあります。

 

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2階に着くなり、大量の「くまモン」グッズが迎えてくれました。大量なんてもんじゃありません。「くまモン」しかありません。

お客さんのなかには「kumamon!」と英語で話す方もいらっしゃって、もはや「くまモン」は熊本どころか日本を飛び出し、いまや世界の「kumamon」なのかと、その成長ぶりに驚きました。

 

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「くまモン」グッズのラインナップはすさまじく、熊本県産の杉を使用した「くまモンドミノ」まで! 「くまモン」が描かれていれば熊本土産。そう思えるのは「くまモン」の影響力あってのことなのでしょう。

 

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「くまモン」グッズコーナーのさらに奥、12席の小さな食事処が、熊本の味を楽しめる食事処「ASOBI・Bar」です。

店内には「くまモン」のぬいぐるみが随所にディスプレイされ、若い女性、「くまモン」ファンを意識したつくりになっています。

 

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そうは言ったものの、壁面には間接照明に照らされた熊本の焼酎がならんでいます。
これは年配の男性向けなのでは……? 「くまモン」とのギャップに少し違和感を覚えつつも、ワクワクせずにはいられませんね!

 

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こちらが食事のメニューです。

謎すぎる「アベックラーメン」、限定につられて注文したくなる「漁師の沖めし丼」が気になります。 

 

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迷った挙句、担当者の「一番のおすすめは高菜ご飯ですよ」という一言が決定打となり、「高菜ご飯セット」を注文しました。

「高菜って、だいたいどこでもあるじゃん」と思わなくもないですが、お店の方のイチオシなので絶対ウマいはず。

 

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すげーいいにおいがする!!!!

箸を入れてご飯を持ち上げてみると、ごま油のいいにおいがたちのぼります。

食べてみると、しっかりと味が染み渡っており、ごま油の風味と塩気がいい具合です。おかず、必要ありません。これは永久に食べ続けられるご飯ですね。

 

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優しい………。しっかりと味が付いた高菜ご飯と対照的に、すべてを包み込むような薄味の味噌汁。

豪快で一本道を突き進む九州男児を象徴した高菜ご飯、それを優しくフォローして主役として立たせる素敵な奥さん。この「高菜ご飯セット」は、熊本の夫婦を象徴しているような気がします。

 

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食事メニューとは別に一品のカフェメニューもあります。

写真はいちばんの売れ筋商品である熊本の郷土菓子「いきなりだんご」です。「急な来客があったときにすぐ出せるから」という由来でこの名がついたのだそう(所説あります)。あんことサツマイモの2層になっており、名前とは正反対の手の込んだだんごです。

 

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食後の飲み物はデコポンジュース。熊本は柑橘系の果物の生産も盛んです。自然な甘みと柑橘類のほんのりとした苦みがきちんとあり、聞くまでもなくデコポン100%。
こうして「ASOBI・Bar」でのカフェタイムは、「くまモン」と熊本料理をのんびりと楽しむことができました。


メニューに酒がないじゃないか!!!

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先ほどからバンバン写真に写り込んでいる焼酎。実はランチメニューになかったんです。楽しみにしていたのに……あれは飾り物なのか!? 店員さんに聞いてみると「夜はバーとして営業しています」とのこと。

 

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ということで夜にまた来ました。

 

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夜はすっかり大人向けの酒に合うメニューに変更されていました。どれもおいしそうですが、一番正体の見えない「ほろ酔いセット」を注文してみました。


熊本三昧の「ほろ酔いセット」

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「ほろ酔いセット」の全貌がこちら。
左から馬刺し2点盛、中央にからし蓮根、右は本日の一品のポテトサラダです。

 

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ポテトサラダだけ熊本っぽくない……なんて思いませんでしたか?

よく見るとちくわが混ざっていますね。じつは熊本の日奈久地区はちくわの一大産地なのです。

そして上に乗っているからし蓮根チップ。カリカリの食感とピリッとした辛味が味のアクセントになっています。

 

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そしてなんともおいしそうなこの馬刺し。

こちらの赤身肉はとにかく柔らかく、いままで食べてた馬刺しは何だったのかと思いました。

 

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こちらはタテガミという部位です。白いですね。

肉というよりは脂身っぽいですが、イメージする脂とは全然違います。ジュワッという感じでもなく、カチコチになった脂というわけでもなく……不思議な食感です。

 

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「ほろ酔いセット」には、上記の料理と好きな焼酎一杯がセットになっています。チョイスした焼酎は「温泉焼酎」です。これは熊本県人吉市の「大和一酒造」の焼酎で、工場内に湧く温泉を原料としています。

飲んでみると、焼酎と聞いてイメージするガツンとくる風味はありませんでした。最初の一口はキリッとした口触りで、時間の経過とともにまろやかに変わり、酔いながら時間の流れを楽しめる、球磨焼酎の魅力を体験することができました。

 

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球磨焼酎の種類は28の蔵元から選べます。

今回はほろ酔いセットをいただきましたが、ガッツリと焼酎を楽しみたい方は飲み比べセットがオススメ。3種類の焼酎を選べます。

 

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そして熊本といえばこのからし蓮根。食わず嫌いで食べたことがありませんでしたが、この機会に食べてみることにしました。

 

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「おっ! からし来た!」

唐辛子のように爆発的に辛さが広がるのではなく、かめばかむほどにじわじわとからしがしみわたります。まろやかなからしとシャキッとした蓮根の食感が際立っていますね。

 

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気が付いたときには焼酎を手に持っていました。

辛いから飲むという感覚ではなく、脊椎反射で不意に焼酎を胃に流し込む。

 

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「くあああぁぁぁーーー!!」

この一連の流れこそがからし蓮根の醍醐味なのか!

今後九州郷土料理のお店に行ったらまず間違いなく頼んでしまうと思います。ハマりました。

 

「ASOBI・Bar」で飲んで気付いた、その魅力

からし蓮根と焼酎の最強タッグで、すっかり酔ってしまった私。顔がほんのり赤くなったところで気持ちに変化がありました。 

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「くまモン」のやんわりした笑顔。隣で眺めていると、酔っぱらって心からあふれ出る世の中への不満や、将来への不安といったものがどこか薄れていくような感覚になっていくのです。

「ただ飲みすぎなだけ!」そうなのかもしれません。ただ隣には「くまモン」が静かに、笑顔でたたずんでいるのです。

「くまモン」に囲まれたファンシー空間でいただく、からし蓮根と球磨焼酎の熊本が誇る最強コンビ。この「熊本トライアングル」があれば、今夜はどこまでも酔える気がします。

 

お店情報

銀座熊本館 ASOBI・BAR

住所:東京都中央区銀座5-3-16
電話番号:03-3572-1261
営業時間:カフェタイム13:00~16:00 バータイム17:00~20:00
定休日:日曜日、月曜日(イベント等で臨時休業の可能性あり)

www.kumamotokan.or.jp

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は2016年2月時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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「当店には囲炉裏があります」

メシ屋を探していてこの表記があるお店にぐっと来てしまうかた、多いのではないでしょうか。囲炉裏で焼くだけでなんかおいしそうになりますよね。

今回、千葉県に評判の囲炉裏の宿があると聞き取材に行ってきました。宿の囲炉裏……せいぜい串に刺した鮎とか焼けるんでしょ、くらいに思っていたのですが、焼けるものであればなんでも持ち込んで調理可能、提供するメニューも豊富、そしてなによりうまい……! 囲炉裏の楽園がそこにはあったのです。


囲炉裏の楽園へ海と山を越えて行く

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今回の目的地である千葉県は、東京湾と太平洋に面した海の恵みがあふれる地域です。
アクアラインを使うと、ETC搭載車ならたったの800円で千葉に入れます。景色最高、向かうは楽園、もはや仕事モードはゼロなのです。

 

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最寄りのインターチェンジ「木更津東」から一般道に降り、山道を進んでいきます。
潮風のにおいを覚えたまま木のにおいを感じる……旅行気分が盛り上がりますね。

 

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山道を進むこと約40分。見えてきた小さな宿、七里川温泉です。建物に派手さはなく、周囲はとても静かな環境です。

“風呂デューサー”として言わせていただくと、温泉に滞在する環境として理想的ですね。泊まりで来たかった……宿の前に立った時点で心底思いました。

 

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建物に入ってみると、いきなり囲炉裏です。視界にはいるだけで4セットの囲炉裏がならび、少し年季の入った温泉宿の雰囲気が感じられます。

アイスを食べている人、テレビを見ている人……各々が自由にのんびり過ごしていますね。平和です。

 

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「メシの前の風呂は、メシを3割増しでうまくする」。私がつくった名言です。

その言葉に従い、入浴料金を支払って浴室に向かうと、脱衣場の前に「天然硫黄泉源泉かけ流し」の看板が。実は千葉県で源泉かけ流しを実現できるところは珍しいのです。胸を張って自慢できる貴重な温泉です。

 

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こちらが内湯です。

ほぼ無色透明の湯が湯口からトポトポと流れ落ち、湯船からあふれた湯は縁から流れていきます。これぞ源泉かけ流し!

窓の外はほとんどが青と緑で構成されています。家を出てから1時間30分でこの環境ですよ。自分で信じられていません。

 

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脱衣場から階段を上っていくと、露天風呂もあります。

 

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内湯から見えていた景色に入り込んだみたいだ!

暖かい日差しに山から駆け下りてくる涼しい風……どちらも都会のそれとは別物です。
湯船は2つ、どちらもこの地域の湧水を使用しており、透明感のあるさらっとしたお湯でした。


「焼く」のと「囲炉裏で焼く」のはどうやら全然違うらしい

昼間っからあの環境で温泉に浸かる……最高に贅沢でした。
もうメシの取材しなくてもいいような気さえします。とりあえずメニューを見てみましょうか。

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メニュー超豊富!

海の幸が豊富な千葉県とはいえこの山の中ですから、山菜とかキノコばっかりと思いきや、大半が海産物です。

 

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「写真映えするやつお願いします!」と注文したところ、大皿の手前側から

  • 鹿肉ソーセージ(3本1,000円)
  • 鮎の干物(380円)
  • 金目鯛干物(700円)
  • ホッケの開き(680円)
  • イワシ丸干し(320円)
  • 右の別皿には房総豚のみそ焼き(800円)

上記6点 を用意してくださいました。

結論からいうと、カメラさんと2人で食べきれず、隣で食べていたご夫婦のお客さんと分け合って食べました。そう考えるとこのボリュームでも一人あたり2,000円を切っています。安い!

 

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まずは火の通りやすそうなイワシ、ソーセージ、アユを焼いてみます。

囲炉裏に手を伸ばすとじわりと伝わる熱気。コンロの火より感じる熱が重厚なのです。
イワシはサクサクに焼き上がり、頭から丸かじりできました。アユの干物って初めて見ましたが、川魚の風味をしっかり残し、味が凝縮されていました。

うまい!

 

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鹿肉ソーセージはジビエの風味と黒コショウのきいた濃い目の味付けです。ビールを飲みたい人には強くオススメします。

ファーストバイトの際はアツアツの肉汁爆発に気を付けて食べましょう。あらためて写真を見ていたらまた食べたくなってきました。

 

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続いて金目鯛、ホッケを焼いていきます。
房総豚以外は冷凍の状態ですので、高温の囲炉裏とはいえ焼き上がりまで少し時間がかかります。

何度も焼け具合を確認してしまう私は囲炉裏素人丸だしなのですが、この確認作業が楽しかったりするんです。

 

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魚で一番うまかったのはホッケ。肉汁がすごいです。ホッケを囲炉裏で焼くと飲み物になるとわかりました。

どの食材にも言えるのは、身に汁が詰まったまま外に逃げないですね。

 

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誰もがビジュアル的に気になっていた、房総豚のみそ焼き。行ってみましょう。
このサイズと重量感……眺めているだけで幸せです。

 

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冷凍の魚と同じような感覚で焼いているとあっという間に焦げ目が。ここでも素人が出てしまいました。冷凍のものと同じ感覚で焼いてはいけないのです。

 

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房総豚そのものはとてもあっさりした味です。見た感じ味噌味が濃そうですが、食べてみると甘みが強く、塩気はほとんど感じません。飽きることなくペロッといただけました。

そしてなにより、肉汁があふれだしてくる。これが囲炉裏の力……! うまい! うますぎる!!

 

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〆は焼きおにぎりをいただくことにしました。

囲炉裏の火力でほんのり固くなった表面に対し、中はほくほくに仕上がりました。房総豚と同様の味噌がついているので塗りたくるのもいいでしょう。

 

食材の持ち込みOK! 囲炉裏味のアレを食べてみよう

七里川温泉では、お店で提供しているメニューを注文せず、持ち込んできた食材を焼いて食べてもOKです。私も途中で食材を調達してきました。

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道中の道の駅でしいたけとたけのこを購入し、コンビニでカニカマとさんまの塩焼き、チャレンジメニューとして駄菓子の「蒲焼さん」、バウムクーヘンを買ってきました。

しかし……写真の通り、腹がいっぱいなのです。甘いもの食べたいのでバウムクーヘンだけ焼くことにしました。

 

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表面はこんがり、なかはふんわり、ケーキを焼いているような甘い香りが漂っています。

「バターつけたらおいしそうですよね」 とカメラさんと話していると、お隣の夫婦がチューブバターを持ち込んでおり、貸してくれました。

噛むとカリッとした食感で、ジュワッとバターが染み出してきます。「バウムクーヘン囲炉裏味」……うまい!

 

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すごいものを見つけた! なんて喜んでいると、お隣のご夫婦は持ち込んだ鶏肉とねぎを串に刺して焼き鳥をつくり、持ち込んだ鍋に湧き水を注ぎ、うどんを茹でていました。

女将さんに聞くと「焼けるものであれば何焼いてもいい」とのことでした。アルミホイルを敷いて焼きそばをつくっている猛者もいたそうです。

 

お腹いっぱいになったら、さっぱりして帰れる

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ここは囲炉裏レストランではありません。囲炉裏の宿です。一度入浴料を支払えば、何度でも温泉に入れます。

囲炉裏を挟んだ向かいの人が派手にくしゃみをしてすすをあびても、洗い流してサッパリと帰路につくことができるのです。

昼頃と夕暮れの時間で趣の違う露天風呂を楽しむことができました。

 

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風呂あがりといえばの牛乳もしっかりと用意してあります。もはや囲炉裏を見ているだけで牛乳も普段よりおいしく感じました。

こんなに素晴らしい環境なのに東京から約1時間30分。半日でも時間があれば手軽に来れる距離もまた魅力です。

 

温泉もメシも、囲炉裏が生み出す人間関係もいい

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隣にいるかたは見ず知らずのお客さんです。私がライターであることを話すと、外房エリアには昔ながらの酒造があると教えてくれました。

そしてバウムクーヘンのくだりでも、隣で調理していたご夫婦のお客さんからバターを借りたり、囲炉裏を囲むことでおしゃべりが生まれるのです。

基本的にお店に入ったら食べるだけですよね。「囲炉裏で焼く」という行程が加わるだけで食材も心もジューシーに仕上がっていく。

これこそが囲炉裏の力であり、食べ終わったら温泉で語らい、さらに深い人間関係をつくれるのは七里川温泉の魅力だと感じました。

 

お店情報

いろりの宿 七里川温泉

住所:千葉県君市黄和田畑921-1
営業時間:9:00~22:00
電話番号:0439-39-3211
定休日:第1・3水曜日
ウェブサイト:http://shichirigawa-onsen.com/

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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本格ピザと生ビールがウリの……銭湯? 風呂あがりの楽園で昼間から昇天してみた

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銭湯に行って風呂あがりにビールを飲む。至福以外の何物でもありません。
その「お供」といえば、焼き鳥、モツ煮など下町っぽいイメージが浮かんでくるものです。

今回取材する銭湯「蒲田福の湯」は店内でピザを食べることができるのです! しかも本格的なピザ窯を使い、注文を受けてから焼きあげる、それはそれはうまいピザを風呂あがりにいただくことができます。


銭湯っぽくなさすぎて気がつけない! 新築ピカピカの銭湯

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JR蒲田駅から徒歩約10分。小さな商店街を進んでいきます。

目的の銭湯「蒲田福の湯」はもうこの写真のなかに写り込んでいるのですが、皆さんお分かりでしょうか? 

 

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答えはこちら! 通り右側の白い建物が銭湯「蒲田福の湯」です。

「答えはコレ!」 と言われても全然ピンとこないですね。

 

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正面から見るとこんな感じ。正面から見ても私達がイメージする銭湯とは別物かもしれません。

取材に同行した『メシ通』編集部員は「歯科医院」だと思ったようです。

 

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入口脇の提灯を見ると「福の湯」の文字が。間違いない、銭湯です。

その文字の下にFoo−Qooという表記があります。これは「福」という文字を口に出して読んだ時、英語圏の外国人にはFワードに聞こえてしまうため、誤解を防ぐためにつくったものだそうです。

 

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店内に入るとまず迎えてくれるのは下足箱。木札を抜くことでロックがかかります。

単純に靴をしまっているだけですが、この銭湯らしい行為にどこかほっとしました。

 

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大人料金460円を支払い脱衣場へ向かいます。

暖簾をくぐる……これも何気ないことなのですが、店内がきれいすぎて銭湯感薄めの「蒲田福の湯」です。この通過儀礼を行うことで、しっかりと銭湯モードに切り替わりました。

暖簾右上部にある「福の湯」のロゴマークもさりげなく可愛らしさを演出しています。

 

小さい中にもこだわりの工夫あり!

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暖簾をくぐると脱衣場になります。木目調のロッカーが並び、中段部分に物を置ける使い勝手の良いつくりです。

そしてなにより驚くのは流れているBGM。この日はOasisの『Don't Look Back In Anger』が流れていました。選曲はご主人の趣味なのだそう。ちなみに、開店当初はこれまたご主人が好きなスピッツの曲を流していたそうです。

 

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「福の湯」は床からブクブクと気泡が出るバイブラとジェットがついた大きめの湯船、そして岩風呂の2種類。

どこを見てもピカピカ、床は滑らないタイルが敷かれ、要所要所には手すりが設置されており、誰もが安心して使える銭湯です。

ボディーソープ、シャンプーは備え付け。タオルだけ持って気軽に利用できます。

 

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白を基調とした浴室内で目を引く岩風呂。ご主人いわく「ヒーリングブース」という名前なのだとか。

まるで露天風呂に入っているかのように涼しい風が吹き、鳥の鳴き声が聞こえてくるような感覚になります。

 

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涼しい風、鳥の声……錯覚でありませんでした。

青い矢印の部分はスピーカーになっており、ウグイスの鳴き声が流れています。
赤い矢印の部分、管に穴が空いているのが見えるでしょうか。そこから風が出てくるのです。

 

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さらに水中の壁面にはライトが埋め込んであり、太陽光が水面で照り返している様子を再現しています。

徹底していやしを追求したこの空間、名付けるならばやはり「ヒーリングブース」が相応しいです。

 

本格ピザをお供に、風呂あがりの一杯

さっぱりしてお腹を空かせたところで、「蒲田福の湯」名物、ピザをいただきましょう。

銭湯業界初(?)の本格ピザ窯導入店とはいえ、ピザって電子レンジに入れちゃえばできる時代ですよ。問題はクオリティ。ビールの味とアルコールでごまかしちゃうようなピザではいかんのです。 

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フロントに座っているヒゲのお兄さんがご主人です。取材ということでガチガチに緊張されています。

もともとラーメン屋さんで長く働いており、ふと「俺は本当にラーメンが好きなのか」と自問自答したところピザが好きだと気付き、作りかたを研究、銭湯でピザを提供しようと思い立ったのだそう。 

 

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奥にある赤い箱、これが主役のピザ窯です。
コンパクトながら450~500度の高温でピザを焼き上げる超本格派。それでは早速注文してみましょう。

 

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注文を受けてから生地を伸ばし、

 

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トマトソース、チーズ、バジルをトッピング。

 

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仕上げにたっぷりのオリーブオイルをかけて、 

 

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in the ピザ窯!

焼き上がりまで少し待ちましょう。 

 

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食事ができる「蒲田福の湯」のロビーは、これまた銭湯にはなさそうなカウンター席とテーブルが1台。10人ほど収容可能です。

奥の壁面は和モダンな床の間のようになっており、ご主人の奥様がデザインを担当しています。

この部分以外の内装も奥様が担当しており、ご主人と二人三脚で新生「蒲田福の湯」をつくりあげました。 

 

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どこに座ろうか、悩んでいる90秒ほどでこんがりとしたマルゲリータの完成です!

注文から3分ちょっとでこのクオリティ。ここが銭湯だと忘れてしまうほどの本格派ピザです。飲み物はもちろんビール。銭湯ですから、ワインとか洒落たものは不要なのです。

 

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ぼあぁぁーーー! うめえ!!!

ほ、本格的すぎる! ここが銭湯とは思えない、完全にピッツェリアのやつだ。

ピザの販売は土・日・祝日の17:00~24:00。生地がなくなり次第終了です。超本格的なマルゲリータ(L:900円、S:400円)に加えてもう2種類あります。

 

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ひとつはバジルソースをたっぷりかけたジェノベーゼ(L:1,000円、S:450円)。ソースはお店でバジルを粉砕して作った自家製、癖のない自然な味わいに仕上がっています。ソースにはパルメザンチーズ、食感を演出する砕いたカシューナッツが混ぜ込まれています。

 

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もうひとつは幼少時代アメリカで生活していたご主人が忘れられないというアメリカンピザ(L:1,000円、S:450円)。ほどよくジャンキーな味わいで、ビールとの相性は抜群。

食べてみると鼻に抜ける香りが印象的でした。それもそのはず、オレガノ、バジル、パプリカ、タイムといったハーブ類を独自に調合しているのだそう。また、ピザに乗っているペパロニはアメリカ産にこだわり、幼少期の心に残った味を再現しています。

 

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そしてこちらは現在試作中、いずれメニューに登場するかもしれないミックスピザ。甘みが強く、お菓子のようにぱくぱく食べられます。

その甘みの理由はソースに使っているケチャップです。酸味をまったく感じず、言われないとわかりませんでした。ピザ窯の火力のおかげか、ちりばめられているコーンそのものの甘みも強いです。

 

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ピザはテイクアウトも可能。風呂に入らずピザだけの購入も大歓迎だそうです。

テイクアウトの箱代は大が100円、小は50円かかります。サイズ感は、大は大人の男性一人、小は子ども一人で満足できる量という目安で良いと思います。

 

ピザが育む、地域の銭湯

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ピザを食べながらご主人に話をうかがっていて思いました。この席の配置は、着席した人全員の顔が見られる配置なのです。ピザ、ビールを片手にさっぱりした気持ちで語り合う、銭湯が本来持つ役割「地域の交流の場」としての機能が、ピザのおかげでパワーアップしているように感じました。

銭湯で提供しているピザ。疑問符だらけで取材に来ましたが、そんじょそこらのイタリアンよりうまいです。加えて風呂あがりというコンディションが今まで経験したことのないうまさを演出してくれます。浸かって食らってください!

 

お店情報

蒲田福の湯

住所:東京都大田区蒲田1-12-15
電話番号:03-3732-1245
営業時間:14:00~24:30
ピザの販売は、土曜日・日曜日・祝日の17:00~24:00(用意した生地がなくなり次第終了)

定休日:木曜日

※金額はすべて消費税込みです。
※記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。 

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

「味噌漬けの豚をケバブにしたら絶対うまいよな……」秩父温泉満願の湯にあるよ! 温泉も飲めるよ!

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日本でよく見かけるようになったケバブ。実は日本に限らず世界中で流行しています。

そんなケバブの中身を、秩父の伝統特産品である豚味噌を挟んで提供している入浴施設があるのだそうです。入浴施設にしては攻めたメニュー……。気になったので、「風呂デューサー」でもある私、毎川直也が行ってきました。

 

秩父山中に佇む秘湯「秩父温泉 満願の湯」

新宿から車で1時間30分、今回の取材先は秩父にある「秩父温泉 満願の湯」です。
電車の場合は秩父鉄道皆野駅、長瀞駅から無料送迎が出ており、電話一本で駆けつけてくれます(要相談)。

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カーナビが示したところに到着すると深山幽谷に映える赤い欄干の橋と提灯がお出迎え。なんだろうこの異界感……! 私の心がざわついています。

 

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橋を渡った先にあるこちらの施設が「秩父温泉 満願の湯」です。この地域には天長元年(824年)、大干ばつに見舞われた際に、住民たちを救った湧き水の伝説があります。

「この伝説があるということは、掘ったら温泉が出るのでは?」と考えたオーナーは掘削を開始。湧き出た水は「必ず願いが満つる湯」、満願の湯と名付けられ、1997年に開業しました。由緒正しい……が、ケバブの要素がないぞ……!

 

超貴重! 飲める温泉!

受付を済ませ、早速風呂に入りましょう。

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広々とした内湯は二辺が窓に面し、悪天候でも自然光が差し込みます。ほぼ露天風呂ですね。熱すぎない適温の湯に浸かると、穏やかに流れていく時間……日が傾かないと時間の経過に気づけません。

 

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こちらは露天風呂、黄金の湯です。滝が落ちる様子を眺めながら入浴……立地が最高の湯船ではないですか! 温泉はpH9.3というアルカリ性の強い泉質で、少しぬるっとした感覚があります。
露天風呂は2種類あり、水曜日に男女が入れ替わります。

 

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秩父温泉 満願の湯」、最大の特徴は温泉を飲めるという点です。男女の露天風呂と、施設入り口に飲泉所が用意されています。
飲泉許可が降りている施設は大変貴重。風呂デューサーとしては、満願の湯に来たからには必ず体験してほしい設備です。ゴロゴロっとした硫黄の口触りから始まり、喉を通るとほんのりと甘みを感じるクセのない味でした。

 

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内湯にある水風呂では、加温をしていない状態を楽しむことができます。
条例に基づいた消毒がなされていますが、浸かることのできる最も源泉に近い湯船です。ここに浸からずして満願の湯に来たとは言えません。ケバブより重要といっても過言ではありません。

 

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露天風呂で撮影していると、カブトムシを発見。いかに自然あふれる環境に温泉が湧いているか、あらためて実感しました。

 

味噌百面相!

風呂あがりのメシは3割増しでうまい。
コンディションが整ったところで、ケバブを食べに行きましょう。

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満願の湯には、食事がとれる部屋が貸切も含めて全6部屋、250人近く収容できます。
今回、豚味噌を食べるのはこちらの部屋「宝登山(ほどさん)」。宝登山は秩父に実際にある山で、他の部屋も秩父の地名を拝借しています。地元愛が温泉のようにあったかい!

 

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ケバブの前に、秩父の味噌グルメを確認してみました。味噌こんにゃくと味噌ポテト、秩父では小昼飯(こじゅうはん)と呼ばれる、いわゆるおやつです。

甘味のある味噌はこんにゃくの汁気とうまく混ざり、低カロリーだけど甘い! 飽食の時代である現代、間違いなくニーズがありそうです。

そしてもはや説明不要なほど秩父のB級グルメとして有名になった味噌ポテト、安定したレベルの高さに驚きました。じゃがいもと味噌の甘みが永久に口の中で楽しめます。食べる数を決めておかないと、おやつの範疇では収まらない可能性大です。

 

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小昼飯はおやつのレベルを超えていました。見た感じうまいに違いない豚味噌丼でさえも、すでにハードルが高くなっています。いきおいで味噌ポテトいっぱい食べちゃったからなぁ……私のコンディションも万全とは言い難い。果たしてうまいのか?

 

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柔っっっ!!!! 目隠しされていたら肉という判断が下せないぞ……。
しっかり主張してくる肉の脂、味噌とは違った甘みを持っていますね。
2種類の甘みとほんのりとした塩気が最高にうまいです!

 

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伝統と地元愛に満ち満ちた満願の湯。そんなメニューのなかで一歩攻めた味噌料理「豚みそケバブ」、いってみましょう。ケバブと豚味噌の相性、想像の範囲でうまいのはなんとなくわかります。実際はどうなのか。

 

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食らいつく前に断面をしっかりと見ておきましょう。ピタパンに豚味噌とトマト、レタスを挟んでいますね。顔と比較すると結構デカいです。このサイズ感で価格は680円。フライドポテトもついているので、男性でも十分にお腹いっぱいになれる分量。お得なのです。

 

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勢いでつくったクオリティじゃない……! ケバブとして完成されている!! 新開発メニューにもかかわらず素材全ての相性がかみ合い、王道のうま味を備えています。野菜やソースを変えることで、この先の姿がありそう。うまいだけでなく今後の期待を楽しめる、これはすごいメシだ!

 

秩父温泉 満願の湯」の異界へ

あーうまかった! 満腹になったら部屋で休むことができます。
1階の大広間へ行ってみました。

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一見普通の大広間ですが、奥の舞台を見てください。
「花の満願演芸劇場」です。

 

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満願の湯は、大広間でカラオケができる入浴施設なのです。毎週水曜日にはカラオケ歌合戦が開かれるほどの目玉イベントとなっています。

 

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選曲方法も超レトロ。リクエストカードに曲を記入しステージ脇の窓口に渡します。
順番になると名前と曲名が読み上げられ、最高に場が暖まった状態から歌うことができるのです。窓口が開いているのは17時まで。以降はコイン投入式になるので、経験したいかたは昼間にお越しください。

 

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しばらくすると常連のお客さん達が歌い始めました。みなさん超ハイレベル! どこか懐かしいこの感覚、脳にはよさそうな気がします。ここで豚味噌を食べたらまた味わいが違うんだろうなぁ……。

 

温泉で知った味噌の可能性

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B級グルメとして大ブレイクした「味噌ポテト」。
デザートの甘みを持つ「味噌こんにゃく」。
ガッツリ満腹、王道のうまさ「豚味噌丼」。
出来た瞬間から高い完成度「豚みそケバブ」。

単純に味噌と言っても、組み合わせる食材でいかようにも変わる、深いポテンシャルを持っていました。「一歩攻めた伝統食」、近い未来、食事情のキーワードになりそうな気がします。

 

お店情報

秩父温泉 満願の湯

住所:埼玉秩父郡皆野町大字下日野沢4000
電話番号:0494-62-3026
営業時間:10:00~21:00
定休日:年中無休(施設点検のための休業があり)
公式サイト:秩父温泉 満願の湯

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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羽根つき餃子は“塗りダレ”が大正解! 蒲田の餃子御三家「歓迎(ホアンヨン)」で検証してきた!

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みなさん、餃子好きですね。最近では専門店でメインを張ったり、変わり種など多くの新種が登場しています。

英語ではdumplingと表記され、もはやその大流行はワールドワイド。
そんな餃子ブームのなかでも古株、羽根つき餃子をご存知でしょうか?

上にある写真、これが羽根つき餃子です。羽根が付くことによりパリッとジュワっとジューシーに進化しました。
一つの餃子の完成形ではあるのでしょう。ただ、ここが餃子の行きつく果てではないはずです。

 

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この羽根、醤油につけるときに折れちゃって「オーマイガー」という気持ちになりませんか。
そんな時には付けダレより、羽根の表面積をいかし、かつパリパリのままで食べられる「塗りダレ」のほうがいいと思うんです。

今回、羽根つき餃子だからこそ相性の良い「塗りダレ」を探りたいと思います。

 

蒲田餃子御三家「歓迎(ホアンヨン)」が協力してくれる!

大田区蒲田は餃子激戦区、多くの中華料理店が軒を連ねる地域です。
そんな蒲田には「餃子御三家」なるお店が存在します。

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その御三家の一つ、「歓迎 あやめ橋店」が一緒に新たな羽根つき餃子の姿を模索してくれる……! 餃子製作素人の私にとってこれ以上ないパートナーなのです。

 

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まずは「歓迎」の羽根つき餃子を紹介しましょう。付けダレ不要の味付き餃子が流通している昨今、生姜のきいたさっぱりとした味わいです。
言うまでもなくパリパリ。そしてなんと言っても肉汁の澄んだうまさが素晴らしい!

 

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その肉汁のすさまじさを物語る、こんな張り紙が貼ってあります。
「ギョーザの肉汁に気をつけて下さい!(どこに飛ぶか分かりません 笑)」
いやまさか、肉汁が滴ることはあっても飛び出すわけないじゃないですか。

 

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かぶりついてみると、ほんとに飛び出しました。
本検証中何度もこの光景を目撃したので、ほんとに飛び出すのです。肉汁が。

 

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それでは、店長さん(写真右)を交え、メニューを見ながら羽根つき餃子の新たな姿を模索していくことにしましょう。

 

1.大根おろし

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さらっとした付けダレでは羽根に十分に付着してくれません。
大根おろしのような半固形のものが真価を発揮するはず。
コレだけでは味がないので、ベタですが醤油で味付け。

 

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無駄なくトッピングできました。色味がないのが少し残念ですね。
最初に大根の苦み、その後肉汁のうま味。この振り幅がうまい!
さっぱりしているので、ハシゴ酒の〆にぴったり!

 

2.お客さんからたくさんのリクエストがあったタレ

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「歓迎 あやめ橋店」のお客さんからリクエストが多かった塗りダレがこちら。
葉っぱが浮いていますね。

 

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「歓迎」で提供しているにんにくダレにパクチーを混ぜ込んであります。
にんにくのパンチとパクチーの香りがお互いに生き、サッパリといただけました。パンチがあるのにあっさりとした味わい、一皿では物足りないうまさ!


3.北京ダックのタレ

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中華料理というと、どこか庶民的な印象です。そのなかでも高級で知られる「北京ダック」。とはいえ……ぶっちゃけタレの味じゃないですか? 餃子でその高級感を味わおうじゃありませんか。

 

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食べてみたところ、甘味噌っぽい味付けのタレに餃子が負けている……。いかに肉汁が繊細なバランスで成り立っているか、身をもって知りました。
羽根を切り取って、酒のつまみにするのがよさそうです。いや、普通に北京ダックと合わせるのがよさそうです。

 

餃子が中華を発ったぞ!

ここからは少し別ベクトルの付けダレを紹介します。

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冒頭で少し登場したこちらのかた、餃子食べる要員ではありません。男性向けマニアック家庭料理の研究家、近藤潤さんです。

取材時、ご自身で餃子のイベントを企画していた関係で、3食餃子で6日間生活していたのだそう。そんなタイミングで羽根つき餃子の付けダレについて相談したところ、2種類のソースを作ってきてくれました。

 

4.イカスミペーストのトマトソース

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餃子にイカスミ……。まったくの想定外の塗りダレが登場! 店内の誰もが唾を飲みました。
いままでの検証ではおいしいかそうでないかで判断してきました。ところがこれは全く別ベクトルのうまさ。トマトの洋風な味は、「歓迎」のあっさりした餃子と相性が良く、肉汁と混ざって口の中で味が変わっていきます。

レシピ:市販のトマトソース50gとイカスミペースト3gを混ぜフライパンで火にかける。混ざって沸騰したら完成!

 

5.グリーンカレーペースト

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名前の通り、ペースト状のグリーンカレー。わさびを乗せるようにちょこんとトッピングされた様子、斬新です。

かじってみると肉汁のうま味はそのままに、ピリッとした辛味、鼻に抜ける東南アジアの香り……「アジア風柚子胡椒」が近いでしょうか。アジアの風を身にまとい一段上の餃子に仕上がっています。

レシピ:青唐辛子5本、玉ねぎ1/8、にんにく2かけ、生姜1かけ、レモングラス1本、パクチー1把、塩辛大匙1、みかんの皮一つまみ、バイマックルー1枚、バジル5枚、黒胡椒少々、クミンパウダー小さじ1/4、ナンプラー大匙2、砂糖小匙1。以上をミキサーにかけ、サラダ油を引いて弱火で4~5分炒める

 

きちんと紹介できるレベルに仕上がらなかった例

上記の5種類はお店に出されてもまったく問題ない仕上がりでした。
ここからはちょっとダメだったものを紹介します。

6.紹興酒

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紹興酒というとクセのある酒、というイメージでしょうか。餃子と一緒に食べると肉汁の甘みとふわっと紹興酒の味が感じられ、うまい! ただ、これは「塗りダレ」ではない……企画趣旨とずれるためボツ。焼き餃子でぜひ試してほしい一品です。

 

7.バニラアイス

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羽根つき餃子、ガレットっぽくないですか? バニラアイスをのせてみました。
肉汁の味が消え、もちもちしたバニラアイスを食べているような感覚……。別々に食べるべきです。

 

検証の結果、あのソースが「『メシ通』見た」で食べられます!

羽根つき餃子の次の姿を追い求めた結果、あの塗りダレが裏メニューとして、お店で提供されることになりました!

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「ニンニクパクチーダレ」です!
元々お客さんからリクエストがあったとはいえ、メニューに盛り込む予定がなかったこのタレ、うまいぞ! ということが立証され、『メシ通』読者のため裏メニューとして提供されることになりました。

食べられるお店は【歓迎 あやめ橋店】です。他の系列店では食べられません。
「『メシ通』見ました。パクチーソース下さい」と注文してください。

 

店長さんからお知らせ

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「塗りダレは最初に一気に塗るのではなく、一つ一つ塗ってアツアツのうちに食べてください! 焼き立てが一番おいしいですから!」

食べる分一つずつに塗って熱いうちにいただくのが正解です。

 

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それを伝えるべく、店内には「餃子アツアツ」を喚起するポスターがそこかしこに貼られています。ポスター右下にいるキャラクターはギョーザくん。それ以上の情報を聞くのはやめておきました。

 

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「あと、『歓迎』の餃子を楽しめるのは写真の5店舗。その他は姉妹店で、直営店とは異なる餃子を提供しているので気をつけて下さい!」

「歓迎」はいまや蒲田を飛び出し、銀座、田町へと出店、大躍進を遂げています。

あやめ橋店で食べるパクチーソースはもちろんオススメ。自宅でイカスミソースといった創作をするのもまた一興。

是非自分だけの食べ方を探してみてください。餃子の良さは味だけではなく、自分で味を探す楽しさも好評の理由だと感じることができるはずです。

 

お店情報

歓迎(ホアンヨン) あやめ橋店

住所:東京都大田区蒲田5-7-3 エンゼルハイム2階
電話番号:03-3737-2180
営業時間:11:30~14:00(土曜日・日曜日・祝日は15:00まで)、17:00~24:00(LO 23:30)
定休日:無休
Facebook:https://www.facebook.com/KangeiKamata/

記事に登場した男性向けマニアック家庭料理研究家、近藤さんのサイトはこちら

www.hotpepper.jp

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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羽田にないけど「羽田バル」。東京都大田区でつくられたクラフトビールが飲める店!

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最近よく聞く「クラフトビール」。小規模な工場で、職人が手作業でつくるビールです。小規模でも作れる、要は都心でも工場を構えることができるわけですね。

2014年12月に大田区唯一のクラフトビール工場「羽田ブルワリー」ができました。そこで作っているクラフトビールを飲める「羽田バル」で、大田区産のクラフトビールをいただきます!

 

「羽田バル」は羽田にない! 隣町の蒲田へ

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「羽田バル」という店名ですが、実は羽田にはありません。蒲田にあるのです。

JR蒲田駅西口を出て、バス通りを歩いて約5分、ネオンサインが見えました! どこか若々しさを感じる黄緑色の色合い、期待が高まります。

 

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建物の2階が「羽田バル」。

窓からこちらをのぞくワインボトルたち……。クラフトビールがウリのお店で、ワインの居場所はあるのでしょうか。ちょっと哀愁みたいなものを感じます。

 

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天井、壁が白で統一された店内は全40席。テーブルをつなげれば大規模な宴会に、離せば少人数の飲み会にも対応できます。

壁に掛けられた黒板には、メニューにない限定品が書かれていることも。

 

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サクッと一杯ひっかけて帰りたい人にはうれしい立ち飲み席もあります。厨房が近いので、お店のかたとおしゃべりしたい人にもオススメ!

 

大田区唯一のビール工場で作ったクラフトビール

まずはお通しをいただきましょう。 

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6種の野菜を使ったカラフルな色合い! お通しだけでも一杯飲めて、身体によいものを目指したのだそう。

右から反時計回りに、ザワークラウトキノコのマリネキュウリのクラフトビール漬けカポナータ、中央に自家製ドレッシンググリーンサラダポテトサラダと、栄養バランスに配慮した逸品。季節ものの野菜を使い、日々内容は変わります。

 

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それでは早速ビールを注文してみましょう。

店内に据え付けのビールサーバーからビールを注ぎます。

 

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最初の1杯は小麦由来、フルーティな味わいのヴァイツェンにしました。

ではここで、1杯目をいただく前にこのビールが生まれるまでをご紹介しましょう。

 

工場感ゼロの「羽田ブルワリー」

つくる苦労を知ることで一層ビールがうまくなるはず…… 。大田区ではただ一つのビール工場、「羽田ブルワリー」に取材に行ってきました。

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「羽田バル」の店長さんに教えてもらった住所……家だ! 工場感がない!!

奥の暗がりを進めば「羽田ブルワリー」のはずなのですが、闇が深くて足が進みません。

 

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思い切って進んだ先にあった扉を開けると、壁に貼られている「羽田バル」のポスター。間違いなくここは「羽田ブルワリー」です。

「取材のかたー? 長靴履いて奥へどうぞー」

 

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奥に進むと……。おお! ビール工場っぽい雰囲気!

職人さんが混ぜているのは、ビールの原料となる麦汁。ヘラを回すたびに甘いにおいが立ち込めます。これは小麦に含まれるデンプンを酵母で分解し、糖分を作り出す工程。酵母の活動を促すため、室温は34度。いるだけで汗がにじみます。

 

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さきほどの部屋で糖化、ろ過、煮沸をおこない、次はこの部屋で一次発酵という工程を踏みます。

34度の部屋から一気に室温は18度まで下がり、ここで1週間ほどの熟成を経て……、

 

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出荷用の樽に移し替え、5℃の冷蔵室で20日間の二次発酵。そののち、お店へと出荷されていきます。

 

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くあーーー!

苦味はそこそこに、ほんのりと甘みが広がる繊細な味わい。うめぇ!
飲むたび浮かぶ職人さんの後ろ姿……。私の口に届くまでにどれほどの労力と思いがこめられているのか。なんとも感慨深い一杯だ……!

 

ビールを彩るうめぇ奴ら

クラフトビールはうまい。そして感慨深い。

では、そのお供たちはどうでしょう? 

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「羽田バル」自慢のメニューはピザ。なんと厨房内に石窯が! 580度もの火力は、約90秒でピザをこんがりと焼き上げます。

窯の隣に貯めてあるのは、燃料のペレット。この木材由来の燃料を使うことで、ピザに木の香りが付くのだそう。 

 

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こちらは本日のおオススメピザ「赤玉葱とチキンのニンニクソース」。石窯の火力のおかげか、赤玉葱、ズッキーニともにとてもみずみずしく、かむとうま味があふれてきます。

オススメピザは要望に合わせてソースをトマト等に変更可能。オリジナルピザをオーダーしてみましょう。

 

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お米を使った変わり種ピザもあります。こちらは「お米のお焦げピザ」。

カリカリとした食感、コクのある醤油ソースがどこか懐かしい味わいです。乗っている黒いものは醤油豆。ほろほろとした歯触りに優しい醤油味でうまい!

 

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そして私が一番オススメしたい酒のつまみはコレ。「塩サバスモーク」です。

鯖(サバ)の脂と、表面に塗りたくったマスタードのソースがスゲーうまい! マスタードの酸味を乗り越えて来る塩サバの旨み……。やみつきです(家で真似して作ってます)。

 

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そろそろ2杯目のビールをいただきましょう。せっかくクラフトビールのお店ですから違う種類が飲みたいですよね。

そんなかたには4種飲み比べセットがオススメ。右から

  • ゴールデンエール
    果物のような甘い香り! 軽めの口当たりでいくらでも飲める!
  • ヴァイツェン
    まろやかな口触りに苦味を抑えた味わい。クラフトビール初心者におすすめ!
  • IPA
    苦いイメージのIPA。「羽田バル」では比較的苦味は抑えめ。たくさん飲んでも飽きない。
  • キリン一番搾り
    他の3種と比べるととてもあっさり。クラフトビールの濃さを実感できます。

 

クラフトビールに注がれた思い

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こちらは「羽田バル」店長の大屋さん。クラフトビールへの思いを聞いてみました。

クラフトビールは手作業で作るので、飲むたびに味が少し違う一点物。お店で提供する食べ物も、季節ごとの旬のものを選び、来るたびに違った食材と出合えるようなメニューになっています。

 

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――ちなみになんですが、クラフトビールの好評に押されてワインが寂しそうにしてませんか?

「ワインもよく飲んでいただいていますよ。「羽田バル」ではお客さんがラベルを見てワインを選べます。クラフトビールはオススメですが、自分が好きなものを楽しんでもらいたいです。」

クラフトビールとのバトルみたいなものはないようです。

 

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こちらは「羽田ブルワリー」を運営する鈴木さん。東京農業大学醸造学科を卒業し、現在は社会保険労務士とビール工場経営の二足のわらじを履きこなしています。

在学当時は自分でビール工場を持つなんてことは夢のまた夢、ありえないことだった。いまは小規模で、個人でもビール工場を持てる時代。自分でビールを作る夢のある人をサポートし、クラフトビールが当たり前の世の中をつくりたい!

――ちなみに、なぜ「羽田ブルワリー」と命名されたのでしょうか?(……ここ羽田じゃないですよね……)

海外ではクラフトビールが一般的に飲まれています。ということは、羽田空港に到着してビールが飲みたくなったら……「羽田 ビール」と検索するだろうと考えたからです。その結果、羽田から蒲田に来て、クラフトビールを飲んでもらえたら、地域全体が盛り上がるはずなんです。

「羽田ブルワリー」は羽田の名を冠することで、大田区全体を盛り上げようとしていました。

 

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季節の野菜をチョイスしてバランスを考えたお通し、手作業でつくるクラフトビール、旬の食材を使い、お客さんの好みを反映できるピザ。どれも機械的につくられたものではなく手づくり=クラフトでした。

ビール好きなかた、大田区に来たらその味、確かめてみてください!

 

お店情報

羽田バル

住所:東京都大田区西蒲田7-41-8 2F
電話番号:03-6424-7716
営業時間:17:30~22:30
定休日:不定休

www.hotpepper.jp

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。 

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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1300年の歴史ある湯河原温泉で見つけたB級グルメ「担々やきそば」。温泉感ゼロだけどとにかくウマい

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近年、地域独自のメシ「B級グルメ」が大ブームです。まちごとに郷土料理をアレンジしたり、特産品を活用したり、様々なメシがあります。

今回私が訪れたのは歴史ある温泉地で有名な「湯河原」。ここ湯河原では「担々やきそば」というご当地B級グルメを推しています。「担々って……中国の料理じゃないのか……?」。その疑問は、今回の取材で明らかになりました。

東京駅から1時間。手軽にアクセスできる湯河原温泉

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湯河原温泉は神奈川県の西端にある温泉地。温泉街のある「湯河原駅」は、東京駅から東海道新幹線「こだま」を使えば1時間ちょっとでたどり着くことができる、都心から非常にアクセスのよい場所です。

駅前には大きなロータリーがあり、その周辺にはいくつもの土産物店が並んでいます。店内をのぞいてみると、並んでいるのは海の幸ばかり。今のところ、まったく担々していません。

 

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駅でバスに乗り、10分程で温泉地の中心部に到着します。今回の取材先である湯河原観光会館は「落合橋」停留所で下車するとすぐ目の前にあります。

 

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この一帯は、藤木川に沿って旅館やホテルが立ち並んでいます。都心から電車とバスに乗って約1時間15分程度で昔ながらの風景を遺す温泉地に行ける……。このような温泉地はどんどん姿を消しており、とても貴重な「文化」と言っていいと思います。

 

足湯のテーマパークであったまる

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観光会館があるのは「万葉公園」という公園の敷地内。ここには日本最大級の足湯のテーマパーク、「独歩の湯」があるということで、メシをいただく前に行ってみたいと思います。

昔、歴史の授業で習った「万葉集」には温泉の湧き出る様子をうたった歌が一つだけ出てきます。その温泉地が、まさにこの湯河原温泉で、「万葉公園」の名前の由来になったのだそう。

 

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その歌は入口近くに石碑として残されています。

 

【歌】
「足柄の 土肥の河内に 出ずる湯の 世にもたよらに 子ろが言わなくに」

【現代語訳】
『足柄の土肥の川辺に噴出する温泉の湯煙、それが中空に漂い揺らぐように、あの娘は私との関係を不安げには言わなかったのに心配で……』


温泉の湯けむりが揺らぐ様子を自身の恋心に例えているのだそうです。1300年前でも草食系男子がいたのかと思うと、どこかほっこりしてきます。

 

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川のせせらぎと木々のざわめきを聞きながら歩いていると、いくつもの立札が並ぶ道が続きます。

この立札には湯河原を愛した文人たちの歌や俳句が書かれており、浮かぶ情景が想像力を湧きたてます。

 

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作家、国木田独歩も湯河原温泉を愛した文人の一人です。万葉公園最深部にたどりつくと、独歩の碑が佇んでいます。その碑のすぐ奥、足湯のテーマパーク「独歩の湯」に到着です。

 

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上から眺めてみるとこのような形になっています。
お気づきでしょうか、ウッドデッキの部分がほんのりの日本列島の形になっています。 写真左側が北海道、右側に九州、四国が見えます。

 

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先ほどの写真は、こちらのマップの右下にあるもぎり処から撮影しました。このマップを見ると、園内には山、四方には門がつくられていますね。これは風水学に基づいた良い気が集まりやすい配置なのだそうです。

 

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入場料300円を支払い、いざ入湯。写真のような足湯が9種類あり、湯めぐりを楽しむことができます。

 

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「どうしたら9種類も差をつけられるのか」
その答えがこれ。床の凹凸です。それぞれ刺激する足ツボが違うので、効果効能も違うのだそう。凹凸以外にもぶくぶくと泡が出たり、温度設定を高めにしているものもありました。足湯に入っただけで、少し歩いて疲労のたまった足が軽くなった気がします。

「担々やきそば」でもあったまる

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歩いて、足湯に浸かってお腹を空かせたところで、湯河原温泉のご当地グルメ、「担々やきそば」を食べにまいります。湯河原観光会館内の食事処、パノラマラウンジです。

 

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オススメの席はこちらのテラス席。外には4脚しかない、貴重な席です。万葉公園の豊かな自然に抱かれながら食事ができます。

 

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「お待たせいたしました、『担々やきそば』です。ピリ辛ですので辛く感じるようでしたら卵を混ぜて食べてください」

前もって説明しないといけないピリ辛……。少し気になりましたが、着席して5分ほどで「担々やきそば」がやってきました。

 

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焼きそばに和えたゴロゴロ野菜、そのうえに半熟の目玉焼き、豚そぼろ。
豚そぼろにちらほら見える唐辛子がピリ辛な味を想像させ、思わずよだれが……。

 

食べ方で味が変わるとは!?

じつは「担々やきそば」、食べ方によって味、辛さが変わるのだそう。

 

①そのまま食べる

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まずはやきそばだけを食べてみます。
よく見ると麺も野菜も辛そうな色をしているぞ……。

 

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結構辛い……!!! 担々そぼろを混ぜ込んでいないのに……! 口の周りがヒリヒリする。

やきそばは豚そぼろをつくる際に使う辛味ソースをかけて炒めています。ただのやきそばに豚そぼろ乗せただけだろうと、高を括っていた自分が恥ずかしい……!

 

②豚そぼろと一緒に食べる

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豚そぼろを混ぜて食べてみます。
豚そぼろに使っている辛味ソースだけで結構ピリッとしているのに、本陣の豚そぼろが来たらもっと辛いんじゃ……。

 

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やっぱ辛……!!?? あれ……!?
肉からにじみだしてくるジューシーなうま味脂。辛さを中和してくれています。口に入れた一発目の辛さが抑えられたせいでしょうか、野菜の甘みも感じられ、後に残る辛味も抑えられていますね。

 

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ぐわぁー! 止まらん! 箸が!!
辛さとうま味、こいつらは出合ってはいけない組み合わせでした。
次のやきそば! 次のやきそば! 口が催促しています。

 

③卵を絡めて食べる

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ただでさえ出合ったら大変なことになる辛さとうま味に、半熟卵が混ざり合う。いったいどうなってしまうのでしょうか。

私は白身ごとぐちゃぐちゃ派。血液型はA型です。

 

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箸の上に集結したそぼろとやきそばと半熟卵。辛さとうま味にこれ以上何か加わったらどうなってしまうのか。

私のリアクションを見て感じてください。

 

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辛さが……ものすごい抑えられている……。別の食べ物かと思うくらい辛さが緩和されている!

口に入れた瞬間のガツンとくる辛味は完全になりを潜め、かむほどにじわじわっと辛さがでてきます。

卵が入るだけでここまで変わるとは。

 

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勢いのまま食べ伏せてしまった「担々やきそば」。

お腹に手を添えて、食べ合わせの奥深さに感動しつつ、耳に届く川のせせらぎや頬をなでる爽やかな風をかみ締めます。

紅ショウガを残した罪悪感みたいなのは全然ないのです。

 

担々のルーツもあったかい

万葉公園内を散策していた時、こんな神社を見つけました。

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社を囲む3匹の狸。ここは狸福(りふく)神社です。

ある雄狸が怪我をして湯に浸かっていたところ、やけどを負った雌狸もやってきて仲良く傷をいやし、夫婦になったのだそう。

その後も人間に化けて湯河原温泉の良さを伝え、旅人の願いを今もかなえていると伝えられています。

そう、「担々やきそば」のルーツは狸にあるのです。

 

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「担々やきそば」と狸は関係ない?

そんなことはありません。「たんたんたぬきの○玉は~風もないのにぶ~らぶら」という歌をご存知でしょうか。そう、たんたんと言えば狸、狸といえば担々(たんたん)。

そういうわけで湯河原温泉に縁のある狸から「担々やきそば」は生まれました。現在、湯河原温泉では18のお店で、それぞれオリジナルの「担々やきそば」を提供しています。

 

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「担々やきそば」には、万葉集のような深い歴史はありません。文学を読み解くような深い味わいもあるとは言い難いです。しかし温泉に浸かって気持ちいいように、食べたらうまい、止まらない。そんな本能に訴えかけるようなメシでした。

東京から簡単に行ける温泉地です。チェックインの少し早めに来て、ぜひお昼ごはんに「担々やきそば」を!

 

お店情報

パノラマラウンジ

住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566 湯河原観光会館4階
電話番号:0465-62-3761
営業時間:10:00~16:00
定休日:12月29日~1月3日

 

【閉園】独歩の湯(足湯)

住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上704
電話番号:0465-64-2326
営業時間:10:00~18:00(11月~2月は17:00まで)
定休日:毎月末木曜日(祝日にあたる場合はその前日)

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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