
手づくりがおっくうなときの強い味方
こんにちは。酒は飲んでも飲まれるな、人呼んでふつかよいのタカハシです。
筆者が1杯目の乾杯で選ぶのは、大体ビール。そんなとき無性にそばにいてほしい相棒グランプリ堂々の1位が、何を隠そうギョーザです。パリッパリの羽根、口の中でじゅわっと弾ける肉汁、シャキシャキした野菜のうま味……嗚呼、たまらない! ビールも進みます。
……ですが、手づくりするのって面倒なんですよね〜。ついつい冷凍食品に手を伸ばしてしまいます。

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
中でも筆者が頻繁に活用するのが、味の素冷凍食品株式会社(以下、味の素冷凍食品)のギョーザです。

冷凍ギョーザは2022年2月時点で全11種類。「普段の食卓に」「ちょっと贅沢したい日に」など、シチュエーションに合わせたラインナップが充実している
味の素冷凍食品株式会社の公式ウェブサイトより
種類の豊富さはもちろんですが、薄皮にギッシリ中身の詰まった定番の「ギョーザ」は本当においしい……! 数分で手軽にできるのに、まるで頑張って一から自炊したような気分になれちゃうんです。

味の素冷凍食品株式会社 製品戦略部 ギョーザ担当の谷さん
今回は「ギョーザ」のおいしさの秘密や開発秘話について、味の素冷凍食品の谷隆治さん(以下、谷さん)にたっぷりお伺いしました!
「飽きのこないおいしさ」を目指して永久改良
──私、味の素の冷凍ギョーザにハマりまくってます。冷凍庫にストックしていないと、無性にソワソワしてしまうんですよね……。
谷さん:ありがとうございます(笑)。朝昼晩、3食全て「ギョーザ」だったとしても飽きないおいしさを目指し、日々奮闘しています。
──奮闘、と言いますと?
谷さん:1972年に初めて「ギョーザ」を発売し、2022年で50周年を迎えるのですが、50回以上、改良を行ってきました。
──50回以上! では、今食べている「ギョーザ」の味も今後改良される可能性があると……?
谷さん:もちろんです。「今でも十分おいしい」とは言っていただけているものの、私たちは「もっとおいしくしたいし、もっとおいしくできる」と思っています。日々、永久改良しています。
──「永久改良」のフレーズ、インパクトがすごい! ちなみに、今までにどんな改良が行われてきたのでしょうか?
谷さん:大きく4つのターニングポイントがあります。
1997年、油なし調理の実現

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
谷さん:まずは1997年。味の素が、冷凍ギョーザとして初めて油なしの調理を実現させました。それまでは油を引かないと焼けないのが定説でしたので、これは革命的だったと思いますね。
ちなみに2003年、改良を重ねた結果もあり、それまで弊社の売上No.1だった「エビシュウマイ」を「ギョーザ」が上回りました。それからはよりいっそう「ギョーザ」の開発に力を入れていく流れができましたね。
2012年、水なし調理で”羽根付き”の実現

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
谷さん:2つ目は2012年です。油なしに加え、業界初の技術として水なしでも調理ができるようになりました。同時に「羽根の素」※の技術も確立させ、油・水なしで羽根付きギョーザがつくれるようになったんですよ。
──ずっと不思議だったんですが、どうして油・水なしで調理ができて、しかも勝手に羽根ができるんですか?
谷さん:蒸し焼きにすると、「羽根の素」が溶け出し、「ギョーザ」に適度な水分を与えて蒸し上げてくれるようになっています。水分が蒸発したあと「羽根の素」は「ギョーザ」の底にとどまり、キツネ色でパリッパリの羽根に変わるという仕組みです。
※羽根の素:水や油を組み合わせた物質

羽根の素の仕組み
写真提供:味の素冷凍食品株式会社
2018年、使用される全ての具材が国産に

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
谷さん:3つ目は2018年です。野菜はそれまでも国産の素材を使用していたのですが、このタイミングで肉も含めた全ての具材を国産にしました。さらに、ご飯と食べ合わせたときのおいしさを追求し、皮の厚みを0.05mm単位で薄くしました。そして羽根もよりパリパリにすることで、具がギュッと詰まったパリッとジューシーな形になりました。
──向上心がすごい……。
2021年、豚肉の量が1.5倍に……!!(←今ココ)

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
谷さん:4つ目は2021年ですね。一番大きいポイントは豚肉の量を従来の1.5倍にし、ジューシー感をさらに上げたことです。これにより、史上最高にジューシーな「ギョーザ」が出来上がったと自負しています。さらには、いくら食べても食べ飽きないように、お肉や野菜といった素材本来のおいしさがより味わえるように味つけにも手を加えました。
──最初と比べると、もはや別商品とも言えるレベルで進化していたんですね……。今後どういう風に進化してくのか俄然、楽しみになってきました。
「大きな台所」でつくる冷凍ギョーザ。手抜きではなく手“間”抜きです
──いや〜、話を聞いただけで今すぐにでも食べたくなってきました。気になったのが、昔は冷凍ギョーザではなく、シュウマイが売上No.1だったんですね。
谷さん:そうなんです。ですが、私たちは「ギョーザ」のポテンシャルの高さを信じていたんです。
──ポテンシャルの高さ、ですか。
谷さん:冷凍食品って、昔は「お弁当のおかず」とされることが多かったと思うのですが、私たちにはもっと食卓に出してほしいという思いがありました。そう考えたとき、昔から食卓になじみの深いギョーザに力を入れようということになったんです。以降、全社一丸となって「ギョーザ」の開発と営業を強化しました。
──なるほど、そういった経緯が。ですが、脇役としてではなく、「メインのおかずとして食卓に並ぶギョーザ」をつくるのは一筋縄ではいかなかったのでは?
谷さん:そうですね。味が薄すぎたり濃すぎたりすると、1回食べただけで飽きてしまいかねません。「ちょうどいいバランスで食べ飽きない、かつ食卓でメインをはれるおいしさ」というのは言葉で説明するのも味覚で定義するのもなかなか難しいのですが、お客様からの感想を伺いつつ何度も改良を重ねてきた、という感じです。
ちなみに、僕が直近でリニューアルした「ギョーザ」も300ほどレシピをつくり、トータルで3000個ほど試食して開発しました。毎日のように「ギョーザ」を食べる日々でしたね……。
──味覚がゲシュタルト崩壊を起こしそう……。本当に工夫を重ねているのが伝わります。とは言いつつも、「冷凍食品を使うなんて、手抜きかも」とためらってしまう方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

https://twitter.com/ff_ajinomoto/status/1291359002018758656?s=20
味の素冷凍食品【公式】Twitterより
谷さん:以前、弊社Twitterで「冷凍食品は手抜きではなく手“間”抜き」と発信したことがありましたが、私たちとしてはぜひ前向きに冷凍ギョーザを活用していただきたいと思っています。
「冷凍食品は工場でつくっている」というイメージから機械的な印象を受ける方が多いかもしれませんが、手作業でつくる工程も多いんです。

職人による選別工程
写真提供:味の素冷凍食品株式会社
谷さん:たとえば「ギョーザ」にはカットされたニラを使っていますが、中には色が悪いものやサイズが大きすぎるものが混ざっています。それが入ってしまうと食感に影響が出るので、熟練の職人さんが1つ1つ手で選別をしているんです。
私たちは、工場を「大きな台所」と呼んでいます。工場は、ご家庭の台所調理のスケールを大きくしただけ。1つ1つ愛情を込め、手間暇をかけて「ギョーザ」をつくっているんですよ。
──全部機械でつくられていると思っていたので驚きました。ちなみに、出来立ての「ギョーザ」をそのまま冷凍しているのでしょうか?
谷さん:包むまでは生なのですが、その後一度蒸してから急速冷凍しています。
──なるほど。人によっては「冷凍ギョーザより生ギョーザの方がおいしいのではないか」と思う方もいると思うんです。実際のところ、味に違いはあるのでしょうか?
谷さん:冷凍ギョーザは蒸すことによって皮の食感やおいしさが増し、長期保存できるというポイントがあります。生ギョーザは冷凍しても保存期間は比較的短いですが、弊社のギョーザは18カ月の賞味期限が設定されています。ですが、生ギョーザは野菜の鮮度が良いので食感は魅力ですね。そこをもっともっと目指していきたいです。今回発売した「シャキシャキやさい餃子」はその野菜の食感にこだわった製品です。
──今後のアップデートが楽しみです……!!
自宅でのつくり方も超重要
谷さん:ちなみに、具材の味付けや皮の食感、工場での調理工程だけではなく、おいしいギョーザを完成させるためにはもうひとつ大事なポイントがあるんです。何だと思いますか?
──うーん、おいしさの決め手になるもの……。「情熱」でしょうか?
谷さん:それも大事ですね! ですが違います。「自宅でつくる過程」なんです。
──「つくる過程」……?
谷さん:はい。私たちとしては「おいしいギョーザができたから、あとはもう食べてもらうだけだ」と思っていたんです。ところが、あるとき消費者の皆さんにお集まりいただいて、「いつも自分が焼いているように『ギョーザ』を焼いてください」とお伝えしたところ、予想だにしていなかった光景を目にしたんです。
──どんな光景だったのでしょう?
谷さん:皆さん、目分量で水を入れて「ギョーザ」を調理していたんですよ! その時の「ギョーザ」は「80ml水を入れてつくる」という仕様で、ギョーザの入っているトレイにメモリをつけるなど工夫もしていたのですが大半の方がそれを使っておらず……。
結果として皮がふにゃふにゃになったり、あまりきれいに焼けなかったりしていました。つまり、私たちが真に味わってほしいおいしさを再現できていなかったということになります。
自宅でつくる過程も考慮して改良していかなければ、たくさんの方においしく「ギョーザ」を食べてもらえないのだと気付かされた瞬間でしたね。
──なるほど! それが先ほどのターニングポイントの話にもつながるんですね。
谷さん:その通りです。誰でも簡単においしい「ギョーザ」を召し上がっていただくために、最初は油を使わずに、次は水を使わず焼けるようにするといった工夫を重ねていきました。非常に良い気付きだったと思いますね。
おすすめは「タレでアレンジ」
──ちなみに、アレンジするとしたらどんな食べ方がおすすめですか?
谷さん:よくアレンジレシピのご質問をいただきますが、僕は「シンプルにそのまま食べるのがおいしいです!」とお伝えしています。ただ、その日の気分でタレをアレンジして食べるのは好きで。「いつもとは違う味わいを楽しみたい」というときにいろんなタレをつくってみるの、おすすめです。

公式サイトのアレンジレシピはなんと600以上!
公式アレンジレシピ集:https://www.ffa.ajinomoto.com/gyoza/ajirecipe/
味の素冷凍食品株式会社の公式ウェブサイトより
──タレのアレンジですか……。私、酢に胡椒を入れるくらいしか思い浮かばなかったです。
谷さん:あー! そのアレンジ、さっぱり食べられて良いですよね。僕は「納豆ねばねばダレ」のアレンジが好きです。あとは「ギョーザ」を円盤形に並べて、ピザ用チーズをパラパラと振って焼く「円盤チーズギョーザ」もおすすめです。洋風に仕上がっておいしいですよ。
──うわあ、全然思い浮かばなかったアイデアでした。ちなみに、谷さんの推しギョーザは何ですか?
谷さん:もちもちした皮の食感が楽しめる「水餃子」が推しです。焼きギョーザと比べると、水餃子ってまだ全然食べられていないんですよね。ぜひもっとたくさんの方に知ってもらいたいと思っています。スープに入れるとおいしいですし、レンジでチンするだけで手軽に食べられるのでおすすめです。

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
アレンジレシピを実際につくってみた
谷さんに「ギョーザ」のこだわりを聞いた私、いても立ってもいられず、2つのアレンジレシピをつくってみました! 料理がおっくうなときでも簡単にできますよ。
1.焼きギョーザ 納豆ねばねばダレ
材料(2人分)
- 味の素冷凍食品「生姜好きのためのギョーザ」 1袋
- ひき割り納豆 1パック
- オクラ 2本
- 万能ねぎ 適量
(A)
つくり方

1.器に納豆と茹でて小口切りにしたオクラ、同じく小口切りにした万能ねぎに(A)を入れ、混ぜ合わせて納豆ダレをつくっておきます。

2.フライパンに「生姜好きのためのギョーザ」を並べます。

3.フタをして中火で5分ほど焼きます。

4.羽根ができるまで焼けば完成です!

せっかくなので、まずはそのままいただきます。皮はもっちり弾力があるというよりは薄めで、生姜の餡を引き立たせる食感です。餡がぎゅっと詰まっており、まるで生姜をそのまま食べているかのような辛みと、野菜のシャキシャキした食感がマッチしています。塩味が強いので白ご飯と合わせたくなります。

パリッパリの羽根に納豆ダレを絡めて食べると、酒のアテにもぴったりな少し濃いめの味付け。納豆とオクラのねばねば食感が加わり、ギョーザ単体で食べるよりも味わいがマイルドになります。
「酒のアテ」と書いたのですが、食卓のおかずとしても楽しめるくらい満足感のあるボリュームたっぷりな一品です。
ちなみにこの生姜ギョーザは2021年秋季にリニューアル。谷さんいわく「商品名も『しょうがギョーザ』から『生姜好きのためのギョーザ』に変更し、生姜好きの方にとにかくご満足頂けるよう、生姜のインパクトにこだわった渾身の1品」とのことです。
2.円盤チーズギョーザ
材料(2人分)
- 味の素冷凍食品「ギョーザ」 1袋
- ピザ用チーズ 50g
- ベビーリーフ 適量
※お好みでルッコラやラディッシュがあると彩りが良くなります
つくり方

1.フライパンの中心を空け、「ギョーザ」のひだを上にして円を描くように並べます。

2.フタをして中火で5分ほど火にかけていきます。

3.5分たったらフタを取り、ピザ用チーズを全体に散らします。

4.さらにフタをして追い焼き。きれいな焼き色がつけば完成です!

チーズ羽根のパリッとした食感が絶妙! おやつ感覚でパクパク食べてしまいました。
「ギョーザ」単体で食べたときと比べて、とろけるチーズの濃厚さが活きたクリーミーな味わいになっています。味に奥行きが出て、噛み締めるたびに香りが混ざり合って広がっていく印象です。かつ、少しジャンクな塩味が増します。
たとえて言うのであればピザ味のポテトチップスのような、スナック感覚で楽しめるアレンジです!
生活の一部に冷凍ギョーザを

ギョーザ愛あふれるメンバーがつくりあげる味の素冷凍食品の「ギョーザ」。2022年春季には、ビールにとことん合う味を追求した「黒胡椒にんにく餃子」と、和食にも合う味わいで、定番「ギョーザ」と比較して約 1.6 倍の野菜が入った「シャキシャキやさい餃子」が新発売。ビール好きには特に「黒胡椒にんにく餃子」は必見ですね。ラインナップ強化した味の素冷凍食品のギョーザに今後とも、目が離せません!

写真提供:味の素冷凍食品株式会社
取材協力・写真提供:味の素冷凍食品株式会社