【閉店】燻製って3種類も作り方があるの?燻製歴20年のオーナーが営む「彩薫舎」でその奥深さを知った

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お初にお目にかかります。3度のメシが何よりも大好きなカメイアコです。

 

突然ですが、燻製はお好きですか? カメイは幼稚園児の頃から燻製が大好物。特に燻製チーズがお気に入りで、「将来、大酒飲みになりそう」と母親に心配されたくらいでした。

 

お酒とセットに語られることの多い燻製ですが、東京・淡路町には、ランチタイムをメインに営業する燻製専門店があるのだとか!

 

しかもバゲットサンイッチなんていう、めかし込んだ料理に変貌を遂げているとの情報もあり、早速どんなお店なのかのぞいてきましたよ~。

 

元グラフィックデザイナーで燻製歴20年のオーナーが開いた燻製専門店「彩薫舎」

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丸ノ内線・淡路町駅、都営新宿線・小川町駅から徒歩1分ほど。赤い丸看板の「燻」の字が目印のこちらのお店、その名も「彩薫舎」(さいくんしゃ)です。文字からして香しく、うっとり。

 

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▲オーナーの千葉幸広さん

 

千葉さんは、20年前にとある好奇心から燻製にハマり、2016年5月に前職のグラフィックデザイナーから燻製専門店のオーナーに転身した経歴の持ち主です。

 

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▲内装や看板は千葉さんのデザイン

 

── どんなきっかけで燻製道を歩むことになったのでしょうか。

 

千葉さん:スーパーに売っているベーコンを見て、自分で1から手作りした時に、市販のベーコンと手作りのベーコンに、どのような違いが出るのか知りたくなったんですよ。作り方を調べると、燻製という工程が必要不可欠だったので、結果的に燻製を作り始めたという感じですね。

 

わりと自分で作ることが好きということから、提供するサンドイッチはパン以外のすべてを手作りしているのだそう。燻製はもちろん、マスタードやマヨネーズなどのソース類も自家製・無添加に仕上げている自信作。

 

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▲売り切れてしまった定番の燻製ベーコンと焼き野菜 780円

 

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▲サンドイッチは、ランチ時にはほぼ売り切れてしまうこともめずらしくないのだとか

 

 燻製作りには3通りのやり方がある

── 燻製は作り立てを提供するのですか?

 

千葉さん:燻製は、実は作ってすぐはそんなにおいしくないんですよ。作ってから少し置いた方が、味と香りがなじんで、風味も良くなります。

 

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▲完成した燻製は、お店の冷蔵庫で真空パックにして熟成

 

千葉さん:ちなみにカメイさんは、燻製の作り方は何種類あると思いますか?

 

── え、何種類って……1つしかないのでは?

 

千葉さん:実は、燻製は3種類の作り方があります。80℃以上の高温で燻すのが熱燻(ねっくん)、60℃前後で温燻(おんくん)、30℃以下ならば冷燻(れいくん)に分けられます。スモークサーモンや生ハムは冷燻で作られますし、居酒屋さんなどで提供している魚の燻製などは熱燻によって数分で香りを付けているものでしょう。

 

── 知りませんでした! 千葉さんが作る燻製は3種類のうちのどれですか?

 

千葉さん:うちでは温燻を中心に作っています。サクラのチップを使い、ベーコンなら4時間半ほどスモークしています。商品として出せるようになるには、下準備をいれて2週間はかかりますね。

 

そんなに手間暇をかけて作られていたなんて! なんとも奥深き燻製、今度から襟を正していただかなくてはいけませんね。

一般的に温燻は生っぽさを残す冷燻と、しっかり火の通った熱燻と、両方のいいところをとった作り方なので、素材のうまみが凝縮し、よりしっとりとした食感を生み出せるのだそうです。

そんな話を聞いてしまったら、腹の虫も無視できない(!)ほど鳴ってきたので、自家製燻製をいただくことにしましょう。

 

このまま飾っておきたいほど美しい燻製サバサンドが登場

千葉さんが燻製を始めるきっかけになったベーコンも気になるところですが、燻製サバのワードに食欲センサーが反応したので、燻製サバを使ったサンドイッチを作っていただきました。

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▲SRT(サバ・レンコン・トマト)780円

 

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▲見てこの無駄のない美しい造形

 

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▲もっと寄っちゃおう

 

焼きチェリートマトとレンコンの愛らしさに、燻製サバのしっとりと上品な佇まい。こんな燻製料理見たことないかも。だって燻製とかサバって、酸いも甘いもかみ分けた大人好みの食べ物っていうイメージがありますし!

 

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▲バゲットを半分も使って食べ応え◎

 

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▲燻製サバのしっとり食感と、バゲットの歯切れの良さが最高

 

一口かじると鼻腔に、サバ本来の香りを追いかけるようにして、スモークの香りがぶわっと広がり、塩加減もマイルドで、サクラの華やかさが際立ちます。

 

自家製マヨネーズの程よい酸味とマイルド感もたまりませんし、燻製とサンドイッチ、意外な組み合わせと思いましたが、とってもウマい!

 

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▲バータイムに提供しているという燻製5点盛り 700円

 

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▲大山鶏の燻製には自家製マスタードを添えて

 

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▲黄身の半熟具合が絶妙

 

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▲舌にのせるとトロける燻製サバ

 

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▲ピスタチオは止まらなくなるうまさ

 

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▲チェリートマトはジューシーでスモーキー

 

燻製にはスコッチよりも、バーボンがおすすめ

これは間違いなく、酒が合いますね、ということで、千葉さんにウィスキーのおすすめもうかがっちゃいます。

 

千葉さん:うちはスコッチ・ウィスキーよりも、バーボンをおすすめしています。燻製とウィスキーでピートの強いもの同士を合わせるということもあるかと思いますが、トウモロコシ由来の甘みのあるアメリカ産バーボンの方が燻製料理と実は相性が良いんですよ。

 

なるほど。確かに個人的にはウィスキーでも独特なスモーキーさのあるラフロイグとイカ燻とかを合わせがちでしたが、よく考えてみれば、似たもの同士で相性は悪くないけど、彼らは本当の意味で分かりあえていなかったのかもしれませんね。

 

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▲おすすめの3種類はこれ! 右から「ロイヤル・ロホナガー12年」、「オールエズラ12年」、「エヴァン・ウィリアムス12年」

 

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▲しかも一般的なシングルより1.5倍の45mlで提供されます

 

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▲スナック感覚な燻製チーズ500円(税込)とも相性バツグン

 

千葉さんの作る燻製は、とにかく上品。そしてマイルド。スモークの香りが食材をふんわり、やさしく包み込んでいる感じで、塩加減も強すぎず、素材そのもののうまみがしっかり活きています。そこに甘い香りのスコッチを含めば、こりゃもうイチコロですよ。

 

燻製歴20年が教える自宅で燻製をするときのコツ

燻製料理とウィスキーを堪能しつつ、千葉さんが自宅で燻製を始めた頃のお話もうかがいました。

 

千葉さん:初めて燻製を作った時は、ホームセンターで一斗缶を買ってきて、自作のスモーカーで作ったり、庭に専用の燻製小屋を作ったりしたこともありました。

 

── そこから手作りされたんですね! 燻製作りに興味のある読者へ、コツを教えていただけますか?

 

千葉さん:うちのお客さんにも燻製が好きで、自分で作るという人が多いのですが、一番よく聞く失敗は、色や香りが付かないということです。

 

── どうすれば解決するでしょうか?

 

千葉さん:ビギナーならまず温度管理がしやすい熱燻から初めてみましょう。食材を焼いている下で、チップを燃やして数分スモークするだけで簡単にできます。まず下準備として、まず食材をしっかり塩漬けした後、水に入れて塩を抜き、網のついたバットの上に置いて、冷蔵庫で1日乾燥させます。

 

── 冷蔵庫から出したら、いよいよ燻製機へ投入!?

 

千葉さん:それが失敗の原因です。冷蔵庫から出したばかりの食材は、スモーカーとの温度差が大きすぎて、中の湿度が上がり、せっかく乾燥させた食材が汗をかいてしまうんです。なので、まずは食材のみ空焼きした後、チップを入れてスモークする方が色も香りも定着しやすくなります。

 

── なるほど、スモーカーと食材の温度差をなくすことが、上手に作るコツなのですね。興味深いお話をありがとうございました!

 

聞けば聞くほど、燻製はとても奥深い食材でした。きっと燻製する人によっても、作り方の好みやクセが出るから、職人の数だけいろんな味わいを楽しめそうです。

 

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また一つお気に入りのお店ができました~。

 

お店情報

【閉店】彩薫舎

住所:東京都千代田区神田須田町1-2-3 山勝ビル1F
電話番号:03-5207-2740
営業時間:11:30~(サンドイッチは売り切れ次第終了)、バータイム17:00~21:00(LO 20:30)、金曜日のみ17:00~22:30(LO 22:00)
定休日:土曜日・日曜日・祝日
※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:カメイアコ

カメイアコ

気が付いたら書くことを仕事にしていた人、炭水化物に目がない人、でも餅は苦手な人です。

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【1体1体ぜんぜん違う】狛犬マニアに「狛犬の鑑賞ポイント」を聞いてきた【別視点ガイド】

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神社の入り口に置かれている狛犬(こまいぬ)。

左右一対になっていて、一方は口を開いた「阿(あ)像」、もう一方は口をきゅっと閉じた「吽(うん)像」だ。

 

目にする機会は数あれど、注目して見ている人はさほど多くないだろう。

「狛犬って、どこも同じでしょ?」

私もそんな風に思っていた。

 

「狛犬ってイカツイのもいれば、かわいいのもいて、1体1体ぜんぜん違うんですよ。職人さんが手作りしている民芸品でもあるので!」

 

と教えてくれたのは「狛犬さんを愛でる会」の主催者、ミノシマタカコさんだ。

普段はライターをしていて、月1回ほど「狛犬ハンティング」と称して、会員たちと狛犬探しの会をしている。

 

狛犬のメッカ、浅草にやってきた

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取材日は雪が降っていた。

「実物を眺めつつ、見どころを教えて欲しい」と希望を出したところ、浅草を指定された。やはり浅草は狛犬的にも良いらしい。

歩いていける範囲内でいくつも見応えのある狛犬があるそうだ。

 

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▲狛犬刺しゅうのオリジナルバッジ。ちゃんと口が「阿」「吽」になっている

 

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まず向かったのが浅草神社の夫婦狛犬。

ミノシマさんがハマるきっかけとなった狛犬だ。

 

境内の隅っこに置かれ「引退した年金狛犬だね」なんて言われていたが、夫婦という設定にして注目が高まったそうだ。

 

―― いつから狛犬が好きになったんですか?

 

ミノシマ:4年ぐらい前かな。最初は『昭和元禄落語心中』ってマンガにハマって、落語に興味が湧きまして。落語台本の書き方教室に通ったんです。

その講師の方のお師匠さんがたまたま狛犬界隈で有名な人で。

その方のホームページに、この夫婦狛犬が載っていて「なんだこれは!」と衝撃を受けたんです。

かわい過ぎるでしょ!

 

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ミノシマ:しっぽを見てください。くるんってハートになっててカワイイ!

造形の愛らしさ、場の雰囲気、楽しいポイントを見つけるのが鑑賞ポイントです!

石がどうとかスペックに入ってくのも面白いけど、議論になりやすいので……。

見ること自体の楽しさを追い求め「好きなように愛でようじゃん!」って趣旨で「狛犬を愛でる会」を発足しました。

 

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ミノシマ:足には羽がついてるのは「早く走るよー」って意味と先日先輩に聞きました。

これも作り手によってリアルな羽だったり、波みたいな線だったり、表現方法が変わります。

 

―― マンガ表現みたいですね。

 

ミノシマ:尾っぽが体にぴたって引っ付いているのは古い狛犬で、まだ立体的な彫りをする技術がない時代のもの。

技術の進化も見えるんですよ!

 

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境内には人間より大きな狛犬もいる。都内でも最大級のもの。

 

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「確定申告のタスキ巻かれちゃってるよ! 働き者だね!」

 

雪降る寒空の下、かいがいしく働く狛犬に思わず駆け寄るミノシマさん。

たしかに同じ神社の狛犬でも、サイズから顔つきからぜんぜん違う。

 

―― 狛犬ファンってけっこういるんですか?

 

ミノシマ:めっちゃくちゃいます!

「日本参道狛犬研究会」って老舗の会にも入って勉強しているんですが、年齢層は50〜90歳ぐらいでけっこう高いですね。

日本全国で1000体とか2000体とかそういうレベルで見ている人たちばかりなので、視点がスゴいですよ。

狛犬からさかのぼって、江戸時代の石の輸送ルートを調べる人もいます!

 

―― あ~~、1つの物事を突き詰めると知りたい範囲が広まる現象! 分かります。

 

ミノシマ:詳しくない人でも気軽にやれるようにfacebookページで「狛犬さんを愛でる会」を始めて、月1ペースで「狛犬ハンティング」に出かけてます。

 

―― 「狛犬ハンティング」ってなにするんですか?

 

ミノシマ:エリアをざっと決めて、ポケモンGO感覚で狛犬を探して歩きます。

裏にひっそり置かれているパターンもあるから、神社のまわりをぐるっと一斉捜索しています。

狛犬が大切に扱われていると神社の好感度がぐっと上がりますね。

参加人数は4〜8人ぐらいで、時間は基本的に10時から15時まで。

そのあとはたいてい飲み会になりますよ!

 

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▲金龍山浅草餅本舗 あげまんぢゅう5コ入(750円)

 

第1回の「狛犬ハンティング」が浅草だった。

知識がまだそれほどなかったので、本を持って、下調べして、旅のしおりも作って挑んだそうだ。

 

その土地のうまい物を食べるのもポイントの1つ。今回はほかほかのあげまんぢゅうをほおばった。

 

ミノシマ:参加者によって興味の強さが違いますし、狛犬だけ見ていても限界があります。その土地のおいしい物を食べるのも、「狛犬ハンティング」の楽しみの1つです!

 

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ガイド予定だった狛犬の1つが工事中で近寄れなった。

 

「うわ~~~~~~~! すごく好きな狛犬なのに~~~~!! こんなことってあるのか~~~~」

 

肩を落とすミノシマさん。

名残り惜しそうに、柵のすき間からのぞいていた。

 

この神社は、壊れた狛犬の部位を石垣の材料にしているそうだ。

台座や手足を再利用するのは、狛犬あるあるらしい。

 

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―― どんな狛犬が好みのタイプなんですか?

 

ミノシマ:個性があるのが好き!

モデルがあってマネしてるんだろうけど、パースが狂っていたり、顔がつぶれちゃっていたり、流線型のデザインだったのにヒゲがまっすぐになっているようなのを見ると「おっかしい!」ってキュンとします。

 

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▲好みのタイプを話して満面の笑み

 

ミノシマ:狛犬って職人さんが手作りしてる民芸品でもあるから、壊されたり捨てられたりするのが悲しいんですよ。

せっかく震災や戦争を乗り越えてきたのにって。

狛犬を愛でる人が増えたら、そういうことにならないと思うんです。神社も大切に扱うでしょうし。

御朱印を集めるのと同じように、カジュアルに狛犬巡りをするようになったらいいですね。

 

まとめ

いままで注目することのなかった狛犬だけど、ミノシマさんの情熱に触れたら一気に興味が湧いてきた。

 

なんだか気になるぞって方!

facebookページ「狛犬さんを愛でる会」をどうぞ。

 

書いた人:松澤茂信

松澤茂信

観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。

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【舌対音感】第10回:サイトウ "JxJx" ジュン(YOUR SONG IS GOOD)「俺が恋したハワイアンフードたち」

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「旅をしない音楽家は不幸だ」という言葉を残したのはモーツァルトだが、では、旅する音楽家の中でもっとも幸せなのは? それはやはり、その土地土地ならではの旨いものを味わい尽くしている音楽家ではないだろうか。

そこで! ライブやツアーで各地を巡るミュージシャンたちに、オススメのローカルフードや、自分の足で見つけた美味しい店をうかがっていこうという連載企画。

今回は、YOUR SONG IS GOODのバンマスにしてオルガン担当のサイトウ“JxJx”ジュンさんが登場。8年ほど前に初めてハワイに訪れて以来、その魅力にずっぽりハマってしまったというJxJx(ジェイジェイ)さん。年に1回は足を運ぶハワイの、とくにオアフ島のオススメをたっぷり語ってもらいました。

 

話す人:サイトウ "JxJx" ジュン

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2018年で結成20周年を迎えるインストバンド「YOUR SONG IS GOOD」のフロントマンであり、オルガンプレイヤー。バンドだけでなく個人としてもDJやMCとしても活躍している。YSIGの最新リリースは、ハワイをベースに活動するALOHA GOT SOULとの共作となる12インチ『Coast to Coast EP』(4/25発売、レーベル:KAKUBARHYTHM / ALOHA GOT SOUL)

 

ハワイの“ニオイ”に魅了され……

── そもそもJxJxさんがハワイにハマったきっかけは?

 

サイトウ“JxJx”ジュン(以下JxJx):2010年に新婚旅行で訪れたのがきっかけです。 僕はハワイって、そこから醸し出される世界観みたいなものには興味があったんですけど、自分が実際に行くってことはイメージはしてなかったんですよね。たとえばマーティン・デニー※のエキゾの感じとかはもともと好きだったけど、自ら足を運ぶような場所ではないよなって思ってました。

※戦後、欧米の白人がイメージする「エキゾティックな南国の楽園」を音楽で表現して一世を風靡したアメリカ人アーティスト。細野晴臣や星野源などにも多大な影響を与えた。

 

── たしかに若い頃は、もっとディープな場所に興味が向きがちですしね。

 

JxJx:ですね。でも奥さんが行こうって言うので、乗っかってみたら……もう 空港についた時点でハマってたと(笑)。

 

── そんないきなりハマることってあります?(笑)

 

JxJx:ですよね(笑)。今、冷静に判断すると、きっかけは「ニオイ」ですかね。空港の外に出た時に、めちゃくちゃいいニオイがするんですよ。たぶん現地の花とかじゃないかなって、勝手に想像しているんですけど。とにかく、そのニオイに心をつかまれましたね。日本に帰ってからも、「めちゃめちゃよかったなぁ」ってずっと思い出してて。それで、辛抱たまらず3カ月後にまた行ってしまったという。

 

── おかわりハワイ、早すぎです(笑)。

 

JxJx:二度目以降は奥さんと一緒にいろいろお店を調べるのが楽しくなって、さらに攻めていくようになったんですよね。

 

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衝撃受けた「フローズン冷麺」

── そこからハワイに頻繁に行かれるようになって。とくにオアフ島がお気に入りだとうかがいましたが。

 

JxJx:オアフ専門家です。って、カッコいいんだか悪いんだかわかんないですけど、でも大好きです(笑)。僕がハワイを面白いなと思ったのは、ミックス・カルチャーなところ。日系の方もいるし、中国や韓国、ベトナム、フィリピン、もちろんハワイアンの方々がいて。さらにアメリカ本土から来た人たち。そんな感じで、いろんな人たちが持ち寄った文化が混ざり合っちゃってる状態が面白いなって思ったんです。

 

── そんな中でJxJxさんが気に入ったハワイ料理は?

 

JxJx:〈ユッチャン・コリアン・レストラン〉っていうコリアン・バーベキューのお店。ここの冷麺が衝撃的で。この冷麺って〈フローズン冷麺〉 なんですよ。凍った出汁が半分溶けてる状態で出てくる。まぁ説明だけ聞くと、かなりトリッキーな感じじゃな いですか? どんな味がくるんだろうって構えて待ってたら、これがストレートに美味しい冷麺だったんですよ。

 

── へぇ~!

 

JxJx:それを南国の太陽がさんさんと照りつける昼間に食べるのが、なんとも美味しい。ある意味、この土地で生まれるべくして生まれた、理にかなったメニューだなって思いました。

 

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── たしかに韓国は寒いし、そもそも元から冷たいはずの冷麺をあえて凍らせる必要ないですもんね(笑)。

 

JxJx:そうそう! その、より冷たくするっていうところに、ドラマを感じるじゃないですか。南国のハワイならではのメニューだなって思いましたね。

 

── しかし、いわゆるハワイのイメージから、冷麺ってなかなか出てこないですよね。

 

JxJx:僕も最初はそう思ってました。ハンバーガーとか、そういうアメリカン・ダイナー的な食べ物ばっかりなのかなって。そしたら全然違って、かなりバラエティーに富んでるんだなって気づいて。

 

── いろんな地域の文化が混ざり合って、別の形に進化した新しい何かが生まれる。

 

JxJx:そして、それがめちゃくちゃキャッチーな仕上がりをしている。ここがポイントかもしれないですね。訳わからない感じのまま放っておかれるというよりは、すごくいい感じに仕上がってるっていうか。そんな気がしましたけどね。

 

「マラサダ」は出来立てに限る

── 他にそういうミクスチャーっぽさを感じる食べ物ってありますか?

 

JxJx:それこそ〈マラサダ〉っていう「ドーナツ」がそうですけど、これなんかもポルトガルから来た食べ物で。ちなみにハワイの音楽でよく使われるウクレレとかもポルトガルから来てて。同じような流れでもってたどり着いたんだなって思うと面白いですよね。

 

── マラサダでオススメのお店は?

 

JxJx:いろんなお店があるんですけど、最初に食べたのは超有名な〈レナーズ・マラサダ〉 。やっぱり美味しいんですよね。あと個人的に好きなのはカリヒにある〈カメハメハ ベーカリー〉。この間まで原宿に出店してたけどなくなっちゃって、とにかく紫芋で作ったもっちりしたマラサダが最高に美味しいです。

 

── 食べ応えありそうですよね。

 

JxJx:マラサダを美味しくたべるには、とにかく出来立てを食べる! これに尽きます。たとえばお店まで車で行って、出来たてを買うじゃないですか? そしたらもうお店の駐車場でパッと食べちゃう(笑)。ホテルとかに持ち帰ってる場合じゃないです。車の中でムシャムシャ食べて、「よし次行こう!」って出発する。いろいろやりましたが、これがベストですね。

 

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── スイーツ系で他に美味しいのは?

 

JxJx:ノースショアに〈テッズ・ベーカリー〉っていう有名なお店があって。そこの〈ハウピアクリームチョコレートパイ〉 っていう、パイが有名なんですけど、これも独特の美味しさ。ワイキキとかのスーパーでも買えるのですが、実店舗が最高で。ここは地元のサーファーの子たちが出入りしてる感じのお店で、今はリニューアルされたみたいなんですけど、僕が初めて行った時はギリギリ昔の状態だったみたいで。

 

── 古くて風情がありそうですよね。

 

JxJx:そうなんですよ。お店の前にベンチがあってパラソルが立ってて、お店で買った三角パックに個装されたケーキをそこに座って食べる。で、パッケージのシールをはがして食べるんですけど、目の前のパラソルの竿の部分を見たら、みんながそのシールをベタベタ貼ってるんですよ。なんかわからないけど、その謎のローカルノリみたいなのがすごくいいなって思いましたね。もちろん自分も貼りました(笑)。でも、そういうのって行かないとわからないじゃないですか。ここで食べて、シールを貼って帰ってる。意味があるのかないのかわからないけど、すごい臨場感があって。そりゃもう、味も変わりますよね(笑)。

 

── 確かにそれは旅してみないと味わえない臨場感ですよね。実際、〈テッズベーカリー〉のケーキはどんな味なんですか?

 

JxJx:見た目はいわゆるアメリカのケーキ! って感じでめちゃくちゃ甘そう。なんだけど、ハウピアってココナッツのことなんですけど、それとチョコレートの組み合わせが絶妙な甘さを生み出してるんですよ。あとは、リリコイチーズパイってのもあって、クリームチーズとリリコイってパッションフルーツなんですけど、それも甘さと酸味の感じが絶妙で、僕はサーフィンしないから想像なんですけど、きっとサーファーの人が海から上がってきて、すごく疲れた状態で食べる時、この甘さはめちゃめちゃ美味いんじゃないかなって。そんなことを考えながら食べるのも楽しいですね。

 

ハワイは朝ごはんが大事

──スイーツが続いたので、そろそろ料理系も食べたくなりました。

 

JxJx:僕が好きなのは〈ジッピーズ〉っていうハワイローカルのファミレスですね。ここは〈チリ(チリビーンズ)〉が美味しくて。パンチもあるけど、やさしいっていう、本当にちょうどいい感じなんですよね。日常使いできる感じっていうか。ローカルの人たちにも評判で、テイクアウト、いわゆる“TO GO”ってヤツですね。その持ち帰りが出来上がるとカウンターに呼ばれるので、それをローカルの人に混じってジーっと待ってるのが、楽しい。で、チリを頼むとクラッカーがついてくるんですよ。これをビーチに持って行って、ベンチに座って夕日を眺めながらチリを食べる……これ、最高です!(笑)。

 

── たしかに気持ちよさそう!

 

JxJx:カパフル通りっていう飲食店が並ぶ通りにジッピーズの支店がありまして。そこで買って、ダイアモンドヘッドの脇にあるカピオラニ公園の駐車場に車を停めて。目の前にあるカイマナビーチっていうのが、夕陽の絶景スポットなんですよ。ワイキキに比べると絶妙に人も少なくて。で、ビーチのベンチに座って、おもむろにチリを開けると。

 

── ハワイじゃなきゃたぶんそれは出来ない……。

 

JxJx:で、クラッカーの銘柄をよく見ると〈ダイアモンドヘッド・クラッカー〉って書いてある。どう思います、この感じ?(笑)。ダイアモンドヘッドのグラフィックがプリントされてて、後ろ振り返ると本物がある! そんなシチュエーションでチリをパクパク食べるという。だんだんと、チリが夕陽に染まっていく感じ、これがちょっとした個人的なサンセットの楽しみで。

 

── まわりにはそんなことをしてる人はいない?

 

JxJx:いないです(笑)。いまのところ、まだそこでは見てないです。何回もいいますけど、至福の時間。

 

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── ちなみに夕飯はどんなところで食べるんですか?

 

JxJx:個人的にはハワイは朝ごはんが重要って思っているんで、いわゆるなディナーは旅の中で数回にして、だいたいの夕飯はそんなにガッツリいかないんすよね。そんな時は〈パイオニア・サルーン〉という名店のプレートランチがバッチリなんですよ。プレートランチは、日本でいうホカ弁をパワーアップしたようなもの、としておきましょうか。そこのメニューはいろいろあって、どれも美味しいんですけど〈モチコチキン〉とか……。

 

── 何が入ってるんですか?

 

JxJx:鳥の唐揚げなんですけど、もち米の粉の衣で揚げたもので、最高なんですよ。で、ホテルに持って帰って、ラナイ(ベランダ)でそれを食べる。その時に、日本からレトルトの味噌汁を持っていくんですよ。その組み合わせ、最高です。あとはコリアン系の良い感じのプレートランチのお店も何店舗かあって、〈Me’s BBQ〉とか。そっちもよく行きます。

 

サンドイッチ王国、ハワイ

── なるほどね。先ほどハワイは朝ごはんがポイントとおっしゃってましたが?

 

JxJx:やっぱり、ハワイの真髄は朝なんですよね。自分の東京での生活とはまるで違って、自然と早起きになるし、とにかく朝が最高に気持ちいい。この空気感は他では味わえない、本当にすごいと思ってます。

 

── 朝ごはんにイチオシの料理は?

 

JxJx:これもいろいろあって悩みますが、今日のところはサンドイッチがオススメですね。日本のサンドイッチも相当良いですけど、ハワイのサンドイッチって、これまた美味しいんですよ。

 

── お気に入りのサンドイッチのお店を教えてください!

 

JxJx:〈高橋果実店(ヘンリーズ・プレイス)〉っていう、日系の方が代々営業している果物屋さん。超有名店ですね。ワイキキの端の方にぽつんとあって、隣にトランプのでっかいホテルが建っているっていう、その対比も面白い。で、そこは自家製アイスや、カットフルーツが有名で、昼間はひっきりなしに観光客が訪れるお店なんですけど、朝はちょっと閑散としてて、その雰囲気込みで、そこにサンドイッチを買いにいくのが楽しみで。

 

── フルーツ店なのにサンドイッチも美味しい、と。

 

JxJx:そうなんですよ。そのことに気づけた時はうれしかったですよね。こっちか! っていう。で、中でも、たまごと刻んだパセリの具がとくにオススメ。これがラップでぐるぐる巻きになってて、冷蔵庫の中に無造作に並んでるんです。そのラップに直でサインペンで「egg~」とか書いてある。このルックスにまずひかれますよね(笑)。もしかして、と思って、それ持ち帰ってホテルで食べた時の衝撃。手作りの実直な味でとても美味しかった。

 

── 適度にガサツなところも、なんとも言えないですね(笑)。

 

JxJx:そういう感じは、非常にプラスに働きます。あと、この間初めて行ったお店で、ノースショアのハレイワにある 〈ストートス〉。地元の人のために昔からあるような、ゆっくりと時間が流れるオールドスクールなサンドイッチ屋さんで。たたずまいも汐風に吹かれてほどよく経年変化したような、いいルックスしてるんですよ。日本で言うなら、年季の入った町のパン屋さんの作る自家製サンドイッチ、のノースショア版みたいな。ややこしい言い方ですが。

 

── なんとなくわかります、その感じ。

 

JxJx:そこには、木で出来た味のあるテラスのイートインスペースがあって。そこで地元の学生たちがワイワイ言いながら食べたりしてて。で、ここでサンドイッチを食べると、そのゆるやかに流れている歴史に「すいません、ちょっとお邪魔します」って感覚があって、それがたまらない。

 

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── サンドイッチ話だけでも相当広がりますね、ハワイは。

 

JxJx:ですね。で、新しめなところだと、ワイキキから車10分ぐらいのところに、カイムキっていう、これまたいいお店がたくさん集まってるエリアがありまして。そこのワイアラエアベニューっていうメインの通りからちょっと奥に入ったところにある〈スプラウト・サンドウィッチ・ショップ〉。お店に入ると良い感じのロコガールたちがせっせとサンドイッチを作ってるっていう、ほとんど映画のようなウソみたいな雰囲気のお店。

 

── 最高じゃないですか(笑)。

 

JxJx:ここもすっごい美味しいですよ。手作りサンドイッチで、自家製マヨネーズ使ってたり、具も日本ではあまり見ない組み合わせで。ターキーとりんごと癖のあるチーズが混ざっていたり、複雑な味だけど、結果はキャッチーな感じで。ひっきりなしに地元のお客さんが来てますね。小さいカウンターにイス3つみたいな感じなんで、あとは外にテーブルが少しなのでほぼ持ち帰り。

 

── オススメの食べ方は?

 

JxJx:ここのお店は、持ち帰り……ではなく、個人的には実はカウンター(笑)。 少し窮屈なんですが、出来立ての美味しさを味わえるってことと、地元の人が出入りしてる生活感のある空気も味わえる。ローカルはどのメニューを買っていくのかっていう観察も含めて、面白いんですよね。あと、それぞれのサンドイッチにつけてあるネーミングがいちいちかっこよくて。 たとえば〈THE DUKE〉とか。デューク・カハナモクと言えば、地元の偉大なるサーファーというか本当にスゴイ人ですけど、そういう感じがイチイチおしゃれだな、と。

 

ハワイは味を“ブースト”させる

── 他にも朝食メニューでオススメがあれば。

 

JxJx:まさかの〈アサイーボウル〉ですかね。もうおなじみといいますか、女性誌などで紹介されつくされた感もありますけど、これがね、おじさんが食べても美味いんですよ(笑)。ホントよく出来てる。 アサイー自体はブラジルですよね、ただここにフルーツとかグラノーラ、地元のハチミツとかミックスされてあの仕上がりになってハワイの空気とともに味わうと、心の底から納得できるっていう。

 

── なるほど。確かに日本じゃおっさんには縁遠いアイテムですよね。アサイーボウルで美味しいと思ったお店は?

 

JxJx:〈ボガーツ・カフェ〉とか〈ダイアモンドヘッド・コーヴ・ヘルス・バ ー〉とか、いろいろ食べ歩いたんですけど、これが灯台下暗しというか、実はロイヤル・ハワイアン・センターって観光客なら誰でも知ってるショッピングモールの〈アイランドヴィンテージコーヒー〉という超人気店。ここのアサイーボウルは、ものすごく完成度が高いと思います。たぶんこれ読んでるハワイ好きの人からは、「そこかい!」ってツッコミが入ってると思いますけど(笑)。いやいや、あれはやっ ぱり本気で美味しいんじゃないかと思ってますね。アサイー他、全部の具のバランスが良い。

 

── でもハワイビギナーにはわかりやすいお店の方がいいですよね。

 

JxJx:一度、トライしていただきたい感じ、あります。あとはノースショアにある〈ハレイワ・ボウル〉が自分の中で拮抗(きっこう)してます。〈ハレイワ・ボウル〉に関しては持ち帰りにして、ノースショアのベンチに座ってぼーっと海を見ながら食べていたら、目の前にいたおばさんがこっちに向かって「海を見て!」って大声で叫んでて。何かと思ったら、クジラが跳ねるっていう奇跡の瞬間に出合えて。それで美味しさも倍増っていう(笑)。

 

── 最高の食体験じゃないですか(笑)。

 

JxJx:また、こういうパターンかよ、なんですが、なんかハワイは味をブースト(増幅)させる要素がいっぱいあるんですよ。

 

── ミュージシャンならではの名言出ました!

 

JxJx:純粋に味そのものを楽しむのも、もちろんいいんですけど、シチュエーションも込みで味わいたいっていうのは、あります。そうさせてくれるのがハワイの面白さかな、と。たまにハワイが好きなミュージシャン同士で話が盛り上がることがあるんですが、クレイジーケンバンドの横山剣さんとお話しした時に教えてもらった大好きな話がありまして「僕は〈ハタ・レストラン〉がすごく好きなんだよね。昔の日本が残ってて、タイムスリップしたような感覚になれる」っておっしゃってて。これってまさにハワイっぽい面白さだよなと思ってます。ハワイの移民の歴史そのものがエフェクトしてくるというか。一方で、ニューウェイヴなお店もあったりして。古いものと新しいものが混ざっている感覚も面白いんですよね。

 

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── ニューウェイヴなお店で注目は?

JxJx:ダウンタウンにいろんなお店ができてるみたいですが、個人的には新しいところでいうと、ここ3、4年って感じになっちゃいますが、ベトナム料理の〈ザ・ピッグ&ザ・レディ〉は衝撃でしたね。これもダウンタウンの大人気店。で、ワード・ヴィレッジにヒップホップ好きはニヤリな名前の〈ピギー・スモールズ〉という姉妹店も出来て。ここのフォー、めちゃくちゃ美味しいんですけど、さっきの衝撃っていう部分の話になりますが、〈フォー・ストラミ・バインミー〉っていう、バインミー(ベトナム風の サンドイッチ)に、フォーの出汁みたいなのがついてきて、その出汁にバインミーをディップしながら食べるんですよ。ちょっとこれまで体験したことのなかったメニューがあるんですよ。

 

── へぇ~!

 

JxJx:食べる前は、どんな感じになるのかかなり未知数だったんですけど、これが見事なかけ算で、最高! に美味しい。あと、パンがベチャベチャになっても全然イヤじゃないってのもビックリでした(笑)。とにかく、自分にとってここは衝撃的な新しさ、かつ美味しさでしたね。

 

── それは一度食べてみたい! なんか日本でアジア料理を食べようとすると、いかに本場の味に近いかで判断することが多いじゃないですか? でも、ハワイにもともとあるミックス・カルチャーの土台があるのかもしれないけれど、オリジナルなものも取り入れながら、どんどん自分たちの感覚や、風土や気候に合わせて変えていって、好みの味にしていく。その恐れのなさが興味深いし、面白いですよね。

 

JxJx:そうですね。今日話せてないですけど、そういうのたくさんありますからね。そして、そこは本当に面白いと思ってます。

 

── そういう感覚をJxJxさんが面白がってるのは、さまざまな音楽を吸収して咀嚼(そしゃく)して、まったく新しいサウンドを作り出していったYOUR SONG IS GOODの音楽にも通じているなって感じるんですが。

 

JxJx:ははは。最初はニオイにやられたって話でしたけど、そこらへんでも、ちょうどヴァイブスがあってたんですかね(笑)。でも、 たしかに行けば行くほどハワイのいろいろな文化が混ざっている部分の面白さにヤラれているんで、言われてみたらそうかもしれないですね。

 

インタビュー撮影:石川真魚

 

書いた人:宮内健

宮内健

1971年東京都生まれ。ライター/エディター。『バッド・ニュース』『CDジャーナル』の編集部を経て、フリーランスに。以降『bounce』編集長、東京スカパラダイスオーケストラと制作した『JUSTA MAGAZINE』編集を歴任し、2009年にフリーマガジン『ramblin'』を創刊。現在は「TAP the POP」などの編集・執筆活動と並行してイベントのオーガナイズ、FM番組構成/出演など、様々な形で音楽とその周辺にあるカルチャーの楽しさを伝えている。

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簡単なのにうなる味。「鯖みそ缶ときゃべつのクリームパスタ」は自炊初心者にもってこいだった【エダジュン】

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こんにちは、料理研究家のエダジュンです。

新生活がはじまって、春から自炊をはじめようという方、「ゆる自炊ライフ」を楽しむ諸センパイにならって、まずは缶詰に頼ってみてはいかがでしょうか? 本日は、鯖(サバ)缶を使った簡単パスタを紹介します。合わせるのは、ようやく値段も落ち着いてきたキャベツ。春は旬を迎えるので、スーパーにたくさん並びますしね!

 

エダジュンの「鯖みそ缶ときゃべつのクリームパスタ」

【材料】(1人分)

  • スパゲティ 100g
  • 鯖みそ缶 1缶(100g)
  • キャベツ(ひと口大) 葉3枚
  • バター 10g
  • 生クリーム 50ml
  • スライスチーズ 1枚
  • 刻みのり、黒こしょう 各お好み量

 

作り方

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1. たっぷり沸かしたお湯に、塩少々(分量外)入れて、スパゲティをゆでる。パッケージ記載のゆで時間より1分ほど早くザルにあげる。

 

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2. フライパンにバターを溶かし、中火できゃべつを炒める。きゃべつがしんなりとしたら、

 

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鯖みそ缶を汁ごと入れて、ヘラなどで粗めにほぐす。

 

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3. 2にスパゲティ、生クリームを入れて弱火で温め、

 

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スライスチーズを手でちぎりながら入れて、チーズが溶けたら、器に盛り、刻みのりと黒こしょうをお好み量かける。

 

鯖みそとバターの風味がクセになる1品

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鯖みそ缶は味がしっかりとついているので、調味料も少なくパスタができるのがいいところ。バターとクリームでまろやかに仕上げています。チーズを入れることで少しとろみがつき、パスタと具材が絡みやすくなるんですよ。生クリームは小さ目の100mlのものを買えば、残らずに2人分で使い切れます。

クリーム系のパスタは、太めのパスタでつくると味がよく絡んでおいしいです。ペンネなどのショートパスタで作るのもおすすめ。ぜひ作ってみてくださいね~。

 

作った人:管理栄養士 エダジュン

管理栄養士 エダジュン

パクチー料理研究家・管理栄養士。株式会社スマイルズに入社。SoupStockTokyoの本社業務に携わり、2013年に独立。家で作れるエスニック料理とパクチーを使ったレシピを研究中。「料理にやっちゃいけないことはない」がモットー。パクチーレシピの数々を録した『パクチー!パクチー!パクチー!』(NHK出版)、和・洋・中・韓・エスニック・ポタージュと150品のスープレシピをまとめた『これ1品で献立いらず!野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150 』(誠文堂新光社)が好評発売中。

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【生姜バーガー】絶対に食べておくべき炭火焼きのオリジナルバーガー【至高のグルメバーガー】

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【シリーズ】至高のグルメバーガー10選 no.8「Chess garden」@幡ヶ谷

世の中にはたくさんのハンバーガー屋さんがありますが、店主がハンバーガー屋さんを始めたきっかけって、 それぞれ違いますよね。

ハンバーガーが好きだ! というのは当然としても、なぜ他の食べ物じゃなくてハンバーガーなのか、なぜ自分でハンバーガー屋さんをやりたいのか。

この連載では、ハンバーガーの紹介だけではなく、店主のハンバーガー人生もじっくり聞いてみたいと思っています。

 

今回のお店の店主がハンバーガー屋さんを始めたきっかけは愛媛のジャズ喫茶だったとか。ジャズ喫茶とハンバーガーとは?

いったいどういうことなんでしょうか。

 

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京王新線・幡ヶ谷駅南口を出て、甲州街道沿いに笹塚方面に徒歩3分ほど。緑色のハンバーガーのオブジェが目印のこのお店、「Chess garden(チェスガーデン)」がありました。

 

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よく見ると看板にもハンバーガーのイラストが。

店名もグリーンが多めの外観も、カフェ風です。

 

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落ち着いた感じのおしゃれな店内。

 

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さりげなくハンバーガーの置物が。

 

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味のある小物がいろいろと。

 

子ども時代の思い出のハンバーガーが原点

「Chess garden」のオープンは2011年の8月。

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店主の谷田真徳さんは、いくつかの飲食店勤務を経て、その経験をいかして自分のお店をオープンしました。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain地元は愛媛で、進学で東京に出てきました。最初の飲食店勤務は、六本木のディスコでバーデンダーをやっていました。

 

なんと、そのディスコとは当時もっともイケイケだった「ベルファーレ」だそうです! 40代以上の人には懐かしいのではないでしょうか。

その後もアイリッシュパブの店長を務めるなど、バーを中心に働いてきました。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainその後もいろいろなお店にいたのですが、今のハンバーガー作りのベースになっているのは、4〜5年間勤めた有名洋食屋さんで修行した経験ですね。

飲食店を出すにあたって、バーだけだと経験が足りないので、好きだった洋食屋さんで働こうと思って、最初はアルバイトでホール、その後キッチンに入りました。

 

──ちなみに店名「Chess garden」は、チェスと関係があるんでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainチェスは関係なかったんです、やったこともなくて。最初は、チーズバーガーと和風ハンバーガーのお店ということで「Cheese garden」にしようとしたら、チーズのお店っぽかったので、スペルをちょっと変えてChessにしたんです。そうしたら時々「ここでチェスができるんですか?」って問い合わせがくるんですよ(笑)。それで今はチェス会をやっています。大学生のサークルなどに席を貸して、ハンバーガーを食べた後にチェスをするっていう会を。ご希望の方はお問い合わせください。

 

試行錯誤の末にたどり着いた王道、炭火焼きのチーズバーガー

こちらはランチメニュー。

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──谷田さんはチーズバーガーに特にこだわりがあるとか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainはい。僕が最初にチーズバーガーを食べたのが地元、愛媛のジャズ喫茶で、そこにハンブルグサンドとチーズハンブルグサンドっていうメニューがあったんです。食パンに挟んで、具材はうちのと同じようなスライスオニオン、トマト、ピクルス、レタス、マヨネーズ、肉。

それが、僕が初めて出合った「ファストフードじゃないハンバーガー」なんです。

小学校、中学校くらいの時に、テストの成績が良かったりすると母親に「じゃあ、行くわよ!」って連れて行ってもらえたんです。ご褒美的に。当時でもグルメバーガー的な、わりとぜいたくなものだったので。

いまだにこのお店の味を抜くチーズバーガーには出合えていないです。

 

──それで「Chess garden」でもチーズバーガー推しなんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainそうですね。今はシンプルなメニューになっています。

昔はもっとトッピングとかいろいろあったんですが、去年、初心に戻ろうと思った出来事があったんです。

ジャズ好きなお客さんにすすめられた映画を見たら、そのジャズ喫茶で良く流れていた曲だったんです。それで、昔を思い出したんです。

そういえば、チーズバーガーと和風ハンバーガーをやりたくてお店をオープンしたんだなって。

それで、あらためて基本のハンバーガーとチーズバーガーを一から見直そうって試行錯誤して、かなり良くなったんです。やっと僕の中では80%くらい理想に近づいたなって。

 

──ネットでは自分で混ぜるタルタルソースが好評でしたが。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainあれはやめちゃったんです。マンスリーで出すことはあると思いますが。それでお客さんは少し減っちゃったんですが、その時間を自分の本当にやりたかったことに費やさせてもらって、やっとここまできました。

 

今でも日々研究を重ねているそうです。

さて、それではお店自慢のこだわりのチーズバーガーを作っていただきましょう!

 

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バンズは某小規模なパン屋さんで特注で作ってもらっているものです。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain50軒くらいのパン屋さんを回って、何回も試作品を作ってもらって、特注で作ってもらっています。イメージとしては、肉とか野菜を邪魔しないパン、でも後味にほんわかと存在感があるっていう。試作品を作ってもらったら、具を挟んでみたり、形も変えてもらったりして、それで出来上がりました。途中でも大きく3回変えてもらいました。

 

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パティは140g。オーストラリア産の牛の肩肉を数日寝かせたもの。

その肉を粗ミンチにして、和牛の牛脂を少し混ぜています。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain洋食屋さんにいた時に、フランスかぶれの人がいて、バーベキューをやった時にすごい色が悪い肉を持ってきたんですよ。当時はあまり知られていなかったんですが、「エイジング」ってもので、いわゆる熟成肉ですね。

それをバーベキューで炭火で焼いたら、あまりにもうまくて、すごい衝撃だったんです。それがヒントになってます。

うちが炭火焼きにこだわるのも、それがきっかけですね。

 

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炭火焼きは網で。パティはベンチタイムといって、焼く前に周りの温かいところにしばらくおいて休ませます。

 

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バンズは鉄板で温めて、

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炭火焼き台上の方に置いて軽く燻します。パティも炭火の真ん中で焼かれていきます。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain炭火焼きでも、うちは網なんですが、網を使っているお店は少ないと思いますよ。網だとじっくり焼けて焦げ目が少なくて、燻されたような香りがつくんです。

 

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チーズを乗せます。

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バンズの下側に塗られているのは、自家製のマスタードマヨネーズ。

 

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スライスオニオンは生タイプです。

 

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こちらは網の上で組み立て、

 

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合体させて完成!

 

さて、いただきましょう。

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ハンバーガーはカゴに入った状態で供されます。

 

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▲チーズバーガー(1,199円)

 

ハンバーガーはすべてポテト付き。平日は+162円、土日祝日は+216円でドリンク(コーラ、紅茶、コーヒー、烏龍茶)がつけられます。

 

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見やすいように皿に乗せてみました。

 

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具材は下から、レタス、トマト、スライスオニオン、ピクルス、パティ、チーズ。王道のチーズバーガーです。

 

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パティの中はほんのりミディアムレア。

 

バンズは弾力がありつつ外カリッ、で中はしっとり。

ほんのり焦げ目がついたパティは香ばしく、そしてしっかりとした肉のうま味も感じます。

赤味を残した焼き具合なので脂は少ないのに、しっとりやわらか。後味に炭火焼き独特の香ばしさが残ります。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainパティはミディアムからミディアムレアの間くらいで焼いています。オーダーの時に焼き加減をおうかがいするので、よく焼くこともできます。レアだけはお断りしてます。安全上の問題ではなく、ハンバーガーにレアって合わないと思うので。

 

5日がかりのデミグラスソースで作る至高の味噌ポテト

オリジナルの味噌ビーンズをポテトにかけた、味噌ポテトも作ってもらいました。

チリコンカルネをもとにしたオリジナルメニューです。

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デミグラスソースの中にはレッドキドニービーンズが入っています。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainこのデミグラスソースはフォンドボーといって、牛すじや香味野菜を煮込んでこしたものに、味噌と豆を足して作っています。やっぱりうちで肉をさばいているので、牛すじが結構出るんです。それを使っています。

4〜5日間かけて作っているので、他ではなかなか出せないおいしさだと思います。

 

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シューストリングタイプのポテトフライに味噌ビーンズをかけます。そして、チーズも乗せて、

 

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ファイヤー!

バーナーで焦げ目をつけて出来上がりです。

 

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とろりとしたチーズに絡むピリ辛なデミグラスソースがなんとも言えない奥深い味わい! 味噌のコクも出ています。ハラペーニョのトッピングもできるそうです。これをつまみに飲んだ後にハンバーガーで締めるって、最高じゃないですか!

 

ここで注目のドリンクも紹介しましょう。

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▲自家製ジンジャエール(583円)

 

下にたっぷりと沈んだ生姜を太いストローで吸い上げて飲みます。

辛い! 甘いけど強烈な生姜味です。風邪も吹き飛びそうな生姜度です。

生姜マニアにはたまらない味なはずです。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain生姜をじっくり煮込んではちみつを合わせたものをソーダで割っています。この自家製ジンジャエールを使ったカクテルもおすすめです。

 

洋食屋さん仕込みの技が光る、生姜ソース

生姜はジンジャエールだけじゃありません。

「Chess garden」の和風バーガーの代表は生姜バーガー。谷田さんが洋食屋さんで会得したポークジンジャーの生姜ソースを使ったものです。

 

今回作っていただくのは、その生姜バーガーにさらにパイナップル、ゲバラソースというオリジナルソースをプラスした看板メニュー、チェスバーガーです。

 

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まず茄子を炭火で焼きます。

 

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パイナップルは鉄板で。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainハンバーガーにパイナップル!? って驚かれることが多いんですが、ハワイアンバーガーではわりと一般的だと思いますよ。

 

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バンズにゲバラソースを塗ります。ゲバラソースは、レモンコンフィ、ハラペーニョ、スパイスを混ぜたものです。

 

──なぜ「ゲバラソース」って名前なんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain自分の中では、革命的なソースなんで、革命家のチェ・ゲバラからです。僕の顔がキューバ人に親しみを持たれることが多くて(笑)、チェ・ゲバラにもなんか親しみがあるんです。

 

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バンズと野菜を重ねて、

 

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焼き上がったパティの上には生姜ソースをたっぷりと。

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain生姜ソースは、洋食屋さんで学んだポークジンジャーのソースです。

 

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茄子を乗せて、茄子の上にもオリジナルの照り焼きソースをかけます。

 

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組み立てて完成。

 

さて、いただきましょう!

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▲チェスバーガー(1,642円)ランチ限定

 

たっぷり生姜ソースのチェスバーガーと自家製ジンジャエールのコンビは、風邪気味の時にぜひいただきたいものです。

 

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いろいろな要素があふれ出しそうです!

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パイナップルと茄子がしっかり主張しています。

 

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ソースだけでも、ゲバラソース、茄子にかかった照り焼きソース、生姜ソース。

縦に一気にかぶりつくと、いろいろな味が口の中で混ざり合いますが、全体としてはピリッとした爽やかな辛さを感じます。そこに茄子のトロッとした食感、パイナップルの甘酸っぱさ。

これは未知のおいしさです!

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plainいわゆるグルメバーガーっていう、縦に積んで味を完成させるって中では、これが今までの集大成です。

生姜ソースとゲバラソースは単体だとそんなに辛さを感じないんです。化学反応っていうんですかね? 合わせるとより辛くなるんです。

 

洋食屋さんで培った、確かな技術が活かされたオリジナリティーあふれるハンバーガーでした!

 

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ーところで、外に置いてあるハンバーガーはなぜ緑色なんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180311134732p:plain「ガーデン」なんで緑色に塗りました! マカロンみたいだねって言われています(笑)。

 

深い意味がありそうでなさそうな……。

今度は夜に生姜カクテルを飲みに来たいです。

ごちそうさまでした!

 

お店情報

Chess garden(チェスガーデン)

住所:東京渋谷区幡ヶ谷1-6-5 1F
電話番号:03-3299-3466
営業時間:月曜日〜土曜日12:00~15:00/18:00~22:00(火曜日はランチ営業のみ) 、日曜日・祝日12:00~20:00
定休日:水曜日
Instagram:https://www.instagram.com/chessgarden/

ウェブサイト:http://chess-garden.jimdo.com/

www.hotpepper.jp

 

書いた人:工藤真衣子

工藤真衣子

カメラマン。美しい女性が好きなのでグラビア、音楽が好きなのでライブ写真、映画やドラマが好きなのでテレビドラマのスチール写真、美味しい食べ物が好きなのでグルメ雑誌など、素敵なものを愛を込めて撮るお仕事をしています。趣味は美味しい料理を作って食べること。

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リングに革命を起こし続けた前田日明の「新日本プロレス時代の豪快すぎるメシ話」【レスラーめし】

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日々、リング上で熱い闘いを見せるプロレスラーたち。

その試合の基盤にあるのはタフな練習、そして “食事” だ。

その鍛えた身体を支えるための日々の食事はもちろん、レスラーを目指していた頃の思い出の味、若手の頃に朝早くから作ったちゃんこ、地方巡業や海外遠征での忘れられない味、仲間のレスラーたちと酌み交わした酒……。

プロレスラーの食事にはどこかロマンがある。そんな食にまつわる話を、さまざまなプロレスラーにうかがう連載企画「レスラーめし」。

 

今回登場していただくのは新日本プロレス、UWF、そしてRINGSと、前人未到の刺激的な戦いを求め続けた「リングの革命家」・前田日明さん

 

その体格と格闘センスの高さから新人時代から嘱望されながら、新日本プロレスから(第1次)UWFへの移籍など、あらゆるリングで伝説の戦いを繰り広げた。ドン・中矢・ニールセン戦、アンドレ・ザ・ジャイアント戦といったを伝説の名勝負を経て「新格闘王」と呼ばれる。

さらに第2次UWF、RINGSと格闘技として先鋭化していくリングに立ち続け、99年に“霊長類最強”と呼ばれたアマレス選手アレクサンダー・カレリンとの対戦を実現し引退。

その後もさまざまな格闘技・プロレス興行においてスーパーバイザーを務め、現在では格闘技大会“THE OUTSIDER”プロデューサー、そして今年スタートする新たな総合格闘技大会に向けて奔走している。

www.rings.co.jp

 

「ナマで食えって言われないかぎりは大丈夫」

大阪出身の前田日明さん。

その豪快なキャラクターからしても、食事の好き嫌いなどはなさそうだが……。

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f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain俺、好き嫌いは全然ないんですよ。食べたことないものも、一度は食べてみる。ゲテモノも一度はいってみますね。

 

── 最近食べたもので「これは初めて!」てのはありましたか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainさすがに来年60(歳)なんでね、60年間食べたことのないものってなかなかないね(笑)。これは……っていうものでいえば、日本でクロダイとか釣る時の餌にする“ユムシ”っていうのがあるんですよ。韓国だとアレを生で食うんです。

 

── ミミズのでかい奴みたいなのですよね、ユムシって。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそうそう。しかも日本のより立派なんですよ。まあまあ、慣れれば酒のつまみにいいかなくらいの味でしたね。あとムカデとかも漢方薬として干したやつが売ってて、それを煎じて飲んだら咳に効くって言われて飲んだりしましたね。まあ、だいたいナマで食えって言われないかぎりは大丈夫。

 

── 子供の頃から好き嫌いはなかったんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain子供の頃はピーマンとかニンジンがダメだったね。肉ばっか食ってました。でも自分らの親の世代は、戦中戦後の食糧難の時代を生きてきたじゃないですか? だから野菜とか残したら、それを食べるまでいつまでも出てくるんですよ。朝に残したら昼、昼に残したら夜。それで他のおかずを減らされるんです。最後はピーマンとニンジンだけになっちゃうんで、無理して食ってましたね。

 

── ではその頃の思い出の味ってありますか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain肉と糸こんにゃくが入ったスープっていうかお吸い物みたいなのをよく作ってくれてね。そればっかり飲まされてたんで、記憶にありますね。いま考えると、うちの母親って料理のメニューが豊富だったんですよ。小アジの南蛮漬けとか八宝菜とかカレーだとか、いま考えると当時としてはいろんなもん作ってたなあ。母親は15人兄弟だったんですよ。

 

── 当時は兄弟が多い家族は普通ですけど、15人はすごいですね!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそのうち男は2人で、あとは全部女。それで姉妹でレシピの交換とかしてたみたいで。ただ、飯がよく食えたのは中学まででね。中学2年で親が離婚したんですよ。それで高校くらいがいちばん食べものが悲惨な時期で、父親が何万か置いて3カ月とか韓国に行っちゃうんですよ。

 

── 前田さんひとり置いて、ですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainでも1カ月も経たんうちに電気代とかガス代とか払ってたら金が底ついてしまうんで、最初は親戚のうちをウロウロしてたんですけど、それも交通費がかかるじゃないですか。そのうちアルバイトした金と、オヤジを脅かして……(笑)というか、ゴネて金を出してもらって、中古のオートバイを買って。それであちこちに行けるようになったんですけどね。

 

── ひとりになっても食っていくために、バイクであちこちに行ったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain当時アルバイトで枚方のかねまた運輸ってところがあって、そこがイトーキの大阪支社の搬送とかしてたんで、その助手とかをよくやってましたね。だいたいバイトは運送関係で、たまに長距離トラックの助手とかをやったら、運転手さんが気前よく飯おごってくれたりしてね。カツ丼とかカツカレーとか、とにかくお腹いっぱいなるもの。それがうれしかったですね。

 

猪木さんが飼っていたセントバーナードの話

1977年に新日本プロレスへ入団した前田さん。

当時はアントニオ猪木モハメド・アリウイリアム・ルスカと闘うなど、異種格闘技戦の興行が数多く行われ、世間の耳目を集めていた時期。

当時、前田さんが山本小鉄さんをはじめとしたコーチ・先輩たちにしごかれていた話は有名だ。

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── 新日本プロレスでは、もちろん新弟子からの生活になりますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain合宿所の食事はちゃんこですね。365日朝昼晩ずっと鍋です。たまにちゃんこ番の人がサボりたくて、バター焼きと称して鉄板で肉を焼いたりするくらいで。当時いちばん驚いたのが、1日のちゃんこ銭が2万円支給されていたんですよ。大学の初任給が8万とか10万円のころですよ。

 

── 1日2万円って、当時の合宿所には何人くらい住んでたんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainその頃が寮生がいちばん少ない時期で、5,6人とかでしたね。新弟子が入っても、すぐ辞めていっちゃうんですよ。そんな人数で、1日2万円なんて使い切れないじゃないですか。でもちゃんこ銭を余らせると支給額を下げられちゃう。

 

── けっこういい肉を食べても2万円は大変ですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain他に差し入れなんかもありますしね。とにかくその額を使い切らなきゃいけないっていうんで、毎食毎食肉を3キロとか4キロ買ってきて、食べきれなかったらどうしてたかというと、猪木さんが飼っていたセントバーナードに食べさせたりしてた(笑)。

 

── あははは! 美食すぎる犬ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainほんとに高い、すごくいい肉ですよ。今だったら宅配便とかで親戚にでも送ってましたね(笑)。

 

── しかし新弟子時代となると体重を増やさなきゃいけないんでしょうけど、食べるのも大変ですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain飯もいちばん少ない時でも1升くらい炊いてましたよ。格闘家が減量のために「食べるな食べるな」って言われるのもつらいと思いますけど、とにかく体重増やすためにここまで(喉を指差して)「食べろ食べろ」って言われるのもつらかったですね。もともと食は細かったんです。中学から高校にかけては、1食どかんと食べるんじゃなくて、1日に細かく5食とか6食を食べるような生活だったんで。

 

── 前田さんは入団した時から身長は高かったんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそうすね。中学3年で175センチで、高校卒業するころは189。新日本に入ってまだ伸びて、結局192センチまでいきましたからね。

 

── それだけの体格があっても、ご飯はキツかった。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそうすね。合同練習の日の食事のときとか、山本小鉄さんが食べ終わるまで監視していて「おまえ、いま何杯食った?」って聞いてくるんですよ。

 

── “鬼軍曹”がご飯チェックを!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain目の前でビールを飲みながら何杯食うか見てるんです(笑)。山本さんはすごい人でしたね。練習も率先して若いのと同じメニューを同じだけやって、終わったら終ったで下っ端の飯の面倒まで見て。家に帰ってさぞくつろいでたのかなと思ったら、奥さんのために家でもご飯作ったりしていたらしいですからね。

 

「小林 さんが全部払っていかれました」

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プロのレスラーは練習をするのが仕事なら、食べるのも仕事。

しかし、それは身体を作るためだけではない。

後援者たちに「プロレスラーって、これだけ食べられてすごいだろう!」と見せつけるために食べるのも、また仕事なのだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain合宿所のレスラーってのは、試合後とかにスポンサーに連れていってもらった時の「食べる係」なんですよ。どこも「レスラーってすごい食べるんでしょ?」って出してくれるんで、先輩レスラーが残したものを全部食べなきゃいけないんです。これがたぶん良いものを食べてたはずなんですよ。今考えたらミシュラン三ツ星の超一流コック、みたいなところばっかりでしたし。でも量を食べなきゃいけないから、味を楽しんだ覚えが全然ないですね(笑)。お茶で流し込んだとか、そういうのばっかりで。

 

── どこのお店がおいしかったとか、覚えてないですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainみんなおいしかったんですけど、基本的に腹に詰め込む作業ですね。味わってるヒマなんてないです。ありとあらゆる食べ物を食べましたけどね。珍しいもの、高いもの……「満漢全席」みたいなのもありましたね。

 

── 中国のよりすぐりの料理を集めたという宴会のメニューですね。本家は数日間かけて食べるとかいう話もあるほどの。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそういうので“熊の手”とかも食べましたよ。右手か左手か、どっちかが高いんですよね? ハチミツをとる方が高いとかで。ホントか? って思ってたけど(笑)。

 

── 当時は新日本プロレスのトップにアントニオ猪木さんがいらした時代だけに、スポンサーもすごいでしょうね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain昭和30年代や40年代の芸能界やプロスポーツの第一線にいた人たちの環境と、今の芸能スポーツ界ってぜんぜん違いますよね。昔は本当にあがめられていたっていうか、本当に“スター”だった。まわりがスターにごちそうすることが「うれしい、誇らしい」みたいな時代で。

 

── 「俺はあのスターにごちそうしたんだ」ってのが自慢になる時代ですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain昭和のその頃は、勝新太郎さんや小林さんにおごってもらったことありますよ。しかも何万円って話じゃないですよ、100万円とか。

 

── えー!!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain小林さんは、俺らが結婚式の2次会だったかで大騒ぎしていたお店に小林さんが入ってこられて。「すいません、お騒がせしてます」って挨拶したら、「いいよいいよ、気にしなくていいから」っておっしゃってくれたんですよね。でも、その後に席を見たらいなくなっていたから「やっぱりうるさかったんだな、申し訳ないな」って思ってたんですよね。それで俺らも出ようってなって、皆からお金を集めて支払おうとしたら「小林 さんが全部払っていかれました」って言われて、「え!」って。その時の支払いは本当に100万円以上だったと思いますね。

 

── さすが小林! って感じですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainこの前、松方(弘樹)さんが亡くなった時もいろんな話が出てましたけど、あの頃の昭和のスターはスケールが違いますね。

 

── そういう意味ではアントニオ猪木さんもスターだったんじゃないですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain猪木さんも……そうですね。でも選手に対してはスパルタでしたね(笑)。

 

── あははは。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainでもね、猪木さんは猪木さんで夢っていうか野望があって、巨大ビジネスを成功させようとして結局失敗して60億くらいの借金をこさえたけど、最終的には完済してましたからね。そのスケールはすごいですよ。

 

試しに酒を飲まされて、目が覚めたら縛られてて……

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プロレス観戦歴の長いファンなら「昭和の新日本プロレス」というキーワードに夢を抱く人も多い。

試合だけでなく、普段の生活もまた“猛者”が多かった。

その一面をわかりやすく見せてくれるのがレスラーの“めし”そして“”だ。

 

── 前田さんが新日にいたころ、まわりにいたレスラーで食に関して「この人はすごかった!」って思い出の人っていらっしゃいますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain当時の自分らの先輩たちはね、この間亡くなった荒川真さん(ドン荒川)もそうだし、いま新日本の道場管理やってる小林邦昭さんもそうだけど、みんな食いましたね! すごい食べた。小林さんなんか新人の時代に、東京から大阪まで行く3時間の間に新幹線の食堂車のメニューを上から下までぜんぶ食わされましたからね(笑)。荒川さんも旅館で6合か8合入りのおひつをひとりで2つ半食べてました。

 

── レスラーの別の意味でのすごさを感じさせますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainよく食べる選手のことを「エビスコが強い(※大相撲の隠語で大食い、または大食漢の力士のこと)」って言うんだけど、エビスコが強いか弱いかって大事でしたね。いま考えると、若い頃に無理してでも食わされたから、あの練習に耐えられたんだなってのはありますね。ただ耐えるだけならあの食事はいらないんですよ。耐えながら身体を大きくする。当時のレスラーの1日のカロリーって万単位だったんじゃないですか。

 

── 食べて、さらに練習や試合で消費してるわけですからね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain当時、新日本は鉄骨プレハブの道場だったんですけど、夏の練習の時は窓を閉めきって練習してたんですよ。外の気温が30度を超すと、だいたい道場の中は47か48度。そんな中でやらされるんです。なんでかっていうと理由があってね。当時俺が入って3年目4年目までのころは、蔵前国技館とか愛知県体育館、あと改装前の大阪府立体育館とかにはぜんぜん冷房がありませんでしたね。しかも放送用の照明がリングに向けられるし、第1試合でリング上は40度とかになるんですよ。だから猪木さんがメインイベントをやるころにはさらに熱くなってる。そんな中で試合をするわけですから。

 

── なるほど、過酷な熱さの中で練習する意味があったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain若手の頃とか、練習前と練習後で最初は7キロくらい体重が減るんですよね。当時「練習中には水を飲んじゃいけない」って時代だから。トイレに行ってトイレの便器の水を飲もうかな……ってここ(口の手前)まで来たこと、何度もありますよ。そんな練習をしながらも体を大きくするためにかなりの量を食べているから、最初の3年で30キロは太りましたね。

 

── そんなに! 食事はどんどん食べなきゃいけないし、水は飲みたい時に飲めないし。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainただ、みんなそれぞれ特製ドリンクみたいなの作ってるんですよね。自分も1リットルのコーラの瓶に、当時なけなしのお金で買ったプロテイン入りのドリンクを入れて。当時700gで4万円とかしましたからね。

 

── そんなに高級品だったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainでもね、知らない間にそのプロテインを先輩が飲んじゃってるんですよ。そりゃもう、頭にきてね。コイツなんとかしてやろう! って思って、ドリンクにこっそり小便を入れてね。プロテインも入れて。

 

── ワハハハ、プロテインも一応入れるんですね(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそれで「誰が飲んだかわからないけど、頭にきたから小便入れてやった!」って言ったら、後ろで2人くらいゲホゲホ言ってもどしてて。ひとりが栗栖(正伸)さんで、もうひとりが荒川さんやったっていう(笑)。

 

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── さっきプロテインの話が出ましたけど、今だとプロテインとかサプリとかが当たり前じゃないですか。当時はまだ少数派だったんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain自分が入った頃は荒川さんが寮長で、しばらくして小林邦昭さんが寮長になって。小林さんが、その頃アーノルド・シュワルツェネッガーの大ファンで。

 

── 俳優になる前、ボディビルダーとして名を上げていたころですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainその影響でプロテインを飲んでいたんですよ。最初はクソ高かったんですけど、しばらくして粒状のプロテインが出てきて、それでけっこう値段も安くなったんですね。900粒くらいで当時なんぼくらいしたかな、5,000円とか6,000円くらい? もっとしたかな? それでもずいぶん安くはなったんですよね。その頃からプロテインとかレバータブレットとかを取るようになったんちゃうかな。

 

── その頃からそういうサプリ的なもの飲むようになったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain最初は隠れて飲んでたんですよ。山本さんに見つかったら没収やから。「ナチュラルが一番だ!」って人だったから。ゴッチさん(カール・ゴッチ)もプロテインとかを飲むのはダメ、っていう方やったね。

 

── そのおふたりがナチュラル派というのはわかる気がします(笑)。あと、お酒についてはいかがでしたか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain新日本プロレスに入る前は、ビールのロング缶1缶くらいでいい気持ちって感じやったんですけど、新日本プロレス入ったらもう「飲め飲め飲め飲め!」の世界で。入門して最初の半年くらいの頃に、レフェリーのミスター高橋さんが花見をやると言ってきて。その時「お前らこれからなにかと酒を飲まなきゃいけなくなるから、酒癖が悪いかどうかチェックするぞ」って言い出したんですね。それでどんぶりに氷を入れて日本酒も入れて、レモンをガーッとしぼって、「さあ飲め!」と。ガンガン飲まされたんですね。

 

── うわー、もう最初からどんぶりで。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそんで飲んでいるうちにわけわかんなくなって、気がついた時には合宿所のある1室で、芋虫のように縛り上げられて、猿ぐつわをされて。

 

── ええ!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainあとで聞いたら包丁を持って暴れていたらしいんです。

 

── ええええ!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそれで高橋さんが、俺が持ってる包丁を取ろうとしてつかんで、手に刺さっちゃったりして。

 

── ええ……。危なすぎますよ!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainヒロ斎藤が逃げるところに後ろからバッと包丁を投げたら、身体の真横に突き刺さったとか(笑)。

 

── うわあ……。前田さん、酒が強くはなかったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainぜんぜん! 飲めないですもん、当時はね。それからしばらくして、海外遠征から帰ってきて大飯を食えるようになった頃までには飲めるようになりましたね。今もそんなには強くはないんです。でも体力はあるんで、永遠につぶれないんですよ。気分悪くなったらオエーッっと出して、空っぽになったらまた飲む……みたいな。まわりはえらい迷惑ですね(笑)。

 

── さすがに包丁は投げなくなったと(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそうですね! 大騒ぎするだけで。でも……(※この後にうかがった六本木のビルの屋上から下品な言葉を連呼した話、角田信朗さんの結婚式での空手界の大物を巻き込んで大暴れした話などはヤバすぎるため割愛)

 

ロシア人格闘家が飲んでいたという「アルコール」の正体

あぶなすぎて『メシ通』では書けないエピソードがいっぱい出た、前田日明さんの酒にまつわるお話。まだまだ続きます。

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── それからUWF、RINGSと新たな闘いの道を切り開いていった前田さんですが、実質トップ選手や経営者側になったことで大変だったことも多いんじゃないですか。それこそ道場の食事なんかもお金を出す側になるわけですし。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainUWFのちゃんこは基本的に新日本の延長線上だったんですけど、最初の頃は選手たちでちゃんこ銭を出し合ったりしてましたね。でも肉の量とかはお腹いっぱいになるようにはしてましたよ。少しずつ応援してくださる人も増えてきて、差し入れなんかももらうようになったり。ありがたかったですね、いろんな人に応援してもらえて。

 

── トップ選手になって酒の席とかも増えたんじゃないですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainありましたね。当時はなんか妙なこだわりがあって、最初の1杯から最後の1杯まで全部イッキしようって。選手も全部やってましたね。

 

── 美学というか、前田さんなりの「レスラーらしさ」みたいな。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain……なのかわからないですけどね。酒といえば当時、益荒男関(現・阿武松親方)と寺尾関(現・錣山親方)・琴ヶ梅関の3人と仲良しで、俺と高田(延彦)と山ちゃん(山崎一夫)と、その3人で伊豆長岡まで泊まりに行ったことあったんです。で、当時は海外までよく行ってたんですよね。それで飲みもしないのに高級ウイスキーを免税店で3本ずつとか買って帰ってきて、それで何10本とあったんで持ち寄って飲もうぜってことになったんです。結局2泊3日で40〜50本くらい空にしましたね。ボトルを全部イッキで。

 

── 力士とレスラー6人がイッキでウイスキーを飲みまくる光景……すごそうです。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそれでみんな酔っ払って、いい感じの時に琴ヶ梅関が平気な顔してるんで、「梅ちゃん飲んでないねえ~」って言ったら、「あ、すいません」ってブランデーの栓を開けて、まるでコーラでも飲むみたいにゴクゴク飲んで……すげえなって。いろいろ飲んだけど、酒を飲むのでいったら琴ヶ梅関がいちばんすごかったですね。

 

── 前田さんは力士やプロレスラー以外にもいろいろな格闘家と飲まれていると思いますけど、誰がいちばん飲み食いがすごかったですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain琴ヶ梅関もかなりすごかったけど、レスラーでも強い人はいますね。アンドレ(ザ・ジャイアント)なんかは試合前になぜか必ずラーメン1杯とコニャック1本を飲んでいましたからね。あれもコーラを飲むみたいにコニャックを飲んでましたね。

 

── レスラーにも力士にもとんでもない人がいましたよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain酒飲みというと、ロシアに行った時がすごかったですね。91年にロシアに選手を探しに行ったとき、当時はペレストロイカで物資がぜんぜんないのに、わざわざ祝いの席とか作ってくれるんですよ。すごかった時は、1日に10数回パーティーを回って、その間はどこに行ってもずーっとウォッカをイッキですよ(笑)。すごいのは、ロシアって乾杯のときに「これは何のための乾杯か」を演説しなきゃいけないんです。それで良い演説したら、それに大して「私も賛成です!」ってまた演説が始まるんですよ。それに対して「反対です!」って演説も始まったりして、そのたびにイッキしなきゃいけない。もうロシアに着いてから成田に帰ってくるまで、ずーっと酔っ払ってましたね。

 

── 行く先々で飲まされるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainでもそのころは物資がなくって、もしウォッカがない時はどうするんだって聞いたら「アルコールだけは切らさずに飲んでたよ」って言うから、何を飲んでたんだって聞いたら「オーデコロン!」って(笑)。すごいでしょ? そういう奴がいっぱいいるんですよ。あと、メタノールってあるじゃないですか。あれも“目散るアルコール”って言うくらいで、飲むと目がつぶれるって言われてるんですよ。でも彼らは「薄めて飲めば大丈夫だ」って。

 

── いやそれ、ぜんぜん大丈夫じゃないです!

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain「メチルで果物を漬けたのがあるけど、飲むか? 毒消しになるんだよ!」って言われて「いやいやいや!」って。彼らはすごいよ、本当に。

 

── なんで生きてるんでしょうねってレベルですね(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainあとロシア人と酒を飲むと怖いのが、もう首まで酒を飲んでベロベロになって、なんとか意識だけは保って、もう1杯飲んだら意識が飛ぶかもってときに「サウナに行こう」って言われるんですよ。それで仕方なく一緒に行くんですけど、サウナの中で倒れたり、一番最初にサウナから出たら格好悪いじゃないですか。だから「せめて3人目が出るまで頑張ろう」って死ぬ気で耐えるんですよ。それでやっと出られるってタイミングになって、やっとの思いで涼しいところに行こうとしたら……ロシアって、サウナの後に水風呂の場合と雪の場合があるんですよ。

 

── サウナからの「雪」

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plain雪って言っても、出た瞬間にマイナス20度の世界ですよ。じゃあ水風呂にするかっていっても、日本のサウナだといくら冷たくてもせいぜい10数度でしょ。向こうの水風呂は凍る寸前の0度なんですよ。だから入った瞬間、心臓がドドドド! って動いて……「ああ、これが心臓麻痺っていうんだな」って経験をしましたね。

 

── そんな「酒とサウナの生活」をしていたら、ナチュラルに鍛えられますね、ロシア人。

 

f:id:Meshi2_IB:20180228235547p:plainそれでロシアの連中の話だと「日本から柔道とかの選手が来ても、飲まされるとだいたい倒れる」と。それで「倒れなかったのはアントニオ猪木と前田だけだ」って言われましたね。その辺はね、益荒男関とかと酒の研さんを積んだからってのはありますね(笑)。

 

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これまで未開の地を切り開いてきた、前田さんならではの豪快すぎる酒の話でした。

ちなみにいま前田さんが気になっているのは、「家康が作った漢方のレシピ」。

現在薬品メーカーでも普通売られている漢方薬「八味地黄丸」の変方、いわば将軍に献上するためのスペシャルバージョンだという。

この好奇心こそが、これまで前田日明さんが闘ってきた試合や興行を見る時に私たちをわくわくさせてくれる一番のスパイスだったのかもしれません。

twitter.com

※一部記事中の表現で修正した箇所があります。(2018年4月3日) 

 

書いた人:大坪ケムタ

大坪ケムタ

日本全国どこに入っても手早く安心して食べれるチェーン店好き。特に茶色い食べ物と期間限定メニューには目がない。天丼はえび天よりかき揚げ派。普段はアイドル・芸能etcよろず請け負うフリーライター業。

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お店情報

きっちん大浪

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-13-13 原ビル 102
電話番号:0422-26-9283
営業時間:昼 12:00~14:00(LO) 夜 18:00~23:00(LO)、日曜日 18:00〜22:00(LO)
定休日:不定休
Twitter:https://twitter.com/kitchen_ohnami

 

ムラマツヒロキ a.k.a Murama2

ムラマツヒロキ a.k.a Murama2

漫画家兼DJ。早稲田大学文学部中退。漫画家としてはムラマツヒロキ名義でガイドワークス『パチスロパニック7』『別冊パニック7』にて『ホール営業日誌』を連載中。DJとしてはMurama2名義でアナログオンリー、オールジャンルのロックDJとして渋谷clubasiaにて隔月開催のLIVE&DJパーティー「NUGGETS」レギュラー出演をはじめ都内の様々なイベント&パーティーに出演。ロック至上主義DJパーティー「TEASER」主催。

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