切り身とレンチンでできる「魚の清蒸(チンジョン)風」は、簡単なのに香りとうま味が本格派

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回は、魚料理はハードルが高い、面倒という方におすすめしたい、切り身でできるレンチンレシピをご紹介します。

作るのは、「清蒸(チンジョン)」という中国の魚料理。本来は、白身魚を丸ごと蒸し上げる高級料理ですが、電子レンジを使って少量からでも手軽に作れるようアレンジしています。

仕上げの熱々ごま油で、ごちそう感がさらにアップ

ポイントは、電子レンジで蒸し上げた魚にたれをかけた後、たっぷりのせたねぎの上から熱々のごま油をまわしかけること! (スミマセン、ごま油の工程だけフライパンを使います)

ふんわりやわらかな魚に、食欲をそそるたれ、シャキシャキの香味野菜、もうそれだけでも既においしいのですが、さらにそこに熱々のごま油をかけることでねぎの風味が立ち、一瞬でごちそうに変身するんです。

また、このレシピでは鱈(タラ)で作っていますが、鯛(タイ)、鰆(サワラ)などの他の白身魚でも作れますし、鰤(ブリ)などの少しクセのある青魚にも合うたれの作り方も併せてご紹介します。

それでは、早速作っていきましょう! 

切り身で作る「魚の清蒸(チンジョン)風」

材料(1~2人分)

  • 生の鱈(タラ)……2切れ(200g)
  • ねぎ……1/2本(青い部分と白い部分を使用)
  • しょうが……薄切り2枚
  • 紹興酒(または酒)……小さじ2
  • ごま油……大さじ1
  • 香菜……1本

【たれ】

  • 酒……大さじ1
  • 醤油……小さじ1と1/2
  • オイスターソース……小さじ1
  • 砂糖……小さじ2/3
  • ブラックペッパー……少々

作り方① たれを作る

最初に味の要となる、たれを作ります。本来、清蒸は醤油と砂糖と酒を煮立てた甘辛いたれでいただきますが、今回はそこにオイスターソースを少量加えることで、味が決まりやすく、どんな種類の魚にも合わせやすいたれに仕上げています。

こんな感じで、途中で表面がふつふつとしてきます

作り方はとても簡単。たれの材料を耐熱ボウルに入れて混ぜ合わせ、電子レンジ600Wに30秒かけるだけ。上の写真のように少し煮立ったところで取り出しておきます。

作り方② トッピングを準備する

続いて、トッピングの香味野菜を切ります。

まずはねぎの白い部分を5cmくらいの長さに切り、さらに縦に切り開いて(上の写真参照)、外側の白い部分を白髪ねぎ(極細の千切り)にします。

少し黄みがかった芯の部分(写真左上)は、同じく白髪ねぎにしてもいいですし、スープや味噌汁など他の料理に使ってもかまいません。

白髪ねぎにしたら、あとは水(分量外)にさらしてキッチンペーパーに取り、ギュッと水気をしぼっておきます。

香菜の茎と葉は、手でちぎるか包丁で切って、食べやすいサイズに。

※香菜が苦手な場合は、(少し風味は変わりますが)三つ葉やニラ、セロリの葉などに変更してもおいしくいただけます。

作り方③ 魚を蒸す

たれとトッピングの準備ができたら、次は魚を蒸します。今回は電子レンジを使うので、蒸し器など特別な道具は不要ですよ。

キッチンペーパーで切り身を挟んで軽く押さえ、ドリップや臭みなどを取ります(それでも臭みが気になる場合は、全体に塩を振って10分ほど置き、出てきた水分を同様にキッチンペーパーで取ります)。

鱈(タラ)の切り身2切れ(200g)なら、電子レンジ600Wで2分30秒~3分程度

耐熱容器に切り身を入れて紹興酒(または酒)を振りかけ、ねぎの青い部分としょうがをのせます。あとはラップをして、電子レンジ600Wで2分30秒~3分ほど加熱します。

加熱時間は切り身の種類や大きさ、厚みなどで違ってきますが、どの魚を使う場合でも、ポイントは「火が通る一歩手前」で止めること(電子レンジで完全に火を通してしまうと身がかたくなるため、必ずあとひと息のところで止めます)。

電子レンジから取り出したら、ラップをしたまま3分ほど置き、余熱で中まで火を通します(これが、ふんわりとした食感に仕上げるコツなんです)。

※ただし3分経った時点で確認し、まだ生っぽい部分が残っている場合は、10秒ずつ電子レンジ600Wで様子をみながら追加加熱します。

作り方④ ごま油をまわしかける

切り身から出た蒸し汁は、大さじ2程度だけ残す(余った分は汁物などに入れると美味)

切り身に火が通ったら、いよいよ皿に盛り付けます。

この時、切り身から蒸し汁が多めに出ているようであれば、大さじ2程度だけを切り身と一緒に盛り付けるようにしましょう(多すぎると味がぼやけてしまうため)。

切り身の上から大さじ1のたれをかけて、白髪ねぎをトッピング。

そして仕上げに、清蒸の最大の特徴、熱々のごま油を準備!

フライパンにごま油を入れたら、強めの中火にかけ、時折フライパンを大きく円を描くように静かに揺すりながら温めていきます(あくまでも静かにフライパンを動かし、ふちからごま油がこぼれないよう注意しましょう)。

しばらくするとフライパンから煙が立つので、火を止めて静かに白髪ねぎの上から、まずは少量のごま油をまわしかけます。

油をかけた時に出る白髪ねぎを焦がす音が、香ばしさの秘訣

この時、必ず「ジュッ!」という音がするか確認してください(音がしない場合は、ごま油の温めが足りないので追加でもう少し加熱します)。確認ができたら、ごま油を全量まわしかけます。

熱々のごま油の場合は、音がした後に白髪ねぎから香ばしい香りが立ちのぼってきますので、そうしたら完成です。あとは香菜をのせて、おいしくいただくだけ!

仕上げに香菜をトッピング

はぁ、なんとも食欲をそそる香りです。では、早速いただいてみましょう……!

余熱を利用して火を入れた切り身は、見るからにふんわり。シャキシャキのねぎと香菜が、見た目にも食欲をそそりますね。

箸でほぐすと、ほろりと簡単に身がはがれます。

醤油ベースの甘辛いたれに、ごま油と白髪ねぎのうま味とコクが混ざり合い、まさに極上の味わい……! 切り身によく絡んで、もはやお箸が止まりません。ご飯またはお酒が猛烈に欲しくなる味わいです(笑)。

しかもシャキシャキの白髪ねぎと香菜の香りと食感も、最高のアクセントになっています。

野菜を添えるのもおすすめ

清蒸と一緒に「野菜も食べたい」という方のために、付け合わせも同時に調理する方法をご紹介しておきますね。

野菜の量があまり多くなりすぎないように(アスパラガスなら2本程度)

と言っても、やり方はとても簡単!

切り身を蒸す時に、まわりに好みの野菜を食べやすく切ったものを並べて、一緒にレンチンするだけです。

みずみずしい旬の野菜の甘みやうま味も味わえる

付け合わせにおすすめの野菜は、アスパラガスをはじめ、水菜や少し長めに切った小ねぎなど。彩りも良くなりますし、味の相性も抜群です!

いろいろな種類の切り身で楽しんで

今回ご紹介したレンチンでできる「魚の清蒸風」は、生の魚を使う割には洗いものも少なく、とにかく手軽なのでいろいろな種類の切り身で楽しんでいただけたらと思います。

鰤の切り身2切れ(150g)なら、加熱は電子レンジ600Wで2分~2分30秒程度で

例えば、養殖ものも出回っているため一年を通じて入手しやすい鰤(ブリ)。青魚で、白身魚と比較すると少しクセのあるイメージかもしれませんが、今回ご紹介したたれは、青魚でもとても食べやすい味つけになっています。

香味野菜も絡めて食べるので、ご飯がすすみます

この他にも、春なら鯛(タイ)や鰆(サワラ)、秋なら鮭(シャケ)、冬なら鱈(タラ)や鰤(ブリ)と、季節ごとに魚の種類を変えて楽しむこともできます。旬の魚はおいしいだけでなく価格も安定していて手頃なので、ぜひ皆さんもその時々のお気に入りの魚で楽しんでみてくださいね!

老舗魚屋の主人ができるだけ手抜きをして「フライパン牡蠣ご飯」を作ったらうま味とプリプリ感が最高すぎた

こんにちは! 鮮魚魚武の三代目、料理家の魚屋三代目です。

寒くなり、牡蠣は美味しい季節(冬に旬を迎えるのは真牡蠣。もう1つ、夏に旬を迎える岩牡蠣もあります)です。今回はその牡蠣のうま味がドドンと効いた「牡蠣ご飯」を作ります。

レシピは、生食用の牡蠣とフライパンを使ってできるだけ手軽に。とってもシンプルですが、牡蠣のプリプリ感とうま味がたっぷり味わえる炊き込みご飯が食べられますよ。

なお、牡蠣は加熱用を生食すると食中毒を引き起こすなど危険です。今回はサッと煮るだけですので「生食用」とあるものを購入してください。

 

魚屋三代目の「フライパン牡蠣ご飯」

【材料】2人前

  • むき牡蠣(生食用) 12個程度
  • 米 2合
  • しょうゆ 大さじ3
  • みりん 大さじ1
  • 酒(日本酒) 大さじ1
  • 和風だしの素(顆粒) 小さじ1
  • 水 400ml+適量(浸水用)
  • 三つ葉(食べやすく切る) 適量

 

作り方

1. 米を研ぎ、たっぷりの水に20~30分浸水させて、ザルにあげます。

フライパン炊飯は水加減が難しいですよね。そこで、今回はわかりやすいよう浸水用と炊飯用の水は別にします。

 

2. 牡蠣は流水で洗います。

 

3. 炊飯用の牡蠣の煮汁を作ります。鍋に水400ml、しょうゆ、みりん、酒、和風だしの素を入れ、

 

中火でひと煮立ちさせて、

 

よく混ぜ合わせたら牡蠣を加えて中火で2~3分煮ます。

牡蠣は、身のふっくらした部分を軽く押して弾力が出るくらい煮ればOKです。今回は大きめの牡蠣(1つ6~7cmくらい)でしたので3分煮ましたが、もう少し小さめでしたら2分程度で大丈夫だと思います。

 

牡蠣は煮汁から取り出し、牡蠣のうま味が出た煮汁は粗熱をとっておきます。

 

4. フライパンに浸水させた米、

 

3の煮汁を入れ、

 

フタをしたら、

まずは強火で加熱。

 

沸騰したらとろ火(一番弱い火加減)にして20分ほど炊きます。

 

20分を目安に、焦げた香りがしてくる前に火を止めてください。また、チリチリと音がする(ご飯におこげができ始めた合図)のも火を止めるタイミングです。

 

5. 火を止めたら、

 

牡蠣をのせ、もう一度フタをして5分ほど蒸らします。

 

6. 仕上げに三つ葉を散らして完成。ざっくり混ぜてお召し上がりください。

食べる直前に香りのいい三つ葉を加えて、さわやかさに仕上げます。彩りもグンとよくなりますよ。

 

牡蠣の美味しさを余すところなく!

プリプリの牡蠣がたっぷりの牡蠣ご飯が炊き上がりました! 牡蠣のうま味がしっかり出た煮汁で炊いたご飯はとてもよい風味。これぞ冬のごちそう、ずっと噛みしめていたい美味しさです。

たっぷりのせた三つ葉はシャキシャキとした食感とさわやかな香りで、うま味の濃い牡蠣と相性抜群!

 

牡蠣の身は煮てから一旦取り出して仕上げに加えることで、縮んだりかたくなったりせず、プリプリとした食感を味わえます。生食用の牡蠣を使うので、火入れ具合を心配せずに作れるのもうれしいですね。

栄養たっぷりの牡蠣の美味しさを余すところなくいただけるお手軽牡蠣ご飯。牡蠣が美味しい季節に作ってみてください。

 

生食用の牡蠣で作る「牡蠣しゃぶ」も絶品です!

www.hotpepper.jp

 

超簡単「手作り鮭フレーク」5選!切り身&電子レンジ2分で市販品の瓶詰を超えるうまさ

皆さまこんにちは。ごはん同盟のしらいのりこです。

ごはんのお供といえば、「鮭フレーク」。鮭フレークはかけてもよし、おむすびの具にしてもよしの万能選手。新潟県出身の私は、某高級鮭フレークが大好きなのですが、ちょっとお値段もはりますし、食べたいときにすぐ手に入らない。そこで、スーパーにいつでも置いてある、あの食材を使って、電子レンジで簡単に鮭フレークを作ってみましょう!

基本の鮭フレークの作り方

材料(作りやすい分量)

  • 塩鮭の切り身(甘口・甘塩)……2切
  • お酒……大さじ1

材料はたったこれだけ。塩鮭はどこのスーパーにもある切り身でOK。

私は甘口の塩鮭の中でも、脂がある銀鮭で作るのが好きです。あとは、紅鮭でも。

ちなみに紅鮭はフレークにしたときの色が鮮やかで、脂も少なくヘルシーです。

塩分を加えていない生鮭の切り身を使う場合は塩少々を振りかけて10分ほど置き、出てきた水気を拭き取ってください(塩の浸透圧で臭みが水気に含まれて出てきます)。

お酒は塩分の入ってない料理酒(日本酒)がおすすめ。

※お刺身用のサーモンの切り身もありますが、値段がはるためここでは割愛します。

作り方

耐熱皿に塩鮭の切り身を並べ、お酒を振りかけます。お酒は生臭さを取る以外に、うま味を追加する役割もありますが、お子さまやアルコールが苦手な方は水でもOKです。

ふんわりとラップをかけて、電子レンジ600Wで2~3分(1切れの場合は2分)加熱します。2分くらいで、「パン!」とはじける音がする場合がありますが、これは皮の下の圧力変化と水分によるもの(気になる場合は、あらかじめ皮に包丁で切れ目を2~3本入れておくとよいでしょう)。その場合は電子レンジを1回止めて、ラップが破れていないか確認をしてから再度30秒ほど加熱してください。

加熱が終わったら、取り出してラップを外します。ラップを外すときは必ず奥から。

手前から外すと蒸気で手をやけどすることがあるため、ご注意ください。

まだ身に生っぽい部分が残っているようなら、30秒ずつ追加で加熱してください。

まず、お箸でべろーんと皮を取り除いてください。

皮は塩を振ってグリルでパリパリに焼いておつまみにしても。

骨はしっかり取り除いてください。もし骨なしの塩鮭の切り身がスーパーに置いてあったら、そちらを購入するとこの作業がなくて楽チンです。

はい、あっという間に完成です!

甘口の塩鮭を使うと塩加減もほどよく、味付けいらず。もう少ししょっぱい方がいいという場合は、塩を足すか、中辛や大辛の塩鮭で作っても。

しっとりとしたできあがりは、あの某高級鮭フレークと遜色ありません。

清潔な瓶に詰めて、保存期間は2日ほど。あまり日持ちしませんので、すぐに食べきることのできる量で作るか、余ったらぜひ冷凍してください(冷凍用保存袋で冷凍し、食べるときは必要な分だけ取り出したら、自然解凍でそのまま食べられます)。

そして、この鮭フレークは、いろいろなアレンジも楽しむことができます!

アレンジ① レモン追加で爽やか鮭フレーク

鮭フレーク大さじ2(30g)にレモン汁小さじ1~2とレモンの皮をすりおろして。爽やかな酸味がたまりません。レモンの皮を使う場合は無農薬のものを使ってください。

鮭フレークのコクにレモンの爽やかさが加わることで、全体のジューシーさが際立ち、ごはんがどんどん進みます。

アレンジ② 明太子追加でうま味マシマシ!

鮭フレーク大さじ2、明太子1/3本分(15g)くらいを混ぜるだけ。混ぜる分量や割合は、お好みで変えてもOKです。

鮭と明太子の組み合わせはコクとうま味に、プチプチした食感も手伝って、もう説明不要のおいしさです! 明太子をたらこに変更してもイケますよ(明太子はスケトウダラの卵巣を塩蔵し唐辛子などを使った調味液で味付けしたもので、たらこはスケトウダラの卵巣を塩蔵したものになります)。

アレンジ③ 甘じょっぱだれ追加で茶色い鮭フレーク

耐熱容器に鮭フレーク大さじ2、醤油、砂糖(ここではキビ砂糖を使っていますがお好みのものでOK)各小さじ2を入れて混ぜ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ600Wで1分加熱。みんな大好き甘じょっぱフレークのできあがり!

最初の2つのアレンジとは、見た目も味わいもがらりと変わります! 鮭と醤油の塩っ気が甘みの中の隠し味となり、ごはんにのせるのもいいですが、おむすびにとてもよく合います。 

アレンジ④ カリカリパン粉追加で鮭フライに華麗なる変身

こちらは「食べたら○○シリーズ」です。パン粉大さじ1、刻んだパセリ(ドライパセリでもOK)小さじ1/2、オリーブオイル小さじ1を耐熱容器に入れてひと混ぜし、ラップをかけずに電子レンジ600Wで1分加熱します。

あっという間にカリカリパン粉のできあがり。パスタやサラダのトッピングとしても合うため、たくさん作って保存しておくと重宝しますよ。

驚くことなかれ、お好みの量の鮭フレークにかけていただくと、なんと、食べたら「鮭フライ」! 油がしみたパン粉のカリカリとした食感が衣そのもの。鮭フレークと一緒に食べると、たまりません。

アレンジ⑤ ネギ味噌バターで北海道名物のアレに……

耐熱容器に鮭フレーク大さじ2、味噌大さじ1/2、バター5g、長ネギ薄切り大さじ1を入れ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ600Wで1分加熱。熱々のうちにごはんにのせて、お好みで追いバターをどうぞ。

そう、あの北海道名物の「ちゃんちゃん焼き」に大変身です! 鮭フレーク単体でもおいしいのに、ネギの甘みとバターの濃厚なうま味が加わって、一口ごとに幸せに包まれます。

 

この鮭フレーク、アレンジは自由自在です。

ごはんだけでなく、パスタやサンドイッチ、卵焼き、茶碗蒸し、炒め物など、使い方はあなた次第。ぜひ作ってみてください!

マグロの血合いをハーブとナンプラーで和えたらいい酒のつまみに「マグロ血合いのハーブ和え」【ツジメシの週末メシ】

こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。「ツジメシの日常メシと週末メシ」シリーズ、今回は週末メシ。

みなさんは鮮魚コーナーの片隅にひっそり置いてある赤黒い塊、マグロの血合いって使ったことありますか?一般的にはしぐれ煮や竜田揚げにする人が多いようですね。

僕が月に1度間借り営業していた「くせものやツジメシ 」は癖のある食材を美味しく食べるという趣旨の料理をお出ししていたのですが、マグロの血合いは定番食材でした。
今日は、ちょっと変わった、とても美味しい血合いの食べ方をご紹介します。休日のお酒のお供にいかがでしょう。

 

調味料は2つだけ! 癖×癖=うまい!

タイ東北部やラオスに「ラープ」という料理があります。加熱した挽肉などを魚醤とライム果汁で味付けし、ミントなどのハーブ類をたっぷり合わせるサラダなのですが、これをマグロの血合いで作っても美味しいです。

今回はエスニックなハーブの代わりに、スーパーで手に入りやすい春菊やミョウガなどのいわば「和のハーブ」を使います。血合いの魚臭さと葉っぱ類の青臭さの組み合わせが抜群ですよ。

味付けはナンプラーとレモン汁だけ。血合いの個性をブーストするナンプラーの魚の旨味と塩気、さっぱり食べやすくするレモンの酸味。これだけでばっちり整います。

作り方はとってもシンプル。

 

ツジメシの「マグロ血合いのハーブ和え」

材料(作りやすい量:おかずなら2人分、おつまみなら3-4人分)

  • マグロ血合い 200g
  • サラダ油 小さじ1-2
  • ナンプラー 小さじ2
  • レモン汁 小さじ2
  • 春菊 1-2本
  • 青ネギ 2-3本
  • ミョウガ 1個
  • 大葉 5枚
  • カイワレ  適量
  • フライドオニオン 適量

 

作り方

今回の血合いは半分赤身、半分黒い血合い部分という感じ。全体に黒っぽいものでもかまいませんが、鮮やかな色のものが鮮度がよいと思われます。この時点で嫌な臭いを感じなければそのまま、もし気になるようなら水に10分ほどさらしてから使います。(それでもまだ臭ければ水を替えてさらに10分さらす)

一番間違いがないのは「ちょっといいマグロの刺身をたくさん売っている店で買う」です。マグロ自体の質がよく、回転も早い店なら新鮮な血合いに出会える確率も高いです。

今回はそんなスーパーで買って1日冷蔵庫に入れておいた血合いをそのまま使いましたが、問題なく美味しくできました。

 

キッチンペーパーで水気を拭き取ったら、骨や太いスジがあれば取り除き、1cm角程度に切ります。

 

フライパンを中火で熱して油を引き、切った血合いを炒めます。

 

ある程度火が通ったらナンプラーを加えてさらに炒め、全体に色が変わったら火を止め、レモン汁を加えてひと混ぜします。

ナンプラーの香りが苦手な方は早めに入れて加熱すると出来上がりではナンプラー臭さはほとんど飛びます。逆にお好きな方は最後に加えてナンプラーの癖も楽しみましょう。

 

ボウルに移し粗熱を取っておきます。
血合いを多めに買った場合は、ここまでやって余りは冷凍しておくと、炒飯やパスタなどに使えますよ。

 

春菊は茎は5mm幅、葉は1cm幅に、青ネギ、カイワレも1cm、
ミョウガは縦半分に切ってから5mm幅、大葉も縦半分にしてから5mm幅に切ります。

種類はお好み、あるものでいいですが、春菊、ミョウガ、青ネギは必須でお願いします。血合い200gに対して葉っぱ類合計で約70gくらいです。

 

血合いのボウルに野菜類を加えてざっくり混ぜます。

 

器に盛ったら、はい出来上がり。
フライドオニオンを散らすと食感のアクセントと香ばしさが加わってさらに美味しいのでおすすめです。(上の写真はフライドオニオン散らす前に撮ってしまいました……)

まさに癖×癖、血合いの魚臭さに生の春菊や青ネギの青臭さがたまりません。レモン汁の酸味もバランスよく、食感も賑やかで、ビールやサワー類、日本酒やワインも進むこと請け合いです。

お手頃価格なわりに華やかな見た目で、おもてなしにも向いている料理だと思います。良さそうな血合いを見かけたら、ぜひ試してみてください。

 

そしてこれ、ご飯のおかずにもなるのです。こんな葉っぱだらけのサラダみたいなもので飯が食えるか!と思いきや、これがなかなかいけます。写真のようにご飯と一緒に盛り付けたり、丼にするのもアリですよ。

 

ちなみにかの地の「ラープ」にも魚を使うものがあるそうです。紫玉ねぎ、ミント、ディル、パクチー(本来はちょっと違う種類を使うのが本式だそう) 、青ネギなどを使った現地っぽいバージョンがこちら。食感のアクセントに砕いた炒り米を混ぜ、蒸した餅米と合わせるのがお約束とか。こちらもまた独特のハーブの香りが食欲をそそります。

 

マンボウはどんな味がするのか?クリティカル・フード・アタック ~極めて大胆不敵な食事~ Vol.2「マンボウ・アタック」

私の舌は、もう何年も「保守」に陥っている。
気付けば毎日、繰り返すように同じような肉、同じような魚、同じような野菜を摂取し続けている。目新しい調理法に挑戦することもなく、革新的な味覚によって脳を刺激することもなく、つまらなそうに箸をたぐる日々を重ねている。

こんなことではいけない。はたと気付き、私は「未食を巡る冒険」におそるおそる足を踏み出すことにした。個人的にこれまで口にしたことのないフードへと手を伸ばし、「保守」に染まった自分の舌にアタックをかける旅である。

ところがその挑戦を初めてすぐの春先、「まん延防止」なるワードが世にはびこり始めた。
通称「まん防」は外食のタイミングを失わせ、私はすぐさま窮地へと追い込まれた。
「食べたことのないものを食べる」ためには、「訪れたことのない飲食店を訪れる」のが何よりも手っ取り早い。ミャンマー料理やジビエ料理、それから抹茶小倉スパにキジ鍋に分子ガストロノミーなど。外食とは未食の宝庫である。しかし、現状はその外食がちょっと厳しい感じになってしまったのだ。

こうなれば自宅で何か未経験の食材を取り寄せ、それを自分で調理することになるわけだが、一体何をセレクトすればいいのか。食事に対するリベラル性が衰えてしまっている身としては、ゼロから自炊アイデアをひねり出すことがまず困難なのである。ああ、恨めしきは「まん防」なり。

まん防、まん防、まんぼう、マンぼう、マンボウ……。
マンボウ……?
そういえば、私はマンボウをまだ食べたことがない。魚類の、あのマンボウである。

ふと、幼き日の記憶をよみがえらせる。東北への出張から帰ってきた父が、当時小学生だった私にこんな土産話をこぼしたことがある。

仙台が地元の同僚の実家に招かれて、マンボウの肉というのを初めて食べてきた。見た目はホタテだったんだけど、味はまさしく『マンボウ』としか形容のできないものだったよ」と。

そうだ、マンボウは地域によっては普通にスーパーなどで売られているとも、その時に聞いた。「同僚の実家で食べた」ということは、自宅でも調理可能な食材なのだろう。

 

 

マンボウというのは不思議な魚だ。水族館で見かけるたび、その水槽の前でついずっと立ち止まってしまう、一種異様な形状の魅力に満ちた生き物である。まるで半身でカットされたかのように、尾ビレがなく、体の後ろ半分がスッと丸みを帯びている。舵ビレというそうだ。

泳ぎ方も独特で、全身をゆっくりと震わせるようにして前へと進む。水族館の水槽で見るかぎり、かなりスローモーな泳ぎで、たまに横になったり斜めになったりしながら前へと進んでいる。

 

 

▲マンボウとはよく目が合う、気がする

 

妙に愛らしい、つぶらな瞳も独特だ。見れば見るほど、惹き込まれてしまう表情をしている。生態やエピソードも変わっていて、有名なところでは「3億個もの卵を産み、その中で大人に成長するのは1匹から2匹」なんてものがあるけれども、本当に3億もの卵を一度に産んでいるのかどうかはまだ誰も確かめたことがないという。マンボウにまつわるよもやま話は、あらゆる面からファクトチェックが必要だと聞いたこともある。

そんなマンボウの、肉の味のファクトチェックを自分の舌でやってみたい。
果たして「マンボウとしか形容のできない味」とは、一体いかなるものなのか。小学生の頃からうっすらと頭に漂わせていた疑問を、いまこのまん防のタイミングで昇華するべきなのではないか。

気付けば、めちゃくちゃマンボウを食べたくなっている自分がいた。
すぐにインターネットを開き、「マンボウ 取り寄せ」で検索した。すると数店舗だけだったが、マンボウの肉をネット販売で取り扱っている鮮魚店が見つかった。その中から高知県のお店を選び、注文しようとする。するとこんなただし書きが画面にあらわれた。

 

「マンボウは入荷が不安定なため、発送時期が1カ月ほどかかる場合がございます」

 

おお、そうなのか。マンボウは動きが読めない存在なのだな。待とう、マンボウが自宅に届くのなら、いくらでも待とうではないか。動きがゆっくりとしているマンボウなのだから、到着もゆっくりで問題ない。覚悟を決めて、注文クリックを押す。

そうしたら2日後にはマンボウが届いた。早い。体感としては、ほとんど光速だ。
マンボウ、本当に動きが読めないではないか。

 

 

およそ1kgもの白き肉塊である。背中周りの白身、そして腸がごっそりとわが家のテーブルに広がる。

 

▲おそらく背びれ付近の肉

 

肉薄すれば、まるで脳みそのように皺(しわ)が折り重なっている。繊維質が詰まっているということだろうか。こんな謎の質感の魚肉、見たことがない。

そして、やけに水っぽい。指の腹でなでるとプニプニとしていて、まるでスライムのごとき触感である。父が「見た目はホタテのようだった」と語っていたのもうなずける。まな板の上に、水分がしたたり落ちていく。ここまで水っぽい魚肉も、出合ったことがない。

 

 

なによりも驚いたのは、腸である。マンボウの腸、でかい。魚の腸って、こんなに大きかったっけ……? というよりも、魚の腸を単体で味わったことがそもそもこれまでにない気がする。あ、でも「マグロのモツ煮」というのはどこかの居酒屋のメニューで見かけたことはあるな。なるほど、体の大きな魚であれば、腸は可食に足りるということなのだろう。それにしても、マンボウの腸は、ほとんど牛の腸である。

これを一体、どのようにして調理すれば正解なのか。マンボウは何で食べるのが最もおいしいのか。まったく見当が付かなかったので、とりあえず「マンボウ レシピ」でネット検索すると、どうやら刺身でいけるっぽい。ただ、予測検索に「マンボウ レシピ 寄生虫」という穏やかでないワードが挙がっていたので、白身は熱を通した湯霜(ゆしも)造りにすることにした。

 

 

薄く切り分けたマンボウの白身をサッと熱湯で湯通しして、氷水でしめる。味付けはポン酢。小ねぎを散らせば、なんだか「イケてる」見た目の湯霜造りの完成だ。

 

▲マンボウの湯霜造り

 

それから「見た目がホタテに似ているのだから、貝料理的なアレンジも合うのでは」という右脳だけのアイデアで、アヒージョ風の煮込み調理にも挑戦してみる。

 

 

オリーブオイルに塩、コショウ、そして刻んだニンニクや鷹の爪を加えて、火にかける。香りがオイルに十分に移ったら、マンボウの白身をごろりと投入し、中火でゆっくりと煮ていく。胃袋の鳴るスパニッシュな匂いが台所に漂う。

 

 

腸はやはり「モツ煮」がいいだろう。
しょうゆ・酒・みりんをフライパンに入れ、強火で一度沸騰させる。そこに白身と一口大に切り分けた腸を並べて、弱火で15分ほどグツグツと煮込んでいく。

 

 

こうして、非日常的な「マンボウ定食」が自宅のテーブルに鎮座した。

 

とりあえず湯霜造りに箸を伸ばす。視覚的な印象はおいしそうだが、さて。
口に運ぶと、まず訪れたのは弾力感である。体育館の上でバッシュが足音を鳴らしているような「キュッキュッ」とした歯ごたえが口内に響く。そして同時に、マンボウの味が開示される。
この弾力、この味、何かに似ている……、これは……、イカだ!

そう、マンボウの白身の味は、イカと実に酷似しているのである。「魚なのに味はイカ」とは、なんとつかみどころのない存在なんだ、マンボウ。

しかし、何度か噛むと、トーンが変わる。急に歯ごたえが消滅し、「ホロホロッ……」といった具合に身が崩れるのである。繊維が突然にほどけたような不可思議な食感である。すると突然にイカっぽさが薄くなり、本当に「マンボウの味」としか形容のできない独特なテイストが奥から淡く顔をのぞかせる。マジで動きが読めない。

 

 

アヒージョはどうだろうか。こちらもやはり最初はイカの食感である。オリーブやニンニクの風味をマンボウの水気がはじいているのか、湯霜造りの味の印象とほとんど変わらない。けっこうグツグツと煮込んだのに、味が染みていないのである。噛んでいくうち、やっぱり「マンボウの味」とおぼしき未知が口の中に水気と共にじんわりと広がっていく。
「おいしいのか、おいしくないのか」と問われるならば、もちろんおいしい。ただ、おぼろげなおいしさというか、本当につかみどころのない質感の味わいなのである。

 

 

では、腸はどうなのか。モツ煮を食べてみる。
もぎゅ、もぎゅ、もぎゅ……

こちらはさらに弾力が強く、牛や豚のホルモンを噛んでいる感じに近い。しかし、味は想像以上に淡泊というか、動物性の脂っぽさがまったくなく、「しょうゆ味のガム」といった感じである。しばらくして、イカに似た味が一瞬だけ立ち上り、そして消えていく。

その後に現れるのはやはり「マンボウの腸の味」としか言いようのない、静かで不可思議な旋律。音楽で例えるならアンビエントミュージック(※)といったところか。

 

※編集部注:アンビエントミュージック:「環境音楽」と訳される現代音楽のいちジャンル。「意識されない」という目的で作られており、落ち着いた雰囲気を持つ音楽が多い。

 

すべてを胃袋に収め、ぼんやりと天井を見上げながら、こんなことを思う。

「……いま、自分は本当にマンボウを食べたのか?」

なんだかキツネにつままれたような気分である。おいしかった気がするが、味の残滓がすでに記憶から消え去っている。突然に目の前に現れたマンボウが、ゆっくりと私の舌の上を旋回したかと思うと、スッと大海原の彼方に行方をくらましたような。マンボウ失踪事件である。
動きが読めない、つかみどころがない、ファクトチェックのしようがない、これがマンボウの味だというのか。

いや、違う。私はマンボウに詳しくない、ズブの素人だ。勘だけで湯霜造りやアヒージョやモツ煮にしてはいけなかったのだ。ちゃんとマンボウの識者にあれこれを尋ねれば、きっとマンボウの味の真核をつかむことができるはずだ。

私はすぐにネットを開き、マンボウの肉を再注文した。世にもまれなる「追いマンボウ」である。
そして、知人に連絡を取った。水族館の広報部署に勤めている知人だ。

「マンボウに詳しい飼育員の方を紹介してもらえないだろうか。話が聞きたい」

もはや取材の申し込みというより、捜索協力依頼みたいな口ぶりになっていた。やはり、これは失踪事件なのである。

 

 

数日後、私は東京池袋のサンシャイン水族館にいた。

 

 

館内に足を進めると、マンボウに出合える。大きな水槽の中で巨体を揺らしながら、ゆったりと漂っている姿は、やはり魅力的だ。皮膚の光沢がまぶしく、まるで鏡のよう。半開きの口が、ユーモラスな印象をたたえている。見れば見るほど、奇妙な魚である。

 

※展示入れ替えのため、2022年8月現在はタチウオを展示中

 

 

ちなみにサンシャイン水族館では現在、特別展「美味しくてすごい生き物展」(2022年11月6日に終了予定)を開催中であった。「食べる」という行為を通じての人間と生き物たちとの関わり合いをテーマに、オオグソクムシやナマズなどといった水生生物を中心に展示しつつ、飼育員さんたちがそれらを味わった際の食レポを添えるという、なかなかに意欲的な特別展である。そして私がいま未食を求めてやっていることと、そんなに変わりがない。サンシャイン水族館とは気が合いそうである。

 

 

通されたのは、サンシャイン水族館のオフィスの一室。そこで私からのヒアリングを受けてくださったのは、マンボウの飼育をかつてトータルで3年ほど担当したことのあるスタッフの鴨下(かもした)さんだ。「イルカのお姉さん」になりたくてこの業界の門をたたいたが、気付けば魚類の魅力に開眼、現在は自宅でもナマズを飼育中という、パブリックでもプライベートでもフィッシュにまみれた心強い識者である。

 

▲サンシャイン水族館飼育スタッフ 鴨下さん

 

あいさつもそこそこに、「鴨下さんはマンボウって食べたことありますか?」といきなり核心に触れる質問を投げかける。

「ないですね~」

しかし鴨下さんは過去にマンボウの解剖を体験したことがあり、その独特な肉質の感じはよく覚えているという。

「かなり繊維が多いですよね。食べてみてどうでした?」

逆質問され、マンボウの肉は水気を多く含んでいたこと、弾力性があるかと思えばすぐにそれが消えること、イカの味に似ている瞬間があったこと、そしてなによりも「他の魚では食べたことのない曖昧なおいしさ」であったことを伝える。

「なるほど……。マンボウって尾ビレがなく、だから一般的な魚と違って腹ビレと尻ビレを支える筋肉が発達していて、それを使って泳いでいるんですよね。水族館で見ているとゆっくり泳いでいる印象ですけど、実は速く泳ごうと思えば泳げる魚なんです。だから背中の辺りの肉は筋が多くて繊維状になっていますね。その他の部分はコラーゲンみたいにプニプニしていたはずです」

 

 

そうか、あの弾力感や繊維感の正体は筋肉であった可能性が高い。
ゆったりと泳ぐ印象のマンボウにそんなインナーマッスルが潜んでいたとは思わなかった。「筋肉=真っ赤」という先入観もあったため、白身に惑わされてしまっていたところもある。

「簡単にいえば、泳ぐ時に必要とする酸素量で赤身か白身かが決まるんですよね。マグロなんかは速く長く泳ぐから酸素を多く取り入れなきゃいけなくて、だから赤身になるわけです。逆にマンボウは基本的にはゆっくり泳いでいて、瞬発力はあるけど休んだりもする。だから白身なんですね」

 

▲特別展「美味しくてすごい生き物展」でも白身と赤身の説明が

 

マンボウの瞬発力というのは、案外にすごいらしい。特にエサを見つけた際のスピード感は目を見張るものがあるという。
「あと吸引力もすごいです。野生ではイカやクラゲなどを捕食しているのですが、口からぐわっと吸い込みます。水族館でエサを与える際は、飼育員は手を持っていかれないように気を付けていますね」

 

 

あの半開きの口元に、そんなパワーが潜んでいたなんて驚きだ。そして、そうか、イカを食べているのか。マンボウの肉がイカの味に似ていたのは、もしかしたら食性が関係しているのだろうか……? 

「うーん、それはなんとも答えられないですが……。水っぽい食感であったのは、実際にマンボウが多量の水分を必要としているからですね。あの巨体を維持するためには、やはり水分をためておかなきゃいけないのかな。海水とかエサから十分な水分が確保できないと、体がしわしわになっちゃったりするんですよ。ペラッ、としちゃうというか。そんな魚、他に見たことがないです」

やはり飼育員さんから見てもマンボウは奇特な魚であるし、水分量の多い魚でもあるらしい。
ん? ということは、水分を十分に抜いてから食べれば、「本当のマンボウの味」に迫れるということなのではないか……?
ここでひらめいた。干物だ。マンボウの干物を作って食べることが、このフードアタックの正解な気がする。

「うん、干物を試してみるのは面白いかもしれません。あ、腸はモツ煮にして食べたんでしたっけ? マンボウの腸って、大きいですよね」

鴨下さんが以前にマンボウの解剖をした時も、その腸の大きさ長さに「牛じゃん」と感想をよぎらせたそうである。

「内臓関係でいうと、マンボウってデリケートな魚なので、何かストレスを感じるとすぐに胃腸が荒れてしまうんですよ。飼育下ではけっこう慎重に健康管理をしてやらなければならない魚です。当館含め、水族館によっては人間と同じ胃腸薬を与えるところもあるらしいです」

聞けば聞くほど、マンボウとは未知性が高い魚であることがわかる。

「まだまだマンボウの生態は明らかになっていないことが多くて、『3億個の卵』の真偽もそうですし、他の魚と比べても都市伝説化しているエピソードがありますね」

例えばマンボウは水面で横になってプカプカと浮かぶことがある。「あれは皮膚の表面に付着している寄生虫を殺すために日光浴をしているのだ」という説が広がっており、英語でもマンボウは「サンフィッシュ」と呼ばれていたりもするのだが、実際にその行動が日光浴であるのかどうかはいまだに不明である。

「まあ、見た目が特異的な魚なので、エピソードにヒレが付いてしまうこともあるんでしょうね。フグの仲間の中でも、やっぱり変わっている存在ではあるので……」
 ……ん? ……フグ?

「ええ、そうですよ。マンボウは、フグです

そうだった、そういえば子どもの頃に図鑑で知って驚いたことがあったけれど、すっかりそれを忘れていた。マンボウは「フグ目マンボウ科マンボウ属」に分類される魚であったのだ。

「フグの仲間は、腹ビレを使って泳ぐのが特徴ですね」

そういえば、確かにマンボウはフグっぽい顔をしている。

 

 

フグは、おいしい。「ふぐちり」も「ふぐ刺し」も、私がここで述べるまでもなく、絶品と名高いフードである。

そうか。ということは、マンボウに対してフグ的な調理アプローチで臨めば、答えは導かれるのかもしれない。

鴨下さんにお礼を告げ、私は自宅へと舞い戻った。ちょうどのタイミングで、マンボウの肉が再び到着していた。

 

 

相変わらず、「肉塊」と呼ぶにふさわしい迫力である。

 

 

以前にフグ料理屋を訪れた際、私が最もおいしいと感じた調理法、それは天ぷらだった。
ということは、フグ目のマンボウも天ぷらにすれば、よりおいしくいただくことができるのでは……。
そんな推察から、マンボウの肉に衣ダネをまとわせ、油の中に投入していく。じゅわわわわー。小さな気泡を無数に浮かばせ、マンボウがカラっと揚がっていく。

 

 

 

そういえばフグはから揚げでもおいしい。なのでマンボウのから揚げも作ってみた。

 

 

そういえば、「どんな食材でも油で揚げれば、大体はおいしくなる」と以前に調理師をしている友人から聞いたことがある。衣と熱によって食材のうま味が凝縮されるからだ。しかしもちろん例外はあって、その食材に元々うま味や風味などが乏しい場合には、油で揚げても衣の味に負けてしまうと、その友人は唱えていた。

マンボウを湯霜造りなどで食べた際には、どこかうま味が「逃げて」しまっているような印象があった。お湯を通したり煮込んだりすると、マンボウが本来持っているはずの味が抜けてしまうのではないか。だから、油で味をzip圧縮保存することが最適解なのではないか。そんな仮説と期待も携えての調理である。

完成したマンボウの揚げ物たちを、さっそく口に運んでみる。
サクッとした衣の奥から、白身の歯ごたえが現れる。
この弾力、この味、何かに似ている……、これは……、イカだ!
そう、やっぱりイカなのである。
ただ、湯霜造りやアヒージョで食べた時よりも、「イカ感」が数倍強い。つまり、味が濃厚なのである。マンボウの真核としての味がギュッと詰まっている感じがある。やはりマンボウにフードアタックをかけるには、フグ方面から攻めるのがよい、ということなのかもしれない。

端的にいえば、かなりおいしかった。これは勝利宣言を叫んでもよいのではないか。
腸も揚げてみたのだが、こちらは「さっぱりとした牛カツ」のごとき味わいで、それはそれでなかなかに美味であった。駄菓子で魚肉のすり身に衣をまぶした「ソースカツ」的な品があるが、あれのグレードをグッと上げたような風味である。実際、ソースがよく合った。白飯のおかずというよりも、ゆっくりとお酒を飲みたい時のおつまみにちょうどいい感じがする。

 

 

しかし、それだけでは飽き足らず、マンボウの干物作りにも挑戦することにした。
塩水に15分ほど浸したマンボウの白身、それをザルに並べ、ベランダの日陰で扇風機に当て続ける。
弱風モードで臨んだわけだが、隣人にバレたらなんと説明しようか、ドキドキしながらの干物作りである。「あの人は夜な夜な、ベランダでマンボウを蒸発させているらしい」とか近所でプチ怪人扱いされたらたまったものではない。
普通の魚の干物であれば一昼夜もすれば完成するのだが、なにせ水分量が半端ないマンボウ肉である。干物レベルに乾燥するまで、およそ3日間を要した

 

 

おお、干物にすると、一気にマンボウ肉の印象が変わる。
グリルに投入し、中火でじっくりと焼いていく。

 

 

 

ふっくらとした感じで焼きあがったマンボウ干物。これはかなりいい感じなのではないか。
期待に胸を膨らませながら、その味を確かめてみる。

お、おお。こ、これは。

見た目は柔らかそうであったのに、噛んでみると弾力感がえぐい。天ぷらなどの時とは桁違いに歯をはじく。少し大げさにいえば、ゴムを噛んでいるみたいだ。
しかし、噛んでいくうちに、しっかりとした味が口の中へと広がっていく。

この風味、これは……、そうだ……、あれだ……、マンボウだ!

そう、干物によってマンボウの味のコア部分に肉薄した時、そこに現れるのは「マンボウの味としか形容できない」という例のアレだったのである。
そのありさまをなんとか別の例えで形容するのであれば、タラとホタテと鶏もも肉をミックスしたような、寄せ鍋的なうま味といったところか。それは、いままで食べてきた、どの魚の干物とも違う一種異様な風味であった。

 

ジャーキーと化したマンボウを噛みながら、その比類なき味をしっかりと舌に刻む。

ようやくこの味を捕獲できた思いだ。これにてマンボウ失踪事件は、とりあえず一件落着を迎えた。
マンボウは、どこまでも未知な生き物で、そしてどこまでも不思議な食材であったのである。

 

 

私の未食を巡る冒険は、これからも続く。
気づけばまん防は明け、春は遠くに過ぎ、真夏になっていた。 

 

                                   (了)

 

3分煮るだけでこってりウマい「かんたんいか飯」を老舗魚屋店主が作ってみた【魚屋三代目】

こんにちは! 鮮魚魚武の三代目、料理家の魚屋三代目です。

今回は、駅弁なんかでおなじみのいか飯を作りやすくアレンジした「かんたんいか飯」。いかの胴体に水に浸したもち米を詰め、口を爪楊枝で止めたら、そこから出汁や調味料を加えてじっくり煮て……なんて手間いらず。もち米も圧力鍋も不要の、3分煮るだけのメチャ簡単なレシピでご紹介します。

いかから出る水分と最低限の調味料、そして落とし蓋(アルミホイルでOKです)と鍋の蓋をダブルで使うことで、短い時間でもこってり美味しく仕上がりますよ。

今回使うのは、するめいか。ひと口にいかといっても、やりいかや赤いか(剣先いか)などいろいろ種類がありますが、ここでは1年を通じて手に入れやすく、他のいかに比べるとお値段的にも買いやすいするめいかで作ります。

とはいえ近年、するめいかは漁獲量が激減し、以前と比べるとめっちゃ高くなっています。するめいかを使う市販のいか飯も値上げに……。

少しでも安く食べるには、やっぱり自作! ということで、こちらのレシピをぜひお試しください。

 

魚屋三代目の「かんたんいか飯」

【材料】2人前

  • するめいか 2杯
  • 温かいご飯 軽く2膳分

(A)

  • しょうゆ 大さじ4
  • さとう 大さじ3
  • みりん、日本酒 各大さじ1

 

作り方

1. まずは、するめいかの下処理から。いかの胴体をしっかり持って、内臓(ワタ)や目、くちばし、足(ゲソ)をゆっくりと引き抜き、さらに透明な軟骨(薄く透明でペラペラしたもの)も引き抜きます。

スーパーや鮮魚店でお店の人に聞いて鮮度がいいものを買い、頼めれば、いか飯に使うことを伝えて胴体と足に捌いてもらうのもおすすめです。

 

抜いた足は、内臓と目をまとめて切り落とし、かたい口ばしや足の吸盤は流水で洗い流しながら、指で滑らせるようにこそげ落とします。胴体は内側もよく水洗いします。

 

2. 鍋に(A)を入れて、

 

中火でひと煮立ちさせます。

 

3. 2にいかの胴体、足を加え、

 

落とし蓋(今回は鍋よりひと回り小さく切ったアルミホイルを使用)をかぶせ、

 

さらに鍋の蓋をして、中火で3分煮て火を止めます。

落とし蓋に加えて鍋の蓋もすることで鍋の中で熱がまわり、落とし蓋の下の対流もよくなるので、より効率よく加熱できます。蒸気が逃げないので、煮汁が焦げるのも防げます。

 

いい色に煮えました。このまま冷ましておきます。

 

4. いかの粗熱が取れたら、まずは鍋から足を取り出して包丁で2cmくらいに切り、ボウルでご飯と混ぜ合わせます。

ご飯は温かい方が足と混ぜやすいです。

 

5. 大きめに広げたラップの上にいかの胴体を置き、

 

スプーンなどで4のご飯を半量詰めます。

 

ご飯は奥に強く押し込むようにして詰め込むのがポイント。ご飯をギュッと潰すように詰め込めば、もち米のようなもちもち食感になりますよ。

 

6. ご飯を詰めたいかをラップでしっかり包みます。

 

もう1つの胴体も同じようにしてラップで包み、味をなじませます。

 

7. 味をなじませている間に、いかを取り出した鍋を中火にかけ、残った煮汁が半分ほどになるまで煮詰めます。

 

8. 6をラップごと食べやすい大きさに切り、

 

ラップを外して器に盛り付けます。煮詰めた煮汁をかけて完成。

 

こってり味で箸がすすむ!

かんたんいか飯、15分もかからずに完成しました! 煮るのはごく短い時間なので、いかはかたくならずに食べやすいです。さとうじょうゆのこってり味で箸がすすみますよ。お酒を飲みながらつまむのにもいい感じです。足は噛みごたえ、そしてうま味もあるので、ご飯に混ぜ込んで中に詰めるこのレシピは本当におすすめ!

そのご飯には、刻んだ大葉や白いりごまなどを混ぜると風味が増します。また、煮汁も一緒に混ぜるとさらに味が濃くなるので、しっかり味がお好きな方にはそちらもおすすめですよ。

水は加えず、いかから出る水分と調味料で煮ればいいので、煮汁が薄くなる心配もありません。いかの下処理さえ済めば、あとは手間いらずのかんたんいか飯。一度作ってみてください。

 

ハワイ風のガーリックシュリンプを自宅で作るコツは殻ごと炒めること【美窪たえ】

こんにちは! 料理家の美窪たえです。

本日は、ハワイの名物料理「ガーリックシュリンプ」をご紹介していきます。

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この料理の特徴は、豪快に殻ごと焼き上げたエビのプリッとした食感を存分に味わえること。そして、バターのコクとにんにくのうま味、エビの香ばしさが凝縮された特製ガーリックバターソースにあります。

さらに、途中でレモンを搾ることで全体がキリッとまとまり、さっぱりとした後味で楽しむこともできます。ビールやご飯との相性も抜群ですよ!

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今回はエビのうま味を存分に楽しむために、あえて殻付きのエビを使用します。「殻付きエビは下処理が難しそう……」という方もいらっしゃると思いますので、エビの下処理は丁寧に解説していきます。

ということで、おかずにもおつまみにもぴったりなガーリックシュリンプの作り方をご紹介していきます!

材料(2〜3人前)

  • ブラックタイガー(殻付き)……400g(16〜20尾)
  • 玉ねぎ(みじん切り)……100g
  • レモン汁……20ml
  • オリーブオイル……15ml
  • 塩……2g

ガーリックバターソース

  • オリーブオイル(ガーリックバターソース用)……15ml
  • にんにく(みじん切り)……20g
  • 醤油……10ml
  • バター……15g
  • 水……30ml
  • こしょう……適量
  • パセリ(みじん切り)……10g

盛り付け用

  • レモン(くし切り)……1/8個
  • パセリ……適量

ガーリックシュリンプの作り方「エビの選び方編」

まず調理工程をご紹介する前に、ガーリックシュリンプを作る上で使用してほしいエビの選び方からお話していきます。

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今回のレシピではブラックタイガーというエビを使用します。特徴はうま味が強く、加熱した時の赤みが鮮やかなこと。ブラックタイガーはガーリックシュリンプを始め、エビフライやエビチリなどの料理がおすすめです。

ガーリックシュリンプに向いている他の種類のエビとしては、バナメイエビもおすすめで、しっとり柔らかく甘みがあることが特徴です。

バナメイエビには、フリッターや炒めものなど、手頃なサイズ感と程よく柔らかい食感を活かした料理がおすすめですよ。

また、エビの下処理が面倒という方は、殻をむき、背わたまで取り除いた下処理済みの冷凍エビで代用することもできます。原材料欄を確認して、ブラックタイガーやバナメイエビの冷凍エビを選ぶようにしてくださいね。

エビは殻ごと加熱する方が、甲殻類特有のうま味と香りを引き出すことができるので断然おすすめではありますが、「殻付きはどうしても面倒で簡単に調理したい……」という方は、冷凍エビを選んでみてください。

前置きが長くなりましたが、早速ガーリックシュリンプの調理に移っていきます。

ガーリックシュリンプの作り方「エビの下処理編」

1.メインとなるエビの下処理から始めていきます。背中側から包丁の先で、身の1/4を目安に切り込みを入れていきます。殻の部分に包丁を入れる際は、滑りやすいので手元に気を付けてくださいね。

エビの背中には背わた(エビの腸管)と呼ばれる筋のようなものが入っています。これを処理しないと、ジャリッとした食感や嫌なにおいを感じることがありますので、必ず取り除きましょう。

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2.切り込みを入れたエビから、背わたを取り除いていきます。

尻尾の付け根あたりまで真っすぐに入っている糸状のものが背わたです。包丁の先端で背わたを引っ張り出して切り取りましょう。

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殻の隙間から楊枝を差し込み、背わたを引っ張り出して取ることもできます。やりやすい方法で背わたを取り除いてみてください。

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3.背わたを取り除いたエビはボウルなどに入れて、身に残った背わたやぬめりを洗い、水気を切っておきましょう。特に尾の部分に汚れが残りやすいのでよく洗いましょう。

エビは鮮度が落ちると嫌なにおいが出てきますので、新鮮なエビを使い、においの元となる汚れやぬめりを丁寧に洗って取り除くことで、雑味のない味わいになりますよ。

ガーリックシュリンプの作り方「下味編」

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1.エビに下味を付けていきます。

みじん切りにした玉ねぎ、レモン汁、オリーブオイル、塩をボウルに入れて混ぜ合わせます。

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2.下味が絡みやすくなるように、キッチンペーパーでエビの水気を丁寧に拭き取ります。

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3.下味用の具材とエビを軽く混ぜ合わせたら、冷蔵庫に入れて1時間以上置いて、しっかりと味を馴染ませていきます。

時間をかけてエビに下味を馴染ませることで、塩とオリーブオイルがエビの身の中まで浸透し、焼き縮みを防ぎ、ふっくらと仕上げることができます。

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またレモンと玉ねぎは、西洋料理等で魚介類の臭み消しに利用される代表的な食材です。エビと一緒に漬け込むことで、下味としても機能しつつ、エビ特有のにおいを抑える効果もあります。

エビに下味を付ける工程は、ガーリックシュリンプの仕上がりを左右する重要なポイントになりますので、早く食べたい気持ちをグッとこらえてやってみてくださいね。

ガーリックシュリンプの作り方「焼き編」

1.フライパンにオリーブオイルを引き、中火でしっかりとフライパンを温めてからエビを焼いていくのですが、ここで1つポイントがあります。それは、エビを軽くはたいて下味用の玉ねぎを落としてから焼くことです。

エビと玉ねぎは同時に加熱してしまうと、玉ねぎから水気が出てしまい、殻付きエビの香ばしさを上手く引き出せなくなります。少し面倒ですが、このひと手間ででき上がりの香ばしさが全く変わってきますので、意識してみてくださいね。

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▲エビを香ばしく焼くためにオリーブオイルは材料の記載通り15mlを投入してください

下味用の玉ねぎを落とした上で、エビ同士が重ならないように並べて焼いていきます。

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2.エビは一度並べたら触らずに、5分程片面を焼いていきます。やや多めのオリーブオイルで殻ごと焼いて、エビ特有のうま味や香ばしさを引き出すことが重要です。炒めるのではなく、片面ずつしっかりと焼くように調理してみてください。エビの表面がしっかりと焼けたら、裏返して2分程焼きます。

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3.両面がしっかりと焼けたら、火を止めてバットなどに取り出しておきます。

エビの身の中心が、半透明から白っぽく変わったら火が通った目安になります。殻の赤色だけで判断せずに、エビの身の色まで確認するようにしてくださいね。

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4.ここからはガーリックバターソースを作っていきます。エビを炒めたフライパンに、みじん切りにしたにんにくを入れ弱火でじっくり炒めます。

フライパンに油分が残っていなければ、オリーブオイル10ml(分量外)を足してください。みじん切りにしたにんにくは、オイルがないと焦げるばかりで、持ち前の香りやうま味を上手く引き出すことができません。

オリーブオイルは、油というより「オリーブの実の果汁」と割り切って、しっかりと量を使うと、お料理がグンと美味しくなりますよ。

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5.弱火のままにんにくを2〜3分程炒めて、香りが立ってきたら、エビの下味用に使用していた玉ねぎ等の具材を全て入れ、中火にして炒めます。

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6.2分程炒めて玉ねぎが透き通ってきたら、水と醤油を加えて煮立たせます。

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7.グツグツと沸いてきたら、取り出しておいたエビをフライパンに戻してバターを加え、全体に行き渡るように炒め合わせます。

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バターは1cm程の角切りにしておくと、全体に散らしやすく溶けるまでの時間も早まるので、エビに余計な熱を加えずに手早く仕上げることができますよ。

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8.適量のこしょうとみじん切りにしたパセリをたっぷりと加えてひと混ぜしたら、ガーリックシュリンプの完成です! お皿にこんもりと高く盛って、くし切りにしたレモンとパセリを添えましょう。

脇役の印象が強いパセリですが、生のパセリを刻んでたっぷり加えると、すがすがしい香りが加わります。エビのきれいな赤色がより映えますので、脇役と侮らずにぜひ入れてみてください。

乾燥パセリでも代用可能ですが、こだわって作りたい方は、ぜひ生のパセリを使ってみてくださいね。

ガーリックシュリンプの楽しみ方

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でき立てのガーリックシュリンプは、エビの香ばしさとにんにくの香りで食欲をそそる仕上がりになっています。

殻をはずして豪快にかぶりつくと、プリッとしたエビの食感をお楽しみいただけると思います。そして、エビの殻から出た香ばしさ、香味野菜とにんにく、バターのうま味が詰まったガーリックソースは、奥深く飽きのこない味わいになっています。

お好みでレモンを搾れば、全体の味わいがキュッと引き締まりさっぱりとした味わいに。食べる手もビールも止まらなくなりますよ!

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ちなみに殻付きのエビは、片手で殻を軽くめくり上げ、フォークを身に刺して引っ張ると、簡単に殻からはずすことができます。

殻付きのエビは多少食べにくいものの、殻から出るうま味と香ばしさが格別なので、手は汚れる前提で、お手拭きを用意して食べ始めてくださいね。

このガーリックシュリンプは、おつまみとしてビールなどに合わせても美味しいのですが、ご飯(分量外)との相性も抜群です! ガーリックシュリンプの本場ハワイでも、ご飯と一緒にプレートに盛られたスタイルで提供されることが一般的です。

うま味が詰まったガーリックバターソースが染みこんだご飯と、プリッとした大ぶりのエビを一緒に頬張れば、その相性の良さを感じていただけるかと思います。

ソースに加えた隠し味の醤油がご飯とのつなぎ役になり、ハワイ発祥の料理ですが、日本人もほっと安心できる味わいに仕上がっていますよ。

まとめ

ハワイ発祥の料理「ガーリックシュリンプ」はいかがでしたか?

これから始まる暑い夏に向けて、スタミナもつきそうなガーリックシュリンプのレシピになっています。レシピ通りにこだわって作ると多少時間はかかりますが、その分完成度の高いガーリックシュリンプを作ることができますので、興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!

 

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