【イカの楽園】函館には「イカのスイーツ」が存在する? 気になるので行ってきた

f:id:Meshi2_Writer:20170302201425j:plain

函館は一年通してイカを食べられるイカの楽園です。旬もなにも、一年中イカがうまいのです。そんなイカに恵まれた函館ゆえでしょうか、「イカのスイーツ」まで存在するらしいのです。

ちょっと想像ができませんね……そこで現地に取材に行ってきました!

 

超ド生鮮のイカをおさえておこう

f:id:Meshi2_Writer:20170302192910j:plain

北海道の玄関口、函館にやってきました。
前日は強風に大雨、最高気温が8度と雪国感ゼロ。この日は打って変わって雪景色となりました。まずは、駅周辺を散策してみました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302192927j:plain

道路はきちんと雪かきがされていました。ただし、前日の雨が凍ってツルツルです。
足全体で垂直に地面を踏むと転ばずに移動できます。冬場の観光は本当に気をつけていただきたい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302192954j:plain

函館駅から徒歩約10分、例のウォーキング技術を駆使し、函館自由市場にやってきました。観光客はもちろん、飲食店の調理担当者も品物を選びに来る、モノの良さに定評のある市場です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193011j:plain

建物のなかには30軒の鮮魚店のほか、塩干(えんかん)店6軒、生花店1軒、青果店1軒が営業しています。いい雰囲気ですね。
実は今年は、イカの水揚げ量が少ないのだそう。おまけに前日嵐だったためそもそも漁に出られたのか……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193041j:plain

かなり厳しい状況にも関わらず、いました! イカです。ありがとうございます!!
函館は12月から6月はヤリイカ、6月から12月はマイカと、年中イカを捕ることができます。この時期のヤリイカは身が柔らかく、甘みがあるのが特徴です。

 

市場ならでは! 冷蔵庫のない喫茶店

f:id:Meshi2_Writer:20170302193110j:plain

自由市場には4軒の飲食店があります。今回はそのうちの一つ、「coffee マルシェ」でイカをいただきます。市場には似つかわしくないポップなお店、一方でメニューは本格的な海鮮を取りそろえ、札幌の名店「菊地珈琲」仕込みのコーヒーも楽しめます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193128j:plain

メニューはこちら。「いか刺し定食」(1,000円)……2位!? 市場に来たからには鮮度が問われる生のものを食べたい気がしますが、1位は「銀だら定食」(1,200円)です。うわー、イカ以上に気になる……! でもここはやはり、「いか刺し定食」でしょう。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193141j:plain

注文するとおもむろにお店の外に出て行った板前さ……マスター。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193202j:plain

ああっ! すぐ隣のお店でイカ買ってる! なんという鮮度!!! そういうことなので、「coffee マルシェ」の店内には冷蔵庫がないのだそう。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193304j:plain

ついさっきまでまんまの姿だったイカが、数分でお刺身になりました。透明度のあるきれいな白さは、この鮮度ゆえなのでしょう。写真左側のほんのり色がついているのはヒレ、いわゆる耳の部分です。こちらは少し歯応えがありますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193340j:plain

食べてみると筋っぽさがほとんどない! かむほどにイカが溶け出し、甘味とともにコクがでてきます。食べた瞬間からガツンとうまい、というよりも、かみ締めることでしみじみとうま味が感じられる……うまい、うまいだけに1位の「銀だら定食」が気になる……!!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193355j:plain

胴の部分のほかに、イカのワタとゲソも食べられます。
吸盤のコリコリしたゲソは、胴の繊細なうま味よりも強めな味わいが特徴。胴と交互に食べるとイカをイカで味変できます。そして好みのわかれるワタは、苦みの薄い優しい味でした。食べたことのない人に是非挑戦してもらいたい! そして酒飲みたい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193418j:plain

どうしても気になったので、人気ナンバーワンの「銀だら定食」も食べてみました。
裂け目からあふれる脂……いやこれは肉汁といったほうがいいかもしれない。箸を入れてみるとふわっふわの身。そして味付けがまたご飯が進む! 「分けて食べようぜ!」とか絶対無理、瞬間的になくなります。

 

和菓子屋さんのイカは刺身にできない

シンプルながら極上の市場直送イカ刺し。これを超えるものなんて存在しない! そう思えるほどのコク、うま味が詰まっていました。しかしここはイカ天国、函館。私たちの想像をはるかに超える「イカのスイーツ」が存在しているのです。

f:id:Meshi2_Writer:20170302193534j:plain

「イカのスイーツ」をいただけるのは、函館駅から車で約7分、和洋菓子店の「はこだて柳屋」です。甘いイカのお菓子……想像がつきません。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193856j:plain

店内に入ると外観以上にお菓子屋さん。
噂の「いかのスイーツ」について聞こうとショーケースに近づいて見ると……

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302193919j:plain

発見しました、イカの楽園函館のイカスイーツ「いかようかん」(1,188円)です。
パッケージを読むと「絶対に刺身にしないでください」。謎すぎる……。

 

見た目はおろか、食感までイカ!?

「いかようかん」を購入し、家に持ち帰ってきました。早速その姿を拝むことにしましょう。

f:id:Meshi2_Writer:20170302194003g:plain

パッケージを開けると、いきなりイカの絵が飛び出してきた!
柳屋さん曰く「箱って食べたら捨てられてしまう。この仕組みで少しでも家に飾ってもらい、楽しかった函館旅行を思い出してほしい」とのこと。確かに箱はすぐ捨ててしまいますよね。観光地のお土産にはぜひ標準装備してほしいアイディア!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194057j:plain

お待たせいたしました、これが「いかようかん」の全容です。
10本の足のうち2本は獲物を捕まえるための長い触手、それをきちんと再現しています。顔の前でクロスさせると、エジプトの王みたいな風格が出ますね。
ちなみにヤリイカ、マイカといった種類のモチーフはないそうです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194133j:plain

パッと見ものすごい手がかかっているのがこの足。一つ一つ吸盤がついている!
足一本に10個、長い触手には20個の吸盤、イカ一匹につき120個!! 絞り袋にようかんを詰めて、一つ一つ手作業でくっつけています。くっつけたら1日置いて冷やすため、「いかようかん」の製作には2日間必要です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194217j:plain

「いかようかん」のなかでも最も目を引く部位がこの目。飛び出し気味です。目玉はねりきりを丸めて作っており、少し硬めの食感がアクセントになっています。
ヒレはようかんの層が複数あり、かみ応えのある食感……本物のイカと食感の分布が一緒じゃないか!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194250j:plain

胴を切ってみると、中は3層構造になっていました。中心の白いものはかみ応えのある求肥、そのまわりはほんのりコーヒー風味のあんで包まれています。
なるほど、イカ刺しと同じように調理したら、ただのようかんになってしまうのですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194313j:plain

食べ進めると突起が現れました。この突起が「いかようかん」を固定し、長旅で箱が揺れても形崩れしません。贈答用として買われることの多いいかようかん、見た目を守る工夫が見えないところにありました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194350j:plain

食べてみると、ようかん、コーヒーあん、求肥と歯ごたえの違いが感じられます。それぞれの相性も良く、和菓子として完成されていますね。味はようかんなのに本物のイカを食べている感覚、見た目って大事!

ただ一つ気になるのは、いかの目線です。罪悪感が出ちゃうかたはまず目玉を食べましょう。そして結構な分量があるので、シェアしてみんなで食べるとおいしく盛り上がるはず!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170302194537j:plain

吸盤、ヒレといった見た目だけでなく食感まで作り込み、箱へのこだわり、形崩れ防止の工夫など、「いかようかんって面白ネタ?」 と思っていた自分が恥ずかしい!
職人さんが手間ひまかけて、函館人の誇りをこめた芸術品、いや、これは新種のイカ! ぜひ新鮮なイカと「いかようかん」、食べ比べてみてください!

※「いかようかん」は生産できる数に限りがあるため、まえもって予約をしておくと確実です

 

お店情報

coffee マルシェ

住所:北海道函館市新川町1-2はこだて自由市場内
電話番号:0138-22-7686
営業時間:7:00~17:00
定休日:日曜日(はこだて自由市場もお休み)

hakodate-jiyuichiba.com

www.hotpepper.jp

 

はこだて柳屋 

住所:北海道函館市万代町3-13
電話番号:0138-42-0989
営業時間:8:30~20:00
ウェブサイト:http://hakodate-yanagiya.com/ikayokan
※「いかようかん」は通信販売もあり。

www.hotpepper.jp

 

※この記事は2017年3月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

秩父新名物「天空のちまき」は天空の名を冠するのにふさわしいちまきなのか?食べてきた

f:id:Meshi2_Writer:20161101190956j:plain

「天空の」というと、「バルス」でお馴染みの有名映画を筆頭に、ファンタジーの象徴です。でも今回ご紹介するのは「天空のちまき」。なんでしょう、ファンタジー感が薄いんですよね。


天空の名を冠するのにふさわしいちまきなのか、食べて確認してきました。

 

天空のちまきを求めて秩父の山へ

f:id:Meshi2_Writer:20161101191028j:plain

天空への冒険物語はいきなり目的地の秩父郡皆野町から始まります。
天気が悪いですね。この時点ではっきりとお伝えしておきます、最後まで晴れません。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191041j:plain

目的地までのルートは2本。1つは降り続いた雨の影響で通行止め、唯一の道を進んでいると電線にひっかかっている倒木が!

果たして無事にたどり着けるのか、着いたところで営業しているのか……天気同様、私の気持ちもどんよりしてきました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191057j:plain

山道を進んでいくと、到着しました。ここが「天空のちまき」を食べられる「天空の楽校」です。
ここは昔「皆野町立立沢分校」という学校でした。その建物、歴史を引き継ぎ営業しています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191110j:plain

建物の向かいに秩父の山々を望めるテーブル席が。ちょうど谷になっていて、どこまでも見渡せそうです。晴れていたら……。
視界は悪くても雲の動きによって姿を現す山々を眺めていると、なんだか穏やかな気持ちになってきます。これはこれで絶景!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191130j:plain

ふと横を見るとバーベキューテラスがありました。ここからの眺めもやはり素晴らしい!
ちまきの前に、ここで食べられるバーベキューがめちゃくちゃお得なので紹介します。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191215j:plain

この凄まじいボリューム、2人前の写真です。お値段は1人 2,500円。スペアリブ、手羽元、ソーセージ、豚バラ、牛バラ、ベーコンとたっぷりの肉に加え、モツ煮の小鍋まで!
到着30分前に連絡すれば火を準備して待っていてくれます。そして飲み物は持ち込み自由。
来て焼いて食べるだけでこの料金、最高にお得じゃないですか……!(ちまきは別料金です)

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191234j:plain

今回食べないメニューの紹介でお腹が減ったので、早速「天空のちまき」をいただきます。こちらが食堂です。

「ちまきが温まったらお声かけしますので、よかったら校舎内を見学していってください」

看板娘さんオススメスポットがあるということで、「天空の楽校」を探検してみることにしました。

 

天空の「昭和みゅ~じあむ」!?

施設内を見て回ると、自然あふれるこの地域の特性と、全然関係ない部屋がありました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191303j:plain

ここは「ちっちゃい昭和みゅ~じあむ」

もともとおもちゃのピアノと、ご主人の趣味である車やバイクのカタログを置いていたこの部屋、地元の大人たちに楽しんでもらえる場にしようと、アイドルのグッズやポスター、CDのジャケットなどレトロなものを買い集めて展示しています。

 

f:id:Meshi2_IB:20161117153841j:plain

某アイドルグループだ……知らん人がいる……。
今を輝くアイドルの昔の姿。デビューしたてを知らない世代でも新しい発見があり、楽しめます。

 

f:id:Meshi2_IB:20161121185152j:plain

某アイドル雑誌を読んでいたら、「ちまきができましたよ~」看板娘さんが呼びに来てくれました。
最近は出来上がると知らせてくれるタイマーを渡されたりします。
こうして呼びに来てもらえると自然と会話が増えて、思い出にも残りますね。

 

こだわりのちまき3種類

f:id:Meshi2_Writer:20161101191358j:plain

ちまきは本来保存食、戦国時代には戦地に赴く際、武士たちがよく食べていたのだそう。
その保存力の秘密はちまきを包む「竹の皮」にあります。殺菌効果があるとされ、「天空のちまき」は冷凍すれば3カ月たっても変わらない味を楽しめるのだとか。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191409j:plain

天空のちまきは全3種類。こちらはベーシックな「天空のちまき」です。
味付けをしっかり感じられる一方で、素材の味もしっかりとあり、バランスのとれたうまさだ!

ちまき心臓部に埋め込まれたこの角煮、食べごたえがあり食感、見た目にインパクトを与えてくれています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191431j:plain

こちらは海鮮ちまきです。角煮の代わりにホタテ、エビ、アサリ、昆布が入っています。
口に入れた瞬間から通常のちまきとは全然違う! 磯の香り、具材のうま味が米によ~く出ている! 海の味がしっかりと表現されています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191443j:plain

最大のチャレンジ、ベーコンチーズちまきです。ベーコンとマッシュルームが入っています。
あっさりとしたクリームチーズが味のベースをしっかりとつくり、ベーコンの塩気、うまみがもち米に出ています。「和風ドリア」という表現がしっくりきますね。完成されている!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101191456j:plain

3種類食べてみて感じたのは「ちまきそのもののうま味」。看板娘さんに調理法をうかがいました。

 

まずはもち米を、標高600mから引き込んだ湧水に一晩浸します。柔らかくなったところで、味付けをします。味付けは台湾の有名ちまき店のレシピを特殊なルートで入手、日本人向けに1年間かけて調整しました。そのあと蒸しあげるのですが、サイズが大きいため、一般的なちまきの3倍の時間をかけて蒸しあげています。

 

特殊なルートが気になりますが、手間暇をかけてつくりあげた、その結果の味だと納得できました。

 

ファンタジー? いや、苦労連続のノンフィクション

f:id:Meshi2_Writer:20161101192020j:plain

「天空のちまき」を企画したご主人と開発した看板娘さん。2人で「天空の楽校」を切り盛りしています。
もともと音楽関係の仕事をしており、この場所にスタジオを開設するためにやってきたのだそう。
この場所を借りるにあたり、元学校という立地柄、地域貢献事業を行ってほしいとの要望があり、ちまきを主力商品とする飲食店「天空の楽校」をオープンしました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101192057j:plain

この写真は開店する2年前の「天空の楽校」。廃校になってから15年もの時間が経過していました。
ご主人と看板娘さんの2人で平日は東京で仕事、土日で秩父に通って草を刈り、建物の壁を直し……。
開店後5年半をかけていまの状態にまで修復が進みました。ものすごい険しい冒険を乗り越えてきているのです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161101192150g:plain

そんな話をうかがってからこのせいろオープンの瞬間を見ると……湯気、ちまきのにおいとともに、私の心にも立ち上ってくるものがありますね。
最近では5年間の努力が実を結び、都内のデパートでも販売される機会が増えているのだそう。

天空といえばファンタジー、ちまきだとなんかファンタジー感が薄いと言った私ですが、「天空のちまき」はファンタジーではなく、ゼロから始まったノンフィクションの物語がありました。

 

お店の情報

天空の楽校 ちまきカフェ

住所:埼玉秩父郡皆野町大字上日野沢652
電話番号:0494-62-5431
営業時間:平日11:00~17:00、土曜日・日曜日・祝日10:00~18:00
定休日:水曜日、12月中旬~3月中旬まで冬季休業
ウェブサイト:http://www.tenku-school.com/

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

肉! ねぎ! 煮込みにビュッフェ! 大井町の東京シティ競馬のメシ事情が想像を超えている

f:id:Meshi2_Writer:20161222181311j:plain

「競馬場は賭け事をするところ」。そのイメージは今回の取材でひっくり返りました。
東京シティ競馬はレトログルメに加え、競馬観戦をしながら食事を楽しむオシャレなレストランを完備。さらには広い敷地を活かしたグルメイベントを開催しており、もはや馬に興味がなくても、メシのウマさで十分楽しめちゃうのです。

 

東京シティ競馬の「4号スタンド」が食の楽園 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181335j:plain

東京シティ競馬にやってきました。東京モノレールの「大井競馬場前駅」、京急線の「立会川駅」から徒歩、もしくはJR「大井町駅」「大森駅」「錦糸町駅」から無料送迎バスが出ています。

この日は夜にかけてレースが開催される「トゥインクルレース」の日。夕方からの取材です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181401j:plain

ゲートを抜けると空間が広がり、その先に馬が走るコースが見えます。
今回取材にうかがうのは写真右手の建物「4号スタンド」です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181415j:plain

電気の色やダクトの感じ……レトロなメシのにおいがする!
約40年前に建てられたこのスタンド、果たしてどんなメシが待っているのでしょうか。

 

競馬を見ながら食べられるレストランが想定外すぎ!

「まずは4階にあがってみてください」

取材に同行してくれた方の言葉に従い、エレベーターで4階へ。 

f:id:Meshi2_IB:20170207170542j:plain

扉が開くとこの光景。え……? 想像と違いすぎる!
ここは東京シティ競馬のレストラン「ダイアモンドターン」 。パッと見、銀座の会員制クラブと言っても過言ではないラグジュアリー感です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181509j:plain

店内はビュッフェ形式。好きなものを選んで食べられます。
この日はシーフードフェアということで「エビとキノコのマカロニグラタン」や「白身魚の香草パン粉焼 ハニーマスタードソース」といったシーフードメニューから「魚介の軽い煮込み ナンチュアソース」といった、なんじゃ? と思わせる食べ物まで用意がありました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181543j:plain

窓際の席からは最後の直線に突っ込んでいく馬の姿を、ばっちり見届けることができます。

座席は写真のようなテーブル席に加え、横並びでレースが見られるカップル席、6〜7人で座れるボックス席、お一人用のカウンター席、一人10,000円の5人ボックス席「コンパートメントルーム」と、すべてあわせると500席を数えます。

 

f:id:Meshi2_IB:20170208202255g:plain

レースが始まるとみなさん窓の外に目をやり、食事そっちのけで祈りを捧げています。
あまりにも競馬場っぽくないこのレストラン、やっと競馬場の光景を見られて安心しました。
ダイアモンドターンは2017年1月から改装のため3月まで休業となります。ご注意ください。


競馬場グルメ、やっぱ煮込みでしょう!

想定外のメシに驚きましたが、4号スタンド1階には私が待ち焦がれたメシもあります。

f:id:Meshi2_IB:20170207170623j:plain

券売機に列ができる評判のお店「幸福堂」はビールに合う煮込みを中心に、ラーメン、カレー、うどんをそろえています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222181940j:plain

こちらが自慢のもつ煮込み。
ああ……飛び込みたい! ひとしきり泳いでからビール飲みたい!
これぞ競馬場グルメの醍醐味(だいごみ)!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182004j:plain

と、もつ煮込みの話を膨らませつつ注文したのは、メニューを見ても全容が想像できなかったこちら。
旧2号スタンドの赤もつ煮込串(手前)と白もつ煮込串(奥)です。赤もつは肺臓、白もつは胃袋で、からしと一味唐辛子が振られています。
ビールも買って準備は万端、煮込みが冷める前に席を探しに行きましょう。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182110j:plain

東京シティ競馬には屋外席、屋内席に加え、指定席もあります。席を確保して早速いただきます!
赤もつは意外とあっさり。3~4cmの角切りで素材の味を活かしたザ・肉です。いーい食べ応えだ! 白もつはかむほどに肉と煮込み汁が感じられてうまい! 一味唐辛子の辛味と相性がいいですね。このボリュームで1本 200円は安い!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182129g:plain

ビールと煮込み串を両手に持ち、コースの近くでレースを観戦してみました。
馬が一歩踏み出すたびに響く蹄の音、舞い上がる砂……! スゴイ迫力だ!
走る馬を見ながら飲むのも、なんだか男心が満たされた気がしますね。

 

競馬場のグルメイベントもウマい!

f:id:Meshi2_Writer:20161222182212j:plain

冒頭で4号スタンドに向かう途中にあったこの広場。じつはここ、「ウマイルスクエア」という名前のイベントスペースです。馬がいる、スマイル、メシが「うまい」と、うまいこと3つの言葉にひっかけた、言葉を扱うものとして拍手せずにはいられない新名所です。

  

f:id:Meshi2_Writer:20161222182226j:plain

後日、また訪れてみるとたくさんのテントが張られ、なにやらイベントが開催されていました。

 

f:id:Meshi2_IB:20170207170646j:plain

このイベントは「全国ねぎサミット2016 in TOKYO×肉フェスⓇ(2016年11月26日・27日開催)」。肉は有名店9店、ねぎは28市町村から東京シティ競馬に集結しました。
競馬場で食イベントが開催されているなんて知らなかった……今までは内馬場で実施していましたが、ウマイルスクエアでは初めてのグルメイベントです。
肉フェスは専用のチケット、1枚 700円を購入して各店で商品と引き換えます。ねぎサミットは肉フェスとは別会計です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182358j:plain
最初にいただくのは、とんでもないインパクトで「これ食べなきゃダメだろ……」と私の心をわし掴みにしたのはこちら。ほぼ肉茶色のハンバーガー「かざま 東京・目黒本店」の「超贅沢!松坂牛プレミアムバーガー」!うわー、見ただけでうまい!!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182421j:plain

ハンバーガーでいうパンの部分は便宜上「肉バンズ」と呼ばせていただきます。この肉バンズの凝縮された肉のうま味、1枚で十分うまいのに一口で2枚分食えてるぜいたくさ! 背徳感すら感じます。
そして肉バンズに挟まっている肉は脂が多い部位。そして唯一の野菜、玉ねぎもかむと甘みのある汁がブワァーっと出てくる! 「うま味の洪水」だこれは!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182437j:plain

もう一つ、とても気になる名前の肉料理があったので食べてみました。「新日本橋 肉の匠 将泰庵」が提供する、その名も「飲めるハンバーグ」……!
箸をいれると肉汁がドバァーっと出るのかと思いきやそういうわけでもなく、そもそも結構かたくてうまく箸が入らない。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182457j:plain

とりあえず頭から食らいつくことに。かみついた瞬間思いました。こ、これは……肉の水筒……!! 吸うとハンバーグから肉汁が出てくる! 肉汁といえばジュワー。その効果音の常識を覆し、チューチュー肉汁を吸う新型ハンバーグが世に現れました。うま斬新!!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182615j:plain

肉汁をチューチューしていると、鎧武者達が武装した馬にまたがってコースを走っていました。
これは福島県南相馬市の伝統行事「相馬野馬追」。国の重要無形民俗文化財です。
本来東京で、こんな間近で見られるものではありません。競馬場がこんなに見どころだらけとは!

 

肉のウマさもいい。ねぎのアマさもいい!

肉、相馬野馬追、常設競馬場グルメと、だいぶお腹いっぱいになってきましたが、忘れてはいけません。このイベントはねぎも主役なのです。

f:id:Meshi2_Writer:20161222182642j:plain

多くのブースでねぎの試食、販売をおこなっています。そんななかで見つけたねぎのアレンジ料理を提供しているブース、松戸市の「あじさいねぎ」です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222182654j:plain

こちらがねぎ焼き。お好み焼きのような生地にたっぷりのねぎと豚肉を乗せて焼いたものです。
産地直送の鮮度ゆえでしょうか、ねぎのシャキシャキ歯ごたえが口の中で永久にある! 生地、豚肉、ねぎ、アクセントの紅ショウガと、シンプルながらバランスの良い、完成されたねぎ料理です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222183031j:plain

本イベントでもっとも変わり種だったのはこちら、岐阜県岐南町の「徳田ねぎ」。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161222183147j:plain

タコスの皮のような生地に肉みそとねぎ、マヨネーズをトッピングした、その名も「ねぎナン」。え? これナン……?
「岐南(ぎなん)町のねぎ料理だから、ね岐南、ねぎナン」という由来があるそうです。
甘みのある肉味噌でねぎの辛味が引き立っています。味わいは「和風タコス」という表現がぴったり。完成されたうまさだ!

 

今後も続々大型イベントを開催予定!

今回紹介したイベント店以外にも、36の常設店舗が営業しています。
もはや競馬場でありながら食のテーマパークの様相。一日休みの日は競馬場で食い倒れてみては?

 

お店情報

東京シティ競馬(大井競馬場)

住所:東京都品川区勝島2-1-2
電話番号:03-3763-2151
営業日:大井競馬開催中(一部店舗は川崎・船橋・浦和場外開催中も営業)
※レストランおよびその他飲食店、ウマイルスクエアのイベントは開催日程による。詳しくはHPをご確認ください。

※この記事は2016年12月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

冬の魚はアンコウ、冬の温泉は化石海水! 茨城県大洗町「潮騒の湯」で旬を両方いただきます!

f:id:Meshi2_Writer:20170111184512j:plain

野菜をバランスよく食べることができ、味のバリエーションが豊富な鍋。冬を代表する料理です。

 

一方で冬の魚は脂がのり、素材のポテンシャルが最も発揮される時期。私が思うに、その組み合わせの最高峰はアンコウ鍋ではないでしょうか。アンコウの産地である茨城県の湾岸地域、大洗にある温泉で温まってからアンコウ鍋が食べられると聞き、行ってきました!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184401j:plain

東京から常磐道、北関東自動車道と乗り継いで茨城県大洗町にやってきました。
ここは大洗サンビーチ。12月でも多くのサーファーで賑わっています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184418j:plain

後ろを振り向くと、空の青に映える黄色い看板が目印、「潮騒の湯」があります。
本日はここでアンコウ鍋と温泉をいただきます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184433j:plain

入り口に回ってみました。「潮騒の湯は太古の海からの贈りもの」……すごく貴重な温泉っぽい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184447j:plain

その源泉が、駐車場の一角にありました。ここで湧き出した源泉を湯船に送っています。
このビジュアル、温泉とともに私の中で親近感も湧いてきました。

 

温まる化石海水と涼しい潮風が快感すぎる

「駐車場温泉」のイメージが強くついてしまった「潮騒の湯」。
とはいえ、海のロケーション、化石海水の温泉と、風呂の条件は極めていいはず。 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184512j:plain

うわー、めっちゃいい!!

涼しい海風で常に湯けむりが舞い踊り、湯船との温度差が気持ちいい! 露天風呂は「潮騒の湯」自慢の化石海水の温泉で満たされています。肌をぬぐうと摩擦が増したような感覚がありますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184657j:plain

化石海水とは、大昔の海水が地殻変動で岩盤に閉じ込められ、時間をかけて地層の成分が染み込んだ温泉のことを指します。

塩気が濃いのが特徴で、湯上り後も肌に塩の成分が残り、ぽかぽかとよく温まります。
なめてみるとしょっぱく、髭剃りあとがヒリヒリする! 強い塩気のおかげで殺菌効果も高いです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184709j:plain

温泉の力をさらに引き出す設備があります。この「高濃度炭酸泉」です。
湯に溶け込ませてある炭酸の成分で身体の血流が促進され、末端までよく温まります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184724j:plain

身体が温まったら露天風呂で潮風に吹かれて体を冷ます。冷ましているときの景色がこれですよ。


涼んでいると 「苫小牧港を出て大洗港に入港する客船、サンフラワー号がやってまいりました」と館内放送が。タイミングが合えば、大型客船が港へ進んでいく様子を見ることができます。

 

腹……減ってきましたね。

 

海沿いならではの豊富な魚料理

メシを迎え入れる準備が、ほぼ完璧と言っていいほど仕上がりました。
アンコウはもちろんのこと、どんな海の幸がそろっているのでしょうか。食べに行きましょう!

f:id:Meshi2_Writer:20170111184754j:plain

確認ですが、ここは「潮騒の湯」。お風呂屋さんです。私の目測だと、男湯女湯の面積を合わせた広さを食事処が超えちゃってる気がします。食事に相当な自信があると見た!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184806j:plain

そういえば、風呂場でオススメの魚がアナウンスされていました。その現物が食事処の一角に並んでいます。カサゴにカレイ、ブリカマ……風呂場で想像を膨らませてから現物を見ると一層うまそうに見える。これも温泉の効果に違いありません。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184827j:plain

アンコウ鍋の前に、お風呂屋さんにはまずない「金目鯛の兜煮」(540円)を食べてみました。見た目がスゴイですが、甘みもスゴイ!
骨の隙間から肉を探すのが楽しいんです。面倒くさくないんです。うまいから!

 

アンコウ鍋と茨城産コシヒカリの相性が最高!

f:id:Meshi2_Writer:20170111184857j:plain

こちらがアンコウ鍋定食(2,376円)です。アンコウ鍋のふた、半開き! 具材の豊富さを感じますね。
鍋というと2人前から、という縛りがあったりますが、「潮騒の湯」では1人前から用意があります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184913j:plain

煮込んでいる間に刺身をいただきます。この日の刺身は左からヒラメ、イナダ、サーモン。
刺身と一括りにしてしまいがちですが、それぞれ違った味わいと歯ごたえを楽しませてくれます。
特に冬場が旬のヒラメ、プリッとした歯ごたえに、かむととろけるうま味……これが旬なのか!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184935j:plain

固形燃料がいい具合に燃えてきたところで、ふたを脱がせてみましょう。こちらが「潮騒の湯」のアンコウ鍋です。アンコウ鍋は醤油の味付けが一般的ですが、こちらは味噌仕立て。たっぷりの野菜とあん肝のうま味がよくスープに出ています。フワフワしたアンコウの身、味噌のこってりとした味付けによく合いますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111184952j:plain

「海のフォアグラ」こと、あん肝も入っています。なるほど、食感は確かにフォアグラ! 磯のうま味が詰め込まれています。ここまでのうま味が生まれるのは、深海というエサの少ない環境を生き抜くため少しずつ栄養を蓄えた結果なのだそう。アンコウの節制をごっそりいただく。なんだか申し訳ない……でもうまい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111185028j:plain

鍋の中でやけに主張していた黒っぽいもの、アンコウのヒレです。小骨に気をつけ食べていると、肉の部分がプルプル!
実はアンコウはコラーゲンがたっぷりの魚。肌の調子を整えるのにも効果的と言われています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111185050j:plain

とっておいたご飯で最後のお楽しみ、アンコウ鍋の煮汁とご飯でいただきます。
まず思ったのは、そもそも米がうまい! 店員さんに聞くと、茨城産のコシヒカリだそうです。
白米と合わせるとスープのコク、磯のうま味がよく感じられますね。

 

ビジュアル注意! アンコウのエラは結構奇抜

初めてアンコウを食べ、興味が湧いてきた私。アンコウ本来の味も確かめたい! 他のアンコウメニューを注文してみました。

f:id:Meshi2_Writer:20170111185113j:plain

そこで見つけたのはアンコウの友酢(918円)。甘みのある味噌とともにいただきます。
皿にのっているパセリ、レモン、菊、つま、さくらのやつ以外は全てアンコウ!
こうしてみると捨てるところのないエコ食材と実感しますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111185126j:plain

アンコウの身に加え、左の白い三角形が牛モツのような食感の胃袋。中央の黒い三角形がプリプリコラーゲンが大量に詰まった皮。丸いのが日本酒の大親友、肝。そして一番ビジュアルがえげつない右端のエラを食べることができます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111185142j:plain

かじってみました。食感、味ともに足の細いタコですね。かじったところが一部ヒョロっと細くなっているのは、ヒョロヒョロの上に一層皮のようなものが被っているためです。箸でつまんでいる部分は軟骨のようになっていて、ここも食べられます。ぜひ挑戦してみてください!

 

アンコウの旬は冬、化石海水の旬も冬

f:id:Meshi2_Writer:20170111185214j:plain

深海という過酷な環境で蓄えた肝の濃厚なうま味に加え、エラ、皮には肌の水分を保ってくれるコラーゲンと、アンコウ鍋はまさに冬が最適。
食べて体を温めると、冬を乗り越える力を授かったような気がします。

 

f:id:Meshi2_Writer:20170111185235j:plain

そして「潮騒の湯」に湧く温泉は地下深くの岩盤に閉じ込められた化石海水。塩分濃度の高いこの温泉は、湯上り後も全身ポカポカと温まります。そう、冬に最適なんです。

食べ物と温泉の旬がかみ合っているところは大変貴重。寒さが堪えるこの季節、冬のアンコウと「潮騒の湯」で芯まで温まってください!

 

お店情報

大洗・日帰り天然温泉 太古の化石海水
潮騒の湯

住所:茨城県東茨城郡大洗町大貫256-25
電話番号:029-267-4031
営業時間:お風呂…10:00~23:00(最終受付 22:20)
     レストラン…10:00~21:30(LO 20:30)レストランのみの利用も可能

※この記事は2017年1月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

本当に釣ってんの? 店主が魚を釣るところから実際にお店で食べるまで密着取材!

f:id:Meshi2_Writer:20161116192536j:plain

物流技術の向上で、私たちはいつでも新鮮な魚を食べられるようになりました。

その鮮度を超える味を求めるとしたら、それは店主自身が釣り上げた「ストーリーのある魚」を食べることではないでしょうか。

釣り好き店主の「仕入れ」に同行し、どのようにして釣った魚が口に入るのか、調査してきました!

 

4時30分、港に集合

f:id:Meshi2_Writer:20161116192157j:plain

やってきたのは神奈川県横須賀市。ここ長井港はたくさんの釣り船屋さんが営業しており、相模湾へと出船していきます。今回の集合時間は早朝4時30分! まだ太陽が昇っていません。というのも、魚の朝ご飯に合わせた時間設定なのです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192221j:plain

今回私が乗船するのは「長助丸」。船長さんと釣り人2人に同行します。

狙いはカツオ、マグロです。相模湾といえば神奈川県、ド関東です。マグロなんて本当に釣れるのだろうか……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192233j:plain

出船と同時に太陽が顔を出しました。普通に生活しているとあまり見る機会のない日の出。海上から眺めると結構感動ものです。


陸から離れると、釣れるんじゃないかという期待感と、船酔いになってもすぐには陸に戻れない不安感の両方が高まってきました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192245j:plain

このかたが浅草で居酒屋「呑み喰い処 浅草なつの」を経営している夏野さん。ヒゲが整ったイケメンです。

これから釣り上げるであろう魚が、このかたのお店にメニューとして並びます。

 

釣れないと記事にならない! 気になる釣果は……?

f:id:Meshi2_Writer:20161116192304j:plain

今回エサに使うのはこの「オキアミ」というエビ。写真のような穴ぼこが開いた入れ物「カゴ」に詰めて、海へ沈めます。魚のいる水深まで沈めたら、竿をしゃくります。するとカゴからオキアミが飛び出し、エサを求めて魚が集まってきます。

ハリには色、形をオキアミに似せた疑餌が付いており、それをエサと勘違いした魚が食いつき、釣れるというわけです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192318j:plain

群れが常に海中にあるわけではありません。ソナーで探している間竿を船体に固定し、群れに当たるまで待ちます。

潮風を感じながらただただ海を眺める。退屈っちゃ退屈ですが、これもまたぜいたくな時間だと思いませんか。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192423j:plain

景色は最高、気持ちいい潮風。そんな余裕を楽しめたのもつかの間、船酔いでダウンしてしまいました。今回の釣りはエサをまく量が大切なので、群れに当たると釣り人2人は容赦なく、私に釣り竿を持たせました。

そんな時間を朝から過ごすこと8時間。釣果はこんな感じでした。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192536j:plain

マグロ12匹、カツオ1匹、オキサワラ1匹、シイラ2匹を釣り上げることに成功!

釣れたのは8時間のうちの一瞬の出来事で、私も釣りまくってカメラを持てず、ウハウハな写真を撮れていません。船長さん曰く「奇跡の大爆釣」。この釣り方でここまで釣れることは稀らしいです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192549j:plain

大漁でうれしい! のですが、釣れるほどつらいのがこの作業。車への積みこみです。
今回の釣果はざっくり計算すると20kg。その重さを台車に乗せて、細い堤防を渡っていきます。

こうして魚を持ち帰り、あとはさばいて食べるだけです!

 

釣った魚を食べに、浅草ホッピー通りへ

2日後、夏野さんのお店にうかがいました。
2日という時間は一般的な流通からしたら相当に早いです。しかも冷凍されていない生マグロですよ、早く食いたい!!

f:id:Meshi2_Writer:20161116192621j:plain

お店があるのは昼間から飲める、浅草の名所「ホッピー通り」です。

どこのお店にもホッピーが置いてあるという理由で、いつの間にかそう呼ばれるようになったのだそう。本当は「公園本通り」という名前です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192645j:plain

こちらが「浅草なつの」。ホッピー横丁のなかでは抜群にオシャレな雰囲気です。
いったいどのような売られかたをしているのか、そして値段が気になる……!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192703j:plain

軒先のメニュー表を見ると……ありました! 2日間の大特価、生めじまぐろ!

釣り上げたマグロが800円で売られている……俺も売りたい! みたいな気持ちになってきますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192716j:plain

「マイケル! よく来たね!」

夏野さんとは船で会ったのが初対面だったのですが、船上で時間を共にするうちにあだ名をつけてもらう仲になりました。顔が赤いのはお店の酒を飲んでいるからではありません、日焼けです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192730j:plain

早速板長にさばいてもらいました。釣った魚がプロの料理人の手でよどみなくさばかれていきます。

この様子を見て、娘を嫁にやるっていうのはこんな気持ちなのかなぁって思いました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192747j:plain

できるまでの間に、「ホッピー通り」といえばの煮込みを注文してみました。
ホッピー横丁にはどこのお店にも煮込みがあり、酒が進む濃いめの味付けが特徴です。
その一方で「浅草なつの」は甘みのある優しい味わい。酒以上にご飯が進む味付けですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116192812g:plain

食べていて驚くのが柔らかさ。このように器を振るとふわふわ感が伝わるはずです。
約1日かけて煮込み、その間に出る灰汁や無駄な脂の除去を手作業で繰り返しています。

「味の決め手は牛テール。あとは企業秘密です」と夏野さん。どうやったらここまでふわふわになるのだろうか……?

 

お待ちかねの「釣った魚三点盛」

f:id:Meshi2_Writer:20161119142249j:plain

煮込みを食べているうちに完成! 釣った魚盛り合わせ! お供はもちろんホッピー。
ざっくりと計算してもらうと約2,500円とのこと。いわゆる「時価」ってやつですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116193058j:plain

それぞれの魚の種類は写真の通りです。

今日で釣ってから2日目、どれも魚というよりもちもちとした肉っぽい味で、マグロらしさ、カツオらしい味わいは薄く、あっさりとした味です。
魚らしい味は「熟成」の結果出てくるものなのだそう。鮮度と熟成……その塩梅が魚の味を決めているんですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116193136j:plain

オキサワラは特にもちもちしており、かむと歯に吸い付いてきます。この食感はまさに魚界のマシュマロという表現が相応しい!

醤油に漬けると脂がフワッと広がり、まったりとした味わい。これはうまい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161116193258j:plain

最後に「浅草なつの」でいつでも提供している、おいしい魚をご紹介します。金華サバです。

ほんのりと酸味がきき、脂ののったサバは日本酒と相性抜群。煮込みでホッピーを楽しんでから、サバと日本酒で〆る。なんだか浅草っぽい飲みかたですよね。お越しの際はぜひご注文を!


「店主が釣りました」は超貴重

f:id:Meshi2_Writer:20161116193407j:plain

鮮度が高いと魚は肉になります。このレベルは飲食店ではなかなかお目にかかれません。

そして当然ながら、店主が釣りに行って、しかも釣れた時しか店頭に並びません。お目にかかる機会そのものが貴重なのです。
飲み屋さんを探していて「店主が釣ってきた」という表記を見たら、きっとあなたの知らない魚の味を体験できますよ!

 

お店情報

呑み喰い処 浅草なつの

住所:東京都台東区浅草2-5-12第三夏野ビル1階
電話番号:03-6795-1472
営業時間:平日11:00〜15:00、17:00〜20:00 土曜日・日曜日・祝日12:00〜20:30
定休日:木曜日(祝日の場合は営業)

※この記事は2016年9月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

※記事初出時、一部内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

メシから甘味まで13種類!? 栃木・塩原温泉のご当地グルメ「とて焼」を食べ歩く

f:id:Meshi2_Writer:20161130180718j:plain

栃木の名湯、塩原温泉のご当地グルメ「とて焼」。

とて……? 「土手焼き」の間違いでは……? 調べてみると、がっつり食べられるメシから甘いデザートまで幅広い味があり、塩原温泉の飲食店など13店舗でそれぞれ違ったものを食べられるのだそう。

全然想像できないですね。なので、実際に行って食べてみました。

 

静かな温泉地の新ご当地グルメ

f:id:Meshi2_Writer:20161130180055j:plain

塩原温泉は昔から療養目的の滞在で多くのお客さんを集めた温泉地。その中心を流れる箒川(ほうきがわ)沿いは秋になると紅葉の名所として有名な、栃木県の一大観光スポットです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180110j:plain

歴史を感じさせる中心街は、都会の騒がしさとは縁のない、のんびりと落ち着いた環境です。昔ながらの飲食店や旅館が営業を続けており、散歩がてら食べ歩きなんていいですよね。
それを実現させたのが「とて焼」なのだそう。

 

とっても手の込んだ「とて焼」

最初のお店は「昼頃塩原温泉に到着、お昼食べ損ねたなぁー」というかたにオススメの「とて焼」です。 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180146j:plain

こちらは「多助そば 湯上屋」。老舗のそば屋さんです。

「こんにちは! 『とて焼』ください!」

「『とて焼』!? うちはそば一筋なんだよ!」

そんなやりとりを想像するほどに老舗そば屋さんの雰囲気があります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180237j:plain

そんな心配は裏切られ、優しいご主人が対応してくださいました。これが「とて焼」です。

クレープのように具材を巻いてありますね。湯上屋の「とて焼」の名は「そば舞カレーとて」。この写真では全容がわからないので、巻く前の様子を見せてもらいました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180306j:plain

天ぷらにした舞茸どーーん!

その下に特製ソースで味をつけたそば、アクセントにカレー粉をまぶしてあります。注文を受けてから揚げる舞茸のジューシーサクサクがたまらん! そばはゆでたあとにあえて水で締めないことで、特製ソースと絡みやすく仕上げてあります。


計算し尽くされた「とて焼」!?

「散歩してたら小腹が空いてきたな……」そんなかたはこちらへ。 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180411j:plain

塩原温泉で温泉まんじゅうをつくって65年。こちらも老舗の「今井屋製菓」です。

「こんにちは! 『とて焼』ください!」

「『とて焼』!? うちは温泉まんじゅう一筋なんだよ!」

そんな流れが脳裏をよぎります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180446j:plain

そんな心配をよそに、とっても人の良さそうなご主人がつくってくれたのは「黒ミツきな粉とて」。

黒蜜の寒天、キャラメルホイップ、いった大豆をトッピング。最後に伝統のこだわり温泉まんじゅうを高々とかかげた逸品です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180523j:plain

開いてみると、計算してつくられているとわかります。巻くことで具材が層になるのです。

まずは温泉まんじゅう、次に「とて焼」とキャラメルホイップ、いった大豆の食感を楽しみながら食べ進めると、甘味を抑えたこしあん、黒蜜寒天が出現し、最後に粗挽ききな粉でしっとりと食べ終える。
物語を読んでいるような、起承転結が盛り込まれた「とて焼」なのです。

 

入浴後の栄養チャージができる「とて焼」セット!?

「足が疲れた! ちょっとお茶したい」
ありますよ、おすすめの「とて焼」!

f:id:Meshi2_Writer:20161130180625j:plain

こちらは「果物屋カフェ 藤屋」。写真上部の屋号、いい味出していますね……!

大正元年創業の超老舗で、食料品を取りそろえる、塩原温泉ではスーパーのような存在でした。6年前にカフェにリニューアルしています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180654j:plain

元青果取扱店こだわりの、季節のフルーツが「とて焼」に盛り込まれています。
この日の具材はキウイ、巨峰、オレンジ、イチゴ、クッキーがトッピングされ、カスタード、レアチーズムース、ぶどうのムースが包まれていました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180718j:plain

藤屋では「とて焼」とセットでドリンクを注文すると100円引きということで、りんご、梨、オレンジ、小松菜をすりおろした 「グリーンスムージー」を注文。湯めぐりで水分を失った人にはもちろん、乾いた都会の生活で失われた栄養補給に最適です。

甘みの強い果物と甘さ控えめのクリームの組み合わせに品を感じる「とて焼」、スムージーで口をリセットすれば、自然が生んだうま味を何度も楽しむことができます。

 

寿司屋さんも「とて焼」やっちゃうの!?

「晩ご飯ナシの素泊まりプランだから夕飯どうしようかな……」というかたにはコチラの「とて焼」にぜひ挑戦していただきたい!

f:id:Meshi2_Writer:20161130180750j:plain

「幸楽寿司」です。そりゃあもう、完全なる寿司屋さんです。

「こんにちは! 『とて焼』ください」

「『とて焼』!? うちは寿司一筋なんだよ!」

ないとわかっていても想像してしまう老舗感がありますね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180935j:plain

すごく丁寧な接客、言葉遣いが印象的な大将がこしらえたのがこちら。

やっちゃったよ!! 寿司屋さんだからってストレートすぎるよ!!

 

思わず心の中で叫んでしまう「とて焼」ですね。

これは……手巻き寿司にさらにとて生地を巻いている! 具材は漬けマグロ、かんぴょう、出汁巻き卵、きゅうり、たっぷりのいくらです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130180832j:plain

持ってみると、重たい……具材の量がスゴイぞ! 恐る恐る食べてみると、うまぁーい!

具材がかみ切れるようにマグロは漬けにしてあり、甘しょっぱい味付け。それに合わせて「とて焼」の生地も卵焼きのような味に変更してあり、見事に和風に仕上がっています。

 

今回食べられなかった「とて焼」紹介!

今回紹介した4つの他にも「とて焼」はあります。ご紹介しましょう。

f:id:Meshi2_Writer:20161206191455j:plain

(左)栄太楼
和菓子屋さんのマスカルポーネ、白玉、粒あん、フルーツ、コーンフレークを盛った「きまぐれなとて」

 

(中)パン屋さんとカフェ メロン亭
天然酵母を使ったパン&カフェの「芋栗なんきんとて」。食べ歩きに向いたパンもオススメ!

 

(右)亀屋本舗
かわいい!! こしあん、いちごあん、生クリームの「和スイーツとて」

 

f:id:Meshi2_Writer:20161208190356j:plain

(左)割烹旅館 湯の花荘
地鶏つくねときんぴらに、特製ダレとマヨネーズを和えた「きんぴら地鶏とて」

 

(中)お食事処 銚子
豚肉とスクランブルエッグを、塩原名物高原大根で包んだ「角煮とて」

 

(右)若松堂
生地がココア味! こだわりの粒あんと栗を包んだ「和風とて」

 

f:id:Meshi2_Writer:20161208190714j:plain

(左)美由堂
包んでいるのは那須塩原産のホウレンソウを使ったようかん!? 「ホウレンソウとて」2016年12月からは生クリーム、こしあん、コーヒーゼリーにかりんとうまんじゅうの皮をトッピングした「和コーヒーとて」に変わります。

 

(右)塩原もの語り館
野菜ソフトクリーム「べジソフトとて(写真中央)」。冬季は香りのあるバニラアイスに、しっとりと焼きあげたとて生地を巻いた「チョコレートとて(写真右)」に変わります。

 

掲載している「とて焼」は時期によって内容が変わったり、販売していない日も稀にあります。お気に入りがあったらお早めに、事前に電話確認してから行くのが確実です。

 

「とて焼」誕生のきっかけは震災だった

「とて焼」の考案者は、今井屋製菓の塩田さん。話を聞いてみました。

f:id:Meshi2_Writer:20161130185413j:plain

ーーなぜ「とて焼」をつくろうと考えたのですか? 

 

きっかけは東日本大震災です。まちからお客さんがいなくなり、このままではいけないという危機感をみんなが持っていました。そこで、歩きながら食べられる、食事にもなり得る、地元の人も食べたくなる、この3つをコンセプトに2011年10月にスタートしました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130185612j:plain

 ーーそもそも「とて焼」の“とて”ってなんですか?

 

塩原温泉には、「とて馬車」という観光客を乗せる馬車があります。昔はラッパのような形のクラクションが付いていて、それが「トテトテー」という音を出すんです。ちょうど新ご当地グルメを考えている時に「とて馬車」が通って、これだと(笑)

 

馬車は現役なのですが、ラッパ型のクラクションはないのだそう。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161130185721j:plain

こちらが「トテトテー」と鳴るクラクション。その当時は誰も、塩原温泉を代表するグルメになるなんて想像もしていなかったことでしょう。

 

東日本大震災後の大きな危機感と、ひょんなきっかけで生まれた「とて焼」13種。6種の泉質をもつ塩原温泉で、湯めぐりと合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

お店情報

塩原温泉郷

ウェブサイト:http://www.siobara.or.jp/toteyaki.htm

 

多助そば湯上屋

住所:栃木県那須塩原市塩原771-2
電話番号:0287-32-2127
営業時間:11:00〜15:00
定休日:不定休

www.hotpepper.jp

 

今井屋製菓

住所:栃木県那須塩原市塩原786-8
電話番号:0287-32-2301
営業時間:6:30〜17:00
定休日:月一回不定休
ウェブサイト:http://www.imaiyaseika.com/

 

くだものやカフェ 藤屋

住所:栃木県那須塩原市塩原689
電話番号:0287-32-2314
営業時間:9:00〜18:00、日曜日・祝日は6:00〜18:00
定休日:不定休
ウェブサイト:https://shiobara-chaya-fujiya.jimdo.com/

www.hotpepper.jp

 

幸楽寿司

住所:栃木県那須塩原市塩原725-1
電話番号:0287-32-2061
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜22:00
定休日:月曜日

www.hotpepper.jp

 

※この記事は2016年12月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

世界一まずいあめ、フィンランドの「サルミアッキ」を日本食に混ぜてみた

f:id:Meshi2_IB:20170126192745j:plain

みなさんは「サルミアッキ」を食べたことがありますか?

「サルミアッキ」はフィンランドのお菓子。リコリスというヨーロッパではメジャーなお菓子に、塩化アンモニウムを加えたものです。実はこの「サルミアッキ」、世界一まずいあめということで有名なんです。

 

先日、フィンランドに行った際、サルミアッキ系食品をいくつか購入してきました。試しに写真下のサルミアッキ味アイスを開封してみましょう。

 

f:id:Meshi2_IB:20170126192757j:plain

ものすごい黒いアイスが出てきました。

味はほんのりとした甘さのなかに強めのしょっぱさ、そしてなにより、嫌な薬のような味がずーーーっと口の中に残り続けます。日本人の口にはちょっと合わない味だなという印象です。

 

f:id:Meshi2_IB:20170126192825j:plain

サルミアッキ味の飲料もありました。ほかにも完全にウケ狙いだろと突っ込みたくなるサルミアッキ味のテキーラなど、様々なサルミアッキ食品がフィンランドにはありました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201550j:plain

そんな記事のネタとしてはおおいに興味を引く「サルミアッキ」。現地フィンランドのスーパーで面白いものがないか探したところ、なんとサルミアッキパウダーを見つけました。これさえあれば、自分でサルミアッキ味のメシをつくることができるのです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201623j:plain

開封してみるとなんとも怪しい粉……空港のX線検査に引っかかってもおかしくない雰囲気です。この粉末であれば、さまざまな料理に応用は可能でしょう……ということで、やってみました!

 

「サルミアッキ」を和食に組み込む

せっかく海を越えて日本にやってきた「サルミアッキ」。
日本食に合わせてあげましょう。

f:id:Meshi2_Writer:20161230201654j:plain

こんな感じのTHE日本食を用意してみました。

実はもう、全てのメニューに「サルミアッキ」を混ぜ込んであります。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201716j:plain

ほうれん草のおひたしに

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201741j:plain

天ぷらの塩の代わりに

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201753j:plain

日本の国民食、味噌と「サルミアッキ」が出会い……サルミソアッキの誕生!!

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201814j:plain

一癖ある納豆にもいってみました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230201840g:plain

喉が乾いたら、サルミアッキ茶。

この5品をいただきます!

 

においがきついんだ!

見た目はまんま日本食、中身はどのように変化したのでしょうか? 食べてみましょう。

f:id:Meshi2_Writer:20161230201955j:plain

一番きつかったのは天ぷら。口に近づけると「サルミアッキ」のニオイがダイレクトに鼻にたたき込まれ、口に入れたくなくなります。

 

あとはサルミアッキ茶もキツイ! 湯飲みを口に運ぶと水面に滞留していたニオイが一気に鼻に入ってきます。甘みも薄れ、嫌な味だけ全面に出てきます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230202009j:plain

その一方でほうれん草のおひたしに至っては、青臭さが「サルミアッキ」のクセを打ち滅ぼし、甘みがあって大変おいしかったです。納豆、サルミソアッキ汁もいい具合に甘みが出つつそれぞれの食材が「サルミアッキ」の後味を緩和して、それなりに美味しく仕上がっていました。

 

サルミアッキ味のようかんをつくる

「世界一まずいあめが、和食と合わせたらそれなりにうまくなりました」

そんなオチでいいのだろうか……。
そもそも「サルミアッキ」は「お菓子」なのです。ここは和菓子に合わせるべきなのかもしれません。

f:id:Meshi2_Writer:20161230202835j:plain

思いついたのは「ようかん」。横に置いてある黒いのはサルミアッキ味のグミです。
並べると、色合い的にもようかんこそ「サルミアッキ」と合わせるにふさわしいのではないでしょうか。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230202858j:plain

まずはこちらのサルミアッキグミを溶かします。
あらためて見ると、完全に石ですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203019j:plain

調べたところ、クッキングペーパーにグミをならべて電子レンジにかけると液体になるのだそう。200Wで2分間を3セット繰り返すと……

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230202935j:plain

………そうですね、第一印象はヘ◯ロですかね。電子レンジの扉を開けると、待ってましたと言わんばかりに「サルミアッキ」の嫌なにおいが吹き出してきました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203115j:plain

溶けた「サルミアッキ」をすくってあんこに投入します。

ここが一番大変で、「サルミアッキ」は冷えるとすごいスピードでカッチカチになっていくため、箸にこびりつくとなかなか取れません。グミなのにこんな硬くなるのか……? この時気が付きました、これ、チューイングキャンディーですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203223j:plain

寒天をいれて冷やせば完成です。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203255j:plain

硬さが足りず、スプーンでえぐり出すことに。無事にサルミアッキ味のおはぎようかんができました!

 

まあまあイケますね

出来立てのサルミアッキようかん、味はどうなっているのでしょうか。 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203318j:plain

「サルミアッキ」のにおいはだいぶ和らいでいますね。加熱の過程で抜けたのでしょうか。
おそるおそるかじってみると……

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203341j:plain

うーん……絶対食えないレベルじゃない。あんこのまろやかさがファーストインパクトをおさえてくれています。かむほどに染み出る「サルミアッキ」の味……これはうまいとは言えんな……でもこういうお菓子と思えばアリですね。

「サルミアッキ」を日本食と掛け合わせると、きつい味が和らいで、頑張ればイケる味になると今回の検証でわかりました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20161230203412j:plain

「サルミアッキ」はチューイングキャンディー以外にものどあめ、グミ、チョコレートなど、さまざまな姿かたちで販売されています。北欧フィンランドを訪れたら、一度チャレンジしてみては? 責任は持ちませんが、お土産にもオススメです!

 

※この記事は2016年12月の情報です。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

トップに戻る